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《IL DEVU》 2017が動き出す!

2011年に結成された、総重量約500kgの重量級クラシック・ボーカル・グループ、IL DEVU(イル・デーヴ)。2017年度は6月3日(土)島根県松江市のプラバホールから、始動します。
全員でのアンサンブルはもちろん、メンバーそれぞれのソロでの歌曲や、河原忠之さんのピアノも楽しみ!
今回、1st、2ndアルバムに収録されている曲の他、新たに「誰かが小さなベルを押す」を披露します。写真は昨日(5/31)に都内某所にて行われた夜稽古に、「さびしいカシの木」作・編曲の木下牧子さんが応援に来てくださったので一緒にパチリ。7月の白寿場所では木下さんが新たに編曲してくださった「鴎」をお届けします。
第1弾は、松江場所!〈宍道湖七珍「スズキ、モロゲエビ(ヨシエビ)、ウナギ、アマサギ(ワカサギ)、シラウオ、コイ、シジミ=頭文字はスモウアシコシ)」を食べ尽くせ!〉を合言葉に、重量級ライヴをお届けします。そして、姫路場所、白寿場所(東京)へと“夏巡業”は続きます!
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(左から)河原、山下、青山、木下さん、望月、大槻
見た目は重量級ですが、ハートは滅法優しい。
彼らにとっても特別な音楽の空間。
あたたかいハーモニーをぜひライヴ(本場所)でお聴きください。
(帆掛け舟)
■■■ 公演(巡業)情報 ■■■

170603_il_devu.jpg [松江場所]
第32回松江プラバ音楽祭 IL DEVU(イル・デーヴ)
日時:2017年6月3日(土) 14:00開演(13:30開場)
会場:松江市総合文化センター プラバホール(島根県)
▼公演詳細ページ
イル・デーヴ|第32回松江プラバ音楽祭 - プラバホール
170625_il_devu.jpg [姫路場所]
イル・デーヴ・コンサート
日時:2017年6月25日(日) 14:00開演(13:30開場)
会場:パルナソスホール(兵庫県姫路市)
▼公演詳細ページ
イル・デーヴ・コンサート - パルナソスホール
170713_il_devu.jpg [白寿場所]
IL DEVU(イル・デーヴ) リサイタル ~IL DEVU 魂のうた~
日時:2017年7月13日(木) 19:00開演(18:30開場)
   2017年7月15日(土) 17:00開演(16:30開場)
   *お蔭様をもちまして両日完売いたしました
会場:Hakuju Hall(東京都渋谷区)
▼公演詳細ページ
IL DEVU リサイタル - ハクジュホール

▼IL DEVU 公式ホームページ
イル・デーヴ - 日本コロムビアオフィシャルサイト

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【レビュー】2014年4月公演『蝶々夫人』
~栗山昌良演出の伝統的な美しい舞台×話題を呼んだ初来日の指揮者ダニエーレ・ルスティオーニ

31歳の若きマエストロ、ダニエーレ・ルスティオーニの初来日と、日本のプロダクションとの初共演、長年日本のオペラの舞台を牽引し、その礎を作り、今なお現役の栗山昌良演出による伝統的な美しい日本の『蝶々夫人』が、ついに終演しました。
多くのお客様にご来場賜り、ありがとうございました。
舞台写真とともに、公演を振り返ります。
写真撮影:三枝近志(☆…4月23・26日組、◆…4月24・27日組)
会場:東京文化会館大ホール
<舞台写真はクリックで拡大表示します>

水船桂太郎演じるピンカートンと、牧川修一のゴロー。
蝶々さんの愛らしさは、確かにピンカートンを魅了したのでしたが、その愛は、蝶々さんが信じたような愛ではなかったのでした。


樋口達哉の凛々しい爽やかなピンカートン、立派な思いやりと礼節あるシャープレスを泉 良平が演じました。


これまでにも多くの蝶々さんの舞台を支えてきた永井和子。
細やかで人情味あふれるスズキ。


腰越満美の可愛らしさが、一層、健気にも哀れにも思われました。


シャープレスはベテラン、福島明也。


木下美穂子の蝶々さん。蝶々さんの朋輩である芸者衆は、女声コーラスが演じています。
芸者衆独特の仕草、歩き方まで、神経の行き届いた演出がされています。


蝶々さんの伯父、ボンゾ(峰 茂樹)が現れ、キリスト教に改宗した蝶々さんをなじります。


蝶々さんの初々しさ。


この二重唱はとてもロマンチックですが、歌手にとっては難易度も高く、音楽的にも山場です。オーケストラの流麗な旋律が、ルスティオーニの指先から客席へと流れる様は美しく、ため息が出ました。

栗山昌良演出の舞台全景。
ふすまや障子で部屋の仕切りを変えられる、その構造を、ピンカートンは軽薄、と言いますが、文化の違い、かりそめの結婚式を真実の愛による正式な結婚と信じた幼い蝶々さん、いろいろなことがこの舞台に表れます。


ピンカートンの帰りを待つ蝶々さんとスズキ。
生活費も残り少なく、心細い様子。でもピンカートンの変らぬ愛を頑なに信じて帰りを待ち続けます。そしてこの後、歌われるのが、名アリアある晴れた日に。


ゴロー(栗原 剛)がヤマドリ(鹿野由之)を新しい旦那として勧めますが、蝶々さんは耳を貸しません。


蝶々さんは、シャープレスにピンカートンとの間に子どもがいることを打ち明けます。


部屋中に花を播き、美しく化粧をして、子どもの頬にも紅をさし、ピンカートンが丘に上がってくるのを待ちます。


信じて待つ蝶々さん。その愛の強さ。
日が落ちて、また夜が更け、そして朝を迎える。蝶々さんの思いと時間の流れが、音楽と、見事な照明で表現されます。


小林由佳演じるスズキ。
身のこなしの美しさ、表情の豊かさ、いつもいつも、世間を知る女性として、蝶々さんを心配する様子、いちだんとこの役への思いが深くなったようです。ケートは谷原めぐみ。


覚悟を決めた蝶々さんはケート(佐々木弐奈)に伝えます。
彼が引き取りにきてくださるなら子どもをお渡しします。30分後にこの丘に来て下さるように。


幾度となく演じてきた蝶々さん。死ぬ気で生きる美意識を、蝶々さんの役に感じる、と語った腰越でした。

カーテンコール(撮影:堀 衛)





ご来場、ありがとうございました。

帆かけ舟

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"Kyo & Kyosuke" ~ Hakuju Hall ディーヴァ,ディーヴォ Vol.3は 金子 響×金山京介

Hakuju Hallの新人コンサートシリーズ「二期会モーニング Diva Divo(ディーヴァ,ディーヴォ)」
1月30日(木)、今年度の最後の締めくくりとなる第3回は、ソプラノ金子 響とテノール金山京介が出演します。
2人は、昨年3月、二期会オペラ研修所第56期マスタークラスを修了。4月から二期会会員として、演奏活動をスタートした、いわば二期会アーティストの一年生。
研修所の修了試演会では、金子 響はR.シュトラウス『ナクソス島のアリアドネ』のツェルビネッタを歌って高い評価を得ました。きらきらと小さいダイヤモンドのように輝く高音、若さあふれるスピード感のある音楽性が魅力。今回は、羽根のように軽やかな高音を存分に発揮して、R.シュトラウスの歌曲「Amor(愛)」を。
そして金山京介は、昨年7月東京二期会『ホフマン物語』公演においてホフマン役のインターン研修を経て、東京オペラシティのランチタイムコンサートに出演する等、この一年間に、少しずつ歌の世界を広げています。
プログラムには、モーツァルトのオペラ『後宮からの逃走』を取り上げます。モーツァルトのシンプルな旋律を、そのままの美しさでお届けする明るい音色の2人ならではのアンサンブル。
さらには、イタリアの作曲家ドニゼッティのオペラ『愛の妙薬』から、村娘アディーナと青年ネモリーノの楽しい恋物語を、抜粋でご紹介。
まだまだ寒い季節ですが、"Kyo(響)&Kyosuke(京介)"の、明るい歌声に、ひとあし早い春が来るでしょう。
朝のひととき、Hakuju Hallでおよそ1時間のほんわかコンサート。ぜひお越しください。
(帆掛け舟)

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金子 響
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金山京介

■■■公演情報■■■
二期会モーニング ディーヴァ,ディーヴォ 第3回
日時:2014年1月30日(木) 11:00開演(10:30開場)
会場:Hakuju Hall
   (小田急線代々木八幡駅または千代田線代々木公園駅より徒歩5分)
料金:全自由席 500円(当日券のご用意あります)
出演:ソプラノ・金子 響、テノール・金山京介、ピアノ・朴 令鈴
主催:Hakuju Hall/株式会社白寿生科学研究所
協力:二期会オペラ研修所
後援:公益財団法人東京二期会
協賛:株式会社ドラジェ
▼お問合せ・ご予約
Hakuju Hallチケットセンター
 電話03-5478-8700 (10:00~18:00 火~土/祝日・休館日を除く)
▼公演詳細リーフレット(PDFファイル)
二期会モーニング ディーヴァ,ディーヴォ - Hakuju Hall

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新譜CD「沙羅~日本の歌、懐かしき心の原風景」日野妙果

日野妙果(ひの たえか)は、ワルター・モーア、グンドラ・ヤノヴィッツ、エルンスト・ヘフリガーの各氏の薫陶を受け、ヨーロッパを中心に演奏活動を行っているメゾソプラノ。ウィーンでの生活も20年になります。
ドイツ、ラインスベルグ音楽祭にてCh.ティーレマン指揮『ナクソス島のアリアドネ』の作曲家役でオペラ・デビュー後、ナポリ・サンカルロ劇場、チロル音楽祭、コシチェ国立歌劇場、サンタンデール歌劇場、夏の音楽祭などにもソリストとして招聘されるほか、日本でも新国立劇場、二期会など各地のオペラ公演に出演。リート歌手としても高い評価を受けています。
そんな彼女が、日本歌曲を集めた珠玉のCDを送り出しました。
「音楽の時」という言葉がふさわしい、シンプルで格調の高い響き。静謐の中で、音楽の世界に分け入っていく喜び。
日野が歌う日本語の詞には、どこか、過去の記憶から語りかけてくるような優しさがあります。
現代の気忙しさ、と遠いところにあって、流されることがない。芸術家が音楽に誠実であること、どんな時間を誰と、どのように過ごしてきたか、ということでもあって、それで懐かしい「日本語」に聞こえるのかもしれません。
その音楽を共にするのは、ピアニストとして長く一心に、この道を歩んできた小林道夫、80歳にして瑞々しいピアノで、その端整な音に心が洗われていくようです。
『沙羅』全曲の収録は珍しいのですが、「中国地方の子守歌」や、「平城山」など、誰もが知る曲にも新しい発見があります。
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▼CDの詳細・お求めはこちら
沙羅~日本の歌、懐かしき心の原風景/日野妙果 - CAMERATA TOKYO(カメラータ・トウキョウ)

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夏の始まりを彩った『ホフマン物語』。歌手が輝いた最高の舞台!

