タグアーカイブ: 栗原剛

【レビュー】2014年4月公演『蝶々夫人』
~栗山昌良演出の伝統的な美しい舞台×話題を呼んだ初来日の指揮者ダニエーレ・ルスティオーニ

31歳の若きマエストロ、ダニエーレ・ルスティオーニの初来日と、日本のプロダクションとの初共演、長年日本のオペラの舞台を牽引し、その礎を作り、今なお現役の栗山昌良演出による伝統的な美しい日本の『蝶々夫人』が、ついに終演しました。
多くのお客様にご来場賜り、ありがとうございました。
舞台写真とともに、公演を振り返ります。
写真撮影:三枝近志(☆…4月23・26日組、◆…4月24・27日組)
会場:東京文化会館大ホール
<舞台写真はクリックで拡大表示します>

水船桂太郎演じるピンカートンと、牧川修一のゴロー。
蝶々さんの愛らしさは、確かにピンカートンを魅了したのでしたが、その愛は、蝶々さんが信じたような愛ではなかったのでした。


樋口達哉の凛々しい爽やかなピンカートン、立派な思いやりと礼節あるシャープレスを泉 良平が演じました。


これまでにも多くの蝶々さんの舞台を支えてきた永井和子。
細やかで人情味あふれるスズキ。


腰越満美の可愛らしさが、一層、健気にも哀れにも思われました。


シャープレスはベテラン、福島明也。


木下美穂子の蝶々さん。蝶々さんの朋輩である芸者衆は、女声コーラスが演じています。
芸者衆独特の仕草、歩き方まで、神経の行き届いた演出がされています。


蝶々さんの伯父、ボンゾ(峰 茂樹)が現れ、キリスト教に改宗した蝶々さんをなじります。


蝶々さんの初々しさ。


この二重唱はとてもロマンチックですが、歌手にとっては難易度も高く、音楽的にも山場です。オーケストラの流麗な旋律が、ルスティオーニの指先から客席へと流れる様は美しく、ため息が出ました。

栗山昌良演出の舞台全景。
ふすまや障子で部屋の仕切りを変えられる、その構造を、ピンカートンは軽薄、と言いますが、文化の違い、かりそめの結婚式を真実の愛による正式な結婚と信じた幼い蝶々さん、いろいろなことがこの舞台に表れます。


ピンカートンの帰りを待つ蝶々さんとスズキ。
生活費も残り少なく、心細い様子。でもピンカートンの変らぬ愛を頑なに信じて帰りを待ち続けます。そしてこの後、歌われるのが、名アリアある晴れた日に。


ゴロー(栗原 剛)がヤマドリ(鹿野由之)を新しい旦那として勧めますが、蝶々さんは耳を貸しません。


蝶々さんは、シャープレスにピンカートンとの間に子どもがいることを打ち明けます。


部屋中に花を播き、美しく化粧をして、子どもの頬にも紅をさし、ピンカートンが丘に上がってくるのを待ちます。


信じて待つ蝶々さん。その愛の強さ。
日が落ちて、また夜が更け、そして朝を迎える。蝶々さんの思いと時間の流れが、音楽と、見事な照明で表現されます。


小林由佳演じるスズキ。
身のこなしの美しさ、表情の豊かさ、いつもいつも、世間を知る女性として、蝶々さんを心配する様子、いちだんとこの役への思いが深くなったようです。ケートは谷原めぐみ。


覚悟を決めた蝶々さんはケート(佐々木弐奈)に伝えます。
彼が引き取りにきてくださるなら子どもをお渡しします。30分後にこの丘に来て下さるように。


幾度となく演じてきた蝶々さん。死ぬ気で生きる美意識を、蝶々さんの役に感じる、と語った腰越でした。

カーテンコール(撮影:堀 衛)





ご来場、ありがとうございました。

帆かけ舟

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公演直前! 「これがオペラだVIII」第3回『ラ・ボエーム』

リーズナブルな価格でオペラの醍醐味を味わえるオペラ入門シリーズ「これがオペラだVIII」。
5月に「ガラ・コンサート」、6月に『カルメン』とご好評いただきました本公演も、いよいよ7月27日(土)・28日(日)の『ラ・ボエーム』にて幕を閉じます。
先日、会場のめぐろパーシモンホールでリハーサルを行いました。
その際のリハーサル風景をご覧ください。

