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Interview | インタビュー

小山由美 番外編
『ドイツに暮らす歌手のお二人に、ドイツ生活などについてお聞きしてみました』

ドイツ生活が長いお二人ですが、どうしてドイツという国へ行かれるようになったか お聞かせいただけますか?

大学卒業が近くなって、自分自身声楽家になるには何かが足りないと感じて、留学する為にロータリー奨学金を考えていました。
偶然シュトゥットガルト音大のK.リヒターさんの来日レッスンを受ける機会があって、その際「是非ドイツにいらっしゃい」とすぐに推薦状を書いて下さったのがきっかけです。

シュトットガルト音大では何を学ばれましたか?

今になって思うと、ドイツに渡っての2年間は“Persöenlichkeit”つまり人格形成の過程でもがいていたように思います。
高校、大学と個性が強いと言われていたのに、個人主義のドイツで"私"とは何かを深く考えさせられたように思うのです。
これはリートでもオペラでも歌うときに、その役あるいはその詞の内容を理解する上で この“Persöenlichkeit”が基礎にあるので、大事な時に色々な方々、色々な曲、そして違うカルチャーとの出会ったことが、それを促してくれたと思っています。

2008年1月3日
NHKニューイヤーオペラコンサート楽屋にて

どんな人との出会いでしょうか?

歌の先生であったり、今の夫であったり、舞台の裏方さんであったり 様々ですよね。でも特に10年間リート.オラトリオ歌手として研鑽を積んでいた私に"貴女はオペラを歌いなさい"と助言をして下さったロシアのヴィシネフスカヤさん、今年亡くなったロストロポーヴィチの奥様ですが、私の人生に大きな影響を与えてくださいました。

リート、オラトリオ歌手ですか?

子供ができてからオペラの道に入りました。それまでは大好きなバッハを、リーダーアーベントをヨーロッパの各地で、現代作品もとても興味があってダルムシュタット現代音楽祭始め、レニングラード、アメリカ ニューハンプシャー音楽祭等などでそれぞれ歌ってきました。

2005年『ルル』
撮影:三枝近志/提供:新国立劇場

オペラとリートの世界で歌うことの違いは何でしょうか?

そうですね。オペラではその役に同化することが歌う上で必須ですが、リートではそれ以上に先程お話した“Persöenlichkeit”がその表現にでてきますね。逆にいうと音楽に同化することによって人格が表れてしまうと言うか。 つまり舞台の上での歌い手は隠そうと思っても裸みたいなものだということですよね(笑)

ドイツの生活、ご自宅ではどの様に過ごされていますか?

夫と息子の為に毎日ご飯を作り、日曜日にはケーキを焼き、洗濯に。
でも良い主婦かどうかはちょっと分からないですけれど(笑)

仕事と家事、息抜きはどうなさっていますか?

読書と散歩が好きです。できれば毎日近くの森を友達や夫と、時には1人で歩いて自然の中にいる事が息抜きかしら。
庭いじりもその一つでしょうか・・・。昔、母が“まあ、貴方は毎日同じ風景見てよく感激できるわね!!”なんて。私が家から駅に行く10分の道を歩きながら見とれていると呆れていましたね。
それから車の運転も嫌いじゃないです・・・。家からバイロイトやケムニッツのオペラハウスに行くのにアウトバーンを190km/hで走っていても左隣のレーンで抜かされちゃうのね。ドイツに住んでいる日本人がフランス車のバーンなんて乗っているからかしら〜!なんて。

『ラインの黄金』
撮影:三枝近志/提供:新国立劇場

読書、散歩、自動車、このアンバランスが小山さんですね??!
ところで 日本の皆さんにドイツのお勧めをどうぞ!

えっ 場所ですか、食べ物?それとも生活品??
一般的にドイツ人は質実剛健で、素朴です。そこに私は惹かれています。建築でいうとロマネスクが大好き。例えば有名なケルンの大聖堂、ゴシック様式の最高峰の1つですが、実はケルンの街の中心部に本当に素晴らしいロマネスク様式教会も14もあるのですよ!St.ゲレオン、St.アポステルン、その他どれもお勧めです!!なんて言い始めるとお勧めしたいものをお話しするだけで1晩中かかっちゃう〜!
食べ物も日本でドイツというと‘ビールとソーセージ’だけみたいに思われていますけれど、いえいえ、日本の餃子に似たMaultasche(マウルタッシェ)とか、クリスマス・マルクトの鯖の直火焼き、おいもの種類も多くいろいろなものが作れるし、小麦粉と卵で作るSpätzle(シュペッツレ)、でもやはり何でも手作りが美味しいですね。
ドイツの製品はなんでもしっかりしています。家具に始まって衣類にいたるまで。“このブラウス、おばあちゃんの”なんて白いブラウスをアイロンでピシッと新品のように使っているのを見ると、典型的なドイツ主婦の技だと思います。エコ製品も徹底していますね。

最後に小山さんのモットーをお聞かせくださいますか?

言葉にするとちょっとキザですけれど、一言“愛”ですかね。
人を愛する事、音楽を愛する事、自然を愛する事。人が死ぬとき愛する人が側に居てくれる事を望みますでしょう。お金も名声もそのときには何も役に立たない。苦しみながらも愛する事ができる人でありたいな、と。
だから、私にとっては歌も、聴衆の皆さんへの“Love call”です。

2003年2月 二期会オペラ『カルメン』東京文化会館

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