カテゴリーアーカイブ: オペラの制作現場から

希望よ、来たれ!『フィデリオ』公演舞台裏(2)

9月公演『フィデリオ』は先日のスタッフ会議での打ち合わせ事項を元に、各デザイナーが演出・深作健太の意図を具体化していく作業に入りました。

衣裳についての打ち合わせは、深作の目指すリアルさと、各役のキャラクターを際立たせる衣裳デザインとのバランスについて念入りに行われ、最終的にはふたりのアイディアが合わさったものとなりました。


衣裳打ち合わせの1コマ 衣裳デザイン・前田文子(左)、演出・深作健太(右)


また、一方で装置についての打ち合わせも別日に実施。
舞台模型を用いながら、新国立劇場の舞台機構も計算に入れたプランが装置の松井るみから提案されました。同席している照明、映像、音響、そして舞台監督がそれぞれの観点から意見を出し合い、場面ごとに演出家のイメージを具現化していきます。


装置の説明を行う、装置デザインの松井るみ(右端)


ベートーヴェン自身の言葉「苦悩を突き抜け、歓喜に至る。」の精神に満ちた、オペラ『フィデリオ』。 演出コンセプト「希望よ、来たれ!」を体現する当プロダクションに引き続きご期待ください!

*     *     *


▼『フィデリオ』公演情報ページはこちら
2020年9月公演 L.v.ベートーヴェン『フィデリオ』 - 東京二期会オペラ劇場

2020年9月3日(木)18:30、4日(金)14:00、5日(土)14:00、6日(日)14:00 新国立劇場オペラパレス
指揮:ダン・エッティンガー/演出:深作健太
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
〈主催〉公益財団法人東京二期会
〈共催〉公益財団法人新国立劇場運営財団、公益財団法人日本オペラ振興会

●公演のご予約・お問合せは
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
Gettii←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の
インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!


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希望よ、来たれ!『フィデリオ』公演舞台裏(1)

9月公演『フィデリオ』の開催に向けて、急ピッチで準備を進めています。
緊急事態宣言が明けて、久しぶりのスタッフ会議がようやく対面で行えました。出席のスタッフも口々に「集まれて良かった!」と再会を喜んでいました。


演出 深作健太(左下)ほか会議に集まったスタッフたち


ご存知のように『フィデリオ』は楽聖ベートーヴェンが唯一残したオペラ。この演目は例えば1955年のウィーン国立歌劇場の再開演目であり、日本では1963年カール・ベーム指揮ベルリン・ドイツ・オペラによる、日生劇場のこけら落とし公演等、困難な状況からの復活や、新たな出発の際に上演される性格を持っています。

演出の深作健太はベートーヴェンの生誕250周年となる今年に、戦後75年という節目も重ねたプロダクションにしたいと語ります。コンセプトはまだ詳しくお話できませんが、現代、まさにこのタイミングでの上演に意義のある演出になりそうです。
レオノーラの歌うアリア「希望よ、来たれ!」に乗せて二期会公演の新たな第1歩となる当公演に、どうぞご期待ください!

*     *     *


▼『フィデリオ』公演情報ページはこちら
2020年9月公演 L.v.ベートーヴェン『フィデリオ』 - 東京二期会オペラ劇場

2020年9月3日(木)18:30、4日(金)14:00、5日(土)14:00、6日(日)14:00 新国立劇場オペラパレス
指揮:ダン・エッティンガー/演出:深作健太
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
〈主催〉公益財団法人東京二期会
〈共催〉公益財団法人新国立劇場運営財団、公益財団法人日本オペラ振興会

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開演間近!
R.シュトラウスの真髄に触れる『サロメ』を

開幕まで数十時間と迫った『サロメ』公演現場からレポートです。

今回の舞台セットは舞台いっぱいに飾られた巨大な階段。
高低差も非常に大きく、以下の写真のように最上部から見るとピットがかなり小さく見えますね。



今回の公演では東京ヴァージョンとして、照明デザインのハンス・トェルステデが照明を新たに再構築しています。
華やかな宮殿内に続く大階段を照らす月光が、音楽と絶妙に絡む様にご注目下さい。


ハンス・トェルステデと日本側スタッフが共に

指揮のセバスティアン・ヴァイグレと演出のヴィリー・デッカーは、他プロダクションでの協働経験があり、音楽と演出のそれぞれの要望を話しあいながら、濃密なドラマを練り上げています。
ヴィリー・デッカーは精力的に歌手と話しあいながら、ともすればアバンギャルドな部分が強調されるこの演目から、心理劇としてのサロメを深く掘り下げて描いています。


稽古中に意見を交わす指揮者と演出家

ここで指揮者と演出家からのメッセージをご覧ください!

▼指揮セバスティアン・ヴァイグレ、『サロメ』を語る!

▼演出ヴィリー・デッカーから自身の『サロメ』についてのメッセージ


今回オーケストラピットに入るのは読売日本交響楽団。指揮のセバスティアン・ヴァイグレが同オーケストラの常任指揮者就任後、初のオペラ公演となり、ピットいっぱいの大編成のオーケストラから圧倒的な音楽を奏でています。



二期会歌手陣も主役の両ディーヴァ、森谷真理、田崎尚美をはじめ、R.シュトラウスのこの名作を存分に楽しんで頂けること請け合いです。

一瞬も目を離せない、約1時間40分の凝縮されたオペラ体験は間もなく。どうぞお見逃しなく。

      *     *     *

▼『サロメ』の本公演情報はこちらから 《チケット発売中!》
〈ハンブルク州立歌劇場との共同制作公演〉2019年6月公演 R.シュトラウス『サロメ』 - 東京二期会オペラ劇場

2019年6月5日(水)18:30、6日(木)14:00、8日(土)14:00、9日(日)14:00 東京文化会館 大ホール
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ/演出:ヴィリー・デッカー/管弦楽:読売日本交響楽団
〈主催〉公益財団法人東京二期会/〈共催〉公益財団法人読売日本交響楽団

●本公演のお問合せ・チケットのご予約は
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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ジャパン・プレミアは間もなく!
~『ばらの騎士』稽古場から~

7月26日(水)の開幕まで残り2週間強となった『ばらの騎士』の稽古場では、遂に指揮者と演出家が合流しました。
指揮のセバスティアン・ヴァイグレは、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場の『ばらの騎士』でタクトを取ったばかり。
日本の稽古場でも非常にエネルギッシュな指揮ぶりで、歌手陣をぐいぐいと引っ張っていきます。
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また、演出のリチャード・ジョーンズはなんと今回が初来日!
各幕で異なる装置や衣裳を用いて描かれる、ある種のタイムスリップも演出意図の一つとのこと。
グラインドボーン公演から、より一歩踏み込んだ世界を創造すべく、連日の稽古は続いています。
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ここでしか見れないジャパン・プレミエ『ばらの騎士』。開演は間もなくです!

■■■ 公演情報 ■■■
二期会創立65周年・財団設立40周年記念公演シリーズ
《グラインドボーン音楽祭との提携公演》
東京二期会、愛知県芸術劇場、東京文化会館、iichiko総合文化センター、
読売日本交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団 共同制作

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PDFちらし
R.シュトラウス『ばらの騎士』 東京公演
オペラ全3幕・日本語字幕付き原語(ドイツ語)上演
日時:2017年7月
    26日(水) 18:00開演★(D席 売切)
    27日(木) 14:00開演(D席 売切)
    29日(土) 14:00開演(S、A席 残少/B、C、D席 売切)
    30日(日) 14:00開演(C、D席 売切)
    (各日とも開場は開演の60分前)
 <★26日公演ではプレミエ・キャンペーンを開催>
  (残席状況は、当記事掲載時点での状況です)
会場:東京文化会館 大ホール
料金:S席17,000円~D席5,000円、学生席2,000円
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
演出:リチャード・ジョーンズ
管弦楽:読売日本交響楽団

▼公演情報ページはこちら
2017年7月公演 R.シュトラウス『ばらの騎士』<東京公演> - 東京二期会オペラ劇場
▼チケットのお求め、お問合せは
二期会チケットセンター TEL03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日・祝 休)

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7月公演『ばらの騎士』稽古場から~公演初日に向け、熱の入った稽古が続いています!

共同制作R.シュトラウス『ばらの騎士』は、7月26日(水)の東京公演初日まで《あと30日》となりました!
稽古場では公演に向けて熱の入った稽古が続いています。
元帥夫人、オクタヴィアン、オックス男爵、ゾフィーをはじめ、多くの登場人物が多様に関係しあうこの作品。ソリスト、合唱、助演と出演者も多く、稽古場は大変にぎやかです。
そんな稽古場の様子を写真とともに少しだけご紹介します。
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コンセプト説明の様子
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第1幕の稽古
また、立ち稽古と並行して、衣裳合わせも行われております。
グラインドボーン音楽祭より届いた衣裳は、華やかなこのオペラをより美しく彩ってくれそうです。
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元帥夫人のドレス
公演まであと1か月となり、間もなく指揮のセバスティアン・ヴァイグレと演出のリチャード・ジョーンズが稽古に合流します!
世界的にも人気の高い当作品ですが、その上演規模ゆえに、生の舞台上演に触れる機会は限られています。どうぞ来月の公演をお見逃しなく!

■■■ 公演情報 ■■■
二期会創立65周年・財団設立40周年記念公演シリーズ
《グラインドボーン音楽祭との提携公演》
東京二期会、愛知県芸術劇場、東京文化会館、iichiko総合文化センター、
読売日本交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団 共同制作

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PDFちらし
R.シュトラウス『ばらの騎士』 東京公演
オペラ全3幕・日本語字幕付き原語(ドイツ語)上演
日時:2017年7月
    26日(水) 18:00開演★(D席 売切)
    27日(木) 14:00開演(D席 売切)
    29日(土) 14:00開演(S、A席 残少/B、C、D席 売切)
    30日(日) 14:00開演(C、D席 売切)
    (各日とも開場は開演の60分前)
 <★26日公演ではプレミエ・キャンペーンを開催>
  (残席状況は、当記事掲載時点での状況です)
会場:東京文化会館 大ホール
料金:S席17,000円~D席5,000円、学生席2,000円
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
演出:リチャード・ジョーンズ
管弦楽:読売日本交響楽団

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2017年7月公演 R.シュトラウス『ばらの騎士』<東京公演> - 東京二期会オペラ劇場
▼チケットのお求め、お問合せは
二期会チケットセンター TEL03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日・祝 休)

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5月『ジューリオ・チェーザレ』~“通奏低音”とは?

バロック音楽に触れる際に必ずといっていいほど見られる単語「通奏低音」。
ただ、言葉は知っているけれど、どのようなことを表しているのかご存じでしょうか?
通常、私たちが音楽を聴くときには「旋律」と「伴奏」を意識すると思います。非常に簡単に説明するならば、通奏低音は主に17~18世紀における「伴奏」を担当するパートで、楽譜はこのような記譜になっています。
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上記のように段の下に数字が書き込まれていますね。これは作曲者がその音にどの和音を想定したかを表しており、通奏低音奏者はその音と旋律を見ながら即興(!)で演奏することが求められます。
ちなみに矢印の1小節目は、バス音E(ミ)に6と書き込まれていますので、Eから6度上のC(ド)が存在する第1転回で、下からE(ミ)-G(ソ)-C(ド)の和音になります。続く2小節目はD(レ)-F(ファ)-A(ラ)、3小節目はC(ド)-E(ミ)-G(ソ)。コードネームで書くならば、Em6~Dm~Cというところでしょうか。これを基に即興で伴奏の音を足すのです。
通奏低音は一般に、チェンバロやオルガン等の鍵盤楽器、テオルボ等の撥弦楽器、それにチェロやファゴット等を組み合わせて編成されます。ですので、通奏低音にどの楽器を使うかというのも、指揮者、奏者、曲目により異なります。
今回の『ジューリオ・チェーザレ』の稽古ではチェンバロ、テオルボ、チェロを使用しています!
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音楽稽古で使用中のチェンバロ
『ジューリオ・チェーザレ』では、演奏を支える通奏低音パートにもご注目!

▼公演詳細ページはこちら
2015年5月公演 二期会ニューウェブオペラ劇場 G.F.ヘンデル『ジューリオ・チェーザレ』 - 東京二期会
●お問合せ・ご予約
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金10:00~18:00/土10:00~15:00/日祝・休)
※両日のA席と、5/24公演の学生席は予定販売数を終了しました。良い席お早目に!

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5月『ジューリオ・チェーザレ』~「伝統と革新と」音楽稽古が進行中!

「伝統と革新と」

間もなく開始の立ち稽古に向けて、音楽稽古が進行中の当公演。
マエストロ鈴木秀美氏と、通奏低音奏者の皆さんのもと、タイトルロールの杉山由紀、成田伊美を始めとする若手ソリストが、伝統的なバロックのスタイルを体現すべく稽古を重ねています。
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本日はほぼすべてのキャストが揃い、音楽的な仕上げの段階に入っています。
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一方で気鋭の演出家、菅尾 友氏を中心とするスタッフも、綿密な打ち合わせを重ねています。
二村周作氏デザインの舞台装置、十川ヒロコ氏デザインの衣裳は、古代ローマやエジプトを想起させるものと、現代的なテイストが合わさった非常に美しいものになりそう。
新制作公演『ジューリオ・チェーザレ』是非ご期待ください。
▼公演詳細ページはこちら
2015年5月公演 二期会ニューウェブオペラ劇場 G.F.ヘンデル『ジューリオ・チェーザレ』 - 東京二期会
●お問合せ・ご予約
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金10:00~18:00/土10:00~15:00/日祝・休)
※両日のA席と、5/24公演の学生席は予定販売数を終了しました。良い席お早目に!

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【7月公演『魔笛』キャスト情報】
ソプラノ冨平安希子 Sings Spring Coming to 丸の内!

東京駅至近の丸の内トラストタワーでの無料ランチタイムコンサート。
今月12日(木)はソプラノ冨平安希子が出演します!
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7月二期会『魔笛』にてパパゲーナを演じる冨平。ドイツでの活動期間が長く、二期会オペラにはこれが初舞台です。
ドイツ・シュトゥットガルト州立音楽芸術大学を最優秀で修了。その後、名門ミュンヘン・バイエルン州立歌劇場オペラ研修生として『ばらの騎士』モディスティン、『ヘンゼルとグレーテル』露の精、そして『魔笛』パパゲーナ等で同歌劇場に舞台にも立ちました。
演出の宮本亜門氏とは、2009年宮本演出ミュージカル『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』に出演して以来。冨平が心待ちにしていた現場での再会が、今回の『魔笛』パパゲーナで実現することになったのです。
12日のランチタイムコンサートは、冨平の歌を一足早くお聴きいただける機会。持ち前の明るく軽やかな歌声で、春の訪れを祝福します!
平日のお昼ではありますが、足をお運びいただけましたら嬉しいです。
■■■ 公演情報 ■■■
丸の内トラストシティ・ランチタイムコンサート
第192回「プリマヴェーラ~ ソプラノ春の歌声」

日時:2015年3月12日(木)12:10開演 (13:00終演予定)
会場:丸の内トラストタワーN館 1Fロビー
料金:無料、ロビースペースに座席あり(数に限りがあります)
出演:冨平安希子(ソプラノ)、黒木直子(ピアノ)
予定曲目:
 ・團伊玖磨 「花の街」
 ・山田耕筰 「この道」
 ・中田喜直 「霧と話した」「さくら横ちょう」
 ・J.シュトラウス 「春の声」
 ・トスティ 「四月」
 ・グノー 『ロミオとジュリエット』より ジュリエット「私は生きたい」
 ・シベッラ 「ラ・ジロメッタ」
 ・プッチーニ 『ラ・ボエーム』より ムゼッタ「私が街を歩くと」
▼アクセス情報はこちらへ
丸の内トラストシティ/演奏スケジュール|ランチタイムコンサート - 森トラスト
丸の内トラストシティ ランチタイムコンサート - 東音企画

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【レポート】大盛況!バッティストーニ講演会@イタリア文化会館

去る2月12日(木)夕刻、イタリア文化会館(東京・九段下)にてNPO法人日本ヴェルディ協会主催の「アンドレア・バッティストーニ講演会」が開催されました。
これまで、演奏をとおして日本のオペラ・ファンにメッセージを伝えてきたバッティストーニ。この日は、自身の言葉と声で、ヴェルディの、とりわけ今週開幕を控える『リゴレット』の魅力について直接語りかける貴重な機会となりました!
司会進行は音楽評論家の加藤浩子さん、通訳は井内美香さん。
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「ヴェルディはイタリアの劇場に革命を起こし、新しい道筋を拓きました。彼は、イタリアオペラだけでなく世界の劇場文化のあり方そのものを変えたのです」
バッティストーニが話せば話すほど、自信に満ちたエネルギッシュな彼のタクトに、作品への深い洞察力と尽きない研究熱心さの裏打ちがあることが明白になっていきました。
ヴェルディをイタリアオペラ全体の流れの中に明確に位置づけ、その音楽を絶対尊敬しているという、彼の思考の確かさ、意志の揺るぎなさに圧倒されました。
多くのお客様が感銘を受けられた夜になったのではないかと思います。
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「『リゴレット』は、『イル・トロヴァトーレ』、『トラヴィアータ』に続く3部作の最初としてよく語られますが、僕にはもう一つの考えがあります。それは、『ルイザ・ミラー』、『スティッフェリオ』そして『リゴレット』という3部作の到達点である、というものです。なぜならば、この3作においては、作曲プロセスの変化、つまり、ベルカント・オペラのヴィルトゥオーゾ的なものからヴェルディ独自の個性的なものへの変化がみられる、また双方の表現の完璧な拮抗がみられると思うからです。
ヴェルディは、ただ美しい音楽を書いたのではなく、ベルカントの書法をもって美しい幸福がその後汚されていくさまを描くことができたのです……ほんとうに、ヴェルディはすごいですね」

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「ヴェルディは、その後にプッチーニが続いたように、オーケストラがいかにドラマを伝えられるか、説得力のあるものにするか、いうなれば「歌手たちの言葉で語られていない言葉を、いかに語るか」について突き詰めました」
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「今回のパルマ王立歌劇場の舞台は、昔ながらの美しい、まさにメイド・イン・イタリーの最高の舞台です。ただし、イタリアオペラの美しさは守りながらも、それを博物館のようなものにしてしまってはいけません。今、僕は、日本の歌手の皆様と取り組んでいます。楽譜に忠実であることはもちろんですが、過去の偉大な演奏から学びつつも、新しい自分たちの声、音楽を作っていきたいね、と話しています」
終演後には、日本コロムビアからリリースされた新アルバム《イタリア・オペラ管弦楽・合唱名曲集》の即売とサイン会が行われました。この日は午前午後いっぱいまでリハーサル、その後取材を挟んでの講演会という過密スケジュールでしたが、バッティストーニは最後まで屈託のない笑顔でお客様を見送っていました。
201502_battistoni_lecture_05.jpg (写真提供:NPO法人日本ヴェルディ協会)
▼講演会の詳しい内容をPDF文書でご覧いただけます
ファイルをダウンロード
▼二期会『リゴレット』は、今週19日(木)開幕です!
東京二期会オペラ劇場2015年2月公演G.ヴェルディ『リゴレット』 - 東京二期会
※よいお席はお早目に!D・E席全日程売切 C席21(土)22(日)売切・19(木)20日(金)も残僅少!
▼お問合せ・チケットご予約はこちら
二期会チケットセンター Tel. 03-3796-1831
 (月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00)

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『リゴレット』(2/19公演)プレミエ・ウェルカム・キャンペーン!
バッティストーニの記念CDを先着プレゼント!

2月19日(木)の夜は、オペラ『リゴレット』の開幕初日(プレミエ公演)!
今回の初日公演では「プレミエ・ウェルカム・キャンペーン」として、日本コロムビア株式会社様からの提供で、【アンドレア・バッティストーニ来日&ニュー・リリース記念特別企画<バッティストーニ ハイライトCD>】を、ご来場先着1,500名様にプレゼントいたします!
今年1月21日に国内3枚目のCD《イタリア・オペラ管弦楽・合唱名曲集》をリリースしたバッティストーニ。
今回の記念CDに5曲がハイライトで収録されます。さらに、「ローマ三部作」「マーラー巨人」からもハイライトで収録とバッティストーニの魅力が満載のCDです。
「プレミエ・ウェルカム・キャンペーン」として、すでにチケット発売から特別料金(S18,000円→16,000円 A15,000円→13,000円 B11,000円→10,000円)を設定させていただいています。ぜひ、多くの方にお越しいただき、オペラの初日=プレミエの公演をご一緒に盛り上げていただければ幸いです。
朝から少しおしゃれして、華やいだ気分でお仕事、学校帰りに上野の東京文化会館でオペラ鑑賞はいかがでしょうか?
よい席はどうぞお早目に!

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イタリア・オペラ
管弦楽・合唱名曲集

2015/01/21 NewRelease
COGQ-72 ¥2,800+税
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マーラー:
交響曲第1番《巨人》

2014/05/21 Release
COGQ-69 ¥2,800+税
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レスピーギ:
ローマ三部作

2014/02/19 Release
COGQ-68 ¥2,800+税

▼《イタリア・オペラ管弦楽・合唱名曲集》アルバム情報・試聴はこちらから
アンドレア・バッティストーニ特設サイト - 日本コロムビア
▼二期会『リゴレット』詳細はこちら
東京二期会オペラ劇場2015年2月公演G.ヴェルディ『リゴレット』 - 東京二期会
(2月19~22日:東京文化会館大ホール/2月25日:大分iichiko総合文化センター)
▼二期会『リゴレット』のチケットお申込み・お問合せは
二期会チケットセンター
TEL:03-3796-1831 FAX:03-3796-4710
メールフォームからのお問合せは→ こちら

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2月公演G.ヴェルディ『リゴレット』
~「リゴレットに聞く」その2:上江隼人

2015年2月19日に幕を開ける、東京二期会オペラ劇場G.ヴェルディ『リゴレット』。
公演に向けて順調に稽古が進む中、二人のタイトルロールにお話を伺いました。
今回の「リゴレットに聞く」は、2014年『ドン・カルロ』ロドリーゴの好演も記憶に新しい上江隼人。
公演に向けての思いを語ってもらいました。
201501_kamie_hayato.jpg 上江隼人
201501_kamie_doncarlo.jpg 2014年2月 東京二期会『ドン・カルロ』ロドリーゴ役
【『リゴレット』の聴きどころ。そして今回演じる役について】
ヴェルディ中期の作品たるリゴレットは、今までの作風からの大きな転換を迎えた作品であると思います。音楽とドラマを今まで以上に重視し、音楽と歌詞の緊密な結びつきを実現した素晴らしい作品。
本来、ヴェルディはこの作品を「呪い」と名付けたかったようです。ワグナーのライトモチーフではありませんが、この呪いの旋律は序曲に始まり、リゴレットのみならず、モンテローネやジルダにも現れ、物語全編をつらぬくテーマとして創られています。
そのことも是非ご注目頂ければ。
リゴレットはヴェルディのタイトルロールの中で大役です。声だけでなく演じる力も要求されます。そして、この曲がかかれた時代のヴェルディは『リゴレット』以外にも『スティフェリオ』『椿姫』『トロヴァトーレ』等、世間では少し陰のあるキャラクターを主役としている傾向があると思います。彼が何故そのような題材を選んだのか、何を伝えたかったのか?そのようなことを自分の中で読み解けたらと思います。
【ヴェルディのオペラにおける、バリトンの魅力とは?】
ヴェルディ本人がバリトンであり、歌の事を誰よりも良く理解していた作曲家。
彼の旋律を歌うごとに自身が律せられ、新たな発見があります。本当に学ぶことが多いと稽古を通じて感じています。
【今回のプロダクションはイタリアでも人気のアンドレア・バッティストーニを指揮に迎え、演出面もパルマ王立歌劇場の伝統的な舞台装置や、衣裳も楽しみです。今回のプロダクションについては?】
1987年プレミエの歴史ある舞台。数々の偉大な歌手たちが関わったプロダクションであり、彼らが身につけた衣裳をつけて演じることになります。その意味でも歴史の重みを感じられる舞台になると感じており、今からわくわくしています。
また、マエストロとは2012年東京二期会「ナブッコ」、イタリアで「スティフェリオ」でも競演しました。私より若いマエストロですが、それを感じさせない音楽性、統率力、カリスマ性を兼ね備えたまさに、オペラ指揮者の為に生まれてきた人なのだと感じます。約二年ぶりとなりますが、今回も共演できることを大変光栄に思います。
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2012年2月 東京二期会オペラ劇場 G.ヴェルディ『ナブッコ』公演
カーテンコールより、写真中央がナブッコ:上江隼人、右隣がバッティストーニ
201501_kamie_stiffelio.jpg
2012年 パルマ王立歌劇場『スティフェリオ』スタンカー役
      *     *     *
ヴェルディの内面を深く掘り下げることを目指す上江隼人がリゴレットをどう演じるのか。
期待は高まるばかりです!是非会場にてご観覧ください。

