親愛なる友、テル、遠く離れたベルリンから心を込めて、偉大な表彰を祝いたい。
この傑出した名誉称号を歌によって得るためには、多くの能力、目標へのひたむきな努力、芸術に対する疲れ知らずの取り組みが必要だ。君は、絶え間ない勤勉により、このドイツの称号を獲得するという大仕事をやり遂げた。
日本人の歌手がこの称号を得るのが如何に困難であるか、誰もが想像出来ると思う。全く違う文化に故郷と言えるほどにまで馴染んだだけでなく、その頂点に達した君は宮廷歌手を目指す外国人歌手にとっても光り輝く模範だ。
劇場、都市、州がこの称号を君に授与したことは、素晴らしく首尾一貫しているが、この『宮廷歌手』になるための条件が如何に厳しいか、私は良く知っている。君はすべての要求を輝かんばかりのクオリティで満たしたのだ!
そういえば私の時はベルリンの議会がこの称号を与えることを決議するまで2年もかかってしまったのだった。我々歌手にとってはこの名誉称号を持ち続けることを許されるのは、本当に美しい報奨である。
我々は2011年兵庫で、「こうもり」の舞台に立ち、大きな喜びを共感し、君が信頼でき、また真剣な同僚である事を、私はひしひしと感じた。
この顕彰を享受し、そしてそれに対して誇りを持つべきだ。宮廷歌手になることが出来る歌手は本当に一握りなのだから。傑出した能力を証明しなくてはいけないし、君はそれを完遂した。
親愛なる宮廷歌手テル、君に対する期待と要求はどんどん大きくなるだろう。
君は他の歌手達の模範、手本とならなくてはならない。君のこれからの活動は日本の若い歌手達の芸術的な業績を上げるための刺激とならなくてはいけないのだ。
でも今はとにかく、この称号と共にある君の人生を味わい、喜びを噛みしめるが良い。君はそれに値する!
心からの挨拶をベルリンより贈る君の同僚、宮廷歌手ヨッヘン・コヴァルスキーより |