フランスの名匠ミシェル・プラッソンの指揮、粟國 淳の幻想的な演出、大きな盛り上がりを見せた、オッフェンバックのオペラ『ホフマン物語』。
タイトルロールのホフマン役、福井 敬、樋口達哉の熱演に、若手歌手も大奮闘。
多くの方のご来場、誠にありがとうございました。
ホフマンと3人の女性の恋物語、と一言では語りつくせない、次々と繰り出される魔法のようなシーン、その余韻がいつまでも消えませんでした。
舞台写真とともに、この素晴らしい公演を振り返ります。
写真撮影:三枝近志(☆…7月31日・8月3日組、◆…8月1日・4日組)
会場:新国立劇場オペラパレス
<舞台写真はクリックで拡大表示します>

ホフマン(福井 敬)とニクラウス(加納悦子)。「ホフマンは女の人に溺れ、酒に溺れ、ちっとも芸術に身が入らない。」そんなホフマンを何とかして芸術の道に連れ戻そうとする芸術の女神ミューズが、ニクラウスに姿を変えて現れる。青年貴族のようなはつらつとした身のこなしに、思わず見惚れ、聴き惚れ。


ホフマン(樋口達哉)とリンドルフ(大沼 徹)の対決。
ふてぶてしい態度のリンドルフ、「飲み代は払う性質でね、スカンピン殿」。
字幕=本谷麻子=も素晴らしく、作品の理解を助けてくれました。


ホフマンの最初の恋人オランピア(安井陽子)。本当に人形のような動きと、超人的な高音のパッセージ。でも超絶技巧の機械ではなくて、あたたかさときらめきを感じさせるのは、安井ならではの歌唱力。


スパランツァーニ(右=羽山晃生)と、コシュニーユ(左=新津耕平)が見守る中、歌を止めないオランピア(佐藤優子)。佐藤は、今回が二期会オペラデビュー。


「光れ!ダイヤモンド」ダペルトゥット(大沼 徹)は、憎らしい悪魔役を堂々と演じた。


第2幕「あなたの影がほしいの、どうしてもほしいの」と迫るジュリエッタ(菊地美奈)。


光り輝くダイヤモンドと引き換えに、ホフマンを籠絡する妖艶な美女ジュリエッタ(佐々木典子)。


影を取られておののくホフマン。マジックミラーを使った演出。不思議でした!
「ホフマンあなたが好きよ、でもさからえないわ、口づけひとつでダイヤモンドが手に入るのよ」


病のために、歌ったら死ぬ、というアントニア(木下美穂子)。短い命と知って、音楽への情熱を燃え上がらせる激しさに、思わず引き込まれてしまいます。


歌姫ステラからホフマンへの手紙をリンドルフに売り渡す、召使アンドレと、アントニアの屋敷で芸術家を気取る老いた使用人フランツは一人二役。フランス風の皮肉も効いて巧みな芝居が注目された田中健晴。


高橋絵理のアントニア。一年前の『パリアッチ(道化師)』ネッダとまた違う一面を見事に開花させました。情感あふれる繊細な音楽性、声の美しさが、きらきらした瞬間。
そしてアントニアの母の声(7/31・8/3=与田朝子、8/1・4=小林紗季子)も、姿は見せない役ですが、その声の存在は大きい。2階席の下手のバルコニーで歌っているのですが、舞台上と一体となって、すばらしい効果をあげました。


悪魔(小森輝彦)がヴァイオリンを弾きながら、「歌え!」と、囁(ささや)く瞬間、額縁の中の優しい母の面差しは、死神に変わる。この仕掛けも見事でした。


命のない人形だったオランピア、生きたまま去ったジュリエッタ、そして死んでしまったアントニア。でも3人は一人だったのだ! 歌姫ステラ!!!
その美しい登場には客席からため息が。ステラを演じたのは、ダンサーの今村たまえ。

プラッソンは今秋80歳。酷暑の東京に顔をしかめながらも、ユーモアあふれるマエストロ。連日、集中した稽古を重ね、オーケストラ、歌手共に素晴らしいオペラの舞台を作りあげました。
カーテンコール(撮影:堀 衛)




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『ホフマン物語』稽古場から

夏の暑さが本格的になってきました。
『ホフマン物語』公演に向けて、猛暑の中、稽古も本格的に。
稽古場には、キャスト、スタッフとともに、アンダースタディとしてインターン研修中の歌手もいます。
アンダースタディというのは、本番に出演することはないものの、本役のリハーサルに帯同し、その音楽と演技を学んでいる歌手のこと。
二期会のプロダクションでは、若い歌手に、このアンダースタディの役割を与え、貴重なインターン研修の場としています。
現場の空気を感じ、その厳しくプロフェッショナルな場にいち早く出ていくために、将来のレパートリーになる役を勉強する絶好の機会。
第一線の歌手たちが顔をそろえる場に身を置いて、稽古を積み重ねていく過程をつぶさに見ることができるのです。
今回のアンダースタディには、ホフマン役に金山京介、ミューズ/ニクラウス役に杉山由紀が選ばれています。
初々しい二人のコメントをお届けします!

また9月10日東京文化会館で開催する「二期会新進声楽家の夕べ」
Hakuju Hall 主催で行われる9月からのコンサートシリーズ「二期会モーニング ディーヴァ,ディーヴォ」もお楽しみに。
そして、いちはやく二人の歌を聴きたい方は、こちら。
7月25日(木)11:45から東京オペラシティコンサートホールでのランチタイムコンサートに杉山、金山がそろって出演。
入場無料なので、ぜひいらしてください。
▼各コンサートの詳細はこちら
東京オペラシティランチタイムコンサート - 東京オペラシティ
二期会新進声楽家の夕べ - 東京二期会
二期会モーニング ディーヴァ,ディーヴォ(PDF) - Hakuju Hall
▼2013年の『ホフマン物語』は、フランスオペラの伝道師プラッソンの薫り高い指揮と美しくもスペクタクル感満点の舞台でお楽しみください!
《二期会創立60周年記念公演》2013年7-8月公演『ホフマン物語』 - 東京二期会

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【レビュー】魔女に翻弄されたマクベス

5月初旬、爽やかなGWの陽気で賑わった上野の東京文化会館で、ヴェルディ作曲のオペラ『マクベス』が上演されました。
シェイクスピアの名作が、コンヴィチュニーの演出を通して現代に問いかけるもの。
タイトルロールの小森輝彦、今井俊輔をはじめ、強烈なキャラクターを要求されるマクベス夫人の板波利加、石上朋美、バンコー役のバス、ジョン ハオ、斉木健詞、マクダフの井ノ上了吏、松村英行と、歌手陣も揃い、ヴェルディ初期のオペラをお楽しみいただけたのではないでしょうか。
舞台写真とともに公演を振り返ります。
写真撮影:三枝近志(☆…5月1日・3日組、◆…5月2日・4日組)
<舞台写真はクリックで拡大表示します>


魔女たちが、戦場から帰還したマクベス(今井俊輔)に呼びかけます。
「グラミスの領主殿!」
「コーダの領主殿!」
「やがては王になるお方!」
魔女たちは、煙突から、窓から、自在に姿を現し、またどこへともなく消えます。
《私の演出では、魔女は非常にポジティブな存在です(演出ノートより)》


マクベスから届いた手紙を読むマクベス夫人(石上朋美)。堂々とした演技、卓越した歌唱力で、聴衆を惹き付けました。


マクベス夫妻の陰謀にかかって暗殺されたダンカン王。赤い花びらが血潮のように吹きあがる演出。


《マクベス夫人を、悪意のある邪悪な存在として描くことは間違っていると思います(演出ノートより)》
コンヴィチュニーが意図した、マクベス夫人を、愛情豊かに演じた板波利加。最後が悲劇であったとしても、“レディ・マクベス”は、マクベスの確信に満ちた伴侶であったことは間違いないのです。


魔女たちの供宴。狂喜乱舞とはこのことか!?


魔女たちが釜に投げ入れるのは、パソコンや放射能マークの核廃棄物。コンヴィチュニーらしい風刺です。釜には火薬が仕掛けてあり、絶妙なタイミングで遠隔操作しています。熟練した舞台スタッフたちも緊張の一瞬。


マクベスは、亡霊となったバンコー(斉木健詞)を見て錯乱状態に陥り、宴会は滅茶苦茶になります。


魔女たちがマクベス(小森輝彦)に見せる影絵の悪夢。次から次へと王が現れては滅亡していきます。


ドイツ・アルテンブルク・ゲラ市立劇場専属第一バリトンとして12年間活躍し、昨秋帰国した小森輝彦。劇場経験豊かな小森が演じるマクベスには、権力者の孤独と寂寥感を漂わせ、その存在感を示しました。


二期会デビューとなった、今井俊輔は今もっとも注目されるバリトンの一人。運命に翻弄される男の悲劇を演じきりました。


カーテンコール
(撮影:堀 衛)

悲劇にも関わらず、時に陽気な音楽となるこの『マクベス』という作品を、コンヴィチュニー演出のよき理解者であるヴェデルニコフの指揮、東京交響楽団が、手堅くサポートしてくれました。
ご来場、ありがとうございました。

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【レビュー】9月公演 R.ワーグナー『パルジファル』終演

あらゆる社会的取り決めを超えて、各々が責任を負う心構えがなければ ~ 演出:クラウス・グート
ワーグナー・オペラの第一人者、飯守泰次郎氏を指揮に迎え、二期会随一の実力派の歌手が揃った『パルジファル』。
チューリッヒ歌劇場(スイス)、バルセロナ・リセウ大劇場(スペイン)との共同制作によって、プロジェクターによる映像投影をはじめ、テクニカル面でも高度な課題をクリアし、回り舞台(盆)はリセウから運ばれました。
5時間の長大な作品が内包する、壮大な物語を、単なるファンタジーではない、1913年以降の史実として、あらためて問いかける明晰な演出が、その百年後の日本に届けられたことに、深い感慨を持たずにいられません。
舞台写真とともに、公演を振り返ります。
写真撮影:三枝近志(◇…9月13・16日組、★…9月15・17日組)
<舞台写真はクリックで拡大表示します>


物語の始まり。老王ティトゥレル(大塚博章・中央)は、アムフォルタス(大沼 徹・左)を後継者に決め、もう一人の息子クリングゾル(友清 崇・右)には冷淡な態度を取る。


クンドリ(田崎尚美・右)が貴重な薬、バルサムを持って駆けこんでくる。左はグルネマンツ(山下浩司)


王アムフォルタス(左上)は、クリングゾルに聖槍を襲われ、槍の傷に苦しむ。


クンドリが長く姿を見せないとき、われわれに不幸なことが起こるのだ。
グルネマンツが語って聞かせる。


老王ティトゥレル(左)は、聖杯の儀式を行うように、アムフォルタスに迫る。右はパルジファル(片寄純也)


クリングゾルの怪しい悪の魅力。


Die Zeit ist da. (時は来た)
クリングゾルに操られるクンドリ(橋爪ゆか)。


クリングゾルの魔術によって、出現した花園と花の乙女たち。


魔性の女、クンドリが「パルジファル」と呼びかけると、たちまちにして、パルジファルは己を自覚する。


クンドリは、パルジファルにパルジファルの母、ヘルツェライデについて語る。


クンドリの誘惑が失敗したことを見てとり、クリングゾル(泉 良平)は、聖槍を振るうが、パルジファル(福井 敬)の頭上で、ぴたりと止まる。


パルジファルは、グルネマンツ(小鉄和広)のもとに帰って来る。


聖杯の騎士たちとともに、王アムフォルタスの城を目指すパルジファル。
パルジファルの歩み、騎士たちの歩みが、第一次世界大戦以後の歴史に重なっていく。


絶対的な庇護者を求めた結果について。
時はやってきて、現実となり、また過去となる。その繰り返し。
ただ苦しい状況であるからといって、決して無自覚でいてはならない。
救いがあるとしたら、それは他者への共感の中にあるのではないか、と。


カーテンコール写真。
(撮影:堀衛)

5日間で、4回の長大な公演を支え続けた読売日本交響楽団の壮大な響きは圧巻でした。
舞台装置、衣裳、小道具は再び、チューリッヒに、回り舞台はバルセロナに帰っていきました。
ご来場いただきました皆様、ありがとうございました。

帆かけ舟

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知の巨人リヒャルト・ワーグナー最後の楽劇『パルジファル』ついに開幕!

