まずはじめに、二期会創立60周年記念コンサートに出演させていただけることに、感謝を申し上げます。私が歌わせていただきますチレア作曲オペラ「アルルの女」“フェデリーコの嘆き”は、師匠 田口興輔氏のリサイタルで初めて耳にし、興奮のあまり無謀にも翌日レッスンして戴いた曲です。実際に歌うと、この曲の魅力とは裏腹に表現が非常に難しく何度も壁にぶち当たりました。今回憧れの師匠と同じ舞台で、この曲を演奏できることに感銘と同時に緊張を覚えております。当たって砕けろではございませんが、いい演奏ができるよう精一杯演奏いたします。 与儀 巧 |
||
|
この曲は、学生時代に我が師・篠崎義昭先生の演奏で初めて聴き、いつか歌ってみたいと思った思い出の曲です。以来、演奏会のみならず、大切なオーディションや試験で何度も歌ってきました。私にとっては自らのキャリアを拡げてくれた大切な曲です。二期会50周年オペラ『ホフマン物語』でのデビューから10年、こうしてまた60周年記念の演奏会に出演できることに深い感謝の念を込めて、今日は私の大切なこのアリアを演奏させていただきます。 高橋 淳 |
||
|
東京二期会オペラ劇場『ラ・トラヴィアータ(椿姫)』アルフレード:樋口 達哉 |
音大に入学するまでは全く興味を持つことが無く、ほとんど聴いたことさえなかったクラシック音楽。そんな頃に出会った【人間の声】に衝撃を受け、オペラの虜になってからはや24年が過ぎました。その時に聴いたプッチーニの優雅で甘美な旋律に心を揺さぶられました。このオペラはプッチーニの処女作で、日本ではほとんど演奏されることのない作品です。ミラノ留学時代に先生に勧められ、多くのコンクールやオーディションを戦ってきた、自分にとっての転機となった曲です。名テノール【山路さん】が歌った映像を何度も何度も繰り返し見ました。この曲を皆さまに知って頂き、ご堪能いただけましたら幸いです。今宵、なんとも興味深い『テノール・ガラ』。このコンサートに恥じることのないよう、全身全霊で歌わせて頂きます。 樋口 達哉 |
|
“もう音楽と関わることはないだろう”とスポーツクラブで働く様になり、数か月ほど経った時、「せめて“音大卒業”といえるくらいの歌は歌いたい」と、改めて音楽への気持ちが生まれた20年前。その年、初めて二期会オペラの合唱に乗りました。その演目が『シモン・ボッカネグラ』。ほとんどの役が二期会史上最高キャストで、“オペラ歌手の凄さ”を連日身近で体感しながら、若くエネルギーに満ち溢れた“ガブリエーレ”の魅力を知ることになりました。この時の経験がなければ二期会に所属する可能性は無く、もちろん「オペラ歌手になりたい」という気持ちも生まれなかったと思います。数年前のゴールデンコンサートでも歌ったこのアリア。怒り・苦しみ・慈悲・願い…有名アリアではないですが、ガブリエーレ役の心情を表現できる素晴らしい曲です。 山田 精一 |
||
|
東京二期会オペラ劇場『蝶々夫人』ピンカートン:小原 啓楼 |
それまでのイタリアオペラの伝統を引き継ぎつつ、ヴェルディ独自の新たなスタイルを築いていったこの時代の名作は、そのなかにロッシーニやベッリーニ、ドニゼッティのオペラに要求されるテクニックも含み、さながら技のデパートのよう。各時代のスター達の輝かしい演奏に圧倒され、憧れ、追い求めてきました。思い起こせば、「オペラ歌手になる」そう言って会社員をやめた時、周りの誰もが訝り、信じてくれませんでした。しかしたくさんの貴重な出会いと幸運に恵まれ今があります。この至宝のようなアリアを前にまだまだ自らの浅学に恥じ入るばかりですが、このステージに立てる喜びを、これまでの感謝を、そして憧れを希望にかえてお届けすることができればと思っています。 小原 啓楼 |
