本公演の開催を前に、ドン・カルロ役の城 宏憲とエリザベッタ役の木下美穂子にインタビューいたしました。
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<城 宏憲>
Q1.ドン・カルロとはどのような役、どのような人物でしょうか?
城: 自分で言うのも変ですが、悩める王子様役です(笑)。生まれつき体が弱く、婚約者エリザベッタへの恋に破れてからは精神も衰弱の一途。時に周囲が思いもよらぬ行動力を示したかと思えば、やはり決まって挫折してしまう。親友のロドリーゴに励まされ、何度となく泥沼から這いあがろうとするが…結末は必ず悲劇的な人物として描かれます。
Q2.ご自身の役の見どころ(見せどころ)、聴きどころ(聴かせどころ)をひとつ教えてください。
城: 見どころは、次々と彼に襲いかかる人生の試練そのもの。頑張ってそれを乗り越えようとするのに、幕を追ってどんどん苦悩が増してしまう状況、その表現です。
聴きどころは、基本的に傷つきやすく受動的で繊細な王子の、憂いを秘めた響き。そして、そんな彼が劇的に変化して急に「やる気スイッチ」が入る、周囲を置いてけぼりにして空回りする彼の様子を、しっかりとその魂に寄り添って音楽で伝えれたらと思います。
Q3.『ドン・カルロ』のような歴史に題材を求めたオペラはたくさんありますが、一度でも演じてみたい、歴史上の人物はいますか?もしいれば、その理由や、動機もふくめて教えてください。
城: 最近いつの日か、ファウスト博士を演じてみたいと思っているのですが、物理学者のアインシュタインをモデルにしたらどうなるのかなぁ、と時々妄想しています。人類の科学史を動かすほどの知能を持つ人物にとっての、神や悪魔とは何だったのか。思いをめぐらせてしまいますね。
しかし、やはりフィクションの方が演じやすいと思います。原作のあるものなら、歴史上の人物ではありませんが、天才的な舞台役者でありながら、泥棒を生業とする、怪盗「七色いんこ」。手塚治虫ファンとしては、是非演じてみたいですねぇ。
Q4.最後に、本番にむけての意気込み、メッセージをお願いいたします。
城: ドン・カルロは確かに表題役ですが、単純にこの物語の主人公だと言い切ることができません。なぜなら、父王フィリッポの苦悩、親友ロドリーゴの暗躍、公女エボリの美醜、罪のない母エリザベッタの存在無くしては、タイトルロールとして輝かないからです。ですから、出来うる限り素晴らしい仲間と切磋琢磨しながら舞台を作り上げていきたいと思います。
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<木下美穂子>
Q1.エリザベッタとはどのような役、どのような人物でしょうか?
木下: エリザベッタは、時代背景や地位によって、彼女自身の運命を定められてしまった不幸を背負い、その運命をある意味受け入れる女王としての強さをもっていると思います。でも一方やはりカルロへ愛、冷静にふるまいつつも時々発せられるエリザベッタの本音や情熱がとても生生しくもあり、痛々しくもあり・・・その心情をヴェルディが非常に細かく表現していると思います。
Q2.ご自身の役の見どころ(見せどころ)、聴きどころ(聴かせどころ)をひとつ教えてください。
木下: カルロとの二重唱(2幕そして終幕)もとても好きな場面で、心にぐっとくる音楽ではあるのですが、今回はあえて、3幕の4重唱を上げさせていただきたいと思います。エボリの策略により無実の罪を着せられ夫であるフィリッポにののしられる場面です。この場面はそれぞれの人物の立場ゆえに背負っている苦悩が美しいアンサンブルで描かれています。女王としてのプライドも愛もすべて失ったエリザベッタの深い悲しみが天上の音楽で書かれています。この音楽を、そしてこの心理をどう表現していこうかといつも考えています。これはこれから一か月におよぶリハーサルでの課題です。Io son… straniera(私は…外国人…)この言葉は、長く海外で生きてきた経験からとても重い言葉だと、いつもぐっときてしまいます。
Q3.『ドン・カルロ』のような歴史に題材を求めたオペラはたくさんありますが、一度でも演じてみたい、歴史上の人物はいますか? もしいれば、その理由や、動機もふくめて教えてください。
木下: 改めて考えてみると、これと思い浮かぶのはないのですが、以前ヘレン・ケラーの詩による「アイヴィングリーンからの交響曲」(M・キャンプハウス作曲)というのを歌ったことがあるのですが、その時のヘレンケラーの詩が素晴らしく、こういう美しい言葉を紡ぎながらの彼女の生涯を一つのオペラにできたら素敵だろうなと思ったことがありました。できればイタリア人の作曲家でイタリア語で書かれていたらぜひ歌ってみたいです。
Q4.最後に、本番にむけての意気込み、メッセージをお願いいたします。
木下: ヴェルディの後期の大作『ドン・カルロ』、どの場面をとっても音楽が素晴らしく、またそれぞれの役の心理描写が音楽と相まってより一層の深みをもった作品です。私としては久しぶりの女性演出家とのお仕事です。どのようなアプローチで『ドン・カルロ』の世界を創り上げていくか、楽しみにしております。なかなか上演機会のない作品ですが、ぜひ劇場に足を運んでいただき、この世界を堪能していただければと思っております。
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それでは、よこすか芸術劇場公演当日のご案内を致します。 【9/29(金)20:30掲載】
シュトゥットガルト州立歌劇場、よこすか芸術劇場との提携公演 《東京二期会オペラ》 ジュゼッペ・ヴェルディ作曲 『ドン・カルロ』 オペラ全5幕(イタリア語5幕版) <日本語および英語字幕付き原語(イタリア語)上演> 指揮:レオナルド・シーニ/演出:ロッテ・デ・ベア 合唱:二期会合唱団/管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 | |||||
窓口受付 | |||||
=アクセス= | <京浜急行電鉄> [京急本線]=「汐入駅」から徒歩1分 <JR> [横須賀線]=「横須賀駅」から徒歩8分 お車でご来場のお客様は横須賀芸術劇場ウェブサイトをご覧ください >>アクセス - 横須賀芸術劇場 | ||||
◆上記、当日券は 9/29(金)18:00現在 での発売予定です。以降の販売状況により、完売となる場合がございますので、あらかじめご了承ください。 ◆U24(24歳以下)を開場時刻より発売(各席種半額)致します。ご希望の方はご本人の学生証等年齢のわかるものを必ずお持ちください。 ◆公演タイムテーブルは総稽古の実測時間を元にしておりますが、当日の演奏・進行により変わってくる場合もございますので、あらかじめご了承ください。 |
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・2023グランドオペラフェスティバル in Japan G.ヴェルディ『ドン・カルロ』(全国公演) - 東京二期会
●公演に関するお問合せは
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)