▼公演情報ページはこちら
2015年2月公演 G.ヴェルディ『リゴレット』 - 東京二期会
▼お問合せ・チケットご予約はこちら
二期会チケットセンター Tel. 03-3796-1831
 (月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00)

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2月公演G.ヴェルディ『リゴレット』
~「リゴレットに聞く」その1:成田博之

2015年2月19日に幕を開ける、東京二期会オペラ劇場G.ヴェルディ『リゴレット』。
公演に向けて順調に稽古が進む中、二人のタイトルロールにお話を伺いました。
今回の「リゴレットに聞く」は、成田博之がヴェルディ・オペラのバリトン役を代表する「リゴレット」への思いをお届けします。
narita_hiroyuki_201405.jpg 成田博之
【リゴレットとの出会い】
2015年2月『リゴレット』タイトルロールを歌わせていただくことになり、とても嬉しいです。
中学生の時、NHKイタリア歌劇団で来日していたアルド・プロッティの演奏を、テレビで見たのが最初の『リゴレット』です。プロッティは、バック転をしながら歌ったりする、アクティヴなリゴレットなのですが、有名なリゴレットのアリア「悪魔め、鬼め」は、中学生ながら、なんて激しくて切ない曲なんだろう、と今もその思い出が続いています。
高校生になった時、今度は『リゴレット』のレコードを手に入れ、学校の勉強をしながら毎日聴きました。『リゴレット』は最初から最後まで、ジルダが死ぬところまで、飽きることがなく、何回も何回も聴きました。イタリア歌劇団の公演というのは、僕にとって、スタートだったんですね。マリオ・デル・モナコのオテッロ、アンドレア・シェニエ、先ほどのプロッティのリゴレット、そういった名ステージすべて、大切な思い出です。
ですから、今回、そのリゴレットを歌うということをとても幸せに思います。
【名バリトン、エットレ・バスティアニーニへの思い】
大学時代には、本当にたくさんのオペラを観たり、聴いたりしましたが、僕の大好きなエットレ・バスティアニーニの声に出会ったのもその頃です。
彼のリサイタルを収録したレコードがあり、これを聴いたために、僕は歌を勉強し、本日まできたようなものです。レコードは、ピアノ伴奏でしたが、バステイァニーニのステージは白熱していて、こんなにエネルギッシュに歌えるバリトンって、なんて素晴らしいのだろう、と思いました。
それからいろんなバリトンを聴きました。カップッチッリ、シェリル・ミルンズなどなど、素晴らしい録音がたくさんあって、みんなリゴレットを歌っていましたね。ずっと憧れの役でもありました。
ですから自分がこの年齢になり、リゴレットが歌える、というのは幸せです。
【バリトン歌手としての挑戦】
自分の中に「理想のリゴレット」がいっぱいあって、リゴレットを演じる、というのは自分にとって挑戦でもあります。
ヴェルディの曲は、楽譜を見ていただくとよくわかると思うのですが、歌い手に挑戦してきます。自分がどのくらい戦えるか、という一面もあるのです。
そして、今回が初めてといえる「お父さん役」です。音楽が父親としての悲哀、悲しさを表現していますが、いかに今、自分が持っている声でそのリゴレットを表現できるか、ということも挑戦になってきます。

      *     *     *
アルド・プロッティ(Aldo Protti)、ピエロ・カップッチッリ(Piero Cappuccilli)、シェリル・ミルンズ(Sherrill Milnes)等、劇場のスター歌手として輝き、素晴らしい声を聴かせた名バリトンに憧れ、自身もバリトン歌手として、ステージに立つ成田博之。ヴェルディのバリトンの中でも特別に大切な役として、心にあたためてきた、リゴレット役。ついに今年、そのリゴレットを歌うことになり、何度も幸せに思う、と成田は語っています。
ヴェルディが苦労して作り上げた『リゴレット』。当時の厳しい検閲を突破するために考え抜き、完成させたこの『リゴレット』。イタリアオペラの真髄といってよい作品と思います。
どんなリゴレット、成田博之になるか、お楽しみに!
皆様のご来場をステージでお待ちしています!

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2015年2月公演 G.ヴェルディ『リゴレット』 - 東京二期会
▼お問合せ・チケットご予約はこちら
二期会チケットセンター Tel. 03-3796-1831
 (月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00)

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1/21(水)は、アグネスホテル東京で『リゴレット』!

1月21日(水)は、飯田橋にある都会のオアシスのようなプチ・ホテル&アパートメント、アグネスホテル東京のランチタイムコンサート。久しぶりに二期会アーティストが登場します!
出演は、ソプラノ宇佐美悠里(うさみ ゆり)とバリトン杉浦隆大(すぎうら たかひろ)、ピアノ三澤志保(みさわ しほ)。
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写真左から、宇佐美悠里、杉浦隆大、三澤志保
二期会では、二期会オペラ研修所を優秀な成績で修了し二期会会員となった1年目のシーズンに、いくつかのステージや実地研修の機会を用意していますが、オペラ本公演のアンダースタディもそのひとつ。
宇佐美と杉浦は、昨年春、研修所第57期マスタークラスをともに修了しました。そして、今年2月『リゴレット』公演のアンダースタディに選ばれ、現在、本公演キャストとともに稽古に参加中。杉浦はリゴレット、宇佐美はジルダと、それぞれの役を学んでいます。
201501_usami_yuri02.jpg 右が宇佐美
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2014年3月 二期会オペラ研修所修了試演会(Hakuju Hall)から
さて、今度のランチタイムコンサートでは、その『リゴレット』からリゴレットとジルダのアリア、重唱をプログラムに入れました。稽古の成果をどうぞお聴きください!
また、人気のアグネスホテルのランチを予約すると、コンサート会場も優先席をご用意いただけるとのこと。オペラとフレンチで優雅なお昼を過ごされてみてはいかがでしょうか?
■■■ 公演情報 ■■■
アグネスホテル東京 ランチタイムコンサート 第118回
日時:2015年1月21日(水) 12:00~12:30
会場:アグネスホテル東京(飯田橋駅[JR西口/東京メトロB3出口]から徒歩5分)
料金:入場無料
出演:宇佐美悠里(ソプラノ)、杉浦隆大(バリトン)、三澤志保(ピアノ)
予定プログラム:
   モーツァルト オペラ『魔笛』より「パパパ…」(宇佐美、杉浦)
   モーツァルト オペラ『フィガロの結婚』より「恋人よ、早くここへ」(宇佐美)
   モーツァルト オペラ『コジ・ファン・トゥッテ』より「多くのご婦人がた、あなた方は」(杉浦)
   ヴェルディ オペラ『リゴレット』より
        「慕わしき御名」(宇佐美)
        「悪魔め、鬼め」(杉浦)
        「お父さま!~ 愛しい娘!」(宇佐美、杉浦)
▼ランチも人気!アグネスホテルで過ごす優雅なお昼のひとときを
アグネスホテル東京イベント情報 - アグネスホテル東京

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【演奏会レポート】ホテルインターコンチネンタル東京ベイ・クリスマスコンサート

みなさま、今年はどんなクリスマスを過ごされましたか?
二期会『リゴレット』チームは、12月24日(水)ホテル インターコンチネンタル東京ベイのクリスマスコンサート&ディナーに出演してまいりました!
出演したのは、タイトルロールの成田博之、ジルダの佐藤優子、マッダレーナ加藤のぞみ、マッテオ・ボルサ渡邉公威(この夜はマントヴァ公爵を歌いました)。そしてピアノ石野真穂。
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ニューヨークスタイルのシック&ゴージャスなホテルの内装に、歌手たちのボルテージが高まりました。よく見ると、いろんなところに動物たちが!
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夕暮れ時のリハーサル。まるでガーシュウィンが聴こえてきそうなランドスケープ。
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午後6時。いよいよ開場。
プログラムは、前半オペラ・アリアの名曲集と『リゴレット』のハイライト。第2幕の濃密な四重唱が拍手で迎えられると、後半は「アヴェ・マリア」名曲集(バッハ/グノー、カッチーニ、ルッツィ、そしてシューベルト)とクリスマス・キャロル・メドレーで、お客様を聖夜の雰囲気へといざないました。
アンコールは、この後のディナーへといざなう『こうもり』の「シャンパン・ソング」で“メリー・クリスマス!”
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こうしてチーム『リゴレット』のクリスマス・イブの幕が閉じました。
ようやく安堵の表情を浮かべる出演者、
「明後日、また音楽稽古だね」
と、本公演へ向けて気持を新たにしていました。
クリスマスコンサートをとおして、アーティストどうしの結束も高まったように思います。最高のテンションで2月の本公演を迎えます!皆様のご来場を心よりお待ちいたしております。

※ ※ ※ ※ ※
□番外編□
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終演後、東京ベイの夜景に見とれる『リゴレット』メンバーたち。

▼ゴージャスな内観と美しい景色が最高でした!
ホテル インターコンチネンタル東京ベイ
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2015年2月公演 G.ヴェルディ『リゴレット』 - 東京二期会
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二期会チケットセンター Tel. 03-3796-1831
 (月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00)

※当初、出演を予定しておりましたソプラノ新垣有希子は体調不良のため、佐藤優子が代わって出演致しました。

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16世紀のマントヴァを活写する、美しい舞台に注目!~2月公演『リゴレット』

今回の東京二期会オペラ劇場2月公演『リゴレット』は、1987年にパルマ王立歌劇場で新制作された伝統の舞台で、これまでに何度も各国の劇場で上演を重ねられています。
原演出・美術(舞台装置・衣裳)を手掛けたのは、ピエール・ルイジ・サマリターニ。イタリアのノヴァーラで生まれ、若いころから古典文学、美術を学ぶ中で、舞台美術の世界に触れ、21歳のときに最初の舞台装置を担当しました。
その後は、ミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座などヨーロッパ最高峰の劇場で、ゼッフィレッリたちのアシスタントを務め、ローマ歌劇場『マンフレッド』の美術を任され大成功を収めます。
中でも、パルマ王立歌劇場で手掛けた『仮面舞踏会』や『リゴレット』の舞台は、おそらく氏の代表作のひとつと言ってよいのでしょう。
そして、これがサマリターニ氏による舞台の原画です。
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そしてこちらが舞台。
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Photo by Roberto Ricci
1994年にサマリターニ氏は51歳の若さでこの世を去りました。『リゴレット』の舞台は、その後も何度も再演を重ねて、色あせることはありません。アルフレード・クラウスやレオ・ヌッチら名歌手たちが触れた舞台、袖を通した衣裳が、来年2月東京文化会館に登場します。
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2015年2月公演 G.ヴェルディ『リゴレット』 - 東京二期会
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聖夜を『リゴレット』キャストとともに過ごす
ホテル インターコンチネンタル 東京ベイのクリスマス・コンサート&ディナー

二期会オペラの本キャストが、ホテルやレストランで劇場と変わらない歌声を披露!
二期会公演では、本公演のご案内を兼ねて、身近なところでお客様に歌をお聴きいただける機会として、こうしたプレコンサート活動を広げています。
12月24日(水)の聖夜にお贈りするのは、今回初めてとなるホテル インターコンチネンタル東京ベイでのクリスマス・コンサート&ディナー。
ラグジュアリーな内観に加えて、東京湾に面する立地から、窓の外に広がる湾岸の景色がすばらしいホテルです。特に日が暮れると、お台場やレインボーブリッジに明かりが灯り、最高の夜景をご覧いただけるそうです。
クリスマス・コンサートは、なんとその夜景がバックになるようにステージが設けられます!
出演者は、タイトルロール成田博之と、ジルダ役のソプラノ新垣有希子、マッダレーナ役で二期会オペラデビューとなるメゾソプラノ加藤のぞみ、そしてマッテオ役のテノール渡邉公威の4名です。ピアノは石野真穂。
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90分の本格的なコンサートをお聴きいただいた後は、クリスマス特別のコース料理でおもてなし。
クリスマス・イブに、インターコンチネンタル東京ベイでお会いしましょう!

201412_interconti02.jpg 《インターコンチネンタル東京ベイ クリスマスコンサート&ディナー》
■日時:2014年12月24日(水) 18:00開場
     コンサート18:30~(約90分)
     ディナー 20:00~
■会場:ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ
     5階ウィラード(コンサート)
■料金:20,000円
     (コンサート、コース料理、お飲物、サービス料、消費税込)
■出演:新垣有希子(ソプラノ)、加藤のぞみ(メゾソプラノ)、
     渡邉公威(テノール)、成田博之(バリトン)、石野真穂(ピアノ)
■予定プログラム:
 《オペラアリア名曲集》
  プッチーニ『ジャンニ・スキッキ』より「私の愛しいお父さま」
  ビゼー『カルメン』より 「ハバネラ」
  プッチーニ『トゥーランドット』より 「誰も寝てはならぬ」
  ビゼー『カルメン』より 「闘牛士の歌」
  ヴェルディ『リゴレット』ハイライト
 《聖夜に届けるアヴェ・マリア集》
  マスカーニ〈アヴェ・マリア〉
  ルッツィ〈アヴェ・マリア〉
  グノー/バッハ〈アヴェ・マリア〉
  カッチーニ〈アヴェ・マリア〉
 《クリスマス・ソング・メドレー》

▼イベント詳細はこちらをご覧ください
クリスマスコンサート&ディナー(ディナーショー) - ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ
●ご予約・お問い合わせ先
 ホテル インターコンチネンタル東京ベイ 法人営業部
 TEL.03-5404-3921 月~金(土日祝を除く)10:00~18:00
▼『リゴレット』公演の詳細はこちら
2014年2月公演G.ヴェルディ『リゴレット』 - 東京二期会

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演出・田尾下 哲の『チャールダーシュの女王』第2幕、第3幕解説!!

演出・田尾下 哲みずからが解説する、二期会『チャールダーシュの女王』。
引き続いて、第2幕、そして第3幕です!
   *   *   *
オペレッタならではの軽妙な展開で目も耳も離せない第2幕、
「1914年6月27日、土曜日。前幕から7週間ちょっと後。ウィーンにあるエドウィンの実家、リッペルト・ヴァイラースハイム公爵の館が舞台」。
「公爵の館で舞踏会が開催されています。公爵夫妻はたくさんのゲストを入場口で迎え、上機嫌です。」

第1幕は、ブダペストのキャバレー劇場でしたので、ウィーンの貴族の館となれば、雰囲気の差は歴然。カールマンの音楽はもちろんのこと、舞台の様子、ダンスの様式感もすっかり変わります。「身分違いの恋物語」の背景が、1幕と2幕の違いをご覧になれば、すぐにおわかりいただけるのではないでしょうか。
   *   *   *
公爵の館で舞踏会が開催されています。公爵夫妻はたくさんのゲストを入場口で迎え、上機嫌です。
公爵夫妻の見守る中、エドウィンとシュターズィもかけてやって来ます。華やかに館に大きな円を描きながらワルツを踊るカップルの姿が会場を充たします。公爵夫妻はエドウィンがシュターズィと楽しそうに踊る姿を見て一安心。このままだと今晩にも婚約発表が出来るかも…公爵夫人が二人の様子を探りに行きます。
幼なじみの二人は、シュターズィの両親が亡くなってからは兄弟同然に育てられ、隠し事なく一緒に育ってきた仲です。シュターズィはエドウィンの両親が二人を結婚させたがっていることを告げます。エドウィンは気のない返事をしますが、シュターズィがシルヴァ・ヴァレスクのことを持ち出すと……
▼このつづき、第2幕解説全文はこちらのファイルをご覧ください!
田尾下 哲『チャールダーシュの女王』第2幕解説全文 (PDFファイル)
   *   *   *
そして第3幕では、さらにストーリーの展開が加速していきます!
「1914年6月27日(土)。ウィーンのヴィンケルバウムホテル。豪華ではないですが、貴族たちに好まれているホテルで、特に家族を連れずにウィーンにやって来た貴族に好まれているというホテルです。2幕終了から15分後の真夜中が舞台になります。」
「夜空を眺めることが出来るホテルのロビーに、オルフェルムの引っ越し公演でウィーンに来ているフェリとダンサーたちもやっています。
そこへ公爵の館を辞したシルヴァとボニが駆け込んできます」

実際に、2幕と3幕の間の休憩は15分の予定です。
シルヴァとボニが、真夜中のウィーンの街を駆けていく姿をご想像いただくと、臨場感を高めていただけるかもしれません。
   *   *   *
そこへ公爵の館を辞したシルヴァとボニが駆け込んできます。エドウィンは自分のことを恥じていたのだと大荒れのシルヴァですが、フェリの姿を認めて偶然の出会いを喜びます。もうヨーロッパには戻ってこないのではと思っていたフェリは仲間を呼び、仲間たちも大喜び。ですが、シルヴァはもう劇場へは戻らない、ボニと結婚するから、といいます。驚く一同ですが、フェリは二人だけにして欲しい、と一同に請います。ボニはシルヴァをフェリに託し、自分に出来ることを考えます。
二人きりになり、エドウィンのことで傷ついているんだね、といわれてもシルヴァは心を閉ざしたまま。男爵であるフェリには自分の気持ちは理解できないと思うのです。ですが、フェリは語り続けます。
フェリ 「私も経験をしたことがある。身分違いの恋ってやつをね……
▼第3幕解説続き全文はこちらのファイルをご覧ください!
田尾下 哲『チャールダーシュの女王』第3幕解説全文 (PDFファイル)
   *   *   *
最後に、ハンガリーの粋な男爵フェリとエドウィンの父ヴァイラースハイム公爵との会話を。第3幕のクライマックスから。
   *   *   *
フェリ 「お言葉ですが、私も下級かもしれませんが、貴族です。そして、その身分の差のために、愛した女性と結婚できず、その間違いに気づいた時には、その人は人妻になっていました。未だにそのことを引きずって、独身を通しています。」
公爵 「随分けなげな話だが…その相手も芸人だったのかね?」
フェリ 「はい。その頃、ミスコルツの舞台に出ていたプリマドンナを私は崇めていました。今でも写真を肌身離さず持っています。結婚は出来ませんでしたが、彼女を愛したことは私の誇りです。」
フェリはいつも持ち歩いている一枚の写真を公爵に見せます。すると公爵は……
   *   *   *
この続きは、劇場で!

▼公演詳細ページはこちら
2014年11月公演E.カールマン『チャールダーシュの女王』 - 東京二期会
▼ご予約・お問合せは
二期会チケットセンター TEL:03-3796-1831

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演出・田尾下哲の『チャールダーシュの女王』第1幕解説!

貴族とキャバレーの歌姫の恋を描いた物語『チャールダーシュの女王』は、1915年の初演当時、同時代を舞台にした〈現代劇〉でした。
演出の 田尾下 哲 みずからが『チャールダーシュの女王』の第1幕を解説しています!
「版によってキャラクター設定、曲順、さらには物語の意味や歌う人さえも違ってくる『チャールダーシュの女王』。音楽事典やインターネットで調べても情報の少ないこの作品の鑑賞の一助になれば、と二期会2014版のあらすじをお話しさせていただきます」
今回は、田尾下 哲 書き下ろしのオリジナル台本が特長。
台本にあたっては、
「ドイツ語による初演時のオリジナル台本はオーストリアやドイツの劇場関係者に聞いてもついに入手することが出来ませんでした。ですが、逆に言えばそれだけ上演する国や劇場によって独自の『チャールダーシュの女王』が愛されてきた、ということでもあります。今回の二期会2014版は、入手できた上演台本、つまり代表的なウイーン・フォルクスオパー版、英語版といくつかの映像・録音を参照しながらも、今回は楽譜に準じて書き上げていきました」
初演当時の姿を甦らせながらも、作品としての新しい発見に満ち、そしてもちろんオペレッタならではのエンターテインメントが全曲にわたって繰り広げられる2014年 田尾下 哲 演出『チャールダーシュの女王』。
   *   *   *
物語はオリジナル設定のまま第一次世界大戦前夜、1914年のハンガリーとウィーンです。ブダペストの歓楽街にあるキャバレー劇場「オルフェウム」の歌姫シルヴァ・ヴァレスクが二ヶ月に及ぶアメリカ公演に旅立つ前の「さよならコンサート」から舞台は始まります。20世紀初頭ですから飛行機ではなく船旅による大陸間の移動が主流の時代ですが、それでも船旅はもう命がけの時代ではありません。それに、たかだか二ヶ月の不在がこれほどまでに劇場の人々や聴衆を悲しませるのは何故でしょう…。
●前奏曲
観客の熱狂に何度も舞台へ呼び出されるシルヴァの姿を舞台裏からお見せします。疲労困憊のシルヴァですが、コーラスやダンサーが場を繋ぎながらも、何度も観客の声援に応えます。舞台裏には、劇場支配人、パトロン、衣裳さん、メイクさん、舞台監督やカーテンの開閉係、記者の姿も見えます。
●1番 「ハイア、ハイア!私の故郷は山の中!」
(シルヴァ、ボニ、フェリ、合唱、ダンサー)
シルヴァは8回目のアンコールに応えようと舞台へ出ていこうとしますが、めまいで倒れ、舞台監督が幕を閉じてしまいます。客席からは心配したフェリとボニが舞台裏にやって来て、シルヴァを気遣いながら客席に語りかけながら時間を繋ぎ、シルヴァの回復を待って8回目のアンコールとなります。ハンガリーの郷土愛に満ちたこの曲を、シルヴァは最初はしっとりと歌いながら、次第に熱狂し、ダンサーたち、コーラスも巻き込んで歌姫のさよならコンサートにふさわしい盛り上がりを見せます。
そして、シルヴァが別れの挨拶をします。
「これほど素敵なお客様に愛していただき、私は幸せ者です。そしてそのことが、皆様へ、さよならを言うことを辛くさせます。皆さまどうか、私のことを忘れないでください。二ヶ月してアメリカから帰国したら、真っ先にここに駆けつけます。我が愛するオルフェウムへ。」
…喝采する一同ですが、どこか寂しげなシルヴァがたくさんの花束を手に舞台を去ります。
 ・・・(続く)
▼続きはこちらのファイルをご覧ください!
田尾下 哲『チャールダーシュの女王』第1幕解説全文 (PDFファイル)
▼『チャールダーシュの女王』田尾下 哲インタビュー#1 ×指揮・三ツ橋敬子

▼『チャールダーシュの女王』田尾下 哲インタビュー#2 ×振付・キミホ・ハルバート

▼公演詳細ページはこちら
2014年11月公演E.カールマン『チャールダーシュの女王』 - 東京二期会
日程:11月22日(土)15:00/23日(日・祝)14:00/24日(月・休)14:00/26日(水)14:00
会場:日生劇場
【11/18・15:00現在の二期会チケットセンター残席状況】
・22土=Sあり/A,B少/C僅少/D終了
・23祝=Sあり/A僅少/B,C,D終了
・24休=Sあり/A少/B,C僅少/D終了
・26水=Sあり/A少/B,C僅少/D終了
※尚、「学生席」は全日程で若干の残席がございますが、公演当日は販売を致しません。
 二期会チケットセンター予約販売のみとなります。
▼ご予約・お問合せは
二期会チケットセンター TEL:03-3796-1831

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二期会『イドメネオ』演出ダミアーノ・ミキエレットからごあいさつ

いよいよ明日開幕!
開幕前日は、私たちスタッフも、思わず胸が高鳴ります!
さて、先日9月7日に実施した「ダミアーノ・ミキエレットのプレトークon USTREAM」はご覧いただけましたでしょうか?
「オペラは、国や言葉の壁を越えて、人間の本質に迫るテーマを多くの人に伝えることができる」静かながら情熱のこもった口調から、ミキエレット氏の、オペラという芸術にかける想いや信念を強く感じました。
ミキエレット氏からのごあいさつは、当日の映像でどうぞご覧ください!