二期会創立60周年記念の頂点、実に45年ぶりの上演となる、ワーグナーの大作『パルジファル』がついに姿を現しました。(チューリッヒ歌劇場(スイス)、パルセロナ・リセウ大劇場(スペイン)との共同制作)
舞台神聖祝祭劇『パルジファル』は、復活祭、聖杯、贖罪、救済、と信仰と深いかかわりのある物語ですが、演出家クラウス・グートは、多様な文化と歴史を背景に、共に生きる人類の宿命として、一人の若者の成長の姿を描きました。
本場バイロイト劇場と、この東京文化会館の響きを知り尽くしたマエストロ飯守泰次郎氏が、読売日本交響楽団と共に作り出す繊細な美しさ。
5時間という作品は、時間的には長い。けれども、「zum Raum wird hier die Zeit.(ここでは時間は空間となる)」という老騎士グルネマンツの台詞の通り、喧騒の現実を離れて、無意識の世界に降りていく。その瞬間は、やはりワーグナーの魔術というべきものなのでしょう。
舞台の写真を少しご紹介します。
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白鳥を傷つけたことを叱るグルネマンツ(小鉄和広)と、無知にして純粋な少年
パルジファル(福井 敬)
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先王ティトゥレル(大塚博章)と、槍の傷に苦しむアムフォルタス(大沼 徹)
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魔術によって聖物の守護者の地位を狙うクリングゾル(友清 崇)
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クリングゾルによって操られ、また聖なるアンフォルタスの騎士団にも仕える謎めいた女クンドリ(橋爪ゆか)
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パルジファル(片寄純也)は聖なる槍を奪い返し、再びアムフォルタスの館に辿り着く・・・・

公演は17日(月・祝)まで。ぜひ会場でお楽しみください。
休憩は2回。25分ずつを予定しています。
会場の東京文化会館は昨年創立50周年を迎えました。設計は前川國男氏。大ホールのロビーに模型も展示されています。
日本を代表する舞台芸術の殿堂をめぐり、初秋の上野公園を眺めるのもお薦めです。
それでは、上野の東京文化会館でお目にかかりましょう。

▼公演詳細はこちら
二期会創立60周年記念公演 R.ワーグナー『パルジファル』 - 東京二期会オペラ劇場
▼公演当日のタイムテーブル(予定時刻表)はこちら
9月13日(木)開幕!『パルジファル』公演当日のごあんない - 二期会blog
▼チケットのお申し込み・お問い合わせはこちら
二期会チケットセンター TEL 03-3796-1831【『パルジファル』の電話予約は15日(土)15:00で終了
 ◆インターネット予約Gettiiなら24時間受付!しかも公演当日の開場時刻までご予約可能!
   →お近くのセブン-イレブンで決済・受取→余裕の到着!!

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【レビュー】『カヴァレリア・ルスティカーナ』『パリアッチ(道化師)』無事終演

東京二期会オペラ劇場初登場となる田尾下 哲の新演出が話題となったヴェリズモ・オペラの傑作『カヴァレリア・ルスティカーナ』『パリアッチ(道化師)』。
舞台写真とともに、公演を振り返ります。
写真撮影:三枝近志(◇…7月13・15日組、★…7月14・16日組)
<舞台写真はクリックで拡大表示します>

N.Y.で活躍する、幹子S・マックアダムスの洗練された装置にもご注目ください。

『カヴァレリア・ルスティカーナ』はシンプルでインパクトのあるモノトーン


『パリアッチ』ではポップな色彩と、1960年代を表すTVの撮影セット

指揮はイタリア、ミラノ生まれのパオロ・カリニャーニ。
イタリア各地の歌劇場、ウィーン、パリ、メトロポリタン、ケルン、ジュネーヴ、バルセロナ等、世界一流の歌劇場を指揮し、フランクフルト・オペラの音楽総監督を10年務めたというキャリアながら、毎日、リュックをひょいと担いでプールに通い、颯爽と稽古場に登場。梅雨明けした東京の暑さをものともせず熱の入った稽古を繰り返し、イタリア・オペラの世界を日本で、現代の東京で作り上げました。
『カヴァレリア・ルスティカーナ』の幕開け。

トゥリッドゥ(岡田尚之)と、ローラ(富岡明子)がよりを戻してしまったのを知ったサントゥッツァ(大山亜紀子)の悲しみ。


有名な合唱<オレンジの花は香り>。今回はローラ(澤村翔子)と村の有力者で馬車屋のアルフィオ(松本 進)の結婚式の場面として描かれました。兵役から戻った恋人トゥリッドゥ(大澤一彰)を見て、思わず、ブーケを落とすローラ。


彼の母親ルチア(池田香織)が営む酒屋を訪ねたサントゥッツァ(清水華澄)は、トゥリッドゥの心変わりを訴えます。


サントゥッツァの名アリア<ママも知る通り>。嘆くルチア(栗林朋子)。


トゥリッドゥに戻ってくるように、何度も頼むサントゥッツァ。でもサントゥッツァとの仲は、ローラへのあてつけで始まったのだし、もともと恋仲だったローラとよりを戻したトゥリッドゥは、追いすがれば追いすがるほど冷淡になり、まったく取り合わないのです。


ローラがアルフィオと結婚さえしなければ、サントゥッツァはこんな惨めな思いはしなくて済んだのに、子まで宿して、村人には陰口をたたかれ、哀れでならない。一方、ローラは美人でお金持ち。トゥリッドゥはローラと教会に行ってしまいます。


トゥリッドゥは、村の復讐のしきたりに従い、ローラの夫アルフィオと決闘することになりました。
母親のルチアにそれとなく別れを告げるトゥリッドゥ。<母さん、この酒は強いね>。
そして「もし戻らなかったら、サンタの母親になってやってほしい」と。
岡田は素晴らしく熱く輝く声で、トゥリッドゥを演じました。


アルフィオ(小川裕二)とトゥリッドゥの決闘シーン。トゥリッドゥは殺され、幕となります。

『パリアッチ』

トニオ(上江隼人)が、テレビのインタビュー番組に出ているシーンから、始まります。今回の演出では、トニオがすべての糸を引く。ネッダに横恋慕し、その夫カニオの嫉妬を操る、という難しい役回りでしたが、自在に舞台に出入りし、邪心を隠し持つ野心的な人物を演じて、強い印象を残しました。


鮮やかに降り立つ座長カニオ(大野徹也)とその妻で女優のネッダ(嘉目真木子)。


ネッダのアリア<鳥の歌>。いつの日か大スターになる!新進女優の華麗な演技。


高橋絵理が演じるネッダ。遊び、夢に夢見るような可憐さ。言葉と声と音楽・・・豊かな表現力を開花させました。


トニオ(桝 貴志)がネッダに言い寄りますが、相手にもしないどころかあざ笑うのです。


ネッダにとって、シルヴィオ(塩入功司)こそが本当の愛。
塩入は、艶やかで深みのある美声。


ネッダは、ついにシルヴィオ(与那城 敬)と駆け落ちすることを承知します。
与那城はこれまでにも二期会オペラに数々登場していますが、さすがのいい男ぶり。


一番の聴かせどころカニオのアリア<衣裳をつけろ>。
ネッダの裏切りを知り心ここにあらずですが、芝居の時間です。道化師Pagliaccio。


ネッダは《コロンビーナ》を、ペッペ(小原啓楼)は《アルレッキーノ》を演じます。


ペッペ(与儀 巧)が演じる《アルレッキーノ》のセレナータ。可笑しさと明るさがあって、ペッペの存在がこのオペラの重苦しさを救っている気がします。


芝居と現実の境を見失って次第に正気を失っていくカニオ(片寄純也)。激情と豊かな音楽を堪能させ、客席を沸かせました。


「助けて!」と叫ぶネッダに走り寄ったシルヴィオがカニオを刺し、カニオはシルヴィオを刺す。3人とも死んでしまうという壮絶な結末。

2作品とも惨劇で幕が降ります。人と人との関係で湧き上がる感情、嫉妬、怒り、絶望の究極の結末。生身の人間は、それでも日々演じ、仮面をかぶり、別の顔を見せているものです。本当の自分はどこにいるのか分からなくなっているのは、何も劇中人物だから、なのではなくて、その状況をどこか他人が操作しているような感覚があるからなのではないでしょうか。
この幾層にも重ねられた演出に、見事にこたえた歌手たちに大きな拍手が送られました。そして、楽譜に書かれた言葉が、生きた人間の言葉として歌われたことは、何よりも音楽の力でもあって、大きな感動を呼びました。
ご来場、ありがとうございました。

帆かけ舟

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眼差し「シチリアの、あるいは現代の」『カヴァレリア・ルスティカーナ』『パリアッチ』いよいよ始動!

気鋭の演出家、田尾下 哲が拓く、新しいオペラの可能性。
歌手たちはすでに音楽稽古、アンサンブル稽古と準備を積み、立ち稽古が行われています。
この数日前に、演出家自ら行ったワークショップから、近況を少しお伝えしましょう。
  *   *   *
ワークショップは、舞台の稽古の場でしばしば行われます。
出演者と役や作品について自由に意見交換を行ったり、さまざまなアプローチやシチュエーションを試したり、研究したり、ミュージカルや芝居の経験も多い田尾下氏は、ワークショップというスタイルを好むようです。
原作は、『カヴァレリア・ルスティカーナ』はイタリアのシチリア島、『パリアッチ』はイタリア南部のカラブリア地方を舞台にしています。この二本立てとすることは多いのですが、組み合わせというのは“奇妙なもの”でもあります。
装置や空間、といった舞台上の制約もさることながら、一晩で演じられ、お客様が2つの作品を続けて観る、という物語の時間と、現実の時間の一次的、二次的な設定が、演出家の腕の見せどころ、ともなります。
ましてや、『パリアッチ(道化師)』は、劇中劇。
田尾下氏は、“視られている”という状況が、人の行動や考えを制限したり、あるいは操るもの、と考えました。
では視ているのは誰か。
『カヴァレリア・ルスティカーナ』の場合は村人たちの眼。
シチリアでは、殺人事件の目撃者はいない、等と言われるくらい、コミュニティの結束が強く、文学や映画の舞台にもなるわけです。厳しい気候、貧しい土、家族、宗教、政治が絡み合う密接で複雑な人間関係、今回の舞台に、これらを具体的に舞台上に表す、ということではないのですが、登場人物の関係性の根拠として重要です。
サントゥッツァの恋人、トゥリッドゥは軍隊に行く前は、ローラと付き合っていました。トゥリッドゥが除隊して戻ってきた時、ローラは村の有力者、馬車屋のアルフィオと結婚していました。しかし、トゥリッドゥは再び、ローラと密会するようになります。この一部始終を、村の人々が見る、噂になる、皆が知っている、という状況。
これが、トゥリッドゥの運命を決定づける“第三者の眼”の意味です。
では、『パリアッチ』の場合は?こちらは幕が開くまでの楽しみ、としておきましょう。
『パリアッチ』は、道化師カニオが率いる一座の女優ネッダが、若者シルヴィオと恋に落ちることから始まる悲劇。座長の妻であり、一座の花形女優のネッダですが、彼女は決して、自分の境遇に満足していません。
ネッダが歌うアリア「鳥の歌」。
Stridono lassù, liberamente lanciati a vol,
大空を自由に飛ぶ鳥を見て、“ここではない何処か”に憧れがあふれ出るのです。
田尾下氏は、“美しい人は、美しいと人に思われていることを知っている”と語ります。
女優を演じる、ということはどういうことか。
ネッダの夢とは何であったのか。
公演まで、1ヶ月。どうぞお楽しみに。