現在まで全公演完売となりました人気公演です。
『ラ・ボエーム』も27日(土)公演分は既に予定販売枚数を終了し、28日(日)公演分を若干枚残すのみとなっておりますので、お買い求めはぜひお早めに!
皆様のご来場をお待ちしております!
■■■公演情報■■■
これがオペラだVIII「第3回 プッチーニ『ラ・ボエーム』」
原語(イタリア語)上演・ピアノ演奏によるハイライト上演

日時:2013年7月27日(土)、28日(日) 両日15:00開演
会場:めぐろパーシモンホール 小ホール
   (東急東横線「都立大学」駅より徒歩7分)
出演:[ミミ]盛田麻央、[ムゼッタ]見角悠代、[ロドルフォ]岡本泰寛、
   [マルチェッロ]浅井隆仁、[ショナール]栗原 剛、[コッリーネ]小田川哲也、
   ピアノ・羽石道代、MC・松本宰二
▼公演詳細ページ・ご予約はこちらから
これがオペラだVIII ◆第3回 プッチーニ『ラ・ボエーム』 - 二期会21
二期会チケットセンター - 東京二期会

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【コンサート速報】めぐろパーシモンホール「これがオペラだ」が復活!

大人気オペラ入門シリーズ「これがオペラだ」が皆様の声にお応えし、一年の時を経て復活いたします。
8回目を迎える今回のシリーズは、華やかな「ガラ・コンサート」で幕を開け、『カルメン』そして『ラ・ボエーム』をお届けいたします。
生の歌声の魅力をたっぷりとお楽しみください。
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■■■公演情報■■■
「これがオペラだVIII」
(全3演目・各2回公演・総合プロデュース 松本宰二)
会場:めぐろパーシモンホール 小ホール
《第1回 ガラ・コンサート》
日時:2013年5月25日(土)・26日(日) 両日とも15:00開演(14:30開場)
出演:
  【ソプラノ】高橋絵理、松井美路子、三宅理恵
  【アルト】喜田美紀
  【テノール】岡本泰寛、高田正人、山田精一
  【バリトン】浅井隆仁
  【バス】小田川哲也
  【ピアノ】水戸見弥子
  【MC】松本宰二
《第2回 ビゼー『カルメン』・原語(フランス語)上演》
日時:2013年6月29日(土)・30日(土) 両日とも15:00開演(14:30開場)
出演:
  カルメン:喜田美紀
  ホセ:高田正人
  エスカミーリョ:大井哲也
  ミカエラ:大林優子
  フラスキータ:高山由美
  メルセデス:下園理恵
  【ピアノ】水戸見弥子
  【MC】松本宰二
第3回 プッチーニ『ラ・ボエーム』・原語(イタリア語)上演》
日時:2013年7月27日(土)・28日(日) 両日とも15:00開演(14:30開場)
出演:
  ミミ:盛田麻央
  ムゼッタ:見角悠代
  ロドルフォ:岡本泰寛
  マルチェッロ:浅井隆仁
  ショナール:栗原 剛
  コッリーネ:小田川哲也
  【ピアノ】羽石道代
  【MC】松本宰二
料金:全自由席 一回券3,500円、3演目セット券9,000円(車椅子席同料金)
   *車椅子券はめぐろパーシモンホールのみ取扱
チケット販売:
  めぐろパーシモンホール 03-5701-2904 [10:00~19:00]
  二期会チケットセンター 03-3796-1831
主催:株式会社二期会21
共催:公益財団法人目黒区芸術文化振興財団
後援:公益財団法人東京二期会

AUBE

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迫力の『トゥーランドット』無事に終演しました!(レビュー[2])

東京も30℃を超える暑さが続く中、粟國淳演出『トゥーランドット』の幕を下ろしました。
今回の公演は、「熱気があった」「オーケストラの音に感動した」等、お客様の声もいただき、これまでにないスケール感で盛り上がりを見せました。
公演写真を加え、この夏最大の舞台『トゥーランドット』を振り返ります。
★7月6・9日出演組(撮影:三枝近志)
☆7月7・10日出演組(撮影:鍔山英次)




