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ピックアップアーティスト Vol.48 村上公太の今

Interview | インタビュー

―近年、新国立劇場に多く出演して活躍されていますが、コロナウィルスが広がり始めた中で、急遽出演された 2020 年『夏の夜の夢』や2021年『カルメン』の状況やお気持ちを教えていただけますか。

2020/2021シーズンは何度も出演させていただいて愛着のある『こうもり』の前に、『夏の夜の夢』に出演いたしましたが、渡航制限のため立稽古は初のリモート稽古でした。このリモート稽古というのが、演出家が事前に演出内容を現場に立ち合える演出チーフに伝え、演出家ご本人は出演者の稽古をLIVE配信で最後まで見てから指し示すスタイルでした。また感染予防対策で制限されている中での初めてのオペラ公演でした。『カルメン』の本公演も急に決まりましたが、同時に行われていた鑑賞教室で歌っていましたし、10年以上大切に育ててきた役なので準備も万全でした。前日に出演が決まったこともあり歌唱のみの出演となりましたが、集中して臨むことができ大きな充足感で満たされました。

―2021年11月の『ニュルンベルクのマイスタージンガー』出演の後に続けて12月の『蝶々夫人』にも急遽出演となり、短い期間での役作りなど大変だったのではないですか。

『蝶々夫人』のピンカートン役は初役でしたが、当初はカヴァーで入る予定でした。2022年の鑑賞教室の本役に向けてゆっくり準備しようと考えていたところに、本役が決まり『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の本番と同時進行で本格的な稽古が始まったので役作りはもちろん暗譜が大変でした。貴重な経験をさせていただきました。
今年の7月に予定されている高校生のためのオペラ鑑賞教室『蝶々夫人』も、さらに磨きのかかったピンカートンをお届けできるよう精進します。今の高校生で、自分と同じ感動を味わってくれる子が一人でも現れたらこれほど幸せなことはないですね。

2021年12月 新国立劇場オペラ
『蝶々夫人』ピンカートン役
写真提供:新国立劇場/撮影:堀田力丸

―声楽家になっても努力を続けてこられたんですね。今後、声楽家として目指していく方向性と、どのようになりたいかを教えていただけますか。

新たな生活様式になってからおよそ3年。歌唱させていただくにあたり、あらゆる制限、制約を要するなかでパフォーマンスをして参りました。現在クラシック音楽界、なかでもオペラや歌唱を伴う作品を「生」でお客様にお届けできる機会は本当に貴重になっています。
与えられたチャンスを無駄にせず、音楽に真摯に向き合って日々ベストパフォーマンスを目指し、スタッフ、公演に携わるすべての方とともにお客様にライブでお届けする…この結実を絶やすことなく続けることが今の目標です。再び、舞台上で恋人同士が抱き合うこと、仲間と手を取り合うことが許されたとき、テノール歌手として驕ることなく臆することなく成長できているよう更に精進して参りたいと思います。応援よろしくお願いいたします!