帆かけ舟

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【レビュー】二期会ニューウェーブ・オペラ劇場公演『スペイン時間』『子どもと魔法』

快晴となった5月19日と20日、新国立劇場中劇場で『スペイン時間』『子どもと魔法』が上演されました。
出演者は二期会オペラ研修所を修了した第51期から第54期の若手歌手の中から選抜。若さとチームワークでお洒落な音楽劇を楽しませてくれました。
装置・増田寿子、衣裳・太田雅公、振付・山田うん、照明・齋藤茂男。演出は加藤 直。
写真撮影:三枝近志(◇…19日、★…20日)
<舞台写真はクリックで拡大表示します>

『スペイン時間』

時計屋の主人、トルケマダ(左・吉田伸昭)。
時計屋のオルゴール人形はダンサーたち。
時間を表して、時に踊りだします。


市役所の時計の修理に行ってしまって、店に残されたロバ曳きのラミーロ(右から2番目・門間信樹)。


主人の留守に、その妻コンセプション(中村洋美)は、恋人の詩人ゴンザルヴェ(新海康仁)を引き入れます。時間がないのに、ゴンザルヴェは詩作に夢中。


カタルーニャ式大時計に隠れたゴンザルヴェ(高柳 圭)。


もう一人の恋人、ドン・イニーゴ・ゴメス(中・佐原壮也)は大時計にお腹が挟まってしまいます。そこへトルケマダ(左・大川信之)が帰ってきました。


コンセプション(経塚果林)が皆で引っ張りますがドン・イニーゴ・ゴメス(狩野賢一)は出て来られません。


素敵な奥さんだなぁとつぶやくラミーロ(中前・佐藤 望)


最後は登場人物がオルゴール時計の人形に。ちょっと昔の映画みたいな終わり方。

『子どもと魔法』

宿題をしないので、子ども(右・澤村翔子)は、お母さん(左・遠藤千寿子)に怒られます。


中国茶碗(左・福間章子)とティーポット(右・木野千晶)。
子どもが中国茶碗を壊してしまったと言っています。


肘掛椅子(左・岩田健志)と安楽椅子(右・伊藤 光)がお喋り。


子どもの仕草、表情をよく見せて、楽しませた宮澤彩子。
柱時計は吉田侍史。


お姫様(湯浅桃子)が、絵本の中から現れます。
子ども(澤村翔子)は夢のような心持ち。幻想的で美しいシーン。


火(守谷由香)。
コロラトゥーラを駆使して、歌います。
衣裳が燃え上がるように見えました。


子どもが苦手な算数を、おかしなリズムで歌う小さな老人(右前・園山正孝)。
短いシーンですが、カラフルで楽しさいっぱい。


りす(香村寛子)。キョロキョロすばしっこく見る動きなど、とても可愛らしく、ふさふさのしっぽは、楽屋でも人気者だったとか。

ラヴェルの母親は、スペイン系の血筋をひき、バスク出身でした。
『スペイン時間』『子どもと魔法』は、母につながる想い出が散りばめられた作品ともいえます。
フランスから指揮者ジェローム・カルタンバックが来日し、東京交響楽団と共に、若手の演奏を支え、ラヴェル独特のリズム、色彩感あふれる音を繊細に聴かせました。
ニューウェーブ公演を機に、さらに大きな舞台に立ち、お客様と再び素晴らしい時を共にできますように。
ご来場、ありがとうございました。

帆かけ舟

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びわ湖・神奈川県民ホール『タンホイザー』無事に終演

春にはまだ早い3月10日、びわ湖ホールで幕を開けた、神奈川県民ホール・びわ湖ホール・東京二期会・京都市交響楽団・神奈川フィルハーモニー管弦楽団共同制作公演『タンホイザー』。

びわ湖面いっぱいに水鳥が浮かぶ風景、晴れた早春の週末、期待が高まります。
世界一流の歌劇場で活躍している演出のミヒャエル・ハンペは77歳。故ヘルベルト・フォン・カラヤンと長年にわたり共同制作を行ってきました。彼の舞台人生は、そのまま、社会の変動を映した数々の演出手法の歴史ともいえるでしょう。しかし、時の流行にとらわれない、彼の豊かで優しく、また自然な舞台には、聴衆からの大きな信頼があったようにも思われます。
びわ湖の評判がじわじわと広がって、神奈川県民ホールにもたくさんのお客様。
ワーグナーのオペラは、歌手にとっても、オーケストラにとっても“特別”です。
タイトルロールのタンホイザー役は「テノール殺し」と言われるほど、長丁場の耐久力と表現力が求められる難役。果敢に挑んだ福井敬は、颯爽とこの英雄を演じ、見事な歌唱の連続に熱い拍手が送られました。
写真とともに、公演の様子をお伝えします。
◆びわ湖公演(提供:びわ湖ホール)
◇神奈川公演(撮影:青柳 聡)

歓楽の世界ヴェーヌスベルクは、愛欲の女神ヴェーヌスが支配しています。妖艶なヴェーヌス(小山由美)が引き止めますが、ついに振り切って、タンホイザーは純粋な乙女エリーザベトが待つ、ヴァルトブルク城に帰ります。

◆ヴェーヌスベルクからかえってきたタンホイザー。


「誇り高い私の殿堂に挨拶します!」
エリーザベトの登場。愛するタンホイザーの帰りを喜び、晴れ晴れとした美しさ。清らかな乙女によって救済される、というワーグナー・オペラの定形。


歌合戦のシーン。領主、ヘルマン(妻屋秀和)。堂々として豊かな声が、客席に広がっていき、その存在感で圧倒しました。竪琴をかき鳴らす演技に、ヴォルフラム(黒田 博)、ビテロルフ(萩原 潤)、ラインマル(山下浩司)等は、オーケストラのハープ奏者と打ち合わせをするという念の入れよう。チームワークのよさを感じさせた場面です。


鮮やかに場面を制するエリーザベトを、佐々木典子、安藤赴美子が演じました。


タンホイザーは官能的な愛を歌いあげ、神聖な歌合戦を穢したとして、追放されてしまいます。


エリーザベトは、巡礼に加わってローマに赴いたタンホイザーが許されて帰ることをひたすら祈りますが、その願いは果たされませんでした。
底知れない喪失感を劇的に表現し、同時に清らかさと真の強さを見せ、伸びやかな声で聴衆を魅了しました。


再びヴェーヌスベルクの世界に向かおうとするタンホイザーを「エリーザベト」の名が救うのです。
彼の罪が許されないのと同じく、決して緑が生えることはない、と言われた枯れ木の杖が芽吹き、
奇蹟が起きます。姫の願いはかなえられ、タンホイザーは救済されました。

沼尻竜典芸術監督のもと、最高の歌手の布陣でお送りするびわ湖・神奈川のプロジェクト。
次回2013年公演は『椿姫』に決まりました。ぜひお越しください。
ありがとうございました。

帆かけ舟

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アンドレア・バッティストーニ指揮『ナブッコ』公演を振り返る

2月中旬、24歳の指揮者、Andrea Battistoniが、イタリアから来日、会う人すべてを魅了した3日間のオペラ公演『ナブッコ』。
▼『ナブッコ』公演詳細
オペラ公演ラインアップ 2012年2月公演「ナブッコ」 - 東京二期会
イタリア、パルマ王立歌劇場との提携公演が決まり、二期会の機関誌「二期会通信」Vol.288で紹介された、バッティストーニのインタビューでは、音楽に対する真摯な姿勢、そしてその若さでイタリアの主要な劇場、フェスティバルを次々と制覇し、パルマ歌劇場の首席指揮者をつとめるという経歴に、驚かれた方も多いでしょう。
▼「二期会通信」Vol.288掲載インタビュー記事
超新星 アンドレア・バッティストーニに聞く - オペラを楽しむ|東京二期会
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実際に彼が来てからはまさに旋風。ひとたび指揮台に上がれば、その眼に、「吸い込まれるようだ」と教えてくれた若い歌手勢。音楽稽古、通し稽古、オーケストラとの練習、舞台稽古と、ごく短期間の限られた回数のうちに、舞台裏から熱い空気が伝わってきたのです。
「聴きましたか?」「あの指揮者すごいです」「合唱がいいって」「若い!」・・・『ナブッコ』に命を吹き込んだ2週間。ゲネプロ(総通し稽古)を聴いた前理事長は、「たまげたね!」と絶賛。バッティストーニがもたらした音楽への情熱、時を共有する喜びに沸いた一瞬。オペラはやはり、劇場で作られるもの。
バッティストーニの音楽を聴いた人は、自分の中の何かが変わる気がしたのではないでしょうか。
二期会の若い歌手の力を最大限に引き出し、聴かせてくれた功績も大きい。

公演評、舞台写真とともに、この名舞台を振り返ります。
<舞台写真はクリックで拡大表示します>
★2月17日・19日組(撮影:三枝近志)
☆2月18日組(撮影:野村正則)

タイトルロールのナブッコ王を堂々と演じ、存在感も増した上江隼人。5月には、パルマでのバッティストーニの指揮によるヴェルディ『スティッフェリオ』のスタンカー伯爵に抜擢され、7月には、東京二期会オペラ劇場『パリアッチ(道化師)』のトニオで出演します。




ヴェルディ・オペラに欠かせない自尊心が高く美しい女性アビガエッレを歌った岡田昌子。
上江、岡田が五島記念財団の奨学金をダブル受賞しました。


ザッカーリアを歌ったジョン・ハオ。
気高さを感じさせる美声に長身痩躯で衣裳も映えます。この存在感、今後も貴重なバスの一人として、オペラの舞台を担っていくことでしょう。合唱は二期会合唱団。完成度の高い凝縮した響きで深い感動を呼びました。


中島郁子のフェネーナ。
ひとつひとつの表現、たたずまいが美しく、安定していました。


アビガエッレのドラマティックな音色と性格は、このオペラの非常に重要な要素。
このキャラクターは、ヴェルディのこの後の作品に通じていく魅力でもあります。
若手の多かった今回のプロダクションにおいて、イタリアオペラを数多く経験している板波利加がびしり、と引き締めました。