福井 敬の凛々しいカラフ、横山恵子のたおやかなトゥーランドット姫、完成度の高い演奏を聴かせたピン(萩原 潤)、パン(大川信之)、ポン(村上公太)、ソリスト陣の勢いに乗り、いずれも高い評価を得ました。皇帝アルトゥムは田口興輔。


二期会合唱団も大活躍。トゥーランドットは、合唱の出番も多く大変な演目ですが、マエストロからの厳しい要求にも見事にこたえ、力強く表情豊かな音楽を聴かせました。

総勢130名が舞台に乗ると壮観です。こちらは1幕。


リュー(日比野 幸)の後ろの人物の表情にも注目。ティムールは佐藤泰弘。
群衆も一人一人、劇中で生きているのです。私たちがそうであるように。


ピン(栗原 剛)、パン(西岡慎介)、ポン(菅野 敦)
3人の大臣がそれぞれの故郷への憶いを馳せるシーン。


官吏、役人、美しい侍女たち。天上の人皇帝アルトゥムは牧川修一。
音楽を視覚的に楽しませ、華やかに彩りました。

7日と10日に代役でカラフを歌ったルディ・パークは、韓国出身。スカラ座をはじめ、世界各地の劇場でこのカラフを歌い、絶賛されている逸材です。

今回リューを歌った新垣有希子は、ローマでの研鑽時代、志を共にした友人でもあります。久しぶりの再会もあって、士気も高まりました。


丹藤亜希子も難役トゥーランドット姫を歌い切り、二期会オペラのデビューを飾りました。


ティムール(大塚博章)はリュウの亡骸にすがり悲しむ。


終幕。

たくさんのお客様に盛大な拍手をいただきました。
また、会場ロビーで行われた、東日本大震災被災地への義援金募金にも多くの方がご協力くださり、4日間の公演で合わせて「329,919円」をお預かりいたしました。この義援金は全額、東京都を通じ、被災地へお届けさせていただくことをご報告申し上げます。誠にありがとうございました。
(写真をクリックすると拡大してご覧いただけます)

▼レビュー[1}もあわせてご覧ください。
粟國淳演出『トゥーランドット』開幕!(レビュー[1]) - 二期会blog(2011/7/7)

ZEN,帆かけ舟

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トゥーランドットの稽古場から

一晩中降った雨がやみ、日差しが強くなって、蒸し暑さも感じる午後、初日まで2週間となった『トゥーランドット』稽古場を訪ねました。
この日は3幕最後の場面。70人近い合唱、カラフ(松村英行:写真右)、トゥーランドット姫(丹藤亜希子)、ピン(栗原 剛)、パン(西岡慎介)、ポン(菅野 敦)等、勢揃いして舞台を埋め尽くし、大迫力の終幕です。
ダンサーたちは、稽古場に入ると、長い手足をゆっくり伸ばし、入念なストレッチを繰り返した後、時間をかけてアップします。
鍛えられた筋肉の繊細な動きに心を奪われます。日々の鍛錬のたまもの。
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演出の粟國 淳氏(写真:左)は、舞台全体を見ながら、個々の動きを丁寧に修正し、稽古場をまとめていきます。
公演が近づくにつれ、次第に緊迫感が増してくる現場の空気に身が引き締まり、エネルギーを感じます。
7月の公演、待ち遠しくなってきました。

帆かけ舟

▼公演情報・チケットのご予約はこちらから
2011年7月公演『トゥーランドット』 - 東京二期会オペラ劇場
▼こちらに最新の残席情報をお知らせしています
7月公演『トゥーランドット』残席状況 - 二期会blog オペラの散歩道

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モーツァルトの音楽とウルトラ怪獣!
童心にかえる楽しさ、東京二期会オペラ劇場『魔笛』終幕

モーツァルトのオペラ『魔笛』。人間の真の愛と徳を問いかける不思議な物語。多くの人に愛された演出家、実相寺昭雄監督が遺したファンタジックな『魔笛』を二期会歌手たち、スタッフが一丸となって、再び新国立劇場に創り上げました。熟練のオペラ指揮者テオドール・グシュルバウアーと読売日本交響楽団の奏でる美しい調べが心に残ります。
4日間の公演の模様を、写真とともにお伝えします。
◇9,11日キャスト(撮影:鍔山英次)
■10,12日キャスト(撮影:三枝近志)

