2009年6月 二期会ニューウェーブオペラ劇場 |
私が日本歌曲を勉強しよう!と決意したのは二期会オペラ研修所時代、授業で平井康三郎の「日本の笛」を歌った時、母国語にもかかわらずわからないことが多く、先生方の前でとんちんかんなことを言ってしまい苦笑いされたことがきっかけでした。これではいかん!と反省し、それから日本歌曲を勉強し始めたのでした・・・本日歌わせて頂く作品はすべて北原白秋の詩に山田耕筰が作曲したものです。3曲とも性格の違う歌曲で、中でも「蟹味噌」は白秋の故郷福岡柳川の珍味のひとつで、男に捨てられた女が蟹味噌を酒の肴に酔っぱらいながら男への恨みややるせなさを歌ったとてもおもしろく大好きな作品です。特に最後の一言はとても強烈です!これまでいつも支えて温かく導いてくださった多くの方々に、そして二期会創立60周年という貴重な舞台で歌わせて頂けることに心から感謝を込めて歌わせて頂きたいと思います。 金子 美香 |
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二期会創立60周年記念のコンサート、という大切な舞台を前にし、楽譜を開きながらものすごく悩みました。この作品へ一歩踏み出そうか、どうしようか、と。作品に対する憧れが強ければ強いほど、楽譜に手を伸ばすのにとても時間がかかります。留学中に、自分より若いロシア人のメゾソプラノ歌手が演奏しているのを聴き、そのとても深く美しい音色に魅了され圧倒されたこの作品。自分が演奏している姿を全く想像することが出来なかったこの作品。あれからちょうど6年が経ちました。このように挑戦することが出来るようになったのも、多くの経験を積ませて頂いたおかげです。感謝の気持ちを込め、そして、過去の自分にも良い報告が出来る演奏となりますように。 清水 華澄 |
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2006年4月 東京二期会『皇帝ティトの慈悲』 |
この曲を初めて歌ったのは大学四年生の時。レッスン室で産声をあげたこの歌はコツコツと成長し、大きな成果を持って私を世の中に出してくれました。これだけのメゾソプラノが一斉に集うことはなかなかないですが、やはり、デビュー曲は忘れられない作品ですので選曲させていただきました。学生歌いからデビューして少しでも成長したところを出せればとおもいます。 谷口 睦美 |
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2012年2月 東京二期会『ナブッコ』 |
O mio Fernando…、高校生の頃、このLeonoraのアリアの美しさにすっかり魅了されました。私の声種がメゾソプラノであったからでしょうか。私は、いつかこのアリアを舞台で歌ってみたいと心をときめかせていました。大学に入って、声楽を専門として学ぶ過程で、このアリアが歌われる、オペラ“La favorita”のドラマの内容をより深く心に描けるようになり、オペラの劇の奥の深さを思い知らされました。王の愛人であるLeonoraは、神の悪戯か、その王から、自分が本当に愛する勇士Fernandoとの結婚を許されます。しかし、同時に恐れを伴った不安が彼女の心をよぎります。この数分のアリアの間に、Leonoraの感情の明と暗が巧みに交互する曲の構成は秀逸です。 Donizettiに感謝をこめて・・・。 中島 郁子 |
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2005年10月 二期会ニューウェーブオペラ劇場 |
今でこそ、オペラに出演させて頂く機会が多くなりましたが、大学時代には歌曲を中心に勉強をしていました。しかし、独・仏・伊の外国の素晴らしい歌曲の魅力を知れば知るほど、日本歌曲のように言葉そのものだけで表現が伝わりきらないことを残念に思うようになりました。そんな時、英国歌曲に出会いました。英語という一番身近な外国語ということ、また同じ島国同士のせいか、情熱や深い愛が溢れくる他の国の歌とは違い、抒情的で、物悲しさや儚さが寄り添う、どこか日本歌曲に似た英国歌曲に、あっという間に虜になってしまいました。オペラとは全く違う歌の喜びを教えてくれた英国歌曲を、今宵歌わせて頂けることに、心より感謝します。 山下 牧子 |
