二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『デイダミーア』
ドラマトゥルク萩原里香による鑑賞の手引《登場人物解説》

いよいよ今週末25日(土)、26日(日)、めぐろパーシモンホール 大ホールで開催する、二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『デイダミーア』! 鈴木秀美指揮、ピリオド奏法の特別編成オケ、ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウと、中村蓉演出のコンテンポラリーダンスの要素が融合した、二期会ニューウェーブ・オペラ劇場ならではのスタイルでお贈りするヘンデル最後のオペラ『デイダミーア』。
鑑賞の手引きとして、本公演のドラマトゥルク萩原里香が登場人物を解説いたします!

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二期会ニューウェーブ版の『デイダミーア』(ヘンデル作曲)は、中村蓉イズムにあふれています。本公演ではカットされている場面が少なくなく、そのため本来の展開とは異なるタイミングで筋が進行します。例えば、ウリッセが正体を明かすシーンが移動していますので、見逃さないで欲しいですね。

また人物がなんとも個性的です。6人と少数なのでどの人物も重要で個性的です。
・・・主役デイダミーアは終始悩んでいます。アキッレという特殊な事情のある人物を愛してしまったが故の、終わることのない苦しみです。
その恋人のアキッレ(ピッラと名乗る)はまるで対照的。女装させられ匿われているのは親によって置かれた環境であり、具体的な危機感を持っていません。それがさらにデイダミーアを悩ませます。
そんな彼女を見守るネレーアは、賢明に彼女を支えながらも最後には別の決断を下します。ネレーアの心の機微も細かに描かれますよ。

ギリシャからやってきた使者の二人、ウリッセは偽名まで使っており用意周到。イメージ通り、いや「Bar」まで開店させるとはびっくりです。
相方のフェニーチェもまた若手の優秀な武将かと思いきや、今回のフェニーチェはお調子者。次々に秘密を暴いていくウリッセに倣おうと恋愛本から情報を得るなど。その成果のほどははたして・・・。
二人に迫られるリコメーデ王は、一国の王として最も良い選択は何なのか、物語の中で揺れる心を見せていますが、彼が天秤にかけているのは王の義務か友情かであって、娘デイダミーアの幸せではないのです。

キャスト陣も個々に役柄を理解し、それぞれの人物像を作り上げています。初日のデイダミーア、2日目のデイダミーア、まるで異なる女性に見えることでしょう。
アリアの歌唱中も物語は進みます。歌詞は同じ言葉の繰り返しであっても、徐々に変化する心の様子を演技で表現していますので、そこにも是非ご注目をいただきたいです!

(ドラマトゥルク・萩原里香)


▼演奏予定楽曲についてはこちらの記事をご参照ください
まもなく開幕!ヘンデル『デイダミーア』演奏予定楽曲について|2024年05月21日 - オペラの散歩道|二期会blog

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▼『デイダミーア』公演情報ページはこちら
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2024年5月公演 G.F.ヘンデル『デイダミーア』
- 二期会ニューウェーブ・オペラ劇場
2024年5月25日(土)17:00、26日(日)14:00 めぐろパーシモンホール 大ホール
指揮:鈴木秀美/演出:中村 蓉/管弦楽:ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ

●お問合せ・ご予約:二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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