ナブッコ王を演じる若手バリトンの青山 貴。
この公演を通してまた大躍進。5月の東京オペラシティB→Cも期待され、今後が楽しみです。


そして、バッティストーニ。
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「柔軟な身体、楽想の転換時にも揺るがないリズム感、芯のあるフォルテシモなど、どこも魅力的」(読売新聞・沼野雄司氏)
「傑出した才能は序曲だけでも明白で、合唱団にも緻密な指示を送り、緩急自在のダイナミックな音楽」(音楽の友4月号・水谷彰良氏)。
そして熱い拍手を送ってくださったご来場の皆さま、ありがとうございました。

〜本公演のラジオ放送(予定)が決まりました〜(4/11追記)
放送局・番組名:NHK-FM オペラ・ファンタスティカ
放送日時:4月27日(金) 14:00~18:00
▼番組ホームページはこちらをご覧ください
オペラ・ファンタスティカ - NHKオンライン

帆かけ舟

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第88回二期会オペラ研修所コンサート(レビュー)

現在、二期会オペラ研修所には、第55期マスタークラスから第57期予科まで、200名の研修生が在籍しています。
その中から成績優秀者が選ばれて出演する、毎年のコンサート。
財団法人北区文化振興財団様のご協力を得て、将来が楽しみな若い声楽家たち、21名が北とぴあさくらホールに出演しました。
北区の区民招待に毎年、応募しご来場くださる方もいらっしゃって、励まされます。
圧巻は、会場の大きな拍手にこたえて演奏された、レハール作曲オペレッタ『メリー・ウィドー』から“女、女、女”
手拍子もあって、一体感もありましたね!ピアノは、石野真穂、朴 令鈴。
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過去、二期会オペラ研修所コンサートの出演者からは、2010年2月『オテロ』のイヤーゴや2011年2月『サロメ』のヨカナーンに抜擢された大沼 徹、先月の『ドン・ジョヴァンニ』でツェルリーナを演じた嘉目真木子と盛田麻央、2010年7月『ファウストの劫罰』でマルグリートの代役を見事につとめた小泉詠子等、実力ある若手を毎年輩出しています。

これからも若い歌手にあたたかいご声援をお願いします。
ご来場ありがとうございました。

▼今年の出演者はこちらからご覧ください
第88回二期会オペラ研修所コンサート - 東京二期会

帆かけ舟

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東京フィル<100周年記念>グルリットが遺した功績

日本のオペラ上演史と重なるオーケストラの100年を伝える
~第807回サントリー定期シリーズ~
二期会オペラの歴史とともにある、ともいえる縁の深いオーケストラ、東京フィルハーモニーが生誕100周年を迎えました。
11月18日に開催された第807回サントリー定期のプログラムでは、節目節目となったオペラ作品が取り上げられ、二期会のトップスターが出演しました。
指揮は、すらっと長身のダン・エッティンガー氏。

前半は、ワーグナーの重厚な合唱(東京オペラシンガーズ)に続いて、R.シュトラウス『ばらの騎士』の美しい三重唱。
後半は、グルリット作曲のオペラ『ナナ』。難役と感じさせない山下浩司、萩原 潤と2人のバリトンが好演。そして『ばらの騎士』のゾフィーを歌った吉原圭子が、『ナナ』ではタイトルロール。全くキャラクターの異なる役を見事に演じ分け、魅了しました。
プログラム最後はG.ヴェルディ『アイーダ』ハイライト。二期会を代表するテノール福井 敬がラダメス、アイーダは横山恵子、そしてアムネリスに期待のメゾソプラノ中嶋郁子が登場。エジプト王に出演したジョン・ハオは品のいい風格のある声で注目のバスです。ヴェルディ・オペラの真髄ここにあり、と言わんばかりのエッティンガー氏の指揮でオーケストラも最高潮に。素晴らしいソリストたちのアンサンブルに迫力あふれる合唱、オペラの舞台を観終わったような余韻がいつまでも客席にありました。
厳しい時代にも、音楽を愛し、音楽家を育てた信念の人に感謝しつつ。
▼公演について
第807回サントリー定期シリーズ - 東京フィルハーモニー交響楽団
特別インタビュー:マエストロ外山雄三、グルリットを語る - 特集|東京フィルハーモニー交響楽団
二期会からのソリストは、ソプラノ~吉原圭子、横山恵子、メゾ・ソプラノ~井坂 惠、中島郁子、テノール~児玉和弘、高田正人、福井 敬、バリトン~萩原 潤、村林徹也、山下浩司、バス~ジョン・ハオでした。

帆かけ舟

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東京文化会館50周年事業~『古事記』

開館50周年を迎えた東京文化会館。
私たちの東京二期会オペラ劇場もこの舞台で数多くのオペラを上演してきました。
今も日本のオペラ、バレエの中心地といってもよいでしょう。
記念フェスティバルのクライマックスとして、去る11月20日と23日に上演された、黛 敏郎のオペラ『古事記』は日本初の舞台上演とあって、話題を集めました。
二期会からは、ウィーン国立歌劇場専属ソリストとして活躍する甲斐栄次郎(バリトン)、幅広い役柄を演じ、高い評価を得ている高橋 淳(テノール)、一昨年二期会オペラ研修所を首席で修了した門間信樹(バリトン)が出演。
国内外で活躍する豪華な歌手が勢ぞろいし、演出の岩田達宗氏のもと、熱い舞台を作り上げてきました。
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(写真提供:東京文化会館 撮影:青柳 聡)
日本の歴史『古事記』の国生みを機に、古の神々が平和を願い、この国をつくっていく物語。
人の力を超える自然には、常に畏敬の念を持ち、酒を飲んで暴れる神には親しみも感じつつ、信仰し語り継いできた古来の人々に思いを馳せる舞台でした。

楽屋で控える3人の写真をご紹介します。前田文子氏による美しい衣裳もどうぞご覧ください。
kojiki_kai.jpg イザナギ役 甲斐栄次郎
kojiki_takahashi.jpg スサノヲ役 高橋 淳
kojiki_monma.jpg 風の神/見張りの神役 門間信樹

▼公演情報はこちらをごらんください。
50周年記念フェスティバル 記念オペラ『古事記』(終了しました) - 東京文化会館50周年記念事業

帆かけ舟

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二期会クリスタルコンサート
満場の大拍手に感激

二期会ニューフェースのお披露目の「クリスタルコンサート」(公益財団法人東京二期会主催)が11月17日(木)、すみだトリフォニーホール小ホールで開催されました。
前半は歌曲を、後半にはそれぞれが得意とするオペラアリアを聴いていただきました。名司会・池田直樹(バスバリトン)の楽しいトークで、会場は和やかな雰囲気。
溌剌としたドニゼッティのテノールを楽しませた中川正崇、ヴェルディ・オペラの名作『オテロ』から凄みのあるイヤーゴを感じさせた長谷川 寛(バリトン)、丁寧な音楽が心に残る松岡万希(ソプラノ)、明るく愉快な『セビリャの理髪師』フィガロは江原啓之(バリトン)、清楚な美しさの山口清子(ソプラノ)、華やかさと厚みのある『アンドレア・シェニエ』で魅了した今井俊輔(バリトン)、そして最後は堂々たるトゥーランドット姫を聴かせた石上朋美(ソプラノ)でした。ピアノは山口佳代。
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お客様からの出演者全員に対するあたたかい拍手に、皆、感激でした。
ありがとうございました。

帆かけ舟

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【レビュー】林 美智子プロデュース!二期会トップスターによる90分の『コジ・ファン・トゥッテ』

W.A.モーツァルトの名作オペラ『コジ・ファン・トゥッテ』は、全曲演奏するとほぼ3時間かかります。
これを“是非もっとたくさんの方に聴いてほしい…”という願いから、上演しやすいようにとシンプルな構成を考えたのは、メゾソプラノ林 美智子。
ソロのアリアをすべてカットし、何と演奏時間を90分に収め、舞台装置も椅子だけというシンプルさ。その公演名もズバリ《林 美智子 90分の『コジ』!》。
公演チラシには、林が描いた人物相関図を掲載し、上演前から出会いの期待感を共有します。
2006年の「二期会週間 in サントリーホール」で初めて登場し、大好評を得たこの名ステージの再演が、去る9月11日、北九州市立 響ホールで実現しました。
出演キャストは林(ドラベッラ)の他に、澤畑恵美(フィオルディリージ)、望月哲也(フェランド)に、黒田 博(グリエルモ)、池田直樹(ドン・アルフォンソ)、鵜木絵里(デスピーナ)、そしてピアノには河原忠之を迎え、豪華そのもの!まさに珠玉の声のアンサンブルです。

『コジ・ファン・トゥッテ』は、二重唱、三重唱から、六重唱まで、多彩なアンサンブルが盛り込まれ、登場人物のドラマが立ち現われる魅力にあふれた作品。
人と人との間で生じる慕わしさ、嬉しさ、弱さ、寛容、巧みな芝居、聴く人それぞれの心に響くのではないでしょうか。
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幕開け。これから始まる「女の貞節」を試すゲームについて説明するドン・アルフォンソ(池田直樹)。
青年士官フェランド(望月哲也)には妹ドラベッラ(林 美智子)、グリエルモ(黒田 博)には姉フィオルディリージ(澤畑恵美)と、姉妹の恋人がいます。その愛を疑うことをしない2人に対し、ドン・アルフォンソは賭けをもちかけるのです。
ドン・アルフォンソの仕掛けた大芝居とも知らず、恋人の出征を信じる姉妹は意気消沈。
ドン・アルフォンソは、次に姉妹の女中、デスピーナ(鵜木絵里)に、協力を求めます。デスピーナはお金次第!?
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大金持ちの異国の青年が現れて、姉妹を口説きます。この青年たち、それぞれフェランドとグリエルモが変装したもの。「変装」は、この作品の重要なテーマ。
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望月と黒田の巧みな芝居に会場も大爆笑。ピアノの河原忠之氏まで、お楽しみ!?
「恋のために死んでしまう」と毒薬を仰いで倒れこんでしまった異国の青年に、姉妹は動揺します。そこへ現れた怪しげな医者は、実はデスピーナの「変装」。
熱烈な愛の告白に、姉妹の陥落も近い・・・。ドン・アルフォンソの勝利!?
そして結婚式を挙げることになりますが、結婚公証人は、またもやデスピーナの「変装」。
そこへ本来の姿に戻ったフェランドとグリエルモが再登場。心変わりを責めますが、ついには仲直り。
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カーテンコール。盛大な拍手をいただきました。

《林 美智子 90分の『コジ』!》。また近いうちに皆さまと出会えますように。
ご来場ありがとうございました。
写真提供:財団法人北九州市芸術文化振興財団◎北九州市立 響ホール

▼北九州市立 響ホールでの公演概要(公演は終了しました)
第2弾 林 美智子 90分の『コジ』!|響シリーズ|公演情報 - 財団法人 北九州市芸術文化振興財団
▼《林 美智子 90分の『コジ』!》公演企画の詳細についてはこちらをご覧ください
メゾ・ソプラノ 林 美智子|アーティストから選ぶ|企画コンサートのご提案 - 二期会21
林 美智子 90分の『コジ』!(詳細PDFファイル)

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二期会アフタヌーン・コンサートinヤマハホールVol.2