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佐渡裕プロデュース『カルメン』 |
この度歌わせて頂く作品はパリの最愛なる芸術家、私の心をくすぐり続ける永遠なる心の恋人、詩人G.アポリネール、私の胸の鼓動を切なくなるほど高鳴らせる、作曲家F.プーランク、この二人の小粋な歌曲達です。<パリへの旅>・パリに憧れパリ旅行を夢見る田舎おじさんのワルツ。 <ホテル>・モンパルナスのホテルの一室、働きたくない男が一人。部屋の窓から腕のように突っ込んでいる太陽の光をレンズで集めてタバコにでも火をつけるか・・・働かないでタバコを吸おう・・・なんともアンニュイな曲。<モンパルナス>・モンパルナスの情景がピアノのシンコペーションにのって美しくもせつなにくり広げられる。アポリネールとプーランクが心地よい波のように互いに交わっているような・・・。<ハイド・パーク>・ぴょんぴょん宙を舞っているような曲(笑)。アポリネールはハイド・パークに何を見、何を想い描いたのか!二期会創立60周年記念!この記念すべき時に歌わせて頂ける感謝を胸に・・・心を込めて・・・。 林 美智子 |
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2010年日生劇場 グルック『オルフェオとエウリディーチェ』 |
私はメゾソプラノ(アルト)というパートが好きだ。オペラでも宗教曲でも歌曲の分野でも精神面での円熟さと深みが要求され、自身の年齢と経験をその表現に反映させることのできる息の長いパートだ。しかしその反面、20代30代の頃はその役割に対して技術面、精神面が追いつかず、苦労したところもある。正直今回の選曲は非常に悩んだ。声種を同じくする歌い手が15名も集まって、想いを込めた曲を選んで演奏する・・・悩んだ結果、パーセル作曲ディドとエネアスより、 恋人の心変わりを許せず自害するディドの最後の場面で歌われる哀歌「私が土の中に横たわるとき」を選んだ。この記念すべき素晴らしいコンサートの場を借りての初挑戦、これからもじっくり時間をかけて深めていきたい一曲である。 手嶋 眞佐子 |
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以前は、デリラを強くて恐いだけの悪女だと思っていました。2004年大植英次指揮・大阪フィル『サムソンとデリラ』で、サムソン役を福井敬、今尾滋、鹿野由之、望月哲也、志村文彦、渡邉公威、成田眞!二期会の豪華絢爛男声メンバーと一緒に、大好評の公演でデリラを歌いました。ただ強い表現だけでなく、楽譜にはレガートとpとppが書かれ、女性的なデリラの魅力に溢れていました。ペリシテ人のデリラは、か弱い女を演じ敵国イスラエルのサムソンを誘惑しますが、振り向いて貰えません。デリラは再びサムソンに立ち向かう為に、どうぞ愛の神様、私に力を与えて下さい!と祈ります。国策の為だけでなく、実は男として好きになってしまったサムソンを振り向かせたい!と願う女心も感じます。複雑な女心に挑みたいです。 竹本 節子 |
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ワーグナーやシュトラウスのオペラを歌う機会が多いのですが、アリアをと思うと、なかなか独立して歌うのに適した曲がありません。そんな中で、この曲だけはオーディションなどでたびたび歌ってきました。歌う、寝かせる、そしてまた歌う・・・そのたびに、自分の声や歌手としての成長(または停滞…)を感じることができます。シュトラウスは、言葉を語るように歌えばとても歌いやすく、歌だと思うとすごく歌いづらい。歌い始めた頃はとても難しいという印象だったのが、音楽が気持ちを導いてくれるように感じられるようになりました。音楽は勇気をよびさます最も神聖な芸術なのです!と歌い上げるとき、青臭い青年作曲家の覇気と興奮を自分のもののように感じて嬉しくなるのです。 池田 香織 |
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2000年8月 東京二期会『真夏の夢』 |