|
東京二期会オペラ劇場『コジ・ファン・トゥッテ』フェランド:小貫 岩夫 |
オペレッタとはあまり縁がなかった私が、ひょんなことから「オペレッタ名曲集」のCDを出させていただくことになった。これは勉強しなければと、オペレッタの録音や映像などを片っ端から探しては聴きしている時に出会った曲。昔から大好きだったヴンダーリッヒやゲッダなどが、その輝かしい声を存分に発揮しながら、情熱的にそして甘く歌い上げているこの曲の魅力にやられてしまった。何というホトバシリ!何というウツクシサ!残念ながら録音するには到らなかったが、それ以来、事あるごとにコンサートで歌わせて頂いている。とにかくカッコイイこの曲の魅力を存分にお客様に伝えられるだろうか?!テノールの真価が問われている(笑)。 小貫 岩夫 |
|
《二期会創立60周年記念公演》 |
二期会創立60周年記念のこのゴールデン・コンサートに出演させて頂けることの、嬉しさと同時に身の引き締まる思いです。今日私が演奏する『ジョコンダ』からの「空と海」は、40年前のまだ学生時代に神田神保町の、とあるレコード屋で、大好きなマリオ・デル・モナコの歌うレコードを探していた時に見つけた全曲盤(外国盤)を聴いたのが、曲との出会いでした。大学3年生、デル・モナコになるべく(笑)バリトンからテノールに変わって、なにがなんでも高いB♭を出すんだとの思いから、この曲を必死になって歌っていた頃が思い出されます。歌いだしの“Cielo e mar”を柔らかく歌うことが出来ず、師匠に何度も手本を示されながら、稽古をつけてもらったものです。そして、2回出てくる例の高いB♭。あ〜!今日、心はデル・モナコ、出てくる声は果たして…。ただただ祈るばかりです。 大野 徹也 |
|
東京藝術大学に合格した時に1つの壮大な目標を立てました。入試でご指導頂いた原田茂生先生に合格のご挨拶に伺った際、“あんたは日本のフリッツ・ヴンダーリッヒを目指すんじゃ!”というお言葉を頂きました。この瞬間から【高野二郎フリッツ・ヴンダーリッヒへの道】がスタートしました。約36年間の彼の生涯で彼が手掛けた作品の数々(歌曲、オペラ、ポピュラーソング等)を自分の一生をかけ踏襲していくつもりで自らのレパートリーとしていきました。アデライーデは藝大2年の時に初めて開催したコンサートで第1曲目に歌った思い出の曲です。今回、改めて声楽家としての自分と対話したいですね。 高野 二郎 |
||
|
来る2013年、ベンジャミン・ブリテン生誕から100年を迎えます。記念すべきその年を前にこの9月、彼が能「隅田川」に感銘を受けて作曲した「カーリュー・リヴァー」狂女役を、ロンドンとオーフォードの教会で演じさせて頂く機会に恵まれました。オーフォードの教会はこの作品の初演の場所です。そこは潮と、胃袋を刺激する燻製の香りの混じった風の吹く、海辺の穏やかな小村で、教会も想像より小さな空間でした。そこに集った聴衆たちは一つ一つの言葉、音楽に反応します。狂女を演じて気づいたのは、互いの息を交換できるくらいの親密なその空間は、そこにいるすべての人間が、奇跡の物語を「経験」するために選ばれたに違いないということでした。ブリテンの作品、といっても私が知るのはまだほんの少しですが、その魅力は言葉と音楽の一体感にあります。ジョン・ダンの力強い言葉はブリテンの音楽の色彩によって一層の輝きをもって現れます。 鈴木 准 |
||
|
福島・Fukushima-復興・復活 |