厳しい暑さも過ぎて、季節をめぐる風を感じます。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

去る8月23日(火)、銀座7丁目にあるヤマハホールにおいて、第37回二期会アフタヌーン・コンサートinヤマハホールVol.2が、開催されました。
アフタヌーン・コンサートは、二期会アーティストと二期会オペラ愛好会会員のお客様が出会うあたたかい雰囲気のコンサートとして人気を集めているシリーズ。
また、二期会を代表する人気歌手が司会をつとめるのも、ファンにはちょっと珍しく楽しい企画です。今回は、11月の『ドン・ジョヴァンニ』でタイトルロールを演じる黒田 博(バリトン)とドンナ・エルヴィーラを演じる佐々木典子(ソプラノ)の豪華な二人。
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出演者はオペラ・アリア、日本歌曲、イタリア歌曲等、それぞれが得意のレパートリーを披露し、多彩なプログラムとなりました。
これまで知らなかった歌手の声を聴くこと、知っている歌手の新しい魅力や成長を知るのも楽しみのひとつ。
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これからも、二期会のアーティストたちを末永く応援していただけたら、嬉しいです。そして、また近いうちに、歌のある時間をともにすごすことができますように。
▼公演の内容はこちら
第37回二期会アフタヌーン・コンサートinヤマハホールVol.2 - 東京二期会

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リサイタル直前!加納悦子に聞く(3)

自分の人間の本当の喜怒哀楽の先へ。
シェーンベルクの歌曲作品の中に「架空庭園の書より」という連作歌曲があり、芸大の大学院を修了するときの演奏で取り上げました。無調音楽です。当たり前ですが、調性音楽も無論素晴らしい。
しかし一旦音楽が一般的な調性を離れて自由な音の飛行を始めると、そこに独特の緊張感が生まれます。
解決を呼ばない心の葛藤などはこんな音がするのではと感じます。
それにその中にふと訪れる「調和する」音たちの艶かしさ。
その音楽を自分の声でなぞっていく楽しみは、かつての「架空庭園」の頃から少しも変わらないのです。

*********
リサイタルはいよいよ明後日!
ご来場お待ちしております!!

二期会ゴールデンコンサートin津田ホール
Vol.33 加納悦子メゾソプラノ

2011年7月16日(土)16:00開演
津田ホール(全席自由)4,000円

 チラシダウンロード(PDFファイル)
▼加納悦子の今
ピックアップアーティストVol.22 加納悦子の今 - 株式会社二期会21
▼7/16のリサイタルの詳細はこちら
二期会ゴールデンコンサートin津田ホールVol.33 加納悦子メゾソプラノ - 株式会社二期会21
▼関連記事
ロマンティシズムの行き着く先・・・ファンが待ち望む加納悦子のリサイタル! - 二期会blog 2011/7/4
リサイタル直前!加納悦子に聞く(1) - 二期会bleg 2011/7/11
リサイタル直前!加納悦子に聞く(2) - 二期会blog 2011/7/12

帆かけ舟、ZEN

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リサイタル直前!加納悦子に聞く(2)

加納悦子は、日本に帰国以来、数々のオペラの舞台の一方、読売日本交響楽団、NHK交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー、日本フィルハーモニー、新日フィル、神奈川フィル、群馬交響楽団、札幌交響楽団、九州交響楽団と、数多くの日本を代表するオーケストラと、ソリストとして共演しています。G.アルブレヒト氏、H.ブロムシュテット氏、秋山和慶氏、国内外の著名な指揮者からも信頼され、重ねて共演を望まれることもたびたびです。
オラトリオやレクイエム、ミサ曲といった宗教曲から、マーラーの交響曲、ベルリオーズの歌曲、etc. たくさんの曲を歌っています。最近のコンサートから印象に残っていることをうかがってみました。
****************

kanou_etsuko_MG_9605.jpg バッハの作品を歌うのも大好きです。
私も平均的な日本人で、特別に信心深いというわけではありません。
しかし、バッハの作品を演奏していると「何かが」起こる瞬間:それは演奏者全体が音楽そのものに奉仕するとき、まるで神託のように降り注ぐ奇蹟の音楽体験があるからです。
昨年秋、大阪フィルハーモニー交響楽団の「バッハ・ロ短調ミサ」演奏会はドイツのオーボエ奏者&指揮者の巨匠ヘルムート・ヴィンシャーマン氏の指揮で演奏され、私はアルトソロで共演いたしました。ヴィンシャーマン氏はその時、御歳91才、「指揮をする」というより身体、あるいは氏全体から滲み出る音楽のオーラによって素晴らしいロ短調ミサを体験しました。バッハの音楽を全霊で捧げた瞬間、しかもそれ全体を軽々と楽しんだ時間がそこにありました。

****************
居合わせた人々は、きっと夢の世界に遊ぶ思いだったことでしょう。
オーケストラとの共演では、今年8月に広島交響楽団「平和の夕べ」コンサートでデュリュフレ「レクイエム」が予定されています。
▼広島交響楽団「平和の夕べ」コンサートについてはこちらをごらんください
コンサート情報 2011年8月 - 広島交響楽団
そして、今週末7月16日(土)は1台のピアノと加納悦子の声が奏でる至福の音楽の世界。
暑さを忘れる、心の旅へ。
▼加納悦子の今
ピックアップアーティストVol.22 加納悦子の今 - 株式会社二期会21
▼7/16のリサイタルの詳細はこちら
二期会ゴールデンコンサートin津田ホールVol.33 加納悦子メゾソプラノ - 株式会社二期会21

帆かけ舟、ZEN

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リサイタル直前!加納悦子に聞く(1)

今回は、帰国後、歌う機会が多くなったリヒャルト・シュトラウスについて、
先に話題を呼んだ新国立劇場『ばらの騎士』アンニーナを糸口に聞いてみました。

kanou_etsuko_MG_9605.jpg 数年前に同じオペラのオクタヴィアンを歌いました。この役は「タイトルロール」なので歌う分量や物語全体に占める役の重要度はアンニーナとは比較になりません。でも新国立劇場でアンニーナを歌わないかと言われた時は「面白いかもしれない」と本心から思いました。
加納がオクタヴィアンを演じた2008年『ばらの騎士』は、びわ湖ホールと神奈川県民ホールと東京二期会の共同制作というプロジェクトの第1弾で、びわ湖ホール芸術監督の沼尻竜典はじめ、プロダクションとしても力が入っていた。アンドレアス・ホモキを演出に迎え、出演者も元帥夫人マルシャリンに佐々木典子、ゾフィーに澤畑恵美、と二期会からも一流の歌手が出演している。
中でも、時が止まったかのようなオクタヴィアンとゾフィーの出会いのシーンは、今も鮮やかに目に浮かぶ。オクタヴィアンの「若さ」が精神的にもそして行動に現れるときにも、事象として若い、というだけではなく、若いからこそ感じた不安、怒り、怖れ、喜び、落胆等、一つ一つが類まれな集中力で客席に発信されていた。そして、その感情の動き自体がオペラ全体を引っ張っていき、深い共感を呼んだのだ。

その彼女が、今度はアンニーナを演じることを、「面白いかも知れない」と思ったのは、実際、自分がオクタヴィアンの役年齢:17歳3カ月!からは、遥かに?!離れてしまっただけでなく、傍目からもアンニーナは大変魅力的な役柄だったから、というのです。

R.シュトラウスはオペラ劇場を知り尽くしていた作曲家だと思いますが、彼がメゾソプラノという声種の歌手達のある意味、健全なキャリアの過程にアンニーナやカプリッチョのクレロン、サロメのヘロディアス、エレクトラのクリテムネストラなどの役をこの世に残してくれたことは本当に感謝するべき贈り物だと思う。これらの役は、幾つかの少年役を含むメゾソプラノの役を歌った経験から得た感性や技術を多くの場面で生かすことのできる要素に満ちています。アンニーナについて言えば、短いながらもドイツ語の早いしゃべりや音域の広さやオックスとの洒脱なやりとりとか、歌う方の挑戦意欲をかきたてるフレーズに彩られているのです。
『ばらの騎士』2幕最後、オックス男爵が有名なワルツを歌うが、アンニーナは、女中のマリアンデルからの恋文(実はオクタヴィアンの悪戯)を手に、男爵の自尊心をくすぐったり、からかったりする。加納が演じるアンニーナは、いわゆる身分社会の底辺から上は貴族まで、知り尽くしたしたたかさと、詮索好きという生来のもの、体裁ばかりの人間をからかう軽妙さと、気取りつつも実をとる女の知恵が見え隠れする。してやったり、と喝采し笑わされるが、何か苦みが残るという、本当に面白い人物になっていたのだ。
二期会ゴールデンコンサートin津田ホール
Vol.33 加納悦子メゾソプラノ

2011年7月16日(土)16:00開演
津田ホール(全席自由)4,000円

 チラシダウンロード(PDFファイル)

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帆かけ舟

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粟國淳演出『トゥーランドット』開幕!(レビュー[1])

王子カラフを当たり役としてきた二期会トップテノールの福井 敬、客席を深い声で包み込む横山恵子のトゥーランドット姫を得て、粟國淳の色彩豊かなトゥーランの国に誘われます。
ローマ・オペラの芸術監督・常任指揮者を歴任し、イタリアオペラを知り尽くしたジャンルイジ・ジェルメッティを指揮に迎え、快調の読売交響楽団が奏でるプッチーニ・オペラの世界。
東京文化会館(上野)の舞台からお楽しみいただきましょう。
★7月6・9日出演組(撮影:三枝近志)
☆7月7・10日出演組(撮影:鍔山英次)

幕が開くと、大きな機械が蒸気が吹く中、重労働に耐えるトゥーランの国(架空の国)が現れる。


3人の大臣。
左からポン(村上公太)、ピン(萩原潤)、パン(大川信之)。
ユーモラスに感じられる面白い音楽ですが、タイミングをピタリと合わせるのは難しいのですよ。
それぞれのキャラクターが際立って、登場するとどことなくひょうきんです。


マエストロ、ジャンルイジ・ジェルメッティ。
オーケストラを自由自在にドライブし、疾走する。


皇帝アルトゥム(牧川修一)とトゥーランドット姫(丹藤亜希子)。
異国情緒あふれる、高貴で光り輝く衣裳にも注目。


女奴隷のリュー(新垣有希子)は、捕えられ拷問されてもカラフの名を明かすことを拒み、死んでしまう。
愛し、その愛を得ることなく、死んでしまう女性をプッチーニは美しい音楽で描き、世の男性はそれを儚いといって賛美するが、そうやって死んでいくリューの姿に、今に続く深い犠牲を感じるのは演出のためであろうか。


最後にはカラフを愛するトゥーランドット姫(横山恵子)。
姫には、美しいだけでなく、その身分の高さゆえ、激しさを秘めた表現が求められ、特別なソプラノだけが歌える役です。
横山は、タイトルロールにふさわしい気品と貫禄を示し、すべてが聴きいるようでした。
冷たく美しい、というだけでなく、感受性の強いまた繊細な女性として、描かれていました。

プレミエ(7月6日)のカーテンコール!

ご来場ありがとうございます。
本公演は休演日を挟んで残り2回、9日(土)と10日(日)。
この迫力のプロダクションをどうぞお見逃しなく。
ご来場お待ちしております!!