9.7.ダミアーノ・ミキエレット『イドメネオ』プレトーク on USTREAM
みなさん、こんにちは。ダミアーノ・ミキエレットです。今回この東京での『イドメネオ』の演出のためにヴェネツィアからやって来ました。
私が仕事で日本に来るのは2回目になりますが、来る度に、ヨーロッパとの違いから、日本の都市は特殊だということを思います。ヨーロッパとの違いがたくさんあるということもありまして、日本のみなさんと接し、日本の皆さんのメンタルな部分を知ることはとても興味深いです。
私がオペラの稽古をしていく段階で大切にしているのは、歌い手と話をすることです。それによって歌い手がどんな人間性なのかを知ることができ、観客のみなさんにどんなことを伝えるのかのヒントにもなります。
今回この『イドメネオ』の舞台は新国立劇場で上演されます。観に来て下さる方には、ドラマの中にある人間性のクローズアップを観ていただきたいです。何年も前に書かれた作品ですが、私たちの持っている苦しみ、問題、夢、そういったものを表現したいのです。
とにかくこの劇場に観に来てほしいです。感じてほしいのはまずモーツァルトの音楽、そして音楽と共にストーリーを語っていくというとてつもなく素晴らしい形式の芸術を体験していただきたいと思います。
オペラを観に来てもわからないと思っている人も、クオリティーの高いものであれば、芸術は、特にオペラは音楽を媒介にしていることもあって、人種や言語を越えて通じるものがありますから、ぜひおいでいただきたいと思います。
このオペラは、実際はギリシャ神話をもとに書かれています。これはモーツァルトの他のオペラとは違う状況です。しかし神話に登場する人や時代ではなく、現代にうつしても問題のない時代背景を持った作品がこの『イドメネオ』だと思っていますので、そのように演出しています。
このお話では、戦争(=破壊や苦しみ、勝者と敗者との差)が終わって王イドメネオが帰還するときに、彼の乗った船が嵐で沈没しようとします。そのときに王は、海岸で初めて会った人を殺せば助かるという約束を神とします。それで生きのびることができます。
王が初めて会うのが息子イダマンテです。ここでパラドクスが生まれます。どうして人はたくさんいるのに自分の息子を殺さなくてはならないのか?ここにドラマがあるのです。
イダマンテにとっては、父との対立、これが彼を成長させます。自分を自由にし、解放し、恐怖に打ち勝ち、父からも解放されて、彼は王になるのです。
このオペラの中にはもう一つの物語、愛の物語があります。イダマンテはイリアを愛しています。しかし彼女は敵の国の王女で、さらに、父がイダマンテと結婚させたいのはエレットラ――ここにも父の望みと息子の願望との対立があるのです。
今回神話的なものは脇に置き、時代背景も特定のものは設定していません。一番描きたかったのが父と子の対立です。子にとって父は、絶対に間違うことのない、神のような存在と捉えられます。子の目から見れば、親は身体的に大きいだけでなく、正しくても間違っていてもその意見は絶対であり、神に通じるものがあります。
息子が成長してくると、身体的には背が大きくなってきますし、それに従って対立がうまれてきます。父の言うことに疑問を持ったり批判したりするようになります。
時が過ぎ、子が成長し、子が親になっていく――父が子に伝えたいこと、子が拒否したいことがあり、「それは親の人生の一部であって、自分の人生ではない」という対立が時には苦痛を伴うものであり、そのサークルが続いていくのです。
『イドメネオ』の中で語られるのは愛です。愛を得るための困難な状況、恐怖心に打ち勝つということがテーマです。
日本のお客様に、声、ハーモニー、想像力を伴う音楽を感じてもらいたいと思っています。音楽は言葉の壁を越えて心に通じるものですので、ぜひおいでいただきたいです。

▼公演詳細はこちらをご覧ください。
2014年9月公演モーツァルト『イドメネオ』 - 東京二期会
 9月12日・13日・14日・15日 新国立劇場オペラパレス
▼チケット情報・お申込みはこちら!
二期会チケットセンター TEL.03-3796-1831
 D席は全日程完売!14日・15日のA席が残りわずかとなりました!
 《電話予約は各公演の前営業日まで、ネット予約は公演当日開演1時間前まで》
▼公演当日の情報はこちら
9月公演W.A.モーツァルト『イドメネオ』~公演当日のごあんない

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ミキエレット『イドメネオ』プレトーク on USTREAM 生中継決定!!

東京二期会オペラ劇場9月公演『イドメネオ』の本番を前にして、演出ダミアーノ・ミキエレットが、自身の『イドメネオ』についてさらに深く語ります。
201409_michieletto.jpg ダミアーノ・ミキエレット
(c)Fabio Lovino
今回のプレトークは、動画ストリーム配信サイト「USTREAM」により、初日を目前に控えた新国立劇場から、一回限りの生中継でお届けいたします。(録画配信はございません)
これを逃しては『イドメネオ』は語れません!
■ダミアーノ・ミキエレット『イドメネオ』プレトークon USTREAM
 日時:2014年9月7日(日) 午前11時00分より ON AIR予定 (約1時間)
 出演:ダミアーノ・ミキエレット(『イドメネオ』演出)
ミキエレットのプレトークはイタリア語ですが、日本語の通訳がつきます。
お見逃しなく!

★番組ページはこちらをクリック
  ↓↓クリック↓↓
ミキエレット『イドメネオ』プレトーク on USTREAM


Broadcast live streaming video on Ustream
  ↑↑クリック↑↑
※今回は会場での聴講はございません。
※生中継のみの配信となります。録画配信はございません。
※ネット環境、サーバーの都合上、不具合が生じる場合がございます。
 あらかじめご了承ください。
世界を股にかけて活躍するミキエレットは、近年では12年ザルツブルク音楽祭『ラ・ボエーム』、13年ミラノ・スカラ座『仮面舞踏会』等を演出、来年は、ロイヤル・オペラ・ハウスで『ウィリアム・テル』の演出も予定されています。
今回の『イドメネオ』東京公演の直前も、ザルツブルク音楽祭で『チェネレントラ』を演出したばかり!
ミキエレットの生の言葉を、ぜひお聞きください!

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2014年9月公演モーツァルト『イドメネオ』 - 東京二期会
 9月12日・13日・14日・15日 新国立劇場オペラパレス
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二期会チケットセンター TEL.03-3796-1831
 D席は全日程完売!14日・15日のA席が残りわずかとなりました!

ダミアーノ・ミキエレット Damiano Michieletto =プロフィール=
ミラノのパオロ・グラッシ演劇学校で演出を学び、出身地ヴェネツィアのカ・フォスカリ大学にて現代文学を修めた。
07年ロッシーニ・オペラ・フェスティバル『泥棒かささぎ』が、翌年にイタリアで権威あるフランコ・アッビアーティ賞を受賞。一躍世界の注目を集める人気演出家となる。以降、フィレンツェ五月音楽祭、カルロ・フェリーチェ歌劇場、チューリッヒ歌劇場、サン・カルロ劇場、ボローニャ歌劇場等で、『セビリアの理髪師』、『ドン・ジョヴァンニ』、『海賊』、『絹のはしご』、『ファルスタッフ』、『ランメルモールのルチア』、『後宮からの誘拐』等を演出。近年では12年ザルツブルク音楽祭『ラ・ボエーム』、13年ミラノ・スカラ座『仮面舞踏会』等を演出。日本では11年新国立劇場『コジ・ファン・トゥッテ』を演出、13年には同劇場にて再演された。
今後は14年フェニーチェ歌劇場『ドン・ジョヴァンニ』、15年ロイヤル・オペラ・ハウス『ウィリアム・テル』等の演出が予定されている。

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『イドメネオ』キャスト、稽古場からのメッセージ

東京二期会オペラ劇場『イドメネオ』初日まで、あと13日!
本番にむけて、稽古場はますますエキサイティングになっています!
モーツァルトの音楽と演出ミキエレットの世界観が折り重なった空間に、今、キャストがどのような想いを持って臨んでいるのか。イドメネオ、イリア、エレットラ、イダマンテ役の8人の歌手から、お客様へのメッセージを預かってきました!

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イドメネオ 与儀 巧
「イドメネオは、自分の息子であるイダマンテを殺さなければならない、という過酷な運命に晒されています。この役は9年前にも演じたことがあるのですが、自分も息子を授かる身となった今、よりリアルな心情をもって役にむかい、演じられるのではないかと思って、今から楽しみにしております」

201408_idomeneo_matayoshi_hideki.jpg
イドメネオ 又吉秀樹
「まだ若い自分が、イドメネオの王として威厳や年輪を、どう表現したらいいかと、いろいろ試行錯誤をしてきましたが、稽古場では、もう一度、頭の中を白紙の状態に戻して、新しい演出コンセプトや役作りを、どんどん吸収できるようにしていきたいです。音楽からも、若いモーツァルトの燃えたぎるような情熱を、毎日感じています!」

201408_idomeneo_aragaki_tsunezuka.jpg 左から新垣、経塚
イリア 新垣有希子
「父も兄も祖国も愛する国民も、戦争で喪ってしまった孤独なイリアの悲しみはあまりにも大きすぎて、私には想像がつかないくらいなのです。それでも、日常にある小さな葛藤を私なりに増幅させて、少しでも彼女の悲しみに近づけるように、日々、役作りに励んでおります。人間の本質というのは変わらず、今も戦争は絶え間なくありながら、愛もある。そのような人間の姿を、この舞台で、皆で表現できたら、と思います」
イリア 経塚果林
「憎しみを乗りこえて、勇気をもって、愛を与えるイリアは、まるで特別で理想上のような存在です。でも、稽古を重ねる中で、イリアを突き動かしているものは、人間誰しもが胸に持っているナチュラルな心なのだと、思うようになりました。今回の演出はそれをリアルにまっすぐに伝えるものになると、私は確信しています!」

201408_idomeneo_oosumi_chikao.jpg
エレットラ 大隅智佳子
「エレットラは、私の憧れていた役のひとつです。今回の舞台は、エレットラの持つ女の情念、情熱、恨みなど、胸に内に凝り固まっている感情が、強く表にでる舞台になると思います。一方で、彼女にはとてもかわいらしい部分もあり、女性のかわいさと激しさの両面をあわせて演じてみたいと思います。それと、今回のエレットラは、とてもカラフルです!」

201408_idomeneo_tasaki_naomi.jpg
エレットラ 田崎尚美
「私の中のエレットラは、気高い人。プライドが高く、自分が一番だと思っているから、嫉妬もすれば、復讐もする。素直に生きようとした結果そうなってしまう、と思っています。粗野な言動が表に立つときも、私の中では、美しくありたいと思う面を内に持ちつつ、演じたいと思っています」

201408_idomeneo_yamashita_makiko.jpg
イダマンテ 山下牧子
「イダマンテは、愛と希望を信じてまっすぐに生きていく!というところがとても素敵だなあと思い、苦しみつつも、幸せに稽古をしています。現実の世界でも紛争は絶えまなく続いています。それに対して、愛というものが絆をつむぐことができるではないか。私たちが、舞台をとおして、音楽をとおして伝えられるように、挑戦している姿をぜひご覧いただきたいです!」

201408_idomeneo_kobayashi_yuka.jpg
イダマンテ 小林由佳
「イダマンテは、自分の気持ちが大好きなイリアに伝わらないときは、第1幕のアリアのように自分の服を全部脱ぎすててでも伝えようとする、若くてまっすぐな人。オペラの最後に、彼がより成長する出来事があります。私は、それが、人が一生のなかで最も成長するきっかけとなる出来事なのではないかと思っています。イダマンテの成長する姿を、ぜひ見てください!」
   *  *  *
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ミキエレットの『イドメネオ』演出コンセプト~第3幕~
すべてが明るみになり、愛と命が勝利する

ミキエレットの『イドメネオ』演出コンセプトにもとづく舞台のご紹介も、いよいよ最終章。
第3幕では、イリアのイダマンテへの思慕、イダマンテの旅立ちの決意、そしてイドメネオと海神との恐ろしい誓約、エレットラの行き場を失った嫉妬が、ひとつひとつおもてにあらわれていきます。
◆ 第3幕 ◆
「葬礼」
201408_idomeneo_14.jpg大祭司とイドメネオ
そして、「生贄はイダマンテ」と聞いて、泣き崩れるイリアと民衆
“恐ろしい誓約、すでに死が支配し、地獄の扉を開いている”

201408_idomeneo_15.jpgイドメネオ
“海の王よ、我らの願いを聞き入れて下さい”

あらためて、主要4役イドメネオ、イダマンテ、イリア、エレットラの人物像について、衣裳の面から。
「衣裳についても時代設定はありません。現代的ではありますが、それは各々のキャラクターをあらわすためです。それぞれに意味を持っています。
イドメネオは、身体的にも精神的にも病んでいる状態をあらわすため、寝間着姿でいます。
イダマンテは、スーツを着ている。しかし、彼はそれを拒否します。
イリアは、戦争の犠牲者です。
エレットラを見てください。彼女は、セレブのような様相で、権力を持っていることがわかる」

「人生との矛盾」
201408_idomeneo_16.jpgエレットラのアリア
全てを失ったエレットラが絶望して歌うアリア
“イダマンテが恋敵の腕の中に”
Copyright: Werner Kmetitsch / www.photowerk.at
「イドメネオ、イダマンテ、イリアが出てきてすべてが明るみになると、エレットラだけが大地の下へ沈んでいく。これは愛、命の勝利です。イドメネオからイダマンテへ、そしてその先へ――また新たな物語が、始まるのです」

物語のクライマックスは、ぜひ劇場で。
~ 終 ~
   *  *  *
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ミキエレットの演出コンセプト~第2幕~
大切なのは、自分たちの人間性、人間としての真実を伝えること

モーツァルトの『イドメネオ』から、圧倒的なドラマを引き出すダミアーノ・ミキエレット。その演出コンセプトを、アン・デア・ウィーン劇場公演の舞台写真とともにご紹介いたします。
今回は、第2幕です。

◆ 第2幕 ◆
「あわれな父親」
201408_idomeneo_09.jpgイドメネオとアルバーチェ
イドメネオは、海神ネプチューンとの誓約を忠臣アルバーチェだけに打ち明ける
「王の命と引きかえに、最初に出会った人間を生贄に捧げなければならない」「そして、その人間は…息子、イダマンテ」

ミキエレット演出の舞台設定
「この舞台は、ギリシア神話ではなく、置きかえられた時代背景もありません。この演出では〈作品そのもの〉を描いていきます。つまり、目の前にある〈この場所〉がすべてなのです」
(ここで、キャストから質問が)
――神話でないとしたら、王や王子、その家来とかの身分や、クレタ島やトロイアの地名は、どう考えて演じればよいのでしょうか?
「言葉がすべてを説明できるわけではありません。
ここに書かれている身分や階級は必要十分なものではありません。ただ、時代や場所をこえた人間どうしの関係や行動を説明し設定するのに役立つ、ということは言えるでしょう。
大切なのは、自分たちの人間性、人間としての真実をそこに入れるということです」

「未来への希望」
201408_idomeneo_10.jpgイリアとイドメネオ
“私は父も祖国も安らぎも失いましたが、あなたは私のお父様です”
イリアの優しい言葉にとまどうイドメネオ

「トロイア人/ギリシア人といった区別も、イリアの置かれた状況を説明するのには必要でしょう。合唱ははじめトロイア人としてあらわれますが、イダマンテが「自由を与える」と言ってからはその区別もなくなります」

「誰の罪なのか」
ネプチューンの怒りに恐れおののくイドメネオと民衆
201408_idomeneo_11.jpg“新たな恐怖が…神々の怒りが海を荒れさせた”

201408_idomeneo_12.jpg“怪物から走って逃げよう。私たちは餌食になる”

201408_idomeneo_13.jpg
Copyright: Werner Kmetitsch / www.photowerk.at
「作品の中で、Mostro、つまり怪獣が出てくるが、これは人々の〈恐怖〉のことだと思ってください。イドメネオからイダマンテへ。権力や生命を次世代に渡すということには〈恐怖〉が伴うものであり、そして、それは必要なことなのです」
~ 第2幕 終 ~
   *  *  *
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ミキエレットの演出コンセプト~第1幕~
「『イドメネオ』は、〈愛〉と〈生命〉の発展です」

公演初日まであと21日とせまった、東京二期会オペラ劇場『イドメネオ』。
今回の上演は、世界の歌劇場で活躍中のダミアーノ・ミキエレットの新演出(アン・デア・ウィーン劇場との共同制作)。どのような舞台になるかと心待ちにして下さる方に、立ち稽古の初日にキャスト、スタッフに説明されたミキエレットの演出コンセプトと、ウィーン公演での舞台写真をシリーズでご紹介してまいりましょう。
なお、写真のキャプションは、ミキエレットの演出コンセプトにもとづいて、演出補のエレオノーラ・グラヴァニョーラさんが説明を加えたものです。

「『イドメネオ』は、〈愛〉と〈生命〉の発展です」
「この舞台は、ギリシア神話ではなく、置きかえられた時代背景もありません。この演出では〈作品そのもの〉を描いていきます。つまり、目の前にある〈この場所〉がすべてなのです」

◆ 第1幕 ◆
201408_idomeneo_01.jpg序曲
子ども時代のイダマンテとオーバーラップ

「ここにある砂(土)は、命が与えられる場でもあり、戦場、すなわち命が奪われる場でもあります。そこではイドメネオとイダマンテの、親子の関係性が見られるところでもあります」

「愛情の矛盾」
201408_idomeneo_02.jpgイリアのアリア
“お父様、お兄様さようなら”
父親のトロイア王と兄を喪って嘆くイリア。

(キャストからの質問)――舞台上に散らばる靴には、どのような意味があるのでしょうか?
「靴は〈死〉、戦場における死を表しています。イリアが最初のアリアで靴を積んでいくのは、‘祭壇’を作っているのです。しかし、エレットラはそれを蹴飛ばして破壊してしまいます」

「復讐と残酷さ」
201408_idomeneo_03.jpgエレットラとイダマンテ
“王子、あなたはギリシアを侮辱しています”
トロイア人を解放したイダマンテを責めるエレットラ。

201408_idomeneo_04.jpgエレットラとイリア
“私の残酷な復讐を味わうがいい”
恋敵イリアに嫉妬を燃え上がらせるエレットラ。

「人々の恐怖が生んだのが、エレットラです。愛や生命やその発展に対して負の存在です」

「愚かしい誓い、残酷な誓い」
201408_idomeneo_05.jpgイドメネオと合唱
“神様、助けてください”
難破のシーンでは、イドメネオは悪夢にうなされる。

「イドメネオは肉体も精神も病んでいます。息子を生贄として殺さなければ、あるいは息子に権力を渡さなければという思いで、ますます病みは深まっていくのです」
201408_idomeneo_06.jpgイドメネオのアリア
“流された血が私の罪を責める”
血まみれの幻影におびえるイドメネオ。

201408_idomeneo_07.jpgイダマンテのアリア
“愛する父に会えたのに失ってしまった”
再会した父イドメネオに拒絶されて嘆くイダマンテ。

「イドメネオはイダマンテに権力を渡さなければなりません。しかし、このことは父子お互いに恐怖を伴うことです」

「宴会をするのにふさわしい日ではない」
201408_idomeneo_08.jpg合唱、イドメネオとアルバーチェ
“ネプチューンを讃えよう”
民衆がネプチューンを讃えている中、狂乱するイドメネオと心配するアルバーチェ。
Copyright: Werner Kmetitsch / www.photowerk.at
~ 第1幕 終 ~
   *  *  *
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『蝶々夫人』指揮・ルスティオーニ初来日! 九州での演奏会も大成功!!

いよいよ間近に迫った、東京二期会オペラ劇場公演『蝶々夫人』。
指揮者のダニエーレ・ルスティオーニが先日、初来日を果たしました。さっそく日本の人々の歩く速さに驚いたとのこと。しかし、本人も休む間もなく、取材にリハーサルにと大忙しの毎日です。
二期会キャストと初顔合わせとなったリハーサルでは、指揮台から飛びおり、歌手に近寄って、プッチーニの音楽を引き出しました。
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1983年生まれの30歳。(明日、4月18日に31歳の誕生日を迎えます!)
2011年ロンドンのロイヤル・オペラほか、2010年から3年連続でミラノ・スカラ座に登場。国際オペラアワード2013最優秀新人賞を受賞したイタリアからの彗星のごとき俊才は、『蝶々夫人』公演を前に、九州は福岡で、日本デビューを飾りました。13日(日)アクロス福岡で開催された九州交響楽団。ルスティオーニは、プッチーニ『マノン・レスコー』の「間奏曲」と、ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」、そして、ムソグルスキー(ラヴェル編曲)「展覧会の絵」の3曲を指揮しました。九州交響楽団の方からは、「大成功!お客様がいつもの3倍喜んで下さった」と大喜びの声を聞いています。
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(写真提供:九州交響楽団)
九州から再び東京に戻ると、今度は東京都交響楽団とのオーケストラリハーサル。そして、いよいよ東京文化会館での舞台稽古が始まります。
栗山芸術の集大成である舞台と、若きマエストロが導く音楽。今シーズン最高の『蝶々夫人』は、ぜひ〈二期会名作オペラ祭〉で!
▼ルスティオーニのインタビュームービーもご覧ください!

▼公演期間は4月23〜27日! 公演の情報はこちらから
2014年4月公演《二期会名作オペラ祭》G.プッチーニ作曲『蝶々夫人』 - 東京二期会

zen

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2014年4月公演『蝶々夫人』 主役二人のメッセージ ~2013年5月の記者会見から~

4月公演『蝶々夫人』では、本舞台を想定した「立ち稽古」が始まりました!
連日、緊張感と熱気に包まれた稽古が続いています。
去る2013年5月8日、外国人特派員協会で開いた「2014/15オペラ・シーズン・ラインナップ記者会見」に『蝶々夫人』の主役二人、腰越満美と樋口達哉が登壇していました。本公演を前に、あらためてそのときの二人のコメントをお伝えいたします。

ciocio2.jpg 樋口達哉 「栗山先生の美に対する意識」
私は、2009年の二期会『蝶々夫人』で栗山昌良にご指導をいただきました。そのときに強く感じたことは、栗山先生の美に対する意識です。舞台の上の立ち振る舞いですとか、細かい手の動きや所作のひとつひとつにいたるまで、先生から直に教えていただけたのでした。また今回も、前回のような経験ができるかと思うと今からとても楽しみです!
ciocio1.jpg 腰越満美 「機は熟して、納得のいく蝶々夫人を」
二期会では『蝶々夫人』は2003年に栗山昌良先生の演出で初めて歌わせていただきました。学生時代から、プッチーニの作品は大好きだったので、20歳代の頃は、あなたの声には重すぎる、と言われながらも勉強だけはしていました。でも、イタリアに留学したときに、あちらの先生に言われたのは、「プッチーニはあなたが40歳になるまで歌ってはいけない」と。それから、いったんプッチーニを私は封印しなければなりませんでした。
2003年に蝶々夫人の役をいただいたのですが、やはりイタリアの先生のおっしゃったとおり、機が熟していなかった、というか自分の納得できる歌が歌えませんでした。
それから10年がたちまして、亡くなられた先生にもお許しいただける歳になりましたので(笑)、今度こそ、自分も納得いくし、お客様にもご満足いただけるような蝶々さんを歌えたら、と思っています。

満を持して出演の腰越の出演日は、23日(水)、26日(土)。樋口は24日(木)、27日(日)に出演します!
栗山昌良演出の決定版、ぜひ東京文化会館へ!
▼公演詳細ページはこちら
2014年4月公演G.プッチーニ作曲『蝶々夫人』 - 東京二期会オペラ劇場

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2月公演『ドン・カルロ』指揮者:G.フェッロ最新盤発売!

東京二期会2月公演『ドン・カルロ』の指揮者、ガブリエーレ・フェッロ。
1986年、伝説となったロイヤル・オペラ・コヴェントガーデンの引っ越し公演の『コジ・ファン・トゥッテ』(キリ・テ・カナワ、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター、ワルター・ベリーほか出演、ジョン・コブリー演出)以来、28年ぶりに東京文化会館のピットに帰ってきます。
g_ferro.jpg ガブリエーレ・フェッロ
同じ1986年には、バーバラ・ボニー、イェスタ・ヴィンベルイ、ローランド・パネライらとのフィレンツェでドニゼッティの『愛の妙薬』をドイツ・グラモフォンへ録音、名盤として知られています。
その他、ルチア・ヴァレティーニ=テッラーニ、フランシスコ・アライサ、エンツォ・ダーラらとSONYに録音したロッシーニの『チェネレントラ』『アルジェのイタリア女』も歴史的名盤として知られており、現在も発売されています。
そのような長い録音歴を誇るフェッロですが、来る2月20日、今回の来日のタイミングで、昨年6月に収録されたシュトゥットガルトでの上演が最新のDVD、Blue-rayで発売されます。ドイツの批評家が絶賛し、権威ある《オーパン・ヴェルト》誌の年間最優秀上演に選ばれたベルリーニの『清教徒』(ヨッシ・ヴィラー&セルジオ・モラビート演出)です。
▼ガブリエーレ・フェッロ 録音情報
Gabriele Ferro|アーティスト詳細 - TOWER RECORDS ONLINE(タワーレコード)
「 FERRO 」の検索結果 - HMV ONLINE
現在円熟の境地にあるフェッロ。二期会『ドン・カルロ』とあわせて、彼の導きだす音楽をどうぞお楽しみください。
▼『ドン・カルロ』公演情報・チケットお申込みはこちら
東京二期会オペラ劇場2014年2月公演 G.ヴェルディ『ドン・カルロ』 - 東京二期会
 ※D席・E席は完売となりました。良い席はお早めに!