二期会創立60周年。僕はちょうど50歳になった。かといって今年特別なことはない。ありがたいことに相変わらず様々なオペラやコンサートで歌わせていただいている。高校2年生の時理系のクラスから急に音楽を目指すと言い出した僕だったが、いろいろな方に見守られながらとても運よくここまで生きてきた。特別頑張ったわけでもないし苦労したという気もしない。ただただ真っ直ぐに進んで来れたのだ。舞台ではバロックからコンテンポラリーそして日伊独仏米露波(ポーランド)のオペラそしてオペレッタミュージカルまでやってきた。しかし舞台で見せる僕の顔なんて氷山の一角。その奥のもっと大きな世界を考えてきたつもりである。これからもまだまだ舞台に乗りたい。いい物を作りたい。今日はテノールの日には異色の日本の歌を演奏する。色々なものをやってきたしいろいろな国にも行った。やっぱり日本が好きだし日本の歌が好き。今年の夏は暑かった。暑い夏を思い出して歌おう。 経種 廉彦 |
|
今年、チューリッヒ歌劇場にて全曲を鑑賞し、改めてこのオペラがロッシーニの最高傑作に間違いないと確信しました。なかなか上演される機会がないのは、どのソリストにも高い技術を要求されるからだと思います。今回、素晴らしいコンサートの機会を頂き、難曲のアリアに挑戦させて頂こうと思いました。それにはもう一つ理由があります。私のイタリア留学時の師匠も、ちょうどわたしのと同じ歳にチャレンジしているからです。いろいろな気持ちを込めて歌わせて頂きます。 水船 桂太郎 |
||
|
東京二期会オペラ劇場『椿姫』アルフレード:井ノ上 了吏 |
二期会60周年記念ゴールデンコンサート「テノールの日」に参加できることは大変うれしく、また感謝であります。今回マイアベーア作曲オペラ「アフリカの女」より“おお、パラダイス(バスコ・ダ・ガマのアリア)”。この名曲はポルトガルの地より航海しアフリカ大陸を発見、その美しい自然と、神秘に胸を躍らせる彼の詠唱です。まさに60周年を迎え新たに踏み出す二期会の未来に胸を躍らせる私の心を反映しています。また、この曲は昨年亡くなったベルカントの恩師名テナー・ジャチント・プランデッリ先生に指導を受けた大事な曲で、今回は哀悼の念を込めて師に捧げるものです。 井ノ上 了吏 |
|
東京二期会オペラ劇場『オテロ』オテロ:成田 勝美 |
私が“オテロ”と出会ったのは、高校生の頃・音楽室で一人マリオ・デル・モナコの“オテロ”を聴いた時でした。内容もわからずその曲を聴いた私は、身体中の血が興奮し感動したものです。そしてそれは四十年近く経った今も続いているのです。私が今回歌う“オテロ”のアリアは、ヴェルディによるまさに歌(台詞)と音楽が一体となった作品です。オテロ自身が、人種・年齢というコンプレックスを持ち、妻に対する嫉妬から自分を見失っていく物語の中で歌うこのアリアは、その4分間に心の葛藤・人間の愚かさ、そして神への懺悔など物語の全てが、集約されていると思います。私自身が感じている心の興奮を声と音楽で表現し、それをダイレクトに聴衆の皆さんに伝えることができれば、幸いです。 成田 勝美 |
|
Toscaの“E Lucevan Le Stelle”は、オペラの中で一番知られ一番難しいと云われる曲です。私が最初にこの曲を舞台で歌ったのは、1987年、二期会主催のトスカ公演で初めて歌ったのですが、その時の顔触れは、今の二期会の最盛期を思わせる歌い手ばかりで、この人達と歌うことが出来た事は、私の誇りであり又、私の生きた証拠であります。その歌を今日、歌うことが出来る事は、私にとってどんなに幸せな事かご想像ください。今日の二期会のテノール15名の中に入ること自体、大変難しい事ですが、その中で又、このアリアを歌えることは、最高な人生だと云って良いと思います。若い人に負けないように頑張って歌います。 田口興輔 |
||
|
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||