文化庁派遣芸術家としてニューヨークに旅立ったのは今から約15年前。その後、五島記念文化財団の助成によるイタリア留学を経て、「音楽の都」ウィーンへ。2003年 から10年間にわたり専属ソリスト歌手としてウィーン国立歌劇場の舞台に立ち続ける。そして、昨年夏に帰国。
今、この東京で 振り返れば、それは、ゴールのない挑戦の繰り返しだった。そして、普段の生活と特別な舞台が常に隣り合わせにあるという、オペラ歌手として、最高に充実した時間。
エディタ・グル ベローヴァ、アグネス・バルツァ、プラシド・ドミンゴ、レオ・ヌッチ、アンナ・ネトレプコ・・・オペラ史に名を残すアーティスト達と共に 立ったウィーン国立歌劇場の舞台は300公演を超えた。レパートリーは60を超え、実際にウィーンの舞台で歌った役は40を超える。ウィーンの子供たちのために企画されている「子供のためのオペラ」。劇場の建物の屋上にある特設テントにおける 舞台でも何十回と歌った。舞台から手を伸ばせば届くくらいにある客席の子供たちの笑顔が忘れられない。ある時は、子供たちの大歓声でオー ケストラの音が聞こえなくなるという体験もした。世界中から集まった歌手達はもちろん、舞台裏で働く数多くのスタッフら、暖かい同僚達に 恵まれたウィーン国立歌劇場での10年間。語りつくせないくらいたくさんの素晴らしい経験をした。
オペラ歌手を目 指し、本場ヨーロッパの舞台に立つことを夢に見たのは、合唱に夢中だった中3の頃。気付けば、歌い続けて30年もが過ぎるのか。歌っても、歌っても辿りつくところはなく、歌い続ける限り、いつになっても道の途中なのだ。
2014年9月19日(金) 19:00開演・18:30開場
会場: 津田ホール
幸田浩子ソプラノ 手嶋眞佐子メゾソプラノ 小貫岩夫テノール Pf.河原忠之 |
プログラム
- ドニゼッティ『愛の妙薬』より
G. Donizetti "L'elisir d'amore"
- ベルコーレ「気取ったパリーデがしたように」(甲斐)
- Cavatina Come paride vezzoso (Belcore)
- アディーナ&ネモリーノ 「ラララ…」(幸田・小貫)
- Duetto Lallarallarà la la la la la (Adina & Nemorino)
- ネモリーノ&ベルコーレ 「20スクードだって!」(小貫・甲斐)
- Duetto Venti scudi (Nemorino & Belcore)
- ネモリーノ 「人知れぬ涙」(小貫)
- Romanza Una furtiva lagrima (Nemorino)
- ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』
G. Donizetti "Lucia di Lammermoor"
- エンリーコ 「ひどく不吉な苛立ちを」(甲斐)
- Cavatina Cruda funesta smania (Enrico)
- ルチア 「あたりは沈黙に閉ざされ」(幸田)
- Cavatina Regnava nel silenzio (Lucia)
- ルチア&エンリーコ 「そばに寄れ、ルチア」(幸田・甲斐)
- Duetto Appressati Lucia (Lucia & Enrico)
- ヴェルディ 『ドン・カルロス』(フランス語5幕版)
G. Verdi "Don Carlos"
- カルロス&ロドリーグ 友情の二重唱 (小貫・甲斐)
- Duo Le voilà! c’est l’Infant (Carlos & Rodrigue)
- カルロス&エボリ&ロドリーグ 二重唱と三重唱「真夜中に王妃の庭にて」
(手嶋・小貫・甲斐)
- Duo et Trio A minuit aux jardins de la Reine (Carlos, Eboli & Rodrigue)
- エボリ 「呪わしき美貌」(手嶋)
- Air O don fatal et détesté (Eboli)
- ロドリーグ 「最期の日が来ました」(甲斐)
- Air C’est mon jour, mon jour suprême (Rodrigue)
|
東京藝術大学卒業、同大学院修了。文化庁オペラ研修所第11期修了。1999年、文化庁派遣芸術家在外研修員としてニューヨークへ留学。平成14年度五島記念文化賞オペラ新人賞受賞。2002年、五島記念文化財団の助成によりボローニャへ留学。イタリアにおいて第8回ザンドナイ国際コンクール第3位、第10回ティト・スキーパ国際コンクール”第1位入賞。
2003年9月、ウィーン国立歌劇場にデビュー。その後、同劇場において10年間に渡り専属ソリスト歌手として活躍、42役で336回の公演に出演。デビューから間もない頃、トーマス・ハンプソン主演の「シモン・ボッカネグラ」において、急病の歌手に代わり急遽パオロ役で出演、暗殺者を緻密に表現し、その存在を深く印象付けた。同役では、プラシド・ドミンゴ、レオ・ヌッチらとも共演。2012年、エディタ・グルベローヴァとの共演で歌唱、演技共に高い評価を得たドニゼッティ作曲「ロベルト・デヴェリュー」ノッティンガム公爵をはじめ、「ランメルモールのルチア」エンリーコ、「愛の妙薬」ベルコーレ、「ラ・ファヴォリータ」アルフォンソ11世、「蝶々夫人」シャープレス、「ラ・ボエーム」マルチェッロ、「マノン・レスコー」レスコー等、特にイタリア・オペラ作品において高い評価を得る。