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イタリア・オペラの真の巨匠~指揮者:ガブリエーレ・フェッロの魅力を知ろう!

東京二期会オペラ劇場『ドン・カルロ』(2014年2月19、20、22、23日 東京文化会館)の指揮者は、ガブリエーレ・フェッロ。今回、フェッロを招聘することにした理由と彼の繰り出す音楽の魅力について、企画制作部に聞きました。
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「この後、リッカルドとプロジェクトの相談をしないと…」
ある日、マエストロ・フェッロ(1937年生)との打ち合わせをしていたら出てきた台詞でした。リッカルドとは、リッカルド・ムーティ(1941年生)のことで、ふたりは長い親交があるそうです。
日本には、これまで1986年ロイヤル・オペラ・コヴェントガーデン『コジ・ファン・トゥッテ』、1998年読売日本交響楽団への客演があった程度のため、残念ながら、あまり知られているとはいえないようです。
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しかし、ヨーロッパでは、ムーティらと並び称される現代イタリアの巨匠として尊敬を集めています。イタリアでは、1979年から91年までシチリア交響楽団の首席指揮者を皮切りに、88年から91年までローマのRAI管弦楽団の首席指揮者も兼任、1999 年から2004年ナポリ・サン・カルロの音楽監督を、01年から06年までパレルモのテアトル・マッシモの首席客演指揮者を務めました。
活動はイタリアにとどまらず、読売日本交響楽団の常任指揮者シルヴァン・カンブルランが音楽総監督を務めるシュトゥットガルト州立歌劇場の音楽総監督を歴任(1992~97年)し、大きな足跡を残したフェッロは、2012年同劇場でベルリーニの『清教徒』をヨッシ・ヴィラー&セルジオ・モラビートの新演出で指揮し、《オーパン・ヴェルト》誌の年間最優秀上演に選ばれました。とりわけ現代の演出家と緊密なコレボレーションを取れる指揮者として知られており、前述のヴェラー&モラビートを初め、本年3月にはイタリアのフェニーチェ劇場でロバート・カーセンとタッグを組み、ヤナーチェクの『マクロプロス事件』を指揮し、同じく好評を博しました。
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本年は、久々にドレスデン州立歌劇場に登場し、スポンティーニの『ヴェスタの巫女』をヨーロッパで話題のマリア・アグレスタの主演(往年の名テノール、フランシスコ・アライサも出演、アライサ&フェッロは、多数のレコーディング有)で指揮したフェッロは、『ドン・カルロ』の前に1月パレルモのテアトル・マッシモで、R・シュトラウス・イヤーの皮切りとなる『フォイヤースノート(火の危機)』の新演出を指揮し、その後、二期会『ドン・カルロ』のために久しぶりの来日を果たします。
ナポリのサン・カルロで音楽監督時代、ブルゾンらと共演し好評を博した『ドン・カルロ』で28年ぶりに東京文化会館のピットに登場するマエストロの円熟のオペラ指揮に期待が高まります。
2012年二期会『ナブッコ』での初来日で一躍脚光を浴びた若きイタリア人指揮者アンドレア・バッティストーニは、かつて彼に指導を受けており、「オペラ指揮者になるための基礎はすべてフェッロ先生から学んだ」と言っています。
イタリア・オペラを知り尽くすマエストロ・フェッロの指揮と世界を席巻する美しくもドラマティックなマクヴィカーの演出が見られるのは、東京の4回のみ。この機会を逃す手はありません!
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don_carlos_017.jpg photo by Monika Rittershaus
▼東京二期会2014年2月公演『ドン・カルロ』公演情報はこちら
東京二期会オペラ劇場『ドン・カルロ』(平日マチネー特別料金有り)-東京二期会

ZEN

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『ホフマン物語』指揮 名匠ミシェル・プラッソンを聴こう!

2010年『ファウストの劫罰』ほか東京二期会と東京フィルハーモニー交響楽団でお届けした「ベルリオーズ・プロジェクト」から3年、フランスの名指揮者ミシェル・プラッソンが再び『ホフマン物語』の指揮者として来日します!
フランス音楽を、フランス絵画や文学と同じように重要なものとして紹介することを生涯の強い使命としているマエストロ、プラッソン。伝道師としてのフランス音楽の録音は、近年、EMIより続々とボックスが廉価で発売されています。
▼リンク
MICHEL PLASSON // l'Opéra français(フランス・オペラ・ボックス(38CD)) - EMI
MICHEL PLASSON // Musique Française Coffret 37CD(フランス音楽・ボックス(37CD)) - EMI
この機会にお聴きになってはいかがでしょうか?
映像では、ヨナス・カウフマンが主演した2010年パリ・オペラ座『ウェルテル』のDVDがリリースされています。
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J.マスネ『ウェルテル』全曲 ブノワ・ジャコ演出
ミシェル・プラッソン指揮&パリ・オペラ座
2010年10月22日発売・DVD 2枚組
MASSENET Werther Kaufmann Plasson - Decca Classics
さらに、シンフォニーでは、今回初めて東京交響楽団に客演、7月14,15日に得意のドビュッシーの『海』『牧神の午後への前奏曲』、ラヴェルの『ボレロ』、『ツィガーヌ(Vn:成田達輝)などを取り上げます。こちらもご期待ください。
▼プラッソン指揮・東京交響楽団コンサート詳細はこちら
東京交響楽団 TOKYO SYMPHONY ORCHESTRA (トップページ)
 7/14(日)ミューザ川崎、7/15(月)東京オペラシティ

▼東京二期会『ホフマン物語』公演情報はこちら
東京二期会オペラ劇場7-8月公演『ホフマン物語』 - 東京二期会

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世界が注目、巨匠:ミシェル・プラッソンによる『ホフマン物語』が東京で実現!

本年80歳になるフランス指揮界の大巨匠ミシェル・プラッソン(1933年生、クラウディオ・アバドと同年)がオッフェンバックの畢生のグランド・オペラ『ホフマン物語』を7月31日、8月1、3、4日新国立劇場・オペラパレスで指揮をします。
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同じくフランス人の指揮者ジョルジュ・プレートル(1924年生)は現在シンフォニーの活動に絞っている中、プラッソンは、フランス・オペラの指揮の最高峰として、厳選した得意のオペラとシンフォニー両面のレパートリーを指揮し、ヨーロッパで尊敬を集めています。
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最近も、2010年パリ・オペラ座での『ウェルテル』(カウフマン主演)ではフランス・オペラ界の話題をさらいました。昨年7月には、オランジュ音楽祭にてアラーニャ主演による『トゥーランドット』を指揮、聴衆を熱狂に導いたのに続いて、11月はジュネーブで『サムソンとデリラ』を指揮し、公演を大成功に導きました。来年2014年には、アラーニャの主演で、パリ・オペラ座『ウェルテル』待望の再演が予定されています。

日本では、東京二期会/東京フィルのベルリオーズ・プロジェクト2010において、初めてオーケストラピットに入り『ファウストの劫罰』を指揮。客席と舞台双方からの熱い支持を得て、今回、待望の再登場とつながりました。フランス・オペラの最高峰の一つ『ホフマン物語』を東京二期会と東京フィルハーモニー交響楽団とともに取り上げます。マエストロは特にこの作品に愛着を持ち、オッフェンバックのイマジネーション溢れる音楽は大いに得意とするところ。オランジュ音楽祭(2000年及び2005年)などことあるごとに取り上げていますが、なぜかいまだにマエストロの膨大なレコーディング歴の中でも録音のない作品です。
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※2010年二期会『ファウストの劫罰』より 撮影:鍔山英次 三枝近志
この東京での4回の公演でマエストロが、どのように深化した『ホフマン物語』の解釈を聴かせてくれるのか、期待は高まります。
▼東京二期会『ホフマン物語』公演情報はこちら
東京二期会オペラ劇場7-8月公演『ホフマン物語』 - 東京二期会

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「ぴあ」にコンヴィチュニー講演会レポート&『グランド・オペラ』に小森輝彦インタビュー記事

すでにお読みになられた方もいらっしゃるかと思いますが、「チケットぴあ」ニュースに、先日ドイツ文化センターで行われた、5月公演『マクベス』演出のペーター・コンヴィチュニー講演会のレポートが掲載されました!
「現代社会に鋭く迫るオペラを」鬼才コンヴィチュニーがオペラ演出について語る - チケットぴあ
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自身のオペラ演出の哲学、技法から、今回の『マクベス』のテーマや見どころまで語っていました。
また、音楽之友社から刊行されているオペラ専門誌『グランド・オペラ』最新号(4月20日発売)には、5月『マクベス』タイトルロールのバリトン小森輝彦が大きく登場しています。最高級オーディオとトップアーティストを紹介するシリーズ記事「小畑恒夫のオペラの魔力」で、小森と音楽評論家小畑恒夫氏による対談です。
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こちらもぜひご覧ください!
▼音楽之友社さんのサイトでお買い求めいただけます。
『グランド・オペラ』Vol.50 2013 Spring – 音楽之友社

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ロシアから世界のマエストロへ~二期会『マクベス』指揮アレクサンドル・ヴェデルニコフ来日

二期会『マクベス』指揮者アレクサンドル・ヴェデルニコフが来日しました。
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本年1月には、『カヴァレリア・ルスティカーナ』『道化師』で名門チューリッヒ歌劇場にデビューを飾り、本年秋には遂に、ニューヨークのメトロポリタン・オペラにデビューするヴェデルニコフ。
現在は、デンマークの名門オーデンセ交響楽団の首席指揮者を務めています。既にシンフォニーの分野でもロンドン・フィル、モントリオール交響楽団、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、チェコ・フィル、NHK交響楽団など各地で常に好評を博しています。
モスクワのボリショイ・オペラの音楽監督として劇場を再建し(2001~09年)、数々の歴史的な成功を収めて来たため、ロシアでの活動がクローズ・アップされますが、イタリアでの活躍も際立ちます。
ミラノ・スカラ座、ヴェネチア・フェニーチェ劇場、ボローニャ歌劇場、トリノ王立歌劇場、ローマ歌劇場に客演しています。
イタリア語が大変堪能なマエストロは、ボリショイ・オペラでも『トゥーランドット』『アドリアーナ・ルクヴルール』そして、今回指揮する『マクベス』を取り上げて好評を博しています。特に『マクベス』は、「ヴェルディの中でもとても素晴らしい作品」と強い愛着を抱いている作品なのです。
また演出のコンヴィチュニーとは、2004年ボリショイ・オペラで「さまよえるオランダ人」の新制作を共に手掛け、そのプロダクションは、バイエルン州立歌劇場、グラーツ歌劇場で上演されて名プロダクションとして知られています。以来、日本で9年ぶり2度目のタッグを組み、連日熱いコラボレーションを繰り広げています。
ちなみに彼の父は、ロシアの伝説的名歌手で同名のアレクサンドル・ヴェデルニコフ。
稽古場では、父譲りの張りのある声で歌手を導いています。
ヴェデルニコフのタクトからあふれ出すヴェルディ・サウンドにどうぞご期待ください!

▼東京二期会5月公演『マクベス』公演詳細はこちら
東京二期会オペラ劇場『マクベス』 - 東京二期会
▼お問合せ・チケットのお求めはこちら
二期会チケットセンター - 東京二期会

★『マクベス』で共演する東京交響楽団とは、5月11日ミューザ川崎、12日りゅーとぴあ新潟で、得意のロシア・プログラムを指揮します。
▼東京交響楽団とのオーケストラ・コンサート情報はこちらから
東京交響楽団公式Webサイト

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二期会新制作『こうもり』、開幕しました!

二期会創立60周年記念公演オペレッタ『こうもり』の幕が上がりました!中山悌一による伝統の訳詞に、今回の演出・白井 晃による新しい台本での新制作。20日(水)、21日(木)両キャストの初日にはたくさんのお客様にご来場いただきました!
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『こうもり』公演の様子を伝えるWebサイトをご紹介いたします。
音楽ライター小田島久恵さんが連載されているファッションサイト「.fatele」のブログに、今回の二期会『こうもり』の公演評を掲載されました!
シャンパンの泡の笑い 二期会「こうもり」 - .fatele
また、メロディが聴こえるウェブサイト「クラシックニュース」に、開幕直前のゲネプロ時の舞台写真が多数紹介されています。
東京二期会オペラ劇場『こうもり』ゲネラルプローベ舞台写真をご覧下さい - classic news
明日23日(土)は、残席がついにS席のみとなりました!24日(日)の残席は、S~B席です。当日券の発売は、両日とも東京文化会館大ホール前で12時30分から開始いたします。
ご来場を心からお待ちしております!

《便利!》
◎二期会チケットセンターのオペラ公演インターネット予約【Gettii(ゲッティ)】では、前売券が公演当日の開場時刻までご予約が可能です!!
チケットはご来場の途中にお近くのセブン-イレブンでお支払&お受取いただけますので、余裕をもってお越しいただけます!どうぞご利用ください!!(※PCのみの対応となります)
▼公演案内ページにある【ゲッティへGO!】ボタンをクリックしてお申込ください!!
 ↓↓↓こちら↓↓↓
2013年2月公演 『こうもり』- 東京二期会オペラ劇場

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開幕直前!二期会『こうもり』演出・白井晃メッセージ&msn産経ニュースに公演ニュースが掲載!

いよいよ今週20日(水)から東京二期会オペラ劇場『こうもり』の幕が開きます。
スタッフ、ソリスト、合唱、そしてオーケストラが東京文化会館に集結し、最後の入念な準備を重ねています。
開幕直前の楽屋裏で、演出・白井 晃からお客様へむけてメッセージを受け取りました!

白井 晃「今回はファルケ博士の企みを全面に押し出して、オーケストラ、合唱、ソリストも総仕掛けで、アイゼンシュタインをだましていきます。オペレッタの楽しみを十二分に楽しんでいただけると思います。もうすぐ、幕が開きます!ぜひご期待ください」
そして、msn産経ニュースにも『こうもり』のニュースが掲載されました!
ワルツが奏でる大人のおとぎ話 東京二期会がオペレッタ『こうもり』-産経ニュース
ぜひご覧ください!

20日(水)、21日(木)の両日は、プレミエキャンペーンとして、
オーストリア政府観光局の協力により、1幕、2幕後に入る休憩時にそれぞれ、チター奏者 永谷義篤さんのミニコンサートを開催します。
ウィーン風の音楽やチロル地方の音楽などを披露する予定です。
幕間もどうぞお楽しみに!
▼公演詳細ページはこちら
二期会創立60周年記念公演オペレッタ『こうもり』 - 東京二期会
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二期会チケットセンター - 東京二期会

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2月公演オペレッタ『こうもり』 指揮:大植英次からメッセージ

早いもので、もう2月。今月は、東京二期会オペラ劇場公演J.シュトラウス作曲のオペレッタ『こうもり』の上演が控えています(2月20・21・23・24日 東京文化会館大ホール)。
連日稽古が続いている中、指揮の大植英次氏よりお客様へのメッセージを受け取りました!

大植英次:「オペレッタというのは、音楽だけでなくてお芝居も楽しめる喜劇。人間の生の力を合わせて作り上げる夢の世界!
 『こうもり』は僕にとっても大事な曲で、僕が人生で初めてウィーンのフォルクスオーパーで聴いたのが『こうもり』でした。そのときに何十回もしみつくほど聴いて、楽しくて楽しくてしょうがなかった。
今回、僕は指揮者という立場ですけれども、日本で、皆様とご一緒にこの『こうもり』を楽しみたいと思います。ぜひいらして、一緒に楽しみましょう!」
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二期会創立60周年記念公演オペレッタ『こうもり』 - 東京二期会
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大分二期会初のオペラ公演、成功裡に終わる

 去る11月23日、大分市のいいちこ総合文化センター「グランシアター」において、大分二期会制作による初のオペラ公演『魔笛』(中村敬一氏演出)が1,500名の観客を集めて大成功を収めた。大分県民芸術文化祭の閉幕行事として行われ、大蛇には庄内神楽の伝承に努める県立由布高校郷土芸能部の生徒が特別参加で大分らしさを演出した。遠方から参加した県出身歌手達が稽古に不参加の際には、県内在住者がカヴァーを務めるなど、様々な困難を克服しての成功だった。
ooita_zauberflote_DSC_1960.jpg カーテンコールから
 今回の特筆すべき点は、殆どのキャスト、合唱、オーケストラが大分県に関係のある人であるという点で、特に大分県立芸術文化短期大学の存在が大きな力となった。つまり、ピットに入ったのは同短大の現役学生を中心に、卒業生に数名の教員が加わったオーケストラで、ピットでのオペラ演奏も、休憩を挟んだ3時間の長丁場も初めての経験。そんなオケを支えたのが、東京のプロオーケストラでコンサートミストレスを務めた経歴を持つヴァイオリンの川瀬真由美教授と、東京二期会のオペラ制作でも長く活躍し、オペラの演奏に精通した指揮者の森口真司准教授だった。制作費に限界があり、セットの代わりに芸短大美術科の学生達による各場面の背景画を映像で投影したのも好評だった。
ooita_zauberflote_DSC_1528.jpg パパゲーノを演じた安藤常光(左)
 東京二期会会員では侍女役の愛甲久美、上田雅美、モノスタトスの中村弘人が大分在住。ザラストロを歌った伊藤 純(芸短大卒・東京在住)、パパゲーノの安藤常光(大分市出身・金沢在住)、弁者役の原 尚志(福岡在住)。武士2役の秋吉一央(芸短大卒)は、数年前にオペラ研修所を修了した準会員だ。合唱には芸短大の学生に加え、一般募集で4月から稽古を積んできたメンバー達で、堂々たる演奏を聴かせた。(中山欽吾)

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『パルジファル』出演者のビデオ・メッセージ

東京二期会オペラ劇場『パルジファル』公演を間近に控えた出演者からのビデオ・メッセージです。
ご覧下さい!!


13日・16日出演アムフォルタス役 黒田 博
「今年の3月にびわ湖ホール、神奈川県民ホール『タンホイザー』にヴォルフラム役で出演させていただいた。もとをたどれば、『パルジファル』の原作を書いたのが、この実在の人物であるヴォルフラム・エッシェンバッハ。この一年で、ヴォルフラムと『パルジファル』のアムフォルタスの両方を演じられることにたいへんな誇りを感じる」


13日・16日出演パルジファル役 福井 敬
「パルジファルという役は、ワーグナーのオペラの中でも特別な存在かもしれない。純粋な心と身体もった人間が、ひとりの大人として成長していく物語。『パルジファル』は、ワーグナー最後の集大成らしくいろいろな作品を彷彿とさせる音楽や登場人物がちりばめられている。グートの演出はこの長大なドラマの中に観る人を自然に導いてくれる」


15日・17日出演アムフォルタス役 大沼 徹
「ワーグナーらしさは楽譜の前書きにもあらわれている。彼は<私が楽譜に書いたとおりに正しく歌った者は、作曲家である私から最大の賛辞を得られるであろう>というようなことを書いていて、その一文からも、ワーグナーの強烈な個性、自我、自負というか、強いキャラクターを感じる」

▼『パルジファル』の公演詳細はこちら
チューリッヒ×バルセロナ×東京 三都市をつなぐ国際オペラ・プロダクション!『パルジファル』 - 東京二期会オペラ劇場
▼チケットのお申し込み・お問い合わせはこちら
二期会チケットセンター TEL.03-3796-1831 インターネット予約Gettiなら24時間受付!
 (平日:10:00~18:00/土:10:00~15:00/日祝休)

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【ネット限定企画第3弾】
9月公演ワーグナー『パルジファル』の稽古場に、20名様をご招待!!

毎回大好評をいただいている東京二期会オペラ劇場「稽古場見学会」を、7月公演に続いて、9月公演『パルジファル』でも実施することになりました!
今回の公演は、バルセロナ・リセウ大劇場とチューリッヒ歌劇場との共同制作。欧州でも大きな評判となったクラウス・グートの演出を、日本国内でだれよりも早くご覧いただくチャンスです。また、オペラ歌手の歌声を至近距離でご体感いただけるのも稽古場見学会の魅力のひとつ。この「稽古場見学会」へ抽選で20名様をご招待いたします。どうぞ奮ってご応募ください!

◇開催要項◇
【日時】 2012年8月30日(木) 15:00集合~17:30終了予定(途中休憩あり)
・プレトーク(作品内容を解説します)
・『パルジファル』第一幕の稽古をご見学
【会場】 都内
【稽古の内容】 今回ご覧いただく予定の稽古は、9月13日・16日出演組(福井 敬、黒田 博ほか)による「通し稽古」です。「通し稽古」とは、原則的に音楽と演技を止めることなく、本番通りに舞台を進行させる稽古のことです。指揮、演出、キャストは本番通りの予定ですが、舞台メイクはなく、大道具、小道具及び衣裳は本番とは異なります。また、オーケストラの代わりにピアノが演奏します。字幕はありません。
状況によっては稽古を中断し、内容を変更する場合があります。予めご了承ください。
 
【応募方法】 お申し込みの方はこちらの「お問合わせフォーム」に、以下の項目をご記入の上、フォーム内の[送信]ボタンをクリックしてください。

お問い合わせフォーム

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【本文】欄には以下の内容をご記入ください
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  《メルマガ配信希望》  有 ・ 無 ・ 登録済
 

【応募締切】 8月20日(月) 23:59必着
【当選発表】 当選者様へ稽古場招待詳細のご案内をもちまして、発表に代えさせていただきます。

※今回のご応募にあたってご登録いただきました個人情報は、本企画に関する必要事項および、メールマガジン配信登録を希望された方の配信設定にのみ使用させていただきます。 ※ご当選された権利を他の人に譲渡することはできません。

▼公演の詳細はこちら
2012年9月『パルジファル』-東京二期会

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本番せまる7月公演、指揮者パオロ・カリニャーニのビデオ・メッセージ!
13日(金)のプレミエは、終演後にキャストがお見送り!

東京二期会オペラ劇場7月公演『カヴァレリア・ルスティカーナ』『パリアッチ(道化師)』は13日(金)のプレミエまで、あと3日!
先日、オーケストラと両組歌手とのリハーサルを終えたばかりのマエストロ、パオロ・カリニャーニから、日本のお客様へむけてメッセージを受け取りました。

そして、13日(金)のプレミエ公演では、「二期会創立60周年記念プレミエキャンペーン」第一弾を実施します。初日だからこそのスペシャル感、高揚感が劇場全体を包み込むように、創立60周年という特別な年に特別なことを!という想いから実施させていただきます。
今回は、13日(金)の終演後、キャストがロビーにてお客様をお見送りいたします。
どうか心ばかりの御礼の気持をお受けいただければ幸いです。
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二期会創立60周年記念公演『フィガロの結婚』終演後の様子。
今回も一同ごあいさつさせていただきます。
「プレミエキャンペーン」は今後、『パルジファル』、『メデア』と続いていきますので、どうぞお楽しみに!

▼公演の詳細はこちら
2012年7月公演『カヴァレリア・ルスティカーナ/パリアッチ(道化師)』 - 東京二期会オペラ劇場

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7月公演『カヴァレリア・ルスティカーナ/パリアッチ(道化師)』の稽古場に20名様をご招待!!

東京二期会は、7月公演『カヴァレリア・ルスティカーナ/パリアッチ(道化師)』の稽古場に抽選で20名様をご招待します。
今回の公演は、オペラだけでなくホリプロ・ミュージカル、演劇でも大活躍、情熱迸る気鋭の演出家・田尾下 哲による新制作。その全貌をどなた様よりも早くご覧いただきます!オペラの舞台を作る現場ならではの緊張感と熱気をどうぞご体感ください!

