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Imagined Scenery | 宮本益光の心象風景

2008年、ヨーロッパ周遊旅行を敢行した。なかでもとりわけ感動したのが、スウェーデンのゴットランドにある小さな街、ヴィスビー。ここは世界遺産にも登録されている街で、宮崎駿監督の映画「魔女の宅急便」の舞台になった街としても有名だ。端から端まで歩いても約1キロ程度の小さな街は、三方を城壁に囲まれ、まるで絵本の国に訪れたかのよう。
魔女の住む街  赤煉瓦の屋根を蹴った小鳥が 一瞬にして僕らを置き去りにする 見上げた先の青空が 飛び立つことを許している  曲がり角から現れた 少女の古い自転車が 魔女のホウキに見えたって きっと嘘じゃない   石畳の上で眠る子猫が 一瞬にして僕らをとりこにする 見つめた先の教会が 留まることを許している  曲がり角から現れた 少女の黒いスカーフが 魔女の証に見えたって きっと嘘じゃない
街には廃墟と化した教会がいくつも点在する。悲しい歴史を抱えつつも、現在の平和な街で美しく残るその跡に強く惹かれた。
スウェーデンと言えばミートボール。ということで店を探す。ちょうど廃墟の教会に隣接する、おいしそうなレストランを発見。絵になる。
祈りの街  祈りの街で出会った絵葉書に 「元気ですか」と書きながら 母の涙を思い出したのは さっき見た廃墟の名残り  門を失っても祈りを残す 廃墟になった教会の慈愛   祈りの街で出会った物売りに 「幾らですか」と問いかけて 父の笑顔を思い出したのは さっき見た廃墟の余韻  屋根を失っても名前を残す 廃墟になった教会の誇り 詩・写真:宮本益光

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