小貫岩夫が演じる王子タミーノ。2007年に続いての出演です。柔らかい安定した歌唱が魅力。

タミーノ:小貫岩夫 


嘘をついたために、轡(くつわ)をはめられてしまうパパゲーノ。3人の侍女は、息のあったアンサンブルを聴かせました。
左から
第1の侍女:桑田葉子、パパゲーノ:友清 崇、
第2の侍女:磯地美樹、第3の侍女:金子美香 


王子タミーノに、パミーナ姫を助け出すように命じる夜の女王。ソプラノきっての難役で、ザラストロと対立する美しい女王の貫禄を見せた演技、超高音も決まり、大きな拍手をいただきました。

夜の女王:針生美智子 


王子タミーノのお伴をすることになったパパゲーノ。王子タミーノには魔法の笛を、パパゲーノには魔法の鈴が与えられました。夜の女王の3人の侍女と記念撮影。
左から
第1の侍女:日比野 幸、タミーノ:鈴木 准、
第2の侍女:杣友恵子、パパゲーノ:大沼 徹、
第3の侍女:吉田理絵 


パパゲーノは、いつでも子どもたちの人気者。鳥を捕って暮らしています。パパゲーノの存在は聴く人の心を明るくします。

パパゲーノ:大沼 徹 


モノスタトスに捕らわれたパミーナ姫。

モノスタトス(左):羽山晃生、パミーナ:増田のり子 


王子タミーノの奏でる笛に誘われて踊るウルトラ怪獣たち。愛矯を振りまく姿に思わず笑みがこぼれます。
(ウルトラ怪獣 ©円谷プロダクション)

タミーノ:小貫岩夫 


パパゲーノとパミーナは、ザラストロの宮殿を抜けだします。モノスタトスとその手下に捕まってしまいますが、パパゲーノが鈴を鳴らすと、嬉しそうに踊り出しました。
(ウルトラ怪獣 ©円谷プロダクション)
舞台手前中央3人、左から
パミーナ:嘉目真木子、モノスタトス:栗原 剛、
パパゲーノ:大沼 徹 




三人の童子。モーツァルトは、この童子たちにとても可愛らしい旋律を与えています。

左から
第1の童子:青木雪子、第2の童子:金原智子、
第3の童子:北村典子 


王子タミーノとパミーナ姫に、真の愛と勇気の試練を与えるザラストロ。すべてを見通す智恵の人。

舞台中央
ザラストロ:小鉄和広 


夜の女王は復讐の刃をザラストロに向けるよう、娘パミーナに命じます。
この「復讐のアリア」もコロラトゥーラの高度なテクニックを要します。

夜の女王:安井陽子 


お喋りを禁じられて退屈したパパゲーノのところにやってきたパパゲーナ。
はじめは老婆の姿で現れますが、後にグロッケンシュピールの力で若い娘の姿に甦ります。

パパゲーナ(左):鷲尾麻衣、パパゲーノ:大沼 徹 


タミーノの愛が冷めたと絶望の縁で命を絶とうとするパミーナに、童子たちは彼の愛が消えていない事を告げ、立ち直らせます。
左から
第1の童子:岸 七美子、パミーナ:嘉目真木子、
第2の童子:小林久美子、第3の童子:志岐かさね 

■ 
「明太子チーズ揚げ(!?)」と「ワイン」
パパゲーノの願いをかなえてくれる僧侶。

第2の僧侶(左):大川信之、パパゲーノ:大沼 徹 


タミーノとパミーナは力を合わせて、「魔笛」と共に火の試練、水の試練に立ち向かいます。

パミーナ(左):嘉目真木子、タミーノ:鈴木 准 


パパゲーナに会えないパパゲーノは、世をはかなんで自殺しようとします。

パパゲーノ(左):友清 崇、魔木:寺田 農(特別出演) 