◇開催要項◇
【日時】 2012年7月2日(月)16:00集合 20:00終了予定(途中休憩含む)
【会場】 都内
【稽古の内容】 今回ご覧いただく予定の稽古は、7月14日・16日出演組(清水華澄、片寄純也ほか)による「通し稽古」です。「通し稽古」とは、原則的に音楽と演技を止めることなく、本番通りに舞台を進行させる稽古のことです。指揮、演出、キャストは本番通りの予定ですが、舞台メイクはなく、大道具、小道具及び衣裳は本番とは異なります。また、オーケストラの代わりにピアノが演奏します。字幕はありません。
状況によっては稽古を中断し、内容を変更する場合があります。予めご了承ください。
また、稽古見学に先立ちプレトーク(作品内容の解説)を開催いたします。
 
【応募方法】 お申し込みの方はこちらの「お問合わせフォーム」に、以下の項目をご記入の上、フォーム内の[送信]ボタンをクリックしてください。

お問い合わせフォーム

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【応募締切】 6月15日(金) 23:59必着
【当選発表】 当選者様へ稽古場招待詳細のご案内をもちまして、発表に代えさせていただきます。

※今回のご応募にあたってご登録いただきました個人情報は、本企画に関する必要事項および、メールマガジン配信登録を希望された方の配信設定にのみ使用させていただきます。

▼公演の詳細はこちら
2012年7月公演『カヴァレリア・ルスティカーナ/パリアッチ(道化師)』

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『スペイン時間』『子どもと魔法』キャストによるオススメ・シーン

あまり上演機会のない2作品。今回見逃したら次に出会えるのは、もういつのことになるやらわかりません。
そこで、両演目キャストにオススメの場面、音楽をあげてもらいました。
全員分紹介できないのは残念ですが、ご鑑賞の参考にどうぞ!

【スペイン時間】
★コンセプション 経塚果林
「Mais l'heure fuit,prends garde:Le temps nous est mesure sans pitie!(でも時は逃げるわ、気をつけて:私たちの時間は無情にも制限されているんだから!」
女の花盛りは短く、限りあるものである、という意味でしょうか。急いでくれなきゃ、あっという間におばさんになっちゃう!浮気は受け入れられないものですが、女性としての時間を謳歌しようと形振りかまわない彼女を、どこかうらやましく思ってしまう自分がいます。
★ゴンザルヴェ 高柳 圭
コンセプションと二人きりの時は詩作意欲が掻き立てられます!少し度が過ぎてしまい彼女は呆れ顔ですが、溢れだすインスピレーションを止めることは出来ないのです!
★ラミーロ 佐藤 望
ラミーロの口癖で、「Voila」というのがあります。「さぁ!」「では!」ていどの意味ですが、働き者の彼らしさが出ていて、様々な場面で出てきます。彼の心境によって歌い分けられたらと思っています。
★ドン・イニーゴ・ゴメス 狩野賢一
僕にとってこのオペラの中で最も印象的な音楽は、ラミーロの後半のアリア(?)です。
非常に幻想的で感動的、しかも今回はその曲中にある仕掛けが用意されていて、
稽古でその場面を見る度、じ~んと来ています。
★ラミーロ 門間信樹
陽気なラテンのリズムが印象的です。官能であったり、怒りであったり、現れ方は様々ですが、やはりフィナーレの五重唱でもハバネラのリズムが使われています。
★トルケマダ 大川信之
全体としてはオペラブッファの様式に従っていながら、それを上手く利用して古くて新しい、ラヴェルの独自の世界観。彼が何が表現したかったのかを、演者も探しています。その謎をお客様自身も意図を想像しながら探してもらえると大変楽しめるはずです!

【子どもと魔法】
★夜鳴き鶯 佐藤優子
基本的にみんな一回しか出てきませんので、全てのシーンに目を凝らして耳を澄まして鑑賞して頂きたいです!!
★安楽椅子/ふくろう 森 真奈美
安楽椅子と肘掛椅子は、子どもが出会う最初のキャラクター。登場シーンを楽しみに!
★雄猫/柱時計 吉田侍史
柱時計はテンポが早く短い曲ですが、その中に怒りや悲しみや切なさなど凝縮されています。
★中国茶碗/とんぼ 奥野恵子
歌もさることながら衣装がとても素敵です!「toujour l'airs chinoa(いつも中国風よ)」
★中国茶碗/とんぼ 福間章子
お茶碗のシーンでは山田うんさんによる可愛いダンスが入りました。ポットとお茶碗のダンスだなんて…なんて楽しそうだと思いませんか!?歌詞ほとんど意味不明の言葉の羅列で、ちゃらんぽらんな英語やフランス語の造語…果ては日本語まで出てきますよー!
★ティーポット 木野千晶
「火のアリア」と「お姫様のアリア」は素晴らしい名曲です!
★火 熊坂真里
忘れてはならないのが、様々な場面で華を添えて下さるダンサーの皆さんです!
火のシーンでもダンサーの方々がキレのあるダンスで場面を引き締めてくださっています!
★羊飼いの娘 金澤梨恵子
仲間の羊飼いたちが出し続けているバグパイプ(遊牧民が使う楽器)を思い出させる「ズー」という音が、あるときとぎれます。その瞬間の、世界変わったようになる場面が羊飼いのシーンでのイチオシです。
★お姫様 湯浅桃子
お姫様がいなくなったあと、男の子がひとりで歌うメロディがとても印象的です。観れば必ずその意味がおわかりいただけるはず。
★小さな老人/雨蛙 新津耕平
リスの衣裳は可愛いです。とにかく可愛い。ズルいくらい可愛いです。それと、子どもがお姫様に歌う、僕が君を守る!というような内容のところの音楽が個人的にとても好きです。
★肘掛椅子/木 岩田健志
小さな老人がひたすらメチャクチャに数字や単位を言っているところも楽しくて好きです。「常識に囚われるな」というメッセージがあると思います。
★雄猫/柱時計 野村光洋
数字の老人の合唱と老人のコラボレーションが非常に面白いです。猫は次に登場するのですが、そでで笑ってしまって出るのが大変です。自分はフランス猫なので、おしゃれにかっこよく雌猫を口説く…はずです。うまく雌猫をモノにできるのか、雌猫と雄猫の行方にも注目してください。
★牝猫 志岐かさね
“Moaraiin…Maraon…Meraon…”
★安楽椅子/ふくろう 伊藤 光
クライマックスにかけて愛情がどんどん溢れてきます。愛に包まれた音楽は、こんなにも幸せなのだと思いました。
★りす 香村寛子/清水多恵子
(香村)子どもに「この美しい瞳に何が映っていたか知ってる?」と歌うシーン…
カゴに捕らえられ、仲間が自由に跳んでいるのを独りで見ていることしかできなかった傷みを子どもに訴えます。音楽がとにかく綺麗です。
(清水)このシーンは「言い訳なんてしないで、自分の心としっかり向き合いなさい。」ということなのではないかと私は思います。りすのアリアは短いですが、とっても重要な場面だと思いますのでお聴き逃しなく。 ※お薦め第2位
★子ども 澤村翔子
やはり何と言っても最後の美しいフーガです!それまでにも、色味や色気や空気や、熱や、四角や、とても多様な音楽が出てきますけれども、それを全てひっくるめて一つの球体にしてしまうのがこのフーガです。私は歌いませんが、いつも歌いたくて稽古場ではコッソリ口ずさんでいます。思わず涙が出る、聴き所です! ※お薦め第1位
★お母さん 遠藤千寿子
終盤の場面でコロスが何度もMaman(ママ)と歌います。その時はまだお母さんは登場していないのですが、いつもその場面になると自分が呼ばれている気がしてソワソワしてしまいます(笑) 続いて「この子は本当に良い子です」と歌われるアンサンブルは美しくすぎて、涙腺が緩みそうになります。
★お母さん 安本ゆか
お母さんは優しさ、怒り、哀愁…と、コロコロ感情が変わります。怒りもネチネチ迫るものから、感情的なものまで。これを短い音楽の中で表現していますのでご注目ください。
最後、寝ている子どもが美しいハーモニーに包まれていて、とても印象的です。
★子ども 宮澤彩子
(寝ながら)合唱が美しすぎて毎回涙を堪えるのに必死です!

 
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二期会ニューウェーブ・オペラ劇場 出演者からのメッセージ(3)

【子どもと魔法】 つづきです。
19日・お姫様役 湯浅桃子
男の子が持っている本に描かれているお姫様。ブロンドで青い目を持つ、男の子の憧れの存在です。
誰もが一度は憧れるプリンセス。その理想をどこまで具現化できるか日々奮闘中です。清く正しく美しく!? ご期待ください♪
20日・お姫様役 廣森 彩
子どもに破られた絵本の物語に出てくるお姫様です。 子どもの初恋の相手でもあるお姫様は、このオペラの中で最も彼の内面に呼びかける役です。 私達が幼い頃に大人の魅力に惹かれた心、 言葉を交すことが出来なくて遠くでじっと見つめていた相手。 記憶の奥にいる『あの人』です☆
この公演に全神経200%注いで本番に望みます! 若い歌手達が、大きなチャンスを頂いて、歌手人生の一歩を踏み出せる公演です。 二期会歌手の原点となるニューウェーブオペラ、私達のチャンス、是非見届けて下さい!

19日・小さな老人/雨蛙役 新津耕平
小さな老人は、算数の精です。子どもが投げ捨てた教科書から現れます。きっと子どもは算数が嫌いなんでしょうね。子どもに算数を理解してほしいという気持ちが強すぎて、空回りする感じで演じています。
ちなみにスコアの配役表には他の役は役ごとにソプラノ、アルトなど声種が書いてありますが、この役は「トライアル」と書いてあります。挑戦ということでしょうか?
蛙は…蛙です。(笑)
優しい気持ちになれるオペラを届けられるようがんばります!
20日・小さな老人/雨蛙役 園山正孝
小さな老人は、奇怪な衣裳を纏いとにかく高音で意味の分からない言葉や数字、子どもを追い込みます!
ニューウェーブの溢れんばかりのエネルギーが一丸となって取り組んでいます。
どうぞご期待下さい。

19日・牝猫役 志岐かさね
エロチックな大人の愛の世界…
音楽が絡み合い…声が絡み合い…身体も絡み合い……、ニャーニャーニャッ…。
西洋音楽史上最高峰のリアルなネコになります。ニャーーーーーーッッッ。
20日・牝猫役 金田久美子
男女の愛を表現する牝猫です。
このオペラに関係した全ての方々と作り上げた作品になっていると思います。出演者一人一人の個性をお客様に楽しんでいただけたら、と思います。

19日・夜鳴き鶯役 飯生優子
夜鳴き鶯の声で、いっそう夜の庭の幻想的な空気が深まり、また、夕暮れから明け方にかけて鳴くという、「子どもの世界」とは対照的な存在でもあります。
ラヴェルのオペラ『子どもと魔法』は、まるで仕掛け絵本を1ページずつ捲っていくように、最後までワクワク、そして色彩豊かなとても美しい作品です。
ラベル独特の薄いガラスに触れる時のような繊細な部分も大切にしながら、合唱も含め、会場が夢の世界に染まるように精一杯歌いたいです。
20日・夜鳴き鶯役 佐藤優子
舞台後半、庭のシーンで登場します。薄暗い庭で不安な子ども。それとは相反して、夜の帳が下りるのを歓喜しているかように、明るく美しく、そして時にけたたましく超絶技巧の歌を奏でます。
今回、大所帯の公演ならではの一体感をお客様にも体感して頂きたいと思います。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。

19日・こうもり役 辻 由美子
子どもがずっと言えなかった「ごめんなさい」を、とんぼ・うぐいす・こうもりの出現によって、子どもに今までしてきたことの罪悪感や、反省を促すきっかけとなる存在だと解釈しています。
あまり上演されることがないオペラですが、今回すべての役にキャストがはいり、また合唱パートも歌います。
疑問や、納得いかないことは、皆で話合いを進めながら一生懸命このオペラに取り組んでいます!きっといい作品が出来上がると信じています!!是非、楽しみに観に来て下さい。
20日・こうもり役 田中紗綾子
妻を亡くし、たくさんの子どもを抱え途方に暮れるこうもり役です。
皆様がこのオペラを観ていらっしゃる時、子どもの頃の感情や、感覚、匂いをふと感じていただけるように、楽しかった事や嬉しかった事だけでなく、友達とけんかして母親に泣きついたことや、ベッドの中で死について考えて眠れなかった夜のことなど、様々な子どもの頃の感情が一瞬でもよみがえる45分間になるように、出演者一同、がんばってまいります。
きっと劇場でしか感じられない瞬間を、ぜひお楽しみください。

19日・りす役 清水多恵子
りす。子どもによってカゴに閉じ込められていましたが、なんとか自力でカゴから抜け出し庭に逃げました。
今回ご一緒するキャストの皆さんは本当に個性的で、またそれぞれの物や動物のキャラクターにピッタリで稽古を見ていてとっても面白いです。
私も皆さんに負けないように自分らしい可愛いりすを演じます♪
20日・りす役 香村寛子
籠から逃げ出したりすの役です。とっても可愛らしい衣裳を創ってくださいました!りすはりすらしく、俊敏に舞台を駆けたいと思います。
生きた舞台になるよう、全員でアイディアを出し合いながら稽古に励んでいます。
本番まであと少し、頑張ります!

19日・お母さん役 遠藤千寿子
お母さん役をやらせていただくにあたり、まず一番始めに思い浮かんだのは自分の母です。稽古していく中で、母の存在の大きさや懐の深さなどを役を通して改めて気づかされます。自分が子どもの頃の母との記憶をたどったり、自分だったらどうするかな、と妄想力を働かせながら、子どもとお母さんのリアルな関係を築きたいです。
20日・お母さん役 安本ゆか
子どもを取り巻く役の中で、お母さんだけが現実の世界を表しています。そういう意味でも大切な役だと思います。
どの役もキャラが強い役ばかりですが、それにも負けない個性溢れる歌手が織りなす笑いあり、感動ありのオペラになっています!
ラヴェルの世界を会場のお客様と一緒に楽しみたいです。

▼公演情報はこちらから!
二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『スペイン時間』『子どもと魔法』 - 東京二期会

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アンドレア・バッティストーニ来日!

2月6日、ついに、『ナブッコ』の指揮者アンドレア・バッティストーニが来日しました!
成田空港でスタッフに迎えられたバッティストーニは、いったんホテルに荷物を置き、すぐに稽古場へ。
ほとんど休む間もなく、音楽稽古を開始しました。
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「初めての日本で、皆さんと創造的な音楽活動が出来るのが大変楽しみです」
凛とした稽古場の空気に、今世界に羽ばたかんとする若きマエストロのタクトが振られました。
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初顔合わせとなったこの日の稽古は大成功!
ソリストも合唱も、一瞬にしてバッティストーニの指揮に魅了されてしまいました。
その力は、翌日のオーケストラ・リハーサルでも。
まさに「伝説」のスタートという雰囲気でした。

バッティストーニも、「日本でこんなすばらしい《行けわが想い…》が聴けるなんて、感動しました」「オーケストラからオペラへの愛が伝わってきます。すばらしい!」と、満足な滑り出しの様子。この調子で通し稽古、舞台稽古を重ねていけば、東京文化会館に間違いなく、バッティストーニのヴェルディが響き渡ることでしょう。
2月17日の開幕を、新伝説のデビューを、ぜひお楽しみに!

▼『ナブッコ』公演詳細はこちら
東京二期会オペラ劇場2月公演『ナブッコ』 - 東京二期会

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『ドン・ジョヴァンニ』の稽古場にご招待しました!

こんにちわ、ZENです。
先月公募していた東京二期会オペラ劇場11月公演『ドン・ジョヴァンニ』稽古場招待ツアー企画を、11月11日(金)、予定通り決行。24日・27日出演組の通し稽古をご覧いただきました。
当日はあいにくの雨。平日の夕方だし、もしかしたらけっこう欠席されてしまうかも…と思っておりましたのも杞憂。当選されたほとんどの方にお越しいただくことができました。

まずは音楽評論家の室田尚子さんによるプレ・レクチャー。一度もオペラを鑑賞されたことのない方もいらっしゃるので、出来る限り誰にでも分かるような「入門篇」バージョンでお願いしました。
そして、稽古場に移動して通し稽古を見学。もともと体育館なので、2階、といいますかキャッツウォークでの見学です。ご不便をおかけしました。劇場なら最高の特等席ですし、稽古場の臨場感が味わっていただけたのではないかと。
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演出グルーバーの「toi toi toi」で通し稽古スタート!
字幕も衣裳もオーケストラもない稽古ですが、舞台袖のスタッフの様子や、歌手のきめ細かい演技、ここぞというときの指揮者からの指示などもご覧いただくことで、オペラがどのようにして本番に向かっていくのか、その一端をご紹介できたのではないでしょうか。
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終了後、「本番が楽しみになりました」「演出が斬新でちっとも飽きなかった!」と喜びの言葉をいただき、感無量です。ご来場ありがとうございました。

▼白熱した稽古の、白熱のご感想は、ご来場者のブログをどうぞ!
二期会「ドン・ジョヴァンニ」稽古 - 豊玉南一丁目音楽研究所
二期会“ドン・ジョヴァンニ”通し稽古を見学しました-Allegro vivace
二期会「ドン・ジョヴァンニ」稽古場見学日記その1 / その2 - MOONAGE
二期会≪ドン・ジョヴァンニ≫稽古場見学 - ほうきぼし
二期会・ドン・ジョヴァン二への期待 - okujun blog 音楽のある風景のなかで

土日の残席が少なくなってきました。良いお席はお早目に!
チケットのお申込み・公演に関するお問合せは
二期会チケットセンター 03-3796-1831

 (月~金10:00~18:00、土10:00~15:00、日・祝休業)
 ※Web予約なら24時間受付、座席指定可能、しかも手数料0円!

『ドン・ジョヴァンニ』公演詳細ページをみる - 東京二期会オペラ劇場

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旬の女性演出家~ヨーロッパで大活躍のカロリーネ・グルーバーの魅力

東京二期会オペラ劇場11月公演『ドン・ジョヴァンニ』は、連日、緊張感の高い、充実した稽古をしています。
ライン・ドイツ・オペラとの共同制作になる本公演の演出、オーストリア出身のカロリーネ・グルーバーは、現在ヨーロッパでもっとも充実した活動をしている女性演出家と言っても過言ではないでしょう。
2005年には母国ウィーン国立歌劇場で、ホセ・クーラ主演でプッチーニの『妖精ヴィッリ』、ドレスデン国立歌劇場でハッセ作曲の『クレオフィデ』と次々に名門歌劇場での演出デビューを飾り、同年の「オーパン・ヴェルト」誌選定年間最高演出家にノミネートされました(00、03年にもノミネートされています)。
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ライン・ドイツ・オペラでは、今年1月にラモーの『プラテエ』を演出=写真=して好評を博し、11月の東京二期会オペラ劇場での新制作ワールド・プレミエに続き、来年2012年6月22日初日のデュイスブルクで『ドン・ジョヴァンニ』を演出します。
▼デュイスブルクの公演紹介はこちら
Wolfgang Amadeus Mozart- DON GIOVANNI (premiere) – Deutsche Oper Am Rhein (THEATER DUISBURG)
▼ライン・ドイツ・オペラ総裁のクリストフ・マイヤー氏のインタビューもご参考に。
「オペラを楽しむ〜《音楽劇場は国境を超える》」 - 東京二期会

来年1月には、ハンブルク州立歌劇場でライマンの『リア』を演出する事になっており、音楽総監督のシモーネ・ヤングの指揮との女性同士によるプロダクションが、ヨーロッパでは話題になっているそうです。
ハンブルクでのライマン『リア』公演情報はこちら - hamburgische-staatsoper

今回の『ドン・ジョヴァンニ』では、とにかく東京でワールド・プレミエを迎えるとあって、10月11日には日本の稽古に参加するという異例の長期滞在。盟友である装置家ロイ・スパーン氏、衣裳デザイナー、メヒトヒルト・ザイペル氏もほぼ同時期に到着し、万全の稽古体制で臨んでいます。
ザイペル氏による衣裳は、合唱のひとりひとりまですべてオートクチュール!
美しい舞台が期待されます。どうぞお楽しみに!
▼ワールド・プレミエの東京公演はこちら
二期会創立60周年記念公演 2011年11月『ドン・ジョヴァン二』 - 東京二期会オペラ劇場

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『フィガロの結婚』指揮デニス・ラッセル・デイヴィス来日

二期会創立60周年記念公演、東京二期会オペラ劇場4・5月公演、『フィガロの結婚』の指揮者デニス・ラッセル・デイヴィスがバーゼル交響楽団との4月6・7日(マーラーの交響曲9番がメイン)のコンサートを終え、バーゼルからフランクフルトを経て、そして臨時のソウルを経由し、4月9日(土)成田空港に到着しました。

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日本への渡航制限がかかっているオーストリアからの来日。欧州でも連日流されている震災の報道に、現代を代表する作曲家にしてマエストロの盟友、フィリップ・グラス氏から「君は本当にいくのか?」と心配されたそうです。
それでもマエストロは来日してくれました。
さっそく11日(月)は、1時~9時と『フィガロの結婚』の稽古に精力的に参加しています。
夜の稽古前の休憩に余震が起き、滞在するホテルのエレベータが止まりましたが、マエストロは落ち着いた様子で夜の稽古に参加しました。
その大いなる使命感に、私たちも感謝の気持ちでいっぱいです。
マエストロ・デイヴィスにとっては、今回の『フィガロの結婚』が日本での初タクトとなります。
マエストロの来日で、キャストたちも本番に向ける想いを確かなものにしたと思います。
どうぞご期待下さい!
▼公益財団法人東京二期会理事長メッセージ~東日本大震災によせて
「人の声には、心に語りかけ、魂に感動を与える力が宿っています」
▼公演詳細はこちら(予告ムービーupしました)
二期会創立60周年記念/東京二期会オペラ劇場『フィガロの結婚』- 東京二期会
2011年4月 28日(木)18:30
29日(金・祝)14:00
30日(土)14:00
5月 1日(日)14:00
東京文化会館 大ホール(JR上野駅公園口前)
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コンヴィチュニーの演出では、すべてのことが音楽から生まれるのです
~ヨハネス・ライアカー(《サロメ》舞台美術)インタビュー

   聞き手:森岡実穂、山崎太郎  
   ドイツ語通訳:蔵原順子

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『サロメ』舞台美術
ヨハネス・ライアカー
――ライアカーさんは、ペーター・コンヴィチュニー(ウィーン《ドン・カルロス》、ミュンヘン《トリスタンとイゾルデ》)、ガイ・ヨーステン(アントワープ《スペードの女王》、ライプツィヒ《トロイアの人々》)、クリストフ・ロイ(ロンドン《トリスタンとイゾルデ》)フィリップ・ヒンメルマン(ブレゲンツ《トスカ》)など、たくさんの第一線の演出家の方々と、それぞれに非常に強烈な世界観をもった、オリジナルな舞台をつくっていらっしゃいますね。

ライアカー 私は常に、それぞれの演出家、チーム全員といっしょに、それぞれの作品にとって大切なことを舞台であらわそうとしています。ご覧いただいておわかりだと思いますが、どの作品も違うアプローチ、違う作品になっています。どの作品にも共通する私の様式、私のスタイルというものがあるわけではありません。むしろ作品ごとにまったく違う世界になっているのは、作品が何をあらわしたいのかを重要視しているからだと思っています。
それぞれの作品の内容も違うし、劇場環境も違います。自分が知っていることをやろうというのではなく、むしろ知らないことをやろうという気持ちでそれぞれの作品に臨んでいます。それには演出家との緊密な関係が不可欠だと思っています。全く新しい目でその作品を見ようということを心がけています。

――コンヴィチュニーさんと一緒にお仕事をされていることもひとつの理由だと思うのですが、あなたは劇場全体を観客に実感として把握させるような、スケールの大きい装置を作られますね?
ライアカー とくにコンヴィチュニーさんとの作品ではそういうことが多いのですが、常にバロック以来、観客と舞台の間に暗黙のうちに存在する「第四の壁」を取り払おうということ、その壁を突き破り、聴衆に自分の存在をちゃんと意識させるというということを心がけています。最初にそれをかたちにしたのはベルトルト・ブレヒトでした。見えない壁を突き破ることによって、聴衆はあたらしい体験をすることになります。劇場というところでは、おおいに、観客との直接的なインタラクションがあってしかるべきなのです。そうやって壁を突き破ることによって、たぶん、戸惑いが生まれると思います。でも戸惑いとともに、作品を見る目もかわる。新しい視点で作品を見るようになると思っています。