『ラ・ボエーム』といえばプッチーニばかりが有名ですが、レオンカヴァッロの『ラ・ボエーム』もなかなか激しくて魅力的です。どちらもアンリ・ミュルジュの小説を原作としながら、プッチーニがロドルフォとミミのロマンスを甘美に描いたのに対して、レオンカヴァッロは原作に忠実に様々な人間模様を描き上げています。ミミは花売り娘でソプラノ、ロドルフォはバリトン、ムゼッタはメゾ、相方のマルチェロはテノール。ムゼッタはマルチェロに貰った花を大切にし続ける純粋で可愛らしいお針子というメゾソプラノにとって大変貴重な役柄で、これは是非演奏したいと思い続けてきたものです。本日のアリア「これが運命なのだわ」は第三幕、ムゼッタが貧乏生活に耐えられずマルチェロと別れることを決意する心境を歌い上げたものです。甘美な旋律に始まり激情に転じていくこの隠れた名曲を心を込めて演奏させていただきます。 菅 有実子 |
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2003年7月 二期会創立50周年/ケルン歌劇場との共同制作 |
オペラ歌手を目指していた私が歌うことに行き詰り、それでも諦められずもがいていた頃、「私にとって歌うということは何なのか!」とあらためて思い起こさせ、再びオペラの世界へと導いてくれた曲「ミニヨン〜君よ知るや南の国〜」。 井坂 惠 |
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2006年7月 東京二期会『蝶々夫人』 |
大学院オペラ科を修了する時に取り組んだ役が『カヴァレリア・ルスティカーナ』のサントゥッツァでした。―「本来、これはオペラ歌手として、舞台経験を積み重ねた先にめぐり会うべき役なんだけれどね・・・」とのオペラ科指導の先生方のお言葉付きで与えて頂いた役でもありました。音域も広く、表現力と共に声の強さも要求されるこの役柄に向かい合っていたあの頃・・・未知のオペラの世界に向かって全てが学び知るという喜びに満ちていた事が懐かしく思い出されます。二期会60周年記念のこの機会に、私自身もまた新たな心で・・・との想いが重なり、この一曲「ママも知るとおり」を歌わせて頂きます。 永井 和子 |
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「カルメンの思い出」今から30年以上前になりますが、1979年のワーグナーの『ローエングリン』で二期会デビューした私はほとんどオペラの勉強も経験も無く、ワーグナーはただ立って歌えばいいとの言葉に釣られて、というよりその言葉を信じて練習に臨みましたが、私にはとても大変な経験でした。でもその体験は素晴らしい経験でしたし、そのすぐ後と思いますが、小澤征爾指揮、栗山昌良演出でのカルメンです。何も動けない私にカルメンとは・・・私が途方に暮れたのも解っていただけますよね!何しろ私には大変などと言うものではありませんでした。精神的プレッシャーとの戦いでした。其のあと何度も歌ってからカルメンの楽しさ奥深さを感じる様に成ってきましたし、このオペラのお蔭でこれ以後のオペラを歌うことが出来たのだと思っています。 西 明美 |
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ラインの黄金から造られた指輪を所有する者は、無限の権力を与えられるかわりに“愛”を断念しなければならない。指輪を奪おうと企むヴォータンに“破滅”に陥るとエルダは警告する。今から43年前の1969年、私はこの曲でデビューしました。故中山悌一総監督のもと、二期会の総力をかけての公演に歌手、スタッフ一丸となり、毎日白熱する稽古。皆の音楽、舞台に対する情念は凄まじく、修士論文を書いていた私は、出番がなくても稽古場に行き、音楽空間に身を置ける幸せに心震える想いでした。この体験が私の“原点”となり、“宝”となって、今に至っています。二期会60周年に当たって初心にたちかえってという想いで、この曲を選びました。今宵演奏出来ます幸せを、心から感謝しつつ・・・。 伊原 直子 |
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