「日本人では貴重なヘルデンテノール」と言われ、早くから『パルジファル』タイトルロール、『サロメ』ヘロデ王など大役を歌いきってきた片寄純也ですが、もちろんその実際は努力の人物。身体を鍛え上げ、体重も増やし、ビルドアップして「獲得」した唯一無二の「楽器」をもって、2021年に続いての『タンホイザー』のタイトルロール。今回はサイモン・オニールとのダブル主演となり、その心境含めて、話を聞きました。
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タンホイザー役:片寄純也(テノール)
――タンホイザーはどんな役でしょうか?
片寄: タンホイザーは、良く言えばアグレッシブ、悪く言えば自分勝手な人ですね(笑)
現状に満足することをせず常に新しい刺激を求め行動を起こす猪突猛進型のタイプですが、反面、素直な所も持ち合わせていると思います。
――血気盛んな青年。ワーグナーのオペラはあまり登場人物の年齢を気にかけることが比較的少ないように思われますが、『タンホイザー』は他の作品と比べて青春群像っぽいところはありますね。そんな猪突猛進なタンホイザーの聴きどころを教えてください。
片寄: 序曲から最後まで全部です!
個人的に好きなのは3幕1場のエリーザベト、ヴォルフラム、巡礼のコーラスのシーンです。
タンホイザー役の聴きどころとしてはやはり3幕の長大なローマ物語ですね。ヴォルフラムにこんなにたくさん聞いて欲しいことがあったの?って歌っていて思います(笑)
2021年2月 東京二期会オペラ劇場『タンホイザー』より タンホイザー役(左) ((C)Lasp Inc.)
――ふたりの友情と、ヴォルフラムを本当に信頼しているのだな、というシーンですね。ここまで話を伺っていると、長大で難解イメージがついてまわるワーグナーですが、そうでもないと。
片寄: 確かにワーグナー作品は長大で難解ですよね。
私も実際に歌ってみて「リング」や『パルジファル』は特に難解だと感じましたが、『タンホイザー』に関しては〈愛〉〈死〉〈救済〉がわかりやすく、初めてワーグナーを鑑賞される方には理解しやすい作品ではないかと思います。
――今回2回目となるキース・ウォーナー演出についてはいかがでしょう。
片寄: 2021年にも歌わせていただきましたが、その時はコロナ禍で密になることを制限され、稽古場でも常にマスクをつけての歌唱だったのでとにかく不自由でした。今回は制限もなく細やかな演出になり、より密に絡めるようになったので視覚的にもお客様に楽しんでいただけるのではないかと思っております。
2016年11月 東京二期会オペラ劇場『ナクソス島のアリアドネ』より テノール歌手/バッカス役 (撮影:三枝近志)
――そして、今回ダブル競演はサイモン・オニールさんですが、印象を聞かせてください。
片寄: デカっと思いました(笑) やはりヘルデンテノールは皆さん大きいですね。
そういうお前もだろ?って現場で突っ込まれてますが(笑)
――お客様にはぜひ両組でヘルデンテノールの競演を楽しみにしていただきたいと思います。最後に、お客様に向けて、本番への意気込みをお願いいたします。
片寄: タンホイザーはワーグナーの中ではわかりやすい作品ですが、長大であることには変わりません。タンホイザー役はとにかく膨大な歌唱量でエキスパンダーを延々と続けるような忍耐力と強靭なスタミナを求められる難役ですが、最後まで歌いきれるよう「闘魂込めて」頑張ります。ちなみに巨人のファンではありません(笑)
2012年9月 東京二期会オペラ劇場『パルジファル』より パルジファル役 (撮影:三枝近志)
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▼『タンホイザー』公演情報ページはこちら
2024年2,3月公演 R.ワーグナー『タンホイザー』 - 東京二期会オペラ劇場
2024年2月28日(水)17:00、29日(木)14:00*、3月2日(土)14:00、3日(日)14:00* 東京文化会館 大ホール
指揮:アクセル・コーバー/演出:キース・ウォーナー/管弦楽:読売日本交響楽団
*…タンホイザー 片寄純也 出演日
●お問合せ・ご予約:二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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