――今日もまた新しい形で、ひとつ壁が破られたような舞台でしたね。
ライアカー 今回の《サロメ》という作品においてとても大切なことは、そこに登場する人物を、それぞれにあらかじめ与えられた物語から解放してあげることです。運命とはもう決まっているもので、人はそれに従わざるを得ないように見えるのですけど、そうではなくて、その運命に従わなくてもいいんだ、それぞれの人生というのは自分でつかむものであり、自分で自分を解放し、自分の主人になることができるんだ、そういう可能性を示したかったのです。
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――巨大で堅牢、そして舞台一杯につくられ外部のないシェルターの存在が、最後のカタルシスにとって非常に効果的でした。
ライアカー 完全に閉ざされた社会、まるで終末劇のように、そこから逃れるすべはない世界を描こうとしました。でも、強く望めば、自分の意思があれば、外に出る道はあるかもしれないのです。それは最終場面で現実となり、愛のほうが死よりも強いのだということがあらわされます。
ハイナー・ミュラーの作品『アルゴー船員たちのいる風景』の中に、「第三次世界大戦後のシェルター」というト書きのついたシーンがあるんですね。そういうシチュエーションをイメージして、外界はもう完全に崩壊しているけれど、そのシェルターの中で、外にあった昔の構造だけはまだ生き延びているという状況を想定しています。ちょっとベケット的な状況ですね。生き延びた最後の人間であるにもかかわらず、崩壊以前と同じように生きていてなんら変わっていない、もしかしたらもう地球最後の人かもしれないのに、やっていることは同じで、何も学んでいないということをあらわそうと思いました。
――この《サロメ》の舞台をつくるにあたり、演出家ほかのチームメンバーと舞台美術家との間ではどういう共同作業のプロセスがあったのでしょう?
ライアカー 私はいろいろな演出家と仕事をしており、その準備の仕方というのはそれぞれです。いろいろな方と仕事をすることで、新しいインスピレーションが得られます。自分自身の考えがあらたまることもあり、発想も豊かになるので、それはとてもいいことだと思っています。
とりわけコンヴィチュニーさんとの仕事というのはもう準備期間からして楽しくて、準備期間が全制作過程の中で一番楽しいと言っても過言ではありません。だいたい3、4日間、全員で一緒に音楽を聴くところからはじめて、歌詞を一緒に確認しながら、それぞれ自由に意見を述べます。本当にオープンに意見交換をして、その会話の中から徐々に「これはこういう風に舞台上で実現しよう」という方向性が固まってくる感じです。音楽や歌詞が何を言っているんだろうということを確認しながら進めて行き、そのうちその中から何かが生まれるという感じですね。
――今回、シェルターという装置は作品解釈の核となると思うのですが、それはどんな流れの中で出てきたのですか?
ライアカー この準備期間の会話の中では、皆がそれぞれ思いついたことをどんどん言ってもいいというのがすごく大事なんですね。時にはすごくばかなことも言うかもしれない、でもそこからなにかが生まれるかもしれない。どこかの時点で「なにかハイナー・ミュラーを思い出すよね」という話から始まったと思います。非常に音楽に力があるので、この音楽が醸しだす圧倒的なエネルギーを受け止められるもの、これに持ちこたえられる何かが必要だ、というところから、シェルターというアイディアが固まってきました。これほどの力を受け止めるには、ばらばらなものでは無理だと思うのです。点在している波止めブロックのようなものでは壊れてしまうでしょう。だから舞台全体を完全に覆い尽くすような形で、押し寄せてくる音楽の力にも十分持ちこたえられ、逆にそれを押し返すほどの強靭な何かが必要だ、というところから始まったと記憶しています。
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――今回の照明はマンフレッド・フォスさんですが、今回、照明が素晴らしい効果を上げているところをご紹介いただけますか?
ライアカー 特に、いま私たちがいる部屋のような現実の照明を模しているところと、非常にイマジネーションにあふれた部分の対比が一番注目してほしいところです。照明によって、突然まったく別の雰囲気が生まれます。たとえば「七つのヴェールの踊り」では、単なる通常の舞台照明だけではなく、左右から強い照明を当てることによって、ダ=ヴィンチの『最後の晩餐』を思わせる、表現主義的な影をつくっています。このアイディアは、最初から意識していたわけではないのですが、結果として、まさにイエスの「この中に私を裏切るものがいる」という言葉を聞いたときの弟子たちの驚愕が、皆の手の動きであらわされて、すごくいい絵になったと思います。
影の効果をうまく使っているところは、必ず音楽と連動しているところでもあるんですね。実は最初の案としては、明かりも徹底してずっと同じにしようかという話もあったんです。けれどそれではつまらないし、内容的にみても、音楽だってずっと同じトーンで進んでいるわけではないので、それはやはり音楽にあわせて変化をつけなければならないと思ったわけです。特に「七つのヴェールの踊り」というのは、突然それまでとまったく違う音楽になりますよね。それならやはり、視覚的にもそう見せなくてはならない。それで照明を変えようということになったわけです。
――動きにしても照明にしても、常にとても演出が音楽的です。
ライアカー まさにそれがコンヴィチュニーの強みで、彼のすごさというのは、まるで指揮者が曲を指揮するように、オペラを演出しているところだと思います。すべてが音楽から生まれているんです。

(2011年2月18日、 東京文化会館)
構成:森岡実穂
*ライアカーさんの舞台美術家としてのキャリアやお仕事内容など、このインタビューの続きを、2012年発売(予定)の「クラシックジャーナル 特集:ペーター・コンヴィチュニー(仮題)」(アルファベータ)でぜひご覧ください。
▼公演詳細はこちら。
2011年2月公演 R.シュトラウス『サロメ』 - 東京二期会オペラ劇場

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『オテロ』観劇後は、同名のワインで乾杯!

オペラの観劇後はどうお過ごしでしょうか。
最近は自宅でゆっくり食事をされる方が増えていますね。
公演初日までカウントダウンが始まった『オテロ』。
観劇後には、同じ名前のワインで余韻に浸るのはいかがでしょうか?
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「オテロ」とは、フランス語のシャレ(otez[オテ]=give up, L'eau[ロウ]=water)で、
*「もう水なんていらない!」→「だからワインを飲みましょう!!」*という意味が込められているとか。

▼ワインの詳細はこちら
OTHELLO(オテロ) - ワイン通販 エノテカ・オンライン

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『オテロ』稽古場リポート

連日熱のこもった稽古が行われている『オテロ』。
今日は2人のオテロに注目してみました。
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気迫溢れるオテロを演じたあとの福井敬。
演出・白井晃はさらに密度の高い表現を要求。
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休憩時間も話し合いが続く、白井とオテロ役・成田勝美。

▼『オテロ』公演詳細はこちらから
2010年2月公演G.ヴェルディ『オテロ』 - 東京二期会オペラ劇場

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マエストロ来日!

東京二期会オペラ劇場『オテロ』の指揮、ロベルト・リッツィ・ブリニョーリがいよいよ来日します。
二期会には'06年『蝶々夫人』『ラ・ボエーム』に続き3度目の登場。
巨匠ムーティの薫陶を受け、イタリアオペラの伝統を格式を備えたマエストロ。
来シーズンにはメトロポリタンオペラデビューも予定されています。
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手前はブリニョーリがタクトをとったミラノスカラ座・01/02シーズン「オテロ」のちらし。
イアーゴ役にレナート・ブルゾンでした。
▼『オテロ』公演詳細はこちらから
2010年2月公演G.ヴェルディ『オテロ』 - 東京二期会オペラ劇場

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お見逃しなく!お笑い芸人ナイツが『オテロ』の稽古場に潜入!
TOKYO MX テレビ「Tokyo Boy」にて放映

東京都の「今」を伝える情報番組「Tokyo Boy」の、今回のテーマは「廃校」。
かつて学校の体育館だった場所から、怪しい歌声が・・・!?
お笑い芸人のナイツが『オテロ』の稽古場に潜入、演出・白井晃や歌手たちに突撃インタビューを行います。ぜひお見逃しなく。
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収録の様子から:
ナイツ(右側2人)のインタビューを受ける、演出・白井晃(写真中央)
「Tokyo Boy」 TokyoMXテレビ(東京地区:デジタル9ch,アナログ14ch)
放送予定:1月31日(日)夜9:00~9:30(再放送:2月6日(土)夜11:30~12:00)
▼番組情報はこちら
TOKYO BOY - TOKYO MX オンライン
※放送局の都合により番組が変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
▼『オテロ』公演詳細はこちらから
2010年2月公演G.ヴェルディ『オテロ』 - 東京二期会オペラ劇場

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「オテロ」稽古場リポート!

三が日も開けて間もない今月初旬より都内某所に稽古場を移し、本格的な稽古が始まりました。
本番さながらの舞台装置を組み入れています。
何も無いフロアに・・・
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次々と舞台が組まれていきます!
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だんだんと形になって現れてきました。
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公演まで、残すところ1ヶ月とあとわずか。
本舞台に近い状態で試行錯誤を繰り返し、連日熱のこもった稽古が行われています。
ご期待下さい!
▼『オテロ』公演情報・チケットのお求めはこちらから
2010年2月公演G.ヴェルディ『オテロ』 - 東京二期会オペラ劇場

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オペラ国内共同制作(2) オペラの制作現場からーその25

 文化庁の先導モデル国内共同制作によるオペラ『カルメン』が、日本のオペラ史に新たな歴史を作りました。今回は兵庫県立芸術文化センターの佐渡芸術監督がプロデュースし、共同制作4団体が協力して制作を行い、出演者・スタッフもインターナショナルな規模で選ぶという、画期的なプロジェクトでした。兵庫と二期会で合同の合唱団を結成すると共に、少年少女合唱団は参加3団体が地元の合唱団を起用しました。そして全15回公演の大半で満席、残りも90%をはるかに超えるお客様で会場が埋まり、しめて入場者3万1千人という驚異的な結果をもたらしました。
 フランスでも活躍する佐渡裕の選んだ演出家は、パリオペラ座の総裁も務めた名演出家ジャン=ルイ・マルティノーティ。彼の卓越した演出力と出演者達一人一人への根気強いしかも厳しい指導によって、参加者全員参加によるドラマ作りとなって、自信溢れる舞台を作り上げたのです。
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        写真は林美智子の演じたカルメン ©小林孝良
 公演に漕ぎ着けるまでには、それぞれの参加団体が個別の要求を控えて一つの目標を設定するまでの膨大な議論と試行錯誤がありました。採用する楽譜も結果的にはセリフが入るオペラコミック版に部分的にギローの手が入ったレチタティーボ版(グランドオペラ版)を混ぜた上演となったのもその一つです。しかし、それらの全ての苦労は結果によって報われるということが証明されたわけです。一人一人の歌手達のレベルアップも著しいものがありましたが、我が国最高の舞台を目指すという目標がありますから、国籍や所属に拘らずオーディションを行い、佐渡芸術監督主導で歌手を選考し、結果的に今望み得る最高レベルの公演となったと思います。
 結局は、自分たちがやりたいオペラをやるというのではなく、どうすればもっとお客様に感動していただけるオペラが作れるのかを追求した取り組みに、はっきりと成果がついて来たということだと思います。
 オペラ公演をやりたいとお考えの団体にとって、経済的リスクを軽減する目的で共同制作を行おうとすれば、多かれ少なかれこのような準備作業が必要となります。それを大変と見て逡巡するか、その準備があったればこそ単独では為し得ない感動的な公演ができると考えるかによって、結果はまるで違ってくると確信しています。(常務理事 中山欽吾)

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「オペラ国内共同制作(1)」  オペラの制作現場からーその24

 平成19年度に記念すべき文化庁国内共同制作がスタートしました。正式には「文化庁芸術創造活動重点支援事業・舞台芸術共同制作公演」と命名されたこのプログラムは、初年度はパイロット事業ということで、神奈川県民ホールを擁する財団法人神奈川芸術文化財団と(財)日本オペラ振興会、日本オペラ連盟、東京フィルハーモニー交響楽団、東京文化会館など、芸術団体とホールを持ちオペラの自主公演を行って来た団体が、持てるノウハウを出し合って、『リゴレット』を制作上演しました。
 翌20年度には、滋賀県の財団法人びわ湖ホール、神奈川県民ホールと当財団の三者が基幹制作団体の日本オペラ連盟とチームを組んで取り組んだ『トゥーランドット』を制作上演しました。びわ湖ホールは9年間にわたってヴェルディオペラの本邦初演を続けた輝かしい記録を持ち、一方神奈川県民ホールは、数年にごとに邦人作曲家に委嘱して新作オペラを制作上演してきた、共に輝かしい歴史を持っています。
 単独では為し得ない舞台芸術の実現という目標に向かって、三者三様に蓄積してきたノウハウをまとめあげた成果は、百聞は一見にしかずの言葉通り、圧倒的な存在感の公演を実現することができました。演出を若手演出家のホープの一人、粟国淳に委せたことにより、イタリアの香りを残しながらも封建時代の中国を機械に支配される現代風奴隷社会に見立てたような、大型の舞台装置が迫力満点の舞台を現出しました。
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 このプログラムの重要な点は、制作側から見ると最終段階の立ち稽古を実際公演する劇場で練り上げることによる完成度の向上、それぞれの劇場単独では各2回の上演となるところ、4回公演を可能にしたことによる出演者達の練度のアップ、などが挙げられますが、観客側から見ると、助成額の上乗せによって、視覚上も単独では絶対に実現不可能な上演規模を実現できたことが挙げられるでしょう。
 今年度は二期会も参加した佐渡裕プロデュースオペラ『カルメン』が、この共同制作スキームで上演されますが、兵庫県芸術文化センターでの9回公演、愛知県芸術劇場での2回公演、二期会での4回公演を合わせて、何と15回のロングランが実現します。特定の指揮者の名前が前面に来ることになったのは、兵庫県芸術文化センターの芸術監督である佐渡氏をこの共同制作の芸術監督として、求心力のある制作を実現しようという参加団体の意志があるからに他なりません。
 このように芸術的に一貫した制作をするためには、それぞれ芸術監督をおく複数の団体での共同制作では、事前のコンセンサスが事業成功の重要な鍵になることを意味しています。(常務理事 中山欽吾)

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「国際共同制作(4)」    オペラの制作現場からーその23

 国際共同制作によって我々が得たものは、決して少なくはありません。しかし、先方にとっても共同制作は重要な選択肢になっているのです。今、欧州の歌劇場は厳しい予算難に見舞われていて、劇場運営のあり方が問われています。厳しい予算の中でいい作品を出そうとすると、観客の重ならない複数の歌劇場が共同制作をする方法が一番優れており、すでに欧州の歌劇場はこのような共同制作は恒常的に行われています。2個所だけではなく数カ所が組んでやっているケースも稀ではありません。
下はハンブルグ州立歌劇場との共同制作『皇帝ティトの慈悲』記者発表。前列右から演出のコンヴィチュニー、指揮のスダーン、後列右から公演監督多田羅迪夫、主役の望月哲也、林正子、林美智子、幸田浩子の各氏
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 計画が進んだ段階で、新たな劇場が参加を希望するケースも増えています。財政的に楽になるので、欧州の各劇場はお互いのネットワークをフルに使って情報交換をしているわけです。それに伴い契約内容もバラエティに富んだものになりつつあり、各団体の負担事項や参加団体での経費分担など、色々なケースの処理ができるようになりました。
 昭和音楽大学が前後7年間にわたって世界のオペラ事情に関わる研究を行い、筆者も研究員を務めましたが、その中で実際の共同制作契約の一例を紹介しています。例えば、かつら、履き物など、数百点におよぶ小物は、中には各劇場で汎用的に使っているものもあって、数ヶ月間日本に運ぶというわけにはいかない場合、我々が独自に調達するとか、演出による特有のものは、セットや衣裳とともに送ってもらうなど、きめの細かい作業が発生します。
 ドイツ人と日本人の体格の差も問題になることがあります。日本でもダブルキャストで同様の問題が起こりますが、1日で仮縫いをしてサイズを変えるようなことは当たり前の仕事です。しかし体格差がはるかに違えば、日本人専用の衣裳をあつらえる必要も出てきます。衣裳はまた使用後のクリーニングに至るまで細かい契約を作る必要があるのです。
 双方のオペラ制作のプロセスが全く違うことから生まれる様々な問題もあります。我々に不足している点や考え方を取得することもできましたが、一方で相手の歌劇場にとっても日本流のやり方は極めて新鮮に映ったようです。劇場に附属する装置・衣裳の工場を持つ欧州の劇場にとって、特に自前の工房も持たず、外注先とチームを組んでプロジェクトベースで行う日本の制作手法には目を見張りました。そのプロジェクトを現場で統括する舞台監督の活躍をみて、「神業だ!」とその手を握ったことが思い出されます。
 以上の他にも、欧州の州立レベルの歌劇場との共同制作は、日本にいて欧州と他流試合ができるという、願ってもない機会を与えてくれます。東京二期会では、今もコンスタントに海外の歌劇場との協力関係を続けながら、他のグループ、例えば自主公演をしているホールともグループを作って新たな共同制作の枠組みに取り組み始めています。次回以降にはその国内共同制作についてもとっておきのお話しをしたいと思っています。(常務理事 中山欽吾)

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「国際共同制作(3)」    オペラの制作現場からーその22

 国際共同制作はいいことばかりかというと、必ずしもそうとは言えないことも分かってきました。先方は新演出の初日を出したシーズンには少なくとも5、6回の再演を行うのですが、装置・衣裳を日本と共用しますので、船便で運び通関を通す期間を考えると、同一シーズンに両国で公演することは困難さが伴います。
 また舞台装置の工業規格が異なるので、公演回数の多い欧州の劇場内工房で製作するのが最も問題が少ないのです。 しかし、そうすると常に欧州側が初演をして、オフシーズンに日本に輸送して次のシーズンに日本公演という順番になります。向こうで出来上がったものを借りて来たと誤解を受けないためには、計画段階から準備に至るまでの双方の会議内容など議事録をとっておくとか、先方のプレミエのプログラムに「東京二期会との共同制作」と記載して貰う必要もあります。
 ハノーファー州立歌劇場との共同制作『さまよえるオランダ人』では、ベルリン在住の日本人演出家(渡辺和子氏)を起用し、日本でプレミエを出すことにしたり、二期会の出演者が先方の公演に出演したり、新たな試みも行いました。日本公演のために来日した先方の歌劇場総裁から「合唱のドイツ語がはっきり聞き取れるのには驚いた」などと高い評価を受けたことも記憶に残る思い出です。(下の写真は稽古場に組まれた舞台と演出家渡辺和子氏、下段に渡辺氏筆によるゼンタ、オランダ人の衣裳イメージ)
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 ただ、制作が実際に行われる年と、日本公演のシーズンが異なってしまうために起きる問題があります。日本公演の前年度に先方側の公演が行われるとき、まだ日本での文化庁助成認可が下りているわけではなく、リスクを全部我々が負った形で分担金を払い込む必要があります。その工面が大変なのです。それを無事クリアできたとして、実際の予算が認可されたときの為替レベルに差ができると、当然差損が発生するリスクが発生します。100%実現するか分からない状態では為替リスクのヘッジも難しく、不安の塊となっていきます。
 
 先に出ていったお金を支払えるだけの助成が出るかどうかは、上演シーズンの認可事項で決まります。年度のまたがるプロジェクトを認可する仕組みがないために起こる問題なのですが、十分な資金を持たない我々のような芸術団体にとって厳しい現実でした。このところしばらく中断しているのは、資金事情という背に腹替えられない問題があることも事実です。しかし、パートナーによっては、単独では制作できなかったものが実現するというプラス面に着目し、二期会側のリスクを配慮して、分担金の大部分を日本での公演年度に払い込むことを了承するケースも出てきました。これは確かな前進で、再び新たな共同制作を実現することも視野に入ってきました。
 今では、ドイツだけではなく欧州の他の国からも、複数の劇場から共同制作のオファーがあります。リスクを慎重に計りながら、再開できるよう検討を続けているところです。(常務理事 中山欽吾)

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「国際共同制作(2)」    オペラの制作現場からーその21

 前回に引き続いて、東京二期会が進めてきた国際共同制作の軌跡をたどります。『ニュルンベルクのマイスタージンガー』公演の成功をスタートに、翌2003年、ドイツのケルン市立歌劇場と共同で白紙から作り上げた『ばらの騎士』は、来日した現地スタッフによって、ケルン以上の出来と激賞されました。当時同劇場総裁だったギュンター・クレーマーの演出には賛否が分かれましたが、5年以上たった今でも色あせない、映像が心に刻み込まれて残っています。(下の写真は二期会公演からフィナーレのテルツェット:右より佐々木典子、林美智子、幸田浩子)
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 このケースでは、当方からR.シュトラウスの名曲『ばらの騎士』の共同制作を打診するところから始まりました。二期会オペラの観客から頂いたアンケートで常にリクエストの大きな演目であること、また東京二期会の先輩方がワーグナーの紹介を果たしてきた最初の50年の総括は『マイスタージンガー』としても、次の世代ではR.シュトラウスに取り組むという方針がありましたので、50周年記念公演の目玉の1つにしたいと、思いを伝えました。クレーマー氏は、最初「なんでそんな博物館にはいるような演目をするのか?」と冗談を言っていたのですが、「待てよ、ハプスブルグ当時の上流階級の最高の趣味はジャポニスムだったなあ」とつぶやき、来日して桂離宮を見学するに及んで、この共同制作の方向は定まりました。
 この公演の成功は、ドイツの他の歌劇場にもニュースとして流れ、2004年のコーミシェ・オーパ・ベルリンとの『イェヌーファ』、2005年のハノーファー州立歌劇場との『さまよえるオランダ人』、翌2006年のハンブルク州立歌劇場との『皇帝ティトの慈悲』と続く国際共同制作の嚆矢となりました。そのいずれもが二期会オペラにとっての記念碑的上演となり、公演の質的レベルを更に押し上げる起爆剤となったのです。
 しかし、一方で問題も浮き彫りになりました。先方とペースを合わせるためには、少なくとも3年前から準備を重ねる必要があります。作られたものを借りてくる公演と、共同制作が違う一番のポイントは、当方の計画が交渉先の新制作プランに合致していないとまとまらないことです。従って、先方のペースに合わせて枠組みがスタートするため、財政基盤の劣る我々のような団体には文化庁の助成が決まる前の先行投資という厳しい資金リスクに直面することになるからです。
 今までの交渉経験では、なかなか話しが合わずに試行錯誤することもありましたし、まとまりそうにない場合は、諦めて他の劇場を当たることもありました。しかし、二期会の日本での上演レベルが、来日スタッフから伝えられるようになって、最近ではむしろ先方からも誘いが来るようになってきました。これは、欧州のオペラ劇場が財政難となっていて、頻繁に共同制作が行われている現状と、二期会の実力が共同制作のパートナーとして認められたという両面の理由からでしょう。今では複数の劇場と接触を保ちながら双方の希望をマッチングさせるという、新たな段階に移行しています。
 このように、国際共同制作で成果を挙げることができたのも、それ以前のオペラ制作のやり方から思い切って海外との協業へと歩を進めたことが成功の鍵でした。この文化庁の目指したプログラムは、うまく活用すれば極めて大きな成果を挙げ得る画期的なものだったことが証明されたわけです。(常務理事 中山欽吾)

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「国際共同制作(1)」    オペラの制作現場からーその20

 しばらく〈オペラの制作現場から〉をお休みしていましたが、少し方向を変えたテーマで再開することにしました。よろしくお願いします。
 我が国のオペラは全国で年間千回以上も上演されているにもかかわらず、シーズン制をとって継続的に公演を続けているのは東京の新国立劇場だけという状況です。各都市の中央にオペラ劇場があるオペラ発祥の地欧州のそれとはかなり様相を異にしています。その日本流のやり方を現実としてとらえて、よりよい姿に磨き上げるという発想を持ったのは、オペラとは全く関係のない世界から入ってきて、民間のオペラ制作団体の窮状を実感したからに他なりません。永年の慣習の中で確立していた専門家集団との協業といういわばプロジェクト的な方式は確立していました。しかし財政的なリスクの軽減、オペラの完成度の向上など、団体として目指す方向性ははっきりしているのに、その手段についてはそこ止まりだったのです。これから何度かにわたってお話しするのはそんな状況からのブレークスルーを目指した活動に関する悪戦苦闘の軌跡です。以後何度かにわたって、その軌跡をたどってみましょう。
 二期会では50周年記念公演シリーズを制作した頃から、海外のオペラ劇場と共同制作を進めてきました。その大きな動機は、文化庁が日本のオペラをより大きな視野でレベルアップする方策を模索する中で実現した助成システムがスターとすることが発表されたからでした。2002年の『ニュルンベルクのマイスタージンガー』は二期会50周年の目玉演目でしたが、単独で取り組むには余りにも規模が大きくリスクがありました。そこで、この文化庁の枠組みによる海外との共同制作に着目し、欧州の数劇場と接触を試みました。最終的には、過度にドイツ的ではなく衣裳・装置もユニバーサルな演出のベルギー王立歌劇場(モネ劇場)に決まり、モネ劇場スタッフまで巻き込んだ、同劇場にとっても大規模な再現上演となりました。当時モネ劇場の総裁はオルガニストとしても著名な芸術家であるフォックロール氏で、少し前に文化庁の招聘で来日されたおりに二期会にも来訪されて、お互いに将来の協力について前向きな会話を持っていたことも、この共同制作決定に至る重要なステップとなっており、全面的なモネ劇場の協力を取り付けることができたのです。
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  二期会創立50周年記念公演『ニュルンベルクのマイスタージンガー』フィナーレ(2002年)
 休憩時間を入れて6時間に及ぶ巨大なこのオペラを日本人のみの出演で実現したことによって得られた果実は計り知れないものがあり、共同制作の意義がはっきりと認識できたのです。東京文化会館の本公演の前に、横須賀芸術劇場のご好意で、同劇場の舞台を使って十分の完成度になるまで準備できたこと、特に総勢150名におよぶ出演者達の乱闘騒ぎのシーンでは、モネ劇場の演出部から派遣されたスタッフによる周到な稽古によってダイナミックな動きが実現し、大舞台の成功に結びつけることができたのでした。(常務理事 中山欽吾)