▼公演案内ページはこちら
2011年7月公演 G.プッチーニ『トゥーランドット』- 東京二期会オペラ劇場
▼公演当日の情報はこちらをご覧ください(当日券あります!)
いよいよ開幕!!『トゥーランドット』公演当日のご案内 - 2011年07月05日|オペラの散歩道 二期会blog

帆かけ舟

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ロマンティシズムの行き着く先・・・
ファンが待ち望む加納悦子のリサイタル!

二期会の第一線で活躍する歌手の音楽を、じっくりと堪能できるコンサートシリーズ「二期会ゴールデンコンサートin津田ホール」。
次回7月16日(土)は、メゾソプラノ加納悦子が出演。アルバン・ベルクやアーノルト・シェーンベルクを中心としたプログラムでのリサイタルをお届けします。
 チラシダウンロード(PDFファイル)
今もっとも輝き、信頼される音楽家の一人と言える加納悦子。
もともと、ドイツリートに魅かれていた加納は、東京芸術大学を卒業後、ドイツに留学し、ケルン音楽大学、ケルン歌劇場研修所で学びます。
留学当時について、「この歌をこんな風に伝えたいという表現力や意欲を認めてくれて、すごくうれしかった」と話してくれたことがあります。伝えたいことがあって、その歌に耳を傾ける人がいて、そして、評価してくれるところだった、と。
そうしてすっかりドイツに馴染み、またその実力を評価され、
ケルン歌劇場の専属歌手として数多くのオペラに出演しました。

帰国後は、ベルク『ルル』3役、R.シュトラウス『ばらの騎士』オクタヴィアン、『カプリッチョ』女優クレロン、ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』のブランゲーネ等、メゾソプラノの重要な役を次々と演じ、存在感を増しています。
コンサートでもN響定期「大地の歌」、読響定期「ここに慰めはない」(猿谷紀郎作曲・G.アルブレヒト指揮)世界初演、06年都響、2010年東フィルに招かれベルリオーズ「夏の夜」を演奏。常にプロフェッショナルな姿勢で、第一線にいる歌手です。
加納が、日本に活動の軸を移して、今年で10年。
今回のプログラムは、10代の時から魅せられ、心底共感するものが潜むという、
シェーンベルクやベルクの「ロマンティシズムの世界」。
その時を共に。
インタビュー動画
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ZEN, 帆かけ舟

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避難訓練実施。二期会に消防車が来ました!

今日は、東京消防庁渋谷区消防署原宿出張所の方にご協力いただき、避難訓練を実施しました。
「倒れている人をみたら」という救命救助の第一歩から、人工マッサージ、AEDの使い方、救急車の呼び方、さらに火災の場合の消火訓練、地震の場合の避難訓練と、実践的でした。

二期会のスタジオには、二期会オペラ研修所の研修生をはじめ、稽古やミーティングで、さまざまな方が来局されます。
とっさに、何かあった時、落ち着いて行動できるように、普段から訓練しておくことは、大事なことですね。
消防士の方々が、災害に備え、日々厳しい訓練の中で、こうして学校や事業所等を訪問し、訓練を行ってくださることに、感謝します。

久しぶりに、間近で消防車を見ました。
子どもの時、体験で、はしご車に乗せていただいたのを思い出します。
カッコいいですね。
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毎日の生活を大切にし、万が一のときの心構えをすること。

原宿出張所の皆さま、ありがとうございました。
これからも、お身体大事に、お元気でご活躍されますようお祈り申し上げます。

帆かけ舟

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トゥーランドットの稽古場から

一晩中降った雨がやみ、日差しが強くなって、蒸し暑さも感じる午後、初日まで2週間となった『トゥーランドット』稽古場を訪ねました。
この日は3幕最後の場面。70人近い合唱、カラフ(松村英行:写真右)、トゥーランドット姫(丹藤亜希子)、ピン(栗原 剛)、パン(西岡慎介)、ポン(菅野 敦)等、勢揃いして舞台を埋め尽くし、大迫力の終幕です。
ダンサーたちは、稽古場に入ると、長い手足をゆっくり伸ばし、入念なストレッチを繰り返した後、時間をかけてアップします。
鍛えられた筋肉の繊細な動きに心を奪われます。日々の鍛錬のたまもの。
turandot_reh_1438.jpg
演出の粟國 淳氏(写真:左)は、舞台全体を見ながら、個々の動きを丁寧に修正し、稽古場をまとめていきます。
公演が近づくにつれ、次第に緊迫感が増してくる現場の空気に身が引き締まり、エネルギーを感じます。
7月の公演、待ち遠しくなってきました。

帆かけ舟

▼公演情報・チケットのご予約はこちらから
2011年7月公演『トゥーランドット』 - 東京二期会オペラ劇場
▼こちらに最新の残席情報をお知らせしています
7月公演『トゥーランドット』残席状況 - 二期会blog オペラの散歩道

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「MOSTLY CLASSIC」7月号で伯爵夫人・澤畑恵美と伯爵・与那城 敬が大いに語る

今回は、クラシックファンに人気の月刊誌「MOSTLY CLASSIC モーストリークラシック」からご紹介。
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最新7月号「NONFICTIONアーティストたちの鼓動」に、二期会のソプラノ歌手、澤畑恵美のインタビューが掲載されています。
4月末から5月にかけて、上野の東京文化会館で上演された東京二期会オペラ劇場W.A.モーツァルト『フィガロの結婚』(宮本亜門演出)で伯爵夫人を演じたばかりの澤畑。輝くような美しい歌声と、洗練された舞台姿で客席を魅了しました。
デビュー当時、話題をさらったスザンナ役からキャリアを重ね、今回初めて、伯爵夫人を演じた心境を、舞台を振り返りながら語っています。出番を待つ間、何を考え、何を伝えようとしたのか、また今の彼女を支える研修時代のエピソード等も読みどころです。
▼モーストリークラシック7月号(5月20日発売)詳しくはこちら
MOSTLY CLASSIC - (誌面の一部をご覧いただくことができます)

そしてこの『フィガロの結婚』で、伯爵を演じ、カヴァリエ・バリトンとしてますます注目を浴びた与那城 敬は、Stage Chapterのコーナーに登場。来月に控えた東京オペラシティリサイタルシリーズB→Cを前に、自身の音楽観やプログラムの聴きどころを語っています。
▼与那城出演のリサイタル詳細はこちら
B→C バッハからコンテンポラリーへ[133] 与那城 敬(バリトン) - 東京オペラシティ
▼与那城 敬をもっと知りたい(公式ホームページ)
与那城敬 オフィシャルサイト

最後に!
『フィガロの結婚』で、じっくりと音楽を聴かせてくれた指揮者、デニス・ラッセル・デイヴィスのインタビューも。リンツ・ブルックナー管弦楽団との録音や、大好きな日本の野球について、楽しそうに語るマエストロ。
こちらもどうぞ、お見逃しなく。

帆かけ舟

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福井 敬が演じるカラフの魅力

二期会トップスターのテノール、福井 敬の当たり役と言えば『トゥーランドット』のカラフ。
オペラでも、コンサートでも、福井の「誰も寝てはならぬ」Nessun dorma! は、聴く者の心を揺さぶらずにはいられません。
この曲の前奏が始まると、「待ってました」とばかりに客席が盛り上がるほど、福井ファンにとってもこのカラフは特別な役なのです。

福井は7月の二期会『トゥーランドット』を前に、月刊クラシック音楽情報誌「ぶらあぼ」6月号で、インタビューにこたえています。
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18年前から、この役を歌い続けてきた彼が、カラフをとりまくリューやトゥーランドット姫が表す意味、作曲家プッチーニの音楽の輝きの秘密について、存分に語っています。ぜひご覧ください。
▼WEB「ぶらあぼ」6月号はこちらから
福井「カラフが求めた"究極の美"こそがトゥーランドット姫なのだと思います - WEB「ぶらあぼ」6月号

この「ぶらあぼ」6月号の表紙は『トゥーランドット』でご一緒する読売日本交響楽団です。読響(よみきょう)さん、と親しまれ、スケール感と伸びやかな音色が魅力のオーケストラ。
東京二期会オペラ劇場とは、2005年ワーグナー『さまよえるオランダ人』を機に共演を重ね、相性のよいオーケストラです。
名匠ジャンルイジ・ジェルメッティの指揮で繰り広げられる夢の国『トゥーランドット』にご期待ください。
読売日本交響楽団ホームページ
▼公演の詳細とチケットのお求めはこちらから
東京二期会オペラ劇場『トゥーランドット』 - 東京二期会
二期会チケットセンター(03-3796-1831) - 二期会ならWebで買っても手数料0円!

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7月の東京二期会オペラ劇場『トゥーランドット』が動き出す!

二期会60周年記念公演『トゥーランドット』演出の粟國 淳さんと指揮ジャンルイジ・ジェルメッティ氏がイタリアのナポリで打ち合わせを行いました。
ジャルメッティ氏はサン・カルロ歌劇場での『シチリア島の夕べの祈り』を指揮するため、南イタリアの都市ナポリに滞在。
この『シチリア島の夕べの祈り』は5月15日プレミエで、この後、17、19、22、24日と上演されます。

▼サン・カルロ歌劇場公式HPの同公演詳細
Les vepres siciliennes di Giuseppe Verdi - Teatro di San Carlo

かつて、ジェルメッティ氏に師事し、今回の『トゥーランドット』では彼のアシスタントを務める、園田隆一郎さんが同行。マエストロと演出家の貴重なツーショットを送ってくださいました。背景は、サン・カルロ歌劇場前にある有名なガレリアだそうです。初夏のナポリ! いいですね!
DSC00690.JPG

そして、マエストロからマネジャーを通して、日本にメッセージが届きました。

Maestro Gelmetti is looking very much forward to his visit in Japan,
especially now after what your country has been going through.

