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Listen | 横山恵子の今を聴く

■二期会ゴールデンコンサートについて
―今、届けたいメッセージ タイトルは‘ロマンティック’
<2010年7月26日(月)19:00開演  津田ホール>

横山(以下、Y) このリサイタルをお受けした理由のひとつに、日本であまり知られていない後期ロマン派のヨーゼフ・マルクスの歌曲を紹介したいという想いがありました。私は日本ではオペラ歌手のイメージが強いかもしれませんが、ヨーロッパでは、演奏会の際にはプログラムに必ずリート曲を入れていましたし、日本の皆様にも聴いて頂きたいすてきな曲がたくさんあるんです。マルクスはウィーンの作曲家で、歌曲といっても堅苦しいものではなくて、〈風車〉〈愛がおまえの心に宿ったら〉〈マリアの歌〉〈日本の雨の歌〉等々、歌謡曲みたいに非常にロマンティックです。「ウィーンわが夢の街」みたいな雰囲気と申し上げたらわかりやすいかしら。
そして、やはりワーグナーのヴェーゼンドンクの歌曲を、じっくり歌いたいという気持ちがありました。勿論、後半にはドラマティックなオペラアリアも予定しています。

――それは楽しみです。また、ワーグナーがヴェーゼンドンク夫人との許されぬ愛から楽想を得たヴェーゼンドンク歌曲集には、後の大作『トリスタンとイゾルデ』に繋がる官能的なモチーフも含まれていて、ぜひじっくりお聴きしたいですね。ところで、今回、ピアノを担当する指揮者の石坂宏さんは、横山さんがフライブルク歌劇場の専属ソリスト時代、コレペティートル(*)でもあった方ですね。その自在な演奏は、‘まるで指先にも頭脳がある様だ’と称されたりしますが、共演者としての石坂宏さんの印象はいかがですか。

Y 彼は指揮者であり、オペラのコレペティでもありましたが、ドイツ人からも「ISHIZAKAに頼めば間違いない」と信頼されて、毎週のようにリーダーアーベントの共演を頼まれて弾いていたし、無限大にリートの曲を知っているので私にとってフライブルク時代から、生き字引のような人です。リートにも起承転結があって、オペラの縮小版のようなものですから、単なる伴奏ではなく、1曲の中でもここでどう音色を変えるとか、歌手の息遣いまでわかって、さらなる広がりを引き出してくれるという意味でも頼りにしています。その才はやはり百戦錬磨の経験がもたらした何ものにも代えがたい技なのではないでしょうか。

*コレペティートル(Korrepetitor) 歌劇場において、歌手の個人練習の際、助言をしながら、オーケストラが奏でる音をピアノで弾き、譜読みや発音を確かめ、作品や音楽への理解を深めさせる仕事。ヨーロッパの歌劇場では指揮者になるための通り道ともいわれる重要な役割である。

二期会ゴールデンコンサートin津田ホール2010/11SEASON

vol.29 2010年7月26日(月)19:00開演(18:30開場)
横山恵子 「ロマンティック」  ピアノ:石坂宏

〜プログラム〜
ロベルト・シューマン:歌曲集「ミルテの花」より
・献呈
・はすの花
・ズライカの歌
・君は花のごとく

ヨーゼフ・マルクス:
・風車
・愛がおまえの心に宿ったなら
・マリアの歌
・日本の雨の歌
・夜の祈り
・ノクターン
・森の幸せ
・幸せな夜

リヒャルト・ヴァーグナー:「ヴェーゼンドンク歌曲集」(全曲)
・天使
・止まれ
・温室にて
・悩み
・夢

ベッリーニ:『ノルマ』より “清らかな女神よ”
ヴェルディ:『アイーダ』より “おお、わが故郷”
 ほか

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