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歌手の声質 ー オペラの制作現場からNo.19

  しばらく「オペラの制作現場から」のテーマでのブログ投稿を怠っていました。また、少しづつ書き続けていきたいと思います。最初にもお書きしたように、このシリーズの主旨はオペラの舞台の表・裏で進むいろいろなトピックスを、折に触れてご紹介するというものですが、さぼっている間にもオペラ制作はずっと進行しており、今は、日生劇場開場45周年記念公演『マクロスロス家の事』の立ち稽古が佳境を迎えています。
 今日の話題は「歌手の声質」、すなわちソプラノ、メゾソプラノ、アルト、テノール、バリトン、バスという大きな意味での声質に加え更に踏み込んだ分類について触れたいと思います。オペラの演目で要求される声は、その役柄に応じた声質が要求され、強さによる区分け、歌唱テクニックによる分類などが加わります。レッジェーロ、リリコレッジェーロ、リリコ、リリコスピント、スピント、ドラマティコなどという一連の区分けや、声の強さばかりでなく、スーブレット、コロラトゥーラなど声の性格で区別することもあります。
 スーブレットはフランス語で「お手伝い」や「利口で抜け目のない小娘」といった意味を持つように、充実した明るい中音域を持つレッジェーロやリリコレッジェーロの声で、生き生きと歌うことが要求されます。一方、コロラトゥーラは早い修飾を持ったパッセージを高度な技術で歌いこなすことが要求されます。一般に超高音での装飾唱法が多いのですが、アジリタといわれる唱法では超高音に限らず、ロッシーニのオペラに多い短い音符で書かれたパッセージを正確に歌うことも広い意味でのコロラトゥーラの技法です。
 スーブレットとは古いフランス語で「小間使い」や「はすっぱできびきびして、ずるい企みなどをする小娘」を表していることばで、『ドン・ジョヴァンニ』のツェルリーナ、『コジ・ファン・トゥッテ』のデスピーナなどがそれに当たります。コロラトゥーラとは装飾音のついた高音の早いパッセージなどを歌いこなすことが要求され、『魔笛』の夜の女王、『ナクソス島のアリアドネ』のツェルビネッタなどが典型的な役柄です。
 テノールやバリトンにも同じような分類がありますが、ヘルデンとよばれる極めて強い声が要求されるオペラがあり、ワーグナー、ヴェルディ、R.シュトラウスなどのオペラにその役が出てきます。ヘルデンとは英雄的という意味で、『トリスタンとイゾルデ』や『オテッロ』などで要求される声質です。
 日本人歌手はその特性としてレッジェーロやリリコレッジェーロ、つまり明るく軽い声が多かったと長い間言われてきました。しかし最近は、強い声を得意とする人も多くなり、リリコや、さらにはヴェルディやワーグナーのオペラで要求されるスピントでも、かなり充実した陣容が揃うようになりました。これは戦後の栄養状態,特に蛋白質の摂取状態の好転によって体格のいい子供たちが多くなったように、声帯も強い声を出す力が備わってきたとともいわれますが、それだけではなく、多くの歌手たちが比較的簡単にヨーロッパに留学するようになり、そこでしっかりしたメソッドでテクニックを身につけることができるのようになったのも、大きな変化ではないでしょうか。
 一人一人の声を聴きながら、以上のような声の特徴を知った上で役柄を考えるのはプロデューサーや芸術監督の重要な役目です。しかし選ぶ人の主観によって各出演者間の声のバランスやアンサンブルを考えていくわけで、なぜこの役をこの声で?と考えてみるのも、オペラ鑑賞の楽しみの一つだと思います。(常務理事 中山欽吾)

 
 

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『トゥーランドット』記者発表開催さる

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 びわ湖ホール、神奈川県民ホールと当財団との共催オペラ『トゥーランドット』がいよいよ来春に迫り、この10月28日と29日、それぞれの開催地で記者発表が行われました。
 今年2月および3月に公演が行われた、三者による共同制作第1回目の『ばらの騎士』は、演出家ホモキ氏の見事なドラマ作りが、音楽監督の沼尻氏による大阪センチュリー響(びわ湖)と神奈川フィル(同県民ホール)の名演と相まって、観客に深い感動を与えました。
 そして来年度の『トゥーランドット』は、文化庁による芸術創造活動重点支援事業(舞台芸術共同制作公演)に指定され、日本オペラ連盟も参加した一歩踏み込んだ取り組みとなります。
 さて、神奈川県民ホール側の発表会は銀座並木通りの三笠会館、びわ湖ホール側は大津の同ホール講義室において、出席を頂いた関係各記者に説明が行われました。出席者は本プロジェクトの指揮者を務めるびわ湖ホールの沼尻芸術監督、同ホールの井上館長、一柳神奈川県民ホール芸術総監督、演出の粟国淳氏、共催の日本オペラ連盟から草壁常務理事、そして二期会側からは栗林理事長が海外出張中のため小職がその役を務めさせていただきました。
 出演者では、東京でカラフ役の福井敬、トゥーランドット姫役の横山惠子、びわ湖ではトゥーランドット姫役の並河寿美が出席して華を添えました。
 本公演の指揮をとる沼尻氏は、「びわ湖ホールにおける公演は、これまで20世紀のドイツ系オペラの傑作を中心に上演してきたが、今回はイタリア系の20世紀オペラを取り上げることになった。このオペラは『サロメ』より今に近い時代に作曲されていて、ステージとピットが一体となってドラマが進行する面白さがあります。」と述べる一方、演出家の粟国氏によれば、『プッチーニがこのオペラを作った1926年には、フリッツ・ラング監督が『メトロポリス』という映画を作っているなど、時代にエンターテインメントとしての新しいテンポ感が出てきたことを作曲家自身も意識していたと思われ、オペラ作りも今までとは違うという思いがあったのではないか。だから、リューの死以後の作曲ができなかったのは、作曲家の死までの時間を考えると今までとは違う凄いグランドオペラを考えて筆が止まったのではないかとの解釈もあり得る。」と述べ、作品への期待はいやが上にも高まってきていることを強調しました。(財団常務理事 中山欽吾)

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コンヴィチュニー登場で『エフゲニー・オネーギン』の稽古ますます佳境に入る

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            コンヴィチュニー氏(右)とアニシモフ氏(左) ©広瀬克昭
 去る8月1日から始まっている立ち稽古は、当初ライプツィッヒ歌劇場第一演出助手のヴェレーナ・グラウプナー女史によってスタートしましたが、コンヴィチュニー氏が指揮者のアニシモフ氏とともに登場したことでますます活気を呈しています。顔見せ当初、出演者全員に演出意図を詳しく説明したあと、一通り全体を通すように指示。終わって最初のひと言が「来なくても良かったようだ」。しかしそれがジョークであることはすぐに分かりました。「指示されたとおりに動くのは操り人形と同じ。自分の意志で動くことが大切だ」とコメントして、早速各場毎にきめ細かいダメ出しをして行きました。
 一動作ずつ区切って、最初は皆に任せてやらせてみて、いいところは大きな声と動作で素晴らしいと誉め、演出家の意図と少しでもずれていれば、その場の人間関係とそれぞれの人物の感情や相互の関係を歌手と確認しながら、何度も確認しながら修正していくのです。驚いたことに、そうする内に皆の動きは魔法をかけたようにみるみる生き生きとしてくるのでした。
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 稽古が終わり、マエストロ・アニシモフから、「色々な国でロシア語のオペラを振ってきたけれど、このチームが一番ロシア語になっている」とコメントがあり、声楽家出身の山下健二氏による言語指導が如何に優れたものかを全員が納得することとなりました。
 オリジナルの演出は、日本人出演者の持ち味を生かしながら新たな進化を続けており、本番まで3週間残した現時点での充実した稽古を見ていると、本番ではどんなすごいものが出てくるのかと、期待が膨らむ毎日です。(常務理事 中山欽吾)

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「演出とドラマトゥルグ」  オペラの制作現場からーその18

 最近のヨーロッパでは、新演出でいわゆるト書き通りのオーソドックスな舞台が作られることはまずありません。それどころか、時代設定も話の筋を変えてしまうことすら日常茶飯事です。たまに古い制作の舞台が残っていて再演されることもありますが、それを見てホッとされる方もいる一方で、なんて古いんだ!とがっかりされる方も多いようです。
 同様に、新演出を見て、「何がなにやらさっぱり分からない」と首をひねったり、「でたらめだ!」と怒るお客様がいる半面、演出家の新しい試みに心を振るわせて感動される方も確かに存在するのです。ヨーロッパでは、各地に劇場があって、何百年もかけてオペラを上演してきた歴史がありますので、このような変化に対する許容度は日本よりははるかに高いということもいわれていますが、この新しい傾向は最も保守的という折り紙付きのMETでもすでに顕著となっています。
 劇場にはドラマトゥルグというポストがあり、オペラに熟知した専門家がその任に就いていて、脚本家、作曲家がそのオペラをどのような背景で作り上げたか、その時代背景など、緻密な考証を行っています。一般的にいえば、ある演目を新制作しようと計画すると、まず劇場のトップ(インテンダント)がオペラ部門の部長、ドラマトゥルグ、音楽総監督と討議しながら、どのような方向性で作るかを決め、その方向に沿って演出家を起用していくことが多いようです。
 演出家の傾向は、過去の実績からおおよそは判断できますから、その時点でほぼ制作の方向性は決まったと言っても過言ではありません。ただし、あとは任せっきりというわけではなく、オリジナルを熟知した上で、それを読み替えていくという制作プロセスで、ドラマを再構築する膨大な知的作業が行われます。これがオペラという400年の歴史を持つ総合芸術を現代社会に活着させるエネルギーとなっていることは見逃せない事実です。
 最近、新国立劇場で上演された『軍人たち』を演出したのは、4年前に二期会がベルリン・コーミッシェ・オーパと共同制作した『イェヌーファ』の演出もしたウィリー・デッカーですが、まるで表現方法は違っても、底を流れる「舞台上のダイナミズム」ともいうべき、登場人物間に繰り広げられるドラマの表現方法に共通点を見いだして、鳥肌が立つほど興奮しました。
 このような実験的な表現を、それを知らない観客の皆様にお金を払わせてでもやるのはおかしいという意見もお聞きする一方で、博物館に入れるようなものは期待しないというお客様もいらっしゃって、我々はチャレンジとオリジナリティの間をいつも行ったり来たりの試行錯誤を繰り返しています。それによって生まれてくる何かを期待して。(常務理事 中山欽吾)

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「香盤と稽古スケジュール」  オペラの制作現場からーその17

 どの世界でもその道のプロにしか分からない言葉が沢山あります。舞台芸術における「香盤」もその一つでしょう。碁盤目の表で、縦軸には出演者の名前、横軸には舞台の場が書いてあり、それぞれの出番の桝目に丸印が付いているものです。座禅をする際に時間を計る線香を立てた盤に似ていることから生まれた言葉といわれています。今回はこの「香盤」とオペラの稽古についてのお話しです。
 オペラの立ち稽古では、指揮と音楽に合わせて歌うきっかけ、動くきっかけを覚え、相手役との絡みを身体で覚えていくので、出演者が揃わないとさまになりません。ところが我々のような民間のオペラ団体では、教職などに就いている歌手も多いので、あらかじめ出して貰った稽古出欠表と香盤を見比べながら稽古日程を決めて行かざるを得ません。稽古期間を通じて、全体を穴がないように仕上げるために、あらかじめいつ誰々がどの場の稽古をするか決めるのはパズルにも似た結構緻密な作業を要求されます。
 しかも長丁場の立ち稽古では、演出家の注文で一カ所を繰り返し稽古したり、動きそのものを変更することも少なくありません。勿論指揮者の要求による追加の音楽稽古もあるので、稽古日程の修正は頻繁に行われます。毎日午後9時に稽古が終わったあと、舞台監督、演出助手、副指揮、制作担当者が集まって変更点に沿って稽古表を修正し、その内容は直ちにファックスやメールで出演者達に連絡されます。
 理想的とはいえない条件下でも、必要十分な稽古を積むためには、手抜きをせずにこのような試行錯誤をきっちり積み重ねることが要求されるのです。こうして本番2週間前になると、全体を見ながら作り込んでいく通し稽古に入ります。ここからは出演者全員が完全拘束体制で完成度を上げていき、歌付きオーケストラ稽古で音楽面での確認が終わると、いよいよ会場の舞台で総仕上げにかかります。
 まず、音楽抜きで稽古場での動きを実際の舞台上で再現して、立ち位置や動きを把握する「場当たり」を済ませて、舞台でのピアノ付き通し稽古に移行します。ここでは舞台監督が舞台進行の最高責任者です。舞台の袖に陣取り、香盤とスコアを睨みながら、トランシーバーによって舞台への出入り口に配置された舞台監督助手に指令を出し、待機した出演者にキューが出されていくのです。「香盤」は舞台に穴を空けないためにもなくてはならないものなのです。(常務理事 中山欽吾)

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「二期会の流儀」  オペラの制作現場からーその16

 オペラの制作なんてどの団体でも似たり寄ったりだろうと思われる方も多いでしょうが、様々なプロダクションで出演経験のある歌手に聞いてみると、それぞれ個性があるようです。
 最近公演した『ナクソス島のアリアドネ』のプロローグでは、勿論劇中のことで大げさに描かれてはいるのですが、高慢で自己主張の強いプリマドンナや、テノール歌手が現れ、音楽教師や作曲家と丁々発止のやりとりが行われ、笑ってしまいます。多くのイタリアオペラでは、少数のスター歌手のアリアで全てが決まってしまうようなところがあるため、主役が特別待遇ということもあるでしょう。
 ご承知のように二期会の自主公演は出演資格を原則として二期会会員(準会員を含む)に限定しています。ですから、オーディションでの熾烈な競争があったにせよ、選ばれた歌手達は稽古場では皆対等です。最近の公演では、ドラマを重視する演出家が厳しい注文を出すのが当たり前になっているだけに、主役だからといってうかうかできません。1か月以上続く長丁場の稽古で、若手歌手達は自分たちと同じ目線で頑張る先輩の姿を見て、稽古に対する姿勢を学んでいきます。
 つまり、このチームワークの良さが《二期会の流儀》といえるでしょう。アンサンブルの良さということもできるでしょう。海外から参加する演出家や指揮者にもこのような現場の空気はすぐ分かるようです。例えばダブルキャストの稽古でも、チーム交代の休憩時間に次チームに今習った動作を申し送りする光景を見て、彼らは一様に、「休憩中に稽古をするなんて!」と驚き、「ダブルキャストで1か月の稽古では無理!」と断言していた演出家も、稽古終盤に向かってどんどん上がっていく歌手達のテンションをみて、公演のあとには「また一緒にやりたい」という発言になっていきます。
 『皇帝ティトの慈悲』に続いてコンヴィチュニーとともに『エフゲニー・オネーギン』を制作することになったのも、このような経験抜きには語ることができません。洋の東西を問わず、芸術家同士の真剣勝負は多くの果実を生みます。それがやがて歌手達自身の、そしてグループ全体の血肉となって進化していくのだと思わずにはいられません。(常務理事 中山欽吾)

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「ムジークテアター」  オペラの制作現場からーその15

 ベルリン・コーミッシェ・オーパは旧東独時代から原則全てのオペラをドイツ語で上演してきた歴史がありますが、その劇場を第二次世界大戦直後に創設したのは演出家フェルゼンシュタインでした。その彼が唱えたのがこの言葉です。彼は最低でも8週間の立ち稽古を行い、人間ドラマを完璧に表現できるまで徹底的に歌手達を鍛え上げたのです。この劇場でフェルゼンシュタインの助手として直接薫陶を受けた日本オペレッタ協会の寺崎裕則会長によれば「歌芝居」という表現になりますが、その著書「音楽劇の演出」には、それまでのオペラを「装置衣裳付き独唱会」としたフェルゼンシュタインの演出哲学が詳しく述べられています。〈従来の、「耳と目の悦楽」に新たに「心」を加えた。「心」とは演劇的な面、ドラマの部分である。観客は、オペラに「耳と目の悦楽」の他に、「心」の悦楽があることを知った。〉とあります。
 二期会は、創立50周年記念事業を契機にして幾つかのドイツの歌劇場と国際共同制作に取り組みました。これらのプロジェクトで起用した演出家は何れも欧州でも有数の評価を得ており、しかもこのドラマ重視の流れを組んだ方々だったため、我々は二期会オペラの制作を通じて期せずしてムジークテアター流オペラ制作を経験できました。これは我々にとって極めて重要な経験でした
 来日した演出家に共通していたのは、歌っている人は勿論ですが、その歌を聞いている相手の歌手がその歌にどう反応するかの表現こだわったことでした。ドラマは二人のダイアログが基本だというわけです。2分間のシーンに2時間以上をかけるのは珍しいことではなく、何度も繰り返して根気よく稽古をします。演出家自身が演技をやってみせるのですが、それを真似するだけとダメがでます。自分独自の身のこなしが反射的にできるようになるまで作り込んでいくのです。歌手は本来役者ではないので、このような訓練を受けて初めて身体で感情を表現できるテクニックを身につけていきました。
 稽古を繰り返す度に歌いながら演技をしますから、当然毎回フルヴォイスで歌うことはできません。ところが、演技のテンションはぎりぎりまで上げ、声を抜くというのは簡単なようで難しいテクニックです。身体までテンションが下がってしまうと、演技も緊張感を欠くことになります。できるまで何度も繰り返すことで、身体コントロールで集中度を上げていく濃密な稽古が、こうして1か月以上続くことになります。ただ厳しいだけではなく、演出家が目指すドラマの表現に達するまで、妥協することなく仕上げていくことの大切さを、参加した全員が共有できたことが大きな収穫だったわけです。
 このようにして出来上がった舞台は、観客の心をとらえて放しません。そこまでいけば、ドラマの時代背景が現代に変わっても、舞台装置が抽象的なものに変わっても、十分に成り立つだけの緊張感溢れるドラマが展開するムジークテアターが現実のものとなるのです。 (常務理事 中山欽吾)

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「楽譜を選ぶ」  オペラの制作現場からーその14

 ある演目のオペラ上演を計画する際、どのプロダクションでも同じ楽譜で上演するわけではありません。楽譜には色々な版が存在するからです。今回はその裏話をお話ししましょう。そんなの常識だと仰せのファンの方は、しばらく目をつぶっていてください。
 かつては、オペラの興行師が作曲家に依頼してオペラを作ることが多かったので、例え初日を開けても不評であればどんどん変更を要求し、人気歌手の技巧に合わせてアリアを作曲させて挿入したりと、随分生臭い話しがあったようです。時代や劇場の性格に応じて、セリフを入れた版とレチタティーヴォといわれる歌唱でアリアをつないでいく版が両立しているケースもあります。さしずめ「カルメン」はこのケースで、パリのオペラ・コミークでの上演を前提に作曲したビゼーのオリジナル版は当然セリフ入りのものでしたが当初不評でした。初演後まもなくビゼーは死んでしまって、代わりにギローがレチタティーヴォ版を作り大ヒットしたことはよく知られています。
 古いオペラでは、スコアが部分的に欠落したり残っていなかったりするケースがあり、後世の研究によって補完されたり、前記のような度重なる改作の中から決定版として出版したりすることも稀ではありません。複数の版があると、どれを選ぶかが問題となり、制作する側のこだわりとなります。
 一方、作曲された時代のオペラの上演環境もあって、4時間を超える長大な曲も多く存在します。現在は、途中カットして休憩込みで3時間半程度にすることが広く行われていますが、一方で無削除版と銘打って全曲完全上演を目指す動きもあり、観客にとって選択の幅は広がっています。このようなことが行われるのは、オペラは完全無欠の音楽というより、歌と音楽の力によって人間ドラマをはるかに説得力のあるものに変えていくという性格があるからですし、前述のように色々な版が並列で存在するという事情もあるのです。
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                  撮影 鍔山英次
 二期会ではモーツァルト年の2006年に日生劇場で「コジ・ファン・トゥッテ」(上記写真参照)を上演しましたが、この時は通常はカットされることの多いフェランドのアリアを演奏したのです。姉妹の恋人が変装して、それぞれ別の方を口説くという筋で、このシーンは最後まで抵抗していた姉のフィオリディリージがこのテノール泣かせの長大なアリアを聴く内に遂に陥落するという部分で、そのアリアを聴きながら彼女が悩みに悩む様子が演出の宮本亜門によって活写され、ドラマとして圧倒的な説得力を持ったことを思い出します。(常務理事 中山欽吾)

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オペラ劇場仕様の話し(2) 「ホールの響き」 オペラの制作現場からーその13

 クラシック音楽でホールの響きがどれだけ大切かは、例えばウィーンの楽友会協会ホールやニューヨークのカーネギーホールの名前を挙げるまでもなく、強調してもし過ぎることはないでしょう。中でもオペラは舞台上で歌う歌手達とオーケストラの掛け合いがその醍醐味ですから、舞台前面のピットから上部に向かって響いてくるオケの音に対して、舞台上の歌声をうまく乗せて、ホールの残響特性によって美しい響きにすることが大切です。
 舞台の上で歌う声は歌手のテクニックによって、例えピアニッシモでも遠くに飛ばせることができます。しかし、その途中で、床や舞台装置の壁でうまく反響し、オーケストラ・ピットから出てくる音と共鳴しつつ、更に会場の側壁や天井で色々な角度に反射して、シャワーのように客席に降って来ます。よい劇場と言われるホールは、様々に反響する音が直接飛んでくる音とお互いに重なり合っていく、ホールに特有の残響(ホールトーン)がバランスの取れた心地いい響きになっているわけです。
 舞台上でも、奥の方で歌う声は天井部分が吊りもの(舞台装置や布製の背景)を格納するフライタワーになっているので前に飛び難く、人の動きが激しくなった最近の演出では、できるだけ多くの席からオーケストラとバランスしたよい響きが聴けるように、背景や天井をしつらえた舞台装置で、舞台奥で横を向いて歌う場合でも、反響を含めた音量で客席に声を飛ばす工夫が行われています。
  舞台稽古での最終段階では、客席の各ポイントで音楽のバランスを確かめて、歌う位置やオケピットの深さを微妙に変えたりして音響バランスの調整をします。それでも、ごく稀ではありますが、どうしても舞台上の異なる場所で歌う声のバランスが取れないような時に、弱い場所の音を拾って響きを補強することがあります。できるだけ多くの客席から音楽を楽しんでいただくための、芸術表現として許されるぎりぎりの総合調整の一環といえるでしょう。(常務理事 中山欽吾)

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『ナクソス島のアリアドネ』立ち稽古始まる

%E3%83%8A%E3%82%AF%E3%82%BD%E3%82%B9%E7%A8%BD%E5%8F%A42.jpg この5月28日、待望の立ち稽古が始まりました。演出の鵜山仁氏は新国立劇場の演劇部門芸術監督の多忙なスケジュールの中を、これから公演の始まる6月26日に向けて、満を持して新演出に取り組みます。
 この日、稽古に先立って関係者が芸能花伝舎稽古場に集合、出席者の紹介、栗林理事長からの挨拶に続いて、演出家の挨拶があり、2005年の『メリー・ウィドー』以来久しぶりに二期会オペラの装置を担当する堀尾幸夫氏から舞台装置の説明、二期会初登場の衣裳美術家原まさみ氏から衣裳の説明などと続き、両キャストの見守る中を早速一幕から稽古が始まりました。
 稽古場には実物大の装置のモックアップが組み立てられ、このオペラの劇中劇という条件を、いかに東京文化会館で再現するのか、これから演出家とプランナーの秘策が徐々に明らかにされていくことになります。写真は左から演出助手の澤田氏、演出家の鵜山氏、作曲家役の谷口、小林の両氏。