若い娘の姿に甦ったパパゲーナ。ついにパパゲーノの女房になる時がやってきました。

パパゲーナ(階段上):鈴木江美、パパゲーノ(舞台手前):友清 崇 


フィナーレ。ザラストロ(大塚博章)を中心に大円団で幕となります。 

9,11日キャスト カーテンコール
(撮影:堀 衛) 

10,12日キャスト カーテンコール
(撮影:堀 衛) 

多くのお客様のご来場、まことにありがとうございました。
(写真をクリックすると拡大してご覧いただけます)

▼公演詳細はこちらをご覧ください
2010年9月公演『魔笛』- 公演記録|東京二期会

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公演後記 栗山昌良演出
悠久の美『蝶々夫人』

東京文化会館大ホールにおいて去る10月9日から4日間、ジャック・デラコート指揮、栗山昌良演出で、『蝶々夫人』が上演されました。その舞台をご覧ください。
★印…9・11日組キャストから(撮影:鍔山英次)
☆印…10・12日組キャストから(撮影:三枝近志)


ピンカートン(樋口達哉)は、東のくに─日本─への憧れからか、花のような蝶々さんと“かりそめの結婚”をすることに有頂天です。しかし、米国領事シャープレス(直野資)は、蝶々さんがピンカートンを心から愛していることを知って、軽率な行動を戒めます。



ピンカートン(小原啓楼)に挨拶をする、スズキ(小林由佳)。蝶々さんの傍らを離れない、真心あふれる気丈な女性を演じました。



花嫁行列を連ね、長崎港を見下ろす丘の上の家に姿を見せた、蝶々さん(文屋小百合)。今回、初役となった文屋の可憐さが注目されました。



蝶々さんが、結婚のために入信したことを知った伯父、ボンゾ(三戸大久)が、婚礼の最中にやって来て、“親戚の縁を切る”というので、大騒ぎになります。



親戚たちが帰ったあと、蝶々さん(大山亜紀子)を慰めるピンカートン。
やがて、夕闇が二人を包み、美しい二重唱となります。




ピンカートンがアメリカに帰って3年が経ちます。蝶々さんは、じっと信じて待ちます。
有名なアリア「ある晴れた日に」。



健気に待ち続ける蝶々さんですが、ゴロー(栗原剛)は、生活のために新しい旦那ヤマドリ(境信博)を勧めます。しかし、蝶々さんはきっぱりと断ります。



訪ねてきたシャープレスに、子どもを会わせる蝶々さん。大山は、2003年の公演でも蝶々さんを演じています。その心情の変化や成長がより細やかに表現されて、胸を打ちます。



アメリカ国旗を掲げた軍艦が入港し、蝶々さんとスズキは部屋中に花を撒き、美しく装ってピンカートンとの再会を心待ちにします。



しかしピンカートンは帰って来ません。次第に夜が明けていきます。蝶々さんのシルエット。栗山演出の名場面。



蝶々さんと坊やが、疲れて眠っている朝早く、ピンカートンがシャープレスに連れられてやって来ます。しかし、ピンカートンはアメリカ人の妻ケート(渡邊史)を伴っていました。子どもをケートに預けるように、説得を頼まれるスズキ(山下牧子)。控えめに振舞い続けるスズキですが、抑えた演技が、強い説得力を持つシーン。



ケート(谷原めぐみ)に対し、毅然とした態度で子どもを渡すことを告げる蝶々さん。30分後に、ピンカートンにこの家に来るよう伝えます。



蝶々さんと、坊やとスズキのお別れ。



ピンカートンの声が聞こえ、手を差し伸べる蝶々さん。
ひらひらと舞い散る花びらが、“誇り高く生きた武士の娘”の最期を語ります。


オペラ『蝶々夫人』は、日本が舞台だけに、美しい所作も期待されますが、見事に応えた二人の蝶々さんでした。またベテラン陣に加え、若手のメゾ・ソプラノ山下牧子と小林由佳が、栗山演出が要求する、奥ゆかしさと強さを秘めた日本女性スズキを演じたことも印象に残ります。
ご来場ありがとうございました。
(写真をクリックすると拡大してご覧いただけます)

▼公演詳細はこちらをご覧ください
2009年10月公演『蝶々夫人』- 公演記録|東京二期会

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