2014年7月25日(金)19:00開演・津田ホール 板波利加の日本デビューは、2003年二期会創立50周年記念『カルメン』のタイトルロール。板波利加のキャリアは、メゾソプラノからスタートしました。やがて、その響きの深さと幅広い声域を活かし、ソプラノに声種転向。ここに類まれなドラマティック・ソプラノが誕生したのでした。
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撮影:永井抱陽写真館・永井秀和
オーケストラ好きの父と音大ピアノ科卒の母のもとに生まれ、4歳からクラシック音楽教育を受けました。母のように主婦業をしながら自宅で近所の子供達にピアノを教えられるようになりたいなぁと女の子らしく夢見ていましたが、15歳の時に声楽を始めたのがきっかけで大学はピアノ科ではなく声楽科に、イタリア留学中に現地でデビューし日本でもお仕事を頂くようになり、ミラノに20年居て日本帰国かと思いきやウィーンに移住するなど全く違った方向に進んでおり、人生の予想不可能な展開の面白さを感じています。
メゾソプラノとしてキャリアを始めましたが当時から音域は広く、アルトの深い響きもソプラノの高音も持ってはいました。その素材を自由に使えるようになったのは、イタリア滞在中にベルカントのテクニックを取り憑かれたかのように勉強して磨いていったからだと確信しています。それと同時に海外と日本での多様な経験が自分の人間としての成長に影響を与え、様々な役への表現に繋がっていると思います。
イタリアというのはやはり「愛」の国だと思います。
家族愛から始まり、友人、知人、恋人、配偶者、子供、お年寄り、全く知らない人、そして私のような異国人にでもイタリア人は自然に愛を与えてくれて、また彼らも沢山の人々の愛に包まれて生きています。私がイタリアに渡るきっかけとなった恩師シミオナート先生が「師弟関係も結婚のようなものなのよ。絶対的な信頼関係が無いと上手くいかないの。」とおっしゃっていたように、私は素晴らしい先生方に出会い、200%信頼してついて行き、「愛情、歌の技術、人生経験」というイタリアでチャージ出来る全てを満タンにしました!
イタリアン・チャージが完了したので、これを使う場所を探す事を考え始めたのは2011年頃でした。ちょうどその時期に二期会公演「サロメ」ヘロディアス役でドイツの鬼才・演出家のコンヴィチュニーさんとのお仕事の機会を得ました。そしてイタリアとは全く違った視点からの哲学的かつ人間的な演出をなさる事に衝撃を受けました。「これはドイツ語圏に行こう!」とすぐに決め、ドイツ国内、オーストリア国内に何箇所か滞在しつつ、最終的に一番美しいと思った街ウィーンへ2014年春に移住しました。再びゼロからの出発ですが、良いスタートだと思っています。ドイツオペラを始め、とにかくまだ勉強した事の無いものにどんどん挑んで行きたいと思います。
2011年2月20日『サロメ』 |
2011年2月20日『サロメ』 |
ラテンの国であるイタリア、フランス、スペインの歌を演奏します。
第一部はスペインをテーマにしました。スペイン歌曲から始まり、私の二期会デビューである作品・スペインを舞台としたフランスオペラ「カルメン」へと繋ぎます。
第二部はドラマティックなイタリアオペラ5作品を演奏致します。河原忠之さんのピアノ独奏(カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲)を含みます。また、全体を通して5人の女性のアリアを歌います。
どの女性も相手を強く愛しています。
この「女性の愛」こそが全ての人が安心して幸せに暮らしていける源であると、聖母マリアの国であるイタリアでの20年間で私が学んだ最も大切な事だと感じています。
2012年2月『ナブッコ』
アビガイッレ役
撮影:三枝近志
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