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「オペラ劇場仕様の話し(1)」 オペラの制作現場からーその12

 ここ十数年の間に続々と建設された本格的なオペラ劇場仕様のホールは、特に多面舞台であること(舞台の上手、下手、奥に舞台と同じサイズのスペースが設けられているのが4面舞台)と、ホール自体の残響時間がオペラ上演に最適な設計となっていることが挙げられます。日本の多面舞台ホールは世界でも最先端の設備を持っているとさえ言われています。
 誤解をしていただきたくないのは、多目的に使われる各地のホールにも、設計段階から様々な工夫がなされ、素晴らしいオペラ上演空間のところが沢山あることです。会場の仕様を理由にオペラをやらないことはまずあり得ませんし、実際私たちの団体も永年全国各地の「本格的なオペラ劇場仕様ではない」会場で公演をしてきましたし、今後も変わることはありません。
 では、多面舞台と音響の意味するところは何なのでしょうか。今回と次回の2度に分けてお話しすることにしましょう。まずは多面舞台のホールからですが、平面図を見ると客席部よりむしろ舞台の方が大きく感じるほどの床面積を持っていて、各幕の舞台装置を右や左や奥から次々に出して来るには至極便利です。しかし、本来の意味合いは連日公演を続けるオペラ劇場にとっての作業の利便性です、つまり公演が行われていない時間帯には次の演目の稽古をやるための舞台装置が組み立てられ、終わり次第その夜の公演のために別の装置を仕込むといった。ですから幕毎に舞台装置を入れ替えるオペラでも、段取り次第で多面舞台を持たないホールで十分に上演が可能だというわけです。
 ちなみに、ヨーロッパの有名歌劇場でも完全な4面舞台がない例があります。年間に300回の公演を行っている二つの歌劇場のうち、ウィーン国立歌劇場では下手側の奥行きが舞台の半分くらいしかなく、バイエルン州立歌劇場では片側の袖は通路だけ、平面図を見ると田の字です。
 日本が世界に誇るホールをできるだけ多く活用するためには、単独では予算の制約がある複数のホールや制作団体が協力して、制作自体に多額に費用がかかるオペラを1回でも多く公演することも大切です。その意味でこの2月と3月、びわ湖ホール神奈川県民ホールの共同制作になるオペラ『ばらの騎士』の成功は、二期会が制作団体として協力(共催)させていただいたことも含めて、今後に大きな示唆を与える画期的なプロジェクトだったと思います。(常務理事 中山欽吾)

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「原語上演」  オペラの制作現場からーその11

 オペラを作ると言っても大変な時間と手数がかかります。今回はその歌詞についてお話ししましょう。歌手達は出演が決まればそのプロダクションで指定されている楽譜の譜読みから始め、やがてコレペティトゥアによる音楽稽古に続いて、複数の出演者達によるアンサンブル音楽稽古まで済ませた時点で立ち稽古に移ります。この段階で音楽と歌詞が頭に入っていることが要求されます。
 昔の二期会公演だと日本語訳詞上演が普通でしたから、自分の歌う歌詞も、相手役の歌っている内容も分かりましたが、1986年頃から字幕付き原語上演が増えて行くにつれて、原語指導が必要となってきました。オペラ歌手を目指す人たちにとっては、イタリア語、ドイツ語は上演頻度が高いためにある程度基礎的な素養が付いてきますし、特定の国のオペラを歌うために平素からその国の言葉を勉強している歌手もいます。しかし、それ以外は公演の都度覚えて歌わなければなりません。オペラがドラマである以上相手役の歌っている内容を理解しなければ、その歌に対する自分の反応を返すことはできませんから、何語で歌うにせよドラマの内容理解を深めることは演技を深めていく前提となるわけです。
 今年度に予定している二期会オペラをみると、『ナクソス島のアリアドネ』はドイツ語、『エフゲニー・オネーギン』はロシヤ語、日生劇場共催公演『マクロプロスの事』はチェコ語、『ラ・トラヴィアータ』はイタリア語と4本全て使用言語が異なるという大変なことになっています。勿論専門家による原語指導をつけますが、単なる会話と歌う場合のイントネーションや発音の強調などは異なるので、人選は誰でもネイティブであれば良いとは言えないのが苦労するところです。譜読みの前に歌詞の発音とその意味の理解をコーチについて行い、音楽稽古の段階で歌い回し(ディクション)を修正して、初めて立ち稽古に臨みます。
 一人で演奏するのと違い、大勢の出演者達のレベルを合わせ有機的な結びつきを強めることで、初めて素晴らしい舞台が出来上がることを思えば、この「仕込み」ともいえる事前の準備が、公演の質を高めるために不可欠のステップだとお分かり頂けると思います。(常務理事 中山欽吾)

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「オペラと技術」 オペラの制作現場からーその10

 もう何年も前のことですが、筆者と同じエンジニア出身で、今は亡き大先輩S氏からご自分の関係する研究グループで、オペラにおける技術の進歩について話してくれとのご下命がありました。なぜオペラかとは思ったものの、氏は長いニューヨーク在住時代にMETでオペラにはまり、リタイヤ後は博覧強記のオペラ・ファンとして活躍されていただけに、筆者の知的好奇心をいたく刺激し、つい安請け合いをしてしまいました。
 引き受けたものの、実は何も分からず途方に暮れていたとき、ふと思いついたのが以前テレビで放映された、バロックオペラ劇場復元の物語でした。舞台機構は全て手動のロクロや滑車操作によるものですが、チェコの古都で行われたその舞台は、ローソクの明かりのなかで典雅に演奏された見事なものでした。早速録画を見直し、どこがポイントなのかを考えることから始め、その道のプロにも随分ご教示を頂いて、何とか約束を果たすことができました。
 S氏の意図は異業種から来た筆者の無知を知っていてわざと宿題を課したのかもしれませんが、取り上げたテーマは手動から電動への移行、音響、照明技術、特に光源の進歩、照明機器の進歩、映像投影方式と機器の進歩、セル原画からコンピュータアニメーションへの移行、広範なコンピュータの利用、など広い範囲に及び貴重な経験となりました。
 たまたまその時期に、偶然建築家になり立ての長男がさるオペラ劇場の建設現場で設計・建築監理に従事していました。最新鋭の舞台機構や照明装置や映像投射プロジェクターのことを教えて貰い、その技術の進歩に驚くばかりでしたが、彼から届いたメールには、こんなことも付け加えられていました。
「人間がロープを引くバトンが動き、レンズで集光されたろうそくの炎の揺らめきが照らす舞台の、圧倒的な人間の力、血の通った臨場感というものは、今日の劇場では薄れてしまっています。またデジタル制御に伴うシステムのブラックボックス化は、舞台という一回性の芸術において、時に致命的なトラブルを生んでしまうことがあります。バトンが不測の急停止を起こしても、どこかのインターロックが作動したのか、あるいは機械トラブルなのか、はたまた単純な入力ミスなのか直感的に把握できず、パニックに陥っている内に演出の一瞬のタイミングを逃してしまうような。高度なセンサーを備え臨機応変に判断ができる、無段変速機としての人体は、どんなに高度になったシステムに囲まれても、その中心にあることは変わりないですね。父の仕事の面白さが分かってきました。」(常務理事 中山欽吾)

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「現場感覚」 オペラの制作現場からーその9

 よいオペラを作るには?という問いについて、〈よい〉を〈高品質の上演レベル〉と置き換えてみます。個人芸術家の至芸とは異なり、オペラは大勢の芸術家や技術者達の共同作業ですから、仕事の仕組みはまさに建設工事のプロジェクトとおなじです。
 下手な例えですが、素晴らしい設計でも手抜きをすれば欠陥だらけの建物しか立たないという点ではオペラも同じです。品質を高めるには、現場で発生するさまざまな問題を一つの方向性を持って解決し、まとめ上げていく作業が不可欠ですから、調整役つまり制作スタッフは「個と全体」の両方の視点でチームのバランスを見ていることが大切で、少なくとも毎日の現場を熟知していなければできないことです。
 「三現主義」という聞き慣れない言葉があります。〈現場〉〈現状〉〈現実〉をいうのですが、問題が起きたときに現場に行って現状を調べ、現実を観て方策を決めて実行するという、生産現場での品質作り込みの鉄則ですが、実は世の中の全ての行為に共通する真理です。他ならぬ筆者もかつて産業人時代に実践してきたので、オペラの世界に身を投じたとき、オペラの世界でも現場感覚が大切だということが分かったのは我が意を得る経験でした。
 上演レベルといえば、音楽は勿論のこと舞台装置、照明、衣裳などの美術的要素の他に、最近のようにドラマの表現を重視する演出が主流になると、舞台上での演劇的要素の完成度も重要度を増しています。その全体を最終的な舞台でどう表現するかは、まさに稽古の現場でなければ作り込みはできないわけです。
 稽古も終盤になると、歌う人とそれを受ける人の緊密な人間関係を描き出す感情の交錯や会話、客席からもはっきりと理解できるボディランゲージによる心理表現などが、ドラマの中にぐいぐいと引き込まれる大きな要素になっていることが実感できます。このドラマを指揮者に率いられたオーケストラと力の揃った歌手達による音楽が一体となって、舞台は一層感動的になるのです。
 観客のカーテンコールやアンケートに上演の成果がはっきりと反映されると、初めて裏で舞台を支えるスタッフ達は秘かな喜びに浸ることができます。オペラ作りの醍醐味というわけです。(常務理事 中山欽吾)

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「演目を決める」 オペラの制作現場からーその8

 オペラ団体が演目を決めるのは、その団体の性格や方向性を示す上で重要なステップです。例えば〈イタリアオペラの藤原歌劇団〉に対して〈ドイツオペラの二期会〉というのが二期会に貼られてきたレッテルですね。
 今年に入って、『ワルキューレ』に続いて、6月の『ナクソス島のアリアドネ』、自主公演ではありませんが、びわ湖ホール神奈川県民ホールとの共催公演『ばらの騎士』まで含めるとドイツオペラが3本続くので、「やっぱり!」といわれそうです。そこで実際はどうかと調べてみました。
 まず藤原歌劇団ですが、藤原義江引退後の1964年以降2005年までのデータをみると、イタリア約78%、フランス約11%、その他11%(内モーツアルト6%)と、文字通り〈イタリアオペラの藤原〉です。創立以来のデータもほぼ同様です。
 一方、二期会はどうかというと、モーツァルトを含むドイツオペラが40%(純ドイツ20%+モーツァルト20%)、次いでイタリアオペラが27%、あとはジャンルとして見たオペレッタ12%、フランス、日本が各8%、英米、ロシア、東欧を合わせて5%となります。イタリアオペラではヴェルディの『オテロ』や『マクベス』など日本初演が7本(委託制作や研究生卒業公演も含む)もありますから、むしろオールラウンダーといった方が当たっています。
 二期会では芸術監督制をとらず、委員会で芸術上の狙いや観客の開拓など色々な角度から論議を重ね、およそ3年先までの演目、演出家、指揮者などを決めています。このような中・長期レベルでの計画は、創立50周年記念公演の立案を始めた1999年頃から意識して行うようになり、2001年から3年間で9本の記念オペラを上演しました。その後毎年、計画のローリングを行っています。
 芸術の世界で合議制というのは奇異に感じられるかもしれませんが、今年度のラインナップを始め、年間4〜5本の公演を続けてきたこの10年を振り返ってみると、「二期会オペラ」の方向性が決してドイツオペラ偏重ではないことがお分かり頂けると思います。(常務理事 中山欽吾)

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ダブルキャストの功罪  オペラの制作現場からーその7

 ダブルキャストというのは一つの公演で2組のキャストを交互に出演させる方式をいいます。この全役2組というのは海外ではあまり聞いたこともなく、多分日本だけのことかもしれません。このことから日本のオペラ事情が透けて見えるようになります。
 自前の会場を持たないオペラ団体は、会場を借りるという制約があって連日上演せざるを得ませんが、マイクを使わないオペラ歌手は数時間にわたって会場全体に響く声量で歌い続けなければならず、連日の出演は声帯に過大な負荷を与えてしまいます。この矛盾を解消するために、二組を交互に歌わせる方式が定着したのです。
 新国立劇場は、開場当時このダブルキャスト方式を踏襲していましたが、今はシングルキャスト制になっていますので、公演は隔日またはそれ以上空けて行っていることはご存じの通りです。当時、日によって歌う人が違うのは好ましくないといった批判があったやに聞いています。
 私たちは会場をレンタルする以上、ダブルキャスト制を今後も続けざるを得ません。そこで、このハンディを逆手にとって公演の魅力を上げることを考えるようになりました。藤原歌劇団は外人が主役を歌う組と日本人だけの組でダブルを組んでいます。一方二期会では当初ベテランと若手といった組み合わせをしていましたが、名前の知られた歌手の出る組に観客が偏ってしまう問題がありました。しかし歌手の質・量がどんどん向上してきた現在では、それぞれの組に特徴を持たせて魅力的なダブルキャストが組めるようになっています。
 ドラマ性を重視するために立ち稽古の期間を長くとることが多くなるにつれて、両キャストがチームワークよくお互いに工夫を凝らして個性のある演技をするようになって、比較する面白さも増してきました。事実、両キャストともにご覧になる方が増えているのは嬉しいことですし、何よりも声楽家の団体としては一つのプロダクションで2倍の歌手達が出演できるのも魅力です。
 2300席を有する東京文化会館のような大型ホールではかつては3回公演がやっとでしたが、ダブルキャストで同じ回数歌うことを考えると、4日で9千席を売らなければなりません。ところが、最近は演目によっては4回公演ができるようになりました。これは勿論公演のレベルが上がった証だといえますが、ダブルキャストを魅力に変える工夫が一役買っていることも確かだと思われます。(常務理事 中山欽吾)

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オーディション オペラの制作現場からーその6

 最近の二期会オペラでは、時に思い切った新人の登用が話題になります。会場でファンの方から「中山さん、すごい隠し球だね!」などとお褒めを頂くと、自分で決めているわけではなくても、内心「してやったり」と嬉しくなってしまいます。そのような評価を受ける歌手は、まず間違いなくオーディションによって選ばれてデビューを飾った人たちです。沢山の優秀な歌手達がいる二期会では、オーディションは出演の機会を提供するための重要な「場」なのです。
 芸術監督制を敷いていない二期会では、キャスティングは財団の正式組織である10名からなるオペラ制作委員会の合議によって、役柄のイメージやアンサンブルのバランス等を考慮して決められます。公演意図や芸術レベルなどにより、主役級のキャストが重要なポイントになる場合には、特定歌手の指名が行われることもありますが、ほぼ毎回会員対象のオーディションが行われています。
 『フィガロの結婚』のスザンナのようなポピュラーな役は、100名を超す応募者となることもあり、『魔笛』の夜の女王のコロラトゥーラのアリアを何人もの歌手達が楽々と歌うようなオーディションを想像して頂ければ、誰を選ぶかの難しさを少しは想像していただけるのではないでしょうか。その中からダブルキャストで2名の出演者を決めるわけで、全会一致で決まるケースがある一方、選択を迷うほど僅差の歌手が10名を超える大激戦になり、結論が出ずに議論が長時間に及ぶことも稀ではありません。
 このように激烈な競争を勝ち抜いた歌手達にとって、冒頭の「隠し球」の話は大きな勲章となる一方で、選んだ委員にとっても嬉しい評価です。オーディションだけでは期待に反する歌手を選んでしまうリスクもあるからです。しかし長い目で見ると、結局は実力のある人が選ばれていくわけで、こうして頭角を現してきた人たちが多くなるにつれ、公演のレベルは確実に上がり、長い目で見ればキャスティングの妥当性が評価されることにもつながってくるのです。(常務理事 中山欽吾)

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「稽古場の苦労」 オペラの制作現場からーその5

日本のオペラ団体は専用の劇場を持っていません。これって、世界的に見れば結構不思議な存在のようです。しかし我が国のオペラ発展の歴史は、自前の劇場を持つ環境とはほど遠いものでした。上演可能なホールも、殆どはオペラ用ではなく多目的ホール、稽古も貸しスタジオで行うのが当たり前のことだったのです。
本舞台に合わせてデザインされた階段のある立体的な舞台装置の場合など、借りた稽古場の天井が低いと持ち込めませんから、階段の位置を稽古場の床にテープで貼り付けて、微妙な時間差をつけて上り下りする真似をしながら歌うとか、苦労は尽きませんでした。
ところが最近の二期会オペラの演出では、演技や舞台上での動きを重視するようになって深刻な問題が出てきました。本舞台上での通し稽古が借館期間の制約内では十分にできないという問題もあって、本番通りの動きができない稽古場では公演の完成度に影を落とす恐れが出てきたのです。公演のたびに、制作担当者は公演会場並みの間口や奥行きを持つスペースの稽古場はないかと探すのが悩みの種でした。
そんな時、廃校になった新宿区立淀橋第三小学校が芸能花伝舎として舞台芸術関係団体に開放されることになり、その体育館を稽古場として特定期間使わせていただけるようになったのです。まさに理想的な稽古場空間で、コンヴィチュニー演出の『皇帝ティトの慈悲』、『ダフネ』、故実相寺昭雄演出の『魔笛』と、舞台装置を持ち込んだ稽古が実現し、完成度の高い公演に結びついていったのです。
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『ティト』では何と回転舞台まで仮設し、人力で回しながら稽古を敢行しましたが、同じように回転舞台を使う『魔笛』では舞台装置が大きすぎたため、歌手達が装置の表から裏へ移動するのに合わせて、制作スタッフの方が装置の周囲を回りながら稽古を進める事態となったのですが。(常務理事 中山欽吾)

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続々登場の歌い手達! オペラの制作現場からーその4

『ワルキューレ』、『ばらの騎士』という二つの代表的なドイツオペラを並行して制作した今回の公演は、何れもお客様から熱いご支持を頂くことができました。立ち稽古は何れも2か月近くに及びましたが、当初海外から招いた二人の演出家ともに、この期間でダブルキャストを仕上げるのは不可能と首を傾けていました。
しかし、幸いにもそれは杞憂に過ぎず、むしろ日本人歌手達の能力を強く印象づける結果となったのです。中でも『ワルキューレ』で二期会オペラデビューを果たした歌手は10名、何れもオーディションで選ばれ立派に舞台を務めてくれました。
実はこの時期、新国立劇場でも山田耕筰作曲の『黒船』の制作が行われていて、そこにも十数名の二期会会員が出演していました。6月にはR.シュトラウス作曲の『ナクソス島のアリアドネ』の公演が行われますが、キャストの過半はこれらの三作と重なっていません。
このように我が国を代表するレベルの公演に出演できる歌手達が続々と育ってきたのは、日本人の肉体的条件の向上、オペラ研修所の充実、音楽稽古から立ち稽古に至る長期間の充実した稽古、出演者同士のチームワーク、など幾つもの要素が重なった結果です。
歌手は舞台経験を踏む毎にジャンプするように実力が上がるのですが、長い制作期間を通じて、海外や新国立劇場で活躍する先輩歌手と一緒に過ごした濃密な時間そのものが、若い歌手達にとって何よりの刺激となったことも確かです。
我々制作を担当するものにとっては、どうすれば舞台経験を増やすことができるかが問われており、年間の制作本数や、演目毎の公演回数を何とか増加させようと決意を新たにしているところです。(常務理事 中山欽吾)

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佳境に入った『ワルキューレ』の稽古 オペラの制作現場からーその3

いよいよ来週に迫った『ワルキューレ』公演。秒読みに入った稽古場ではピアノによる通し稽古も終え、オーケストラの入った音楽稽古、そして会場の上野文化会館に場所を移してHP(総稽古)、GP(公演前の最終総稽古)へと進んでいきます。14日朝から会場の文化会館で舞台装置の仕込みが始まります。
今回の公演において『指環』4部作中の1本だけを取り出して上演するに当たっては、この作品が4曲の中でも音楽的に最も充実していることが挙げられますが、ドラマ的に見ても本作の中にはすでに序夜『ラインの黄金』の情報がかなり語られていることから、演出家のジョエル・ローウェルスは後に続く『ジークフリート』、『神々の黄昏』への物語の流れを意識することで、全体として密度の濃い作品に仕上げようとする意欲が感じられます。
また、自ら舞台美術も手がけており、ヴォータンのエゴに振り回される家族関係、父と娘の強い絆、そして神と人間、生者と死者といった対比を、深い洞察力に基づいた幻想的な舞台をもって描き出しています。
指揮棒をとるマエストロ飯守は稽古場において演出家とも緊密に打ち合わせを重ねながら、音楽を最大限生かした舞台にすべく稽古を重ねてきました。
いよいよその成果は来週明らかになります。(常務理事 中山欽吾)

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『ばらの騎士』公演余録 オペラの制作現場からーその2

公演情報でお伝えした今回の『ばらの騎士』は、「ばら戦争」とも揶揄されたように、この1年で異なるプロダクションによる4度目の『ばらの騎士』となりました。4本全部ご覧になったお客様から、今日のがベストだったとお褒めの言葉をいただいたほどのできばえとなりましたが、これは演出家ホモキがドラマとして人間関係を徹底的に活写した結果が一役買ったのではないかと思います。
その演出は、標題役(オクタヴィアン)よりむしろ元帥夫人に焦点を当てて時の移ろいが人間に与える憂愁と諦観を描ききっています。確かに作曲された時代、つまり第一次世界大戦前後のヨーロッパは、既存の権威が次々に崩壊していく変動の時代であり、このオペラに込められたメッセージはまさに「時の移ろい」なのです。
オックス男爵は、その時代の転換を理解せず、貴族と平民の関係の中でのみ自己を顕示しようとする、時代に取り残されたピエロとして、新興貴族のファーニナルは、自分の地位のためなら何でも自分の都合がよい解釈しかしない新興の俗物として描かれていますが、演出家はそうした状況をドラマの横糸にして、物語に喜劇性を際立たせることに成功しています。
ドラマとは人間同士の係わりに他ならず、歌っている人物の相手役はその歌われる内容に何らかの感応を受けていると、演出家はその心の動きを客席から感じ取れるようになるまで演技を要求しました。3分間の場面に1時間かけることも稀ではない猛稽古でした。全編にわたったこのような積み上げが本番で演じられた時、客席の感動は大きく深いものとなったのです。
ドイツの舞台ではシングルキャストを8週間かけて鍛えたホモキですが、演出助手による稽古は積んでいたとはいえ、彼自身は約1か月の来日でダブルキャストをここまで仕上げたことに深い満足の意を表しつつ、連日の稽古に耐え抜いて公演を成功させたメンバー一同に賞賛の言葉を贈って、帰国の途につきました。(常務理事 中山欽吾)

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「制作現場は超多忙」オペラの制作現場から—その1

二期会ブログに新しいカテゴリーを加えることになりました。
オペラの企画から公演までの舞台裏で進むさまざまなシーンを、折に触れてご紹介していく「オペラの制作現場から」シリーズです。どうかお楽しみに。
さて、この冬の東京二期会の制作部は史上最高ともいえる忙しさです。
オペラの中でも代表的な大作、『ばらの騎士』『ワルキューレ』の稽古が重なったからです。
目の前に迫った『ばらの騎士』はびわ湖ホール、神奈川県民ホールと初めての共同制作。
二期会が制作を担当しており、出演者には関西二期会やびわ湖ホールアンサンブルの歌手達も加わってソリスト22名、合唱48名の総勢70名。
一方、自主公演の『ワルキューレ』は合唱こそないものの、それでも28名のソリストを含む40名近い出演者たち。
まずこのシーズンで欠かせない関心事は健康管理です。これだけ出演者が多いと、いったん誰かが稽古場に風邪を持ち込むとパニック。密室での長時間の稽古で蔓延してしまう恐れが大きいのです。それに、両演目共にドラマ性が高く、演技指導は微に入り細を穿つきめ細かさ。数分間のシーンに何時間もかける演出家のこだわりに、現場は細心の注意を払います。
ただでさえチームワーク維持が難しい制作現場は、張り詰めた緊張が続く厳しさがあってこそ求心力が生まれ、本番での素晴らしい舞台が実現すると全員が信じることができるようになるにつれ、ぐんぐんとテンションが上がっていくのです。
昨年12月から立ち稽古が始まり、演出家のホモキ氏による連日の猛稽古をこなしてきた『ばらの騎士』は、いよいよ今週末にびわ湖ホールで初日を開けます。『ワルキューレ』も年明け早々から演出家のローウェルス氏が来日し、稽古は徐々に演出の全容が見えてきて、まさに佳境に入っています。(常務理事 中山欽吾)

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