国内においては、二期会50周年記念「フィガロの結婚」タイトルロール、小澤征爾音楽塾特別演奏会「ドン・ジョヴァンニ」タイトルロール、新国立劇場においては「鳴神」鳴神上人役、「蝶々夫人」シャープレス役、東京文化会館「古事記」イザナギ役、聖徳大学80周年記念オペラ「フィガロの結婚」アルマヴィーヴァ伯爵役等で出演。コンサートにおいては、ベートーベン「第九」、ブラームス「ドイツ・レクイエム」、ヘンデル「メサイア」、ヤナーチェク「グラゴル・ミサ」、マーラー「嘆きの歌」等のソリストを務める。2014年3月には、ウィーン楽友協会において、ウィーン少年合唱団と南相馬ジュニアコーラスアンサンブルが共演した復興支援チャリティー「第九」のソリストを務めた。著書:「ライカで綴る古都ウィーン」(アートデイズ刊)。東京藝術大学准教授。聖徳大学客員教授。二期会会員
東京藝術大学首席卒業。同大学院、文化庁オペラ研修所第11期を経て、渡欧。
数々の国際コンクールに上位入賞後、ローマ歌劇場、ベッリーニ大劇場、シュトゥットガルト州立劇場等で主要な役を演じて活躍後、ウィーン・フォルクスオーパーと専属契約。専属を離れてからも『魔笛』夜の女王などで客演。
国内では新国立劇場、二期会等で主役級を演じる他、全国各地でのリサイタル、更にはNHK-FM「気ままにクラシック」で笑福亭笑瓶氏と4年間パーソナリティを務めるなど多彩な活動を展開。2012年よりBSフジにて音楽&トーク番組「レシピ・アン」(毎週土曜午後6時30分)にレギュラー出演中。≪ふるさと~日本のうた≫をはじめ6枚のソロ・アルバムをリリース。
2014年10月11日びわ湖ホール『リゴレット』にジルダで出演予定。
第14回五島記念文化賞オペラ新人賞、第20回エクソンモービル音楽賞洋楽部門奨励賞受賞。二期会会員
http://columbia.jp/koudahiroko/
(C)Yoshinobu Fukaya(aura)
東京藝術大学卒業。同大学院修了。文化庁オペラ研修所第11期修了。1994年プラシド・ドミンゴ世界オペラコンテスト・メゾソプラノ部門優勝。文化庁派遣芸術家在外研修員としてニューヨークにて研修。2001年二期会創立50周年記念『こうもり』オルロフスキーをはじめ、02年新国立劇場・二期会『忠臣蔵』大石主税、『ナクソス島のアリアドネ』作曲家、07年小澤征爾音楽塾『カルメン』カルメン、10年日生『オルフェオとエウリディーチェ』オルフェオ、14年6月新国立劇場「鹿鳴館」大徳寺侯爵夫人季子等に出演。コンサートでは、ベートーヴェン「第九」、マーラー「交響曲第3番」「千人交響曲」、バッハ「ロ短調ミサ」、ヴェルディ「レクイエム」等のソリストとして活躍。09年にはマズア指揮NHK交響楽団「第九」演奏会に出演。恵まれた美声、確かな音楽性、存在感のある舞台姿で魅了し続けている。上野学園大学教授。二期会会員
同志社大学卒業後、大阪音楽大学首席卒業。文化庁オペラ研修所第11期修了。飯塚新人音楽コンクール声楽部門大賞はじめ受賞多数。1996年ドイツ・ケムニッツ市立歌劇場に『魔笛』タミーノで出演。2002年新国立劇場・二期会『忠臣蔵』岡野金右衛門、二期会『ニュルンベルクのマイスタージンガー』ダーフィット、06年二期会『コジ・ファン・トゥッテ』フェランド、07年二期会『魔笛』タミーノに出演。09年には『パルシファル』タイトルロールを見事演じ新たな境地を開いた。10年には二期会『魔笛』にふたたびタミーノで出演。13年二期会『こうもり』ではアイゼンシュタインを好演した。コンサートでは、「第九」、「メサイア」「レクイエム」等のソリストとして活躍。凛々しい美声でオーケストラからの信頼も厚い。2014年11月二期会『チャールダーシュの女王』にエドウィンで出演予定。二期会会員
日本を代表する歌手や器楽奏者が、その共演者に挙って指名する人気ピアニスト。国内外の第一線で活躍中の「太メン」男声オペラ歌手4人とのユニット、IL DEVUのメンバー。
国立音楽大学卒業。同大学院修了。サイトウキネンフェスティバル等でコレペティトゥールとして活躍。その幅広い音色,繊細な音楽表現には定評がある。
オペラ・カンパニーGruppo Kappa Operaを主宰。2013年6月に大阪でヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」を指揮するなど指揮者としても活躍。
2011年3月から、彼のピアノに信頼を寄せる歌手たちとともに、毎回ひとりの作曲家の歌曲の、広く豊かな音の世界を声で染め上げる「歌霊」シリーズを開催。
国立音楽大学及び大学院准教授,新国立劇場オペラ研修所音楽主任講師。
|