「あなたの国で起こったことを乗り越えようとしている今だからこそ、
日本訪問を、心待ちにしています。」
マエストロのあたたかいお気持ちがうれしいですね。
そして、二期会通信最新号(Vol.286)に粟國氏のインタビューが掲載されています。ぜひご覧くださいませ。

▼『トゥーランドット』公演詳細はこちらから
2011年7月公演G.プッチーニ『トゥーランドット』- 東京二期会オペラ劇場

帆かけ舟

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二期会WEEK 第五夜は、芸術家たちの音楽会

「世紀末の愛を歌う」と題し、詩、文学と音楽の奥深い世界に迫る第五夜。
19世紀末、ヨーロッパが世界の中心にあって、ヨーロッパの文化が爛熟の極みにあった時代。その裏面で、既存の社会や体制に限界が見え始めていた時代。
感受性の強い繊細な精神を持つ人が、世紀末を生き抜くことは容易ではなかったでしょう。社会の崩壊や激変を予感しつつ、理想や愛の高みを芸術作品に投影していくことになった深い闇と光ともいえる世界なのではないでしょうか。

よく晴れてさわやかな日曜日の午後に行われたリハーサルから、第五夜出演の歌手とピアノの山岸茂人さんの写真を掲載します。

歌手に寄り添う優しさに満ちて、透明で澄んだ音色がいつも素敵なピアニスト山岸さん、本番はリスト編曲のワーグナーの「イゾルデの愛の死」を冒頭で演奏します。
そして、世紀末ウィーンより、まずは伊原直子の奏でるマーラー。ぜひお聴き逃しなく!!続いてシェーンベルク若かりしときの名曲を、ゲストの松原友が歌います。
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後半は、作家リンボウ先生こと林望さんに世紀末文学についてお話しいただきます。
そして、世紀末パリへ。
文学、絵画にも造詣の深かったショーソンの名曲「愛と海の詩」を森永朝子が披露します。
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第3章は、イタリアのダンヌンツィオの詩によるトスティの小さな宝石のような曲をソプラノ嶺貞子がお送りします。
mine110515.JPG

宮本益光は、ダンヌンツィオの詩によるレスピーギの「4つの抒情歌」から3曲歌います。
ミラノにホームステイし、イタリアの音楽仲間とコンサートを行うなど、多彩な活動を行っている彼の広々とした音楽にご期待ください。
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第五夜はいよいよ今週木曜!会場でお目にかかりますのを出演者一同、心より楽しみにしています。

▼公演詳細はこちら
二期会WEEK in サントリーホール2011・第5夜「世紀末の愛を歌う」 - 二期会21

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『フィガロの結婚』稽古会場へ行ってまいりました

すっかり陽気があたたかくなり、半袖の人も見かけました。先週4月15日(金)に『フィガロの結婚』の稽古会場へ行ってまいりました。

会場に入ると、既に会場入りしていた指揮のデニス・ラッセル・デイヴィス氏が、とても穏やかで静かな眼差しをしていました。
稽古は第3幕、伯爵夫妻が、スザンナとフィガロ、マルチェリーナとバルトロの結婚を執り行うシーン。花娘たち、村娘たちも一緒に登場します。
伯爵夫人を演じる澤畑恵美は、優雅に微笑んでいて美しい!

宮本亜門氏と二期会の初めての舞台でもあった『フィガロの結婚』は2002年二期会創立50周年記念公演として初演。2006年に再演され、このたび二期会創立60周年記念公演の第一弾として、また上演されることになりました。
登場人物ひとりひとりのキャラクターが浮かびあがり、細部まで描きこまれたユニークな舞台。装置や衣裳は洗練されたデザインで、照明も非常に丁寧なつくりとなっています。
再演ではあっても、亜門氏は、出演者ひとりひとりとコミュニケーションをとりながら、稽古をしています。
若手も多く出演する今回のプロダクション。集中力のある、意欲の高い舞台となりそうです。
モーツァルトが生きていた18世紀から、今私たちがいる21世紀。35歳で世を去ったモーツァルトが私たちに残してくれた音楽。
亜門フィガロの開幕まであと数日、お客様とお目にかかれますのを、出演者、スタッフ一同心より楽しみにしています。

▼公演詳細はこちら。公演予告動画もご覧いただけます!
2011年4,5月公演 W.A.モーツァルト『フィガロの結婚』 - 東京二期会

帆かけ舟

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「二期会オペラ研修所」新学期スタート

二期会オペラ研修所、平成23年度がスタートしました。
今年は第57期予科82名、第56期本科75名、第55期マスタークラス40名。
4月10日(日)入所式には、多くの研修所講師が列席し、理事長高丈二先生、所長三林輝夫先生から祝辞をいただきました。
4月13日(水)はマスタークラスの顔合わせ。
4月14日(木)予科の身体表現のレッスンをのぞいてみました。
講師はバロックダンスの市瀬洋子先生。まずは、自分の骨格、筋肉の仕組みを学び、続いて、姿勢、歩き方、立ち方を意識します。市瀬先生から、「日常が舞台に出ます」と厳しい一言。16世紀の宮廷ダンスのステップも習いました。この時代の衣裳や宮廷生活について、知識を深めます。
来週には、一人ずつオペラの作品から課題を与えられ、いよいよ音楽稽古です。

今日一日を大事に、そしてまた明日へ。

帆かけ舟

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「二期会オペラ講座」において多くの義援金をお預かりしました

青島広志さんのお話とピアノ、実力派の二期会歌手の出演で、聴きどころ満載、毎回大人気のシリーズ「二期会オペラ講座」
通算第30回は、<親子の邂逅にみる作曲家の心情!>と題して企画。
3月29日(火)、カワイ表参道の2階にある、ミュージックサロン「パウゼ」で開催されました。

開演に先立ち、東北関東大地震で亡くなった尊い生命に1分間の黙とうを捧げ、終演後は出演者らが義援金への協力を呼び掛けました。
超満員のお客様から、合わせて184,714円の志をお預かりし、全額を日本赤十字社に送金させていただきました。
深く御礼申し上げます。
オペラに描かれた深い悲しみ、怒り、葛藤。今も昔も人々が成し遂げていくこと。
歌声とともに聴く人の心に届き、今日を生きる力となりますように。

熱気あふれる講座のようすは、後ほどdiamondさんから写真とともにお伝えします。

帆かけ舟

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二期会オペラ研修所修了式

3月26日(土)、第55期マスタークラス40名、第56期本科81名が、
二期会オペラ研修所を修了しました。
普段、授業や稽古を行う二期会会館第1スタジオに椅子が並べられささやかな式典会場になりました。
修了証書は、二期会オペラ研修所の所長、三林輝夫から本科総代の濱野奈津美(ソプラノ)、マスタークラス総代の新海康仁(テノール)に手渡され、引き続いて優秀賞、奨励賞、皆勤賞、精勤賞。
例年より、皆勤、精勤の受賞者が多く、出席した講師陣も皆、笑顔。
平成22年度川崎靜子賞及び最優秀賞は、新海康仁(テノール)に授与されました。
また予科からマスターまで、3年間無遅刻無欠席の矢口智恵(メゾ・ソプラノ)には所長賞。
一度も授業を休まなかった意志の強さと努力に温かい拍手が送られました。
今回の地震で、東京に住む私たちの状況も変わりました。
被災地にいる親しい方の無事を祈る人も。
これまで、多くの人に支えられてきた若い彼らの歌が、これからは皆さまと共にあって慰めとなり、希望となりますように。

第54期マスタークラスを優秀な成績で修了した、若い歌手たちのコンサートは6月に開催予定です。
6月29日(水)18:30開演(18:00開場)
東京文化会館小ホール
「新進声楽家の夕べ」
コンサートの詳細は近日中にお知らせします。

帆かけ舟

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バリトン小森輝彦~ドイツからできることを

3月11日に起きた東北関東大地震、そして津波の被害は、海外でも大きく報道されました。
海外の劇場等で活躍する二期会の歌手たちが、母国の悲惨な経験に心を寄せ、
何かできることを、と現地で活動を始めています。

小森輝彦は、ドイツのアルテンブルク・ゲラ市立歌劇場では専属第一バリトン歌手として11シーズン目。ゲラに住み、数々の大役をつとめ公演の中心的な存在として、劇場には小森の写真がたくさん飾られています。
日本から届いたニュースに、小森はすばやく立ち上がり、同じ劇場に所属する日本人(歌手、バレエダンサー、コレペティとして、それぞれに専属で活躍しています)とともに、劇場の協力を得て、チャリティーコンサートを開くことになりました。
ゲラの新聞にも掲載され、家族揃ってインタビューを受け、多くの人に呼びかけることになりました。

▼オペラ歌手小森輝彦の公式サイト「テューリンゲンの森から」
エッセイ「東日本大震災で考えること」
「東日本大震災被害者のためのチャリティーコンサートの記事」

ヨーロッパでは、チャリティーやボランティアも、日常的に行われると聞いていますが、
日本から来て、日本のためにコンサートや寄付を呼びかける歌手たちに、
あたたかい手を差し伸べてくださる劇場をはじめ、現地の方々にも、
心より御礼を申し上げます。

小森は、コンサートと別に義援金を集める活動も始めています。
遠く離れていても日本の力になりたい、という思いが、希望となって届くように
私たちも、今いるところで、できることを。

少しずつでも力になれますように。

帆かけ舟

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びわ湖ホール プロデュースオペラ ヴェルディ作曲『アイーダ』

びわ湖ホール・神奈川県民ホールをはじめ、東京二期会ほか複数の芸術団体による舞台芸術共同制作公演として、大規模なオペラ公演が可能になったシリーズ。
春のびわ湖で古代エジプトを舞台に粟國淳演出『アイーダ』の幕があがりました。
ソリストには二期会からも、横山恵子、福井 敬、小山由美、黒田 博ら、第一線の歌手が顔を揃え、アムネリスを演じる、若手メゾ・ソプラノ清水華澄の躍進にも注目が集まります。
指揮は沼尻竜典。
合唱、助演、ダンサー合わせて100人以上が、神官、巫女、兵士として登場。
華やかなエジプト王朝を壮大に描きつつ、人が人の間で苦悩する尽きないドラマを魅せる演出は粟國淳。
ローマっ子チャンマルーギの衣裳・装置はさすがのセンスのよさ。

びわ湖ホール提供の舞台写真をご紹介します。
(※画像クリックで拡大表示されます)

古代エジプトの首都メンフィス。アイーダはエチオピアの王女ですが身分を隠し、奴隷として王女アムネリスに仕えています。
そこへ、エチオピア軍接近の報。敵将はアモナズロと聞いてアイーダは動揺します。
アモナズロはアイーダの父王、対するエジプト軍の総司令官は何とアイーダと恋仲のラダメス。
故郷と恋人が敵対する苦悩に、アイーダは嘆きます。

アムネリスの部屋で踊る10人の子どもたち。シンプルで鮮やかな色の衣裳が、
かわいらしさを引き立てています。

王女アムネリスは、奴隷に身をやつすアイーダに対し
「私はエジプトの王女である。私もラダメスを愛している」と言います。
しかしアイーダは、自分がエチオピア王女であることを明かすことはできません。

エチオピア人の捕虜の中に、アイーダの父アモナズロがいます。エジプト国王は安全保障のためアイーダとその父を残すことを条件に、ラダメスの捕虜釈放希望を聞き入れます。

共に囚われの身となったアモナズロとアイーダ。父と娘と言うことはできても、国王と王女であることは伏せなくてはなりません。

◇3月6日の公演前に、東京二期会オペラ愛好会の方を対象にオペラの中のキーワードとなる歌詞の講習会が行われ、イタリア語の歌詞の朗読に挑戦しました。
rivale = ライバル 恋敵
fatale = 宿命
schiava = 奴隷(女の奴隷)
traditor = 裏切り者
dolore = 苦しみ、悩み
特別ゲストとして、3月5日にアモナズロを演じた黒田博が登場し、
お客様と夢の共演(歌詞の朗読)。
「父、娘、恋人、という個人の感情だけでは身を処すことができない立場にある、
国や民を背負っている人物であるが故の苦悩がそれぞれにある。
次第に緊張感がまして舞台全体が最終幕に向かっていく、エネルギーの高まりを感じます」と語ってくれました。

▼びわ湖ホールBlog
-アイーダ 稽古場だより Vol.5- - びわ湖ホールBlog
※※神奈川県民ホール公演について※※
このたびの地震の影響を考慮し、3月20日と21日に予定しておりました本プロダクションの神奈川県民ホール公演を中止することに致しました。お客様には大変ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。
被災地における一日も早い復興と皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
神奈川県民ホール及び神奈川芸術劇場主催3月公演等の中止のお知らせ - 神奈川芸術文化財団|財団からのお知らせ

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