2022年07月 アーカイブ

【新シーズン開幕!】2022年9月プッチーニ『蝶々夫人』~ピンカートン役 宮里直樹インタビュー「ピンカートンの感情が感情が音やフレーズに全て表れている」

東京二期会2022-2023シーズンは、9月8日(木)プッチーニ『蝶々夫人』から開幕!
今回も、インタビュー形式で本公演のキャストをご紹介してまいります。
初日と3日目のピンカートン役をつとめるテノール宮里直樹は、2017年の栗山昌良演出『蝶々夫人』に続いての出演です。若々しいだけでないノーブルな声で、確かな様式感をもった歌唱は、多くのファンと指揮者、オーケストラからの信頼厚いところ。「第九」演奏会やNHKニューイヤーオペラコンサートなど、数多くの出演を果たしています。
『蝶々夫人』の本番に向けて、話を聞きました。

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テノール 宮里直樹

――ピンカートンは、どのような役、人物でしょうか。

宮里: ピンカートンは一言で言うなら「最低な男」ですね。誠実さがなく、初めから蝶々さんを伴侶としてではなく「女」として遊びで結婚してしまう。人としては尊敬できる人物ではないですね。ただ傷付けるつもりではなかったので、良く言えば唯々自分の気持ちや欲求に素直な人物とも言えなくもないかなぁと。

――「最低の男」を演じるのも苦労があるかと思いますが、このピンカートン役の見せどころ、聴かせどころを教えてください。

宮里: ピンカートンは良くも悪くも自分の心の内を全て曝け出しているので、軽薄さだったり、優しさであったり怒りだったり、強引さであったり、その時その時の感情が音やフレーズに全て表れているので、オペラ全体的に彼の「人間性」を見て頂けたらと思います。

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2017年10月 東京二期会オペラ劇場『蝶々夫人』より ピンカートン役

――ピンカートン以外で、宮里さんが『蝶々夫人』で好きなところを教えてください。

宮里: 第2幕の最後の蝶々さんのアリアが個人的に一番好きですね。18歳で自分の幕を閉じる事を決意した蝶々さんの悲痛の叫びと息子への愛。管楽器が鳴り響く中で、優しい母の愛とも取れる優しいハープの音を聴くと涙が止まらなくなります。

――18歳で命を絶った蝶々さん。悲痛なシーンですね。蝶々さんも現代に生きていたら、ちょうど高校生の年齢で、持ち前の天真爛漫さで青春を謳歌していたかもしれませんね。宮里さんは、どのような高校時代を過ごしていたでしょうか。

宮里: 僕の高校時代は、高校3年の夏まではヴァイオリニストを志していたので、日々のヴァイオリンの練習、ピアノ、ソルフェージュ、加えて市民オーケストラに入っていたので音楽漬けの高校時代でしたね。その中で普通に恋愛も謳歌していたし、自分の好きな事をしていました。やりたい事を出来る、させて貰える事がどれだけ恵まれていた事かを最近よく考えさせられます。

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221年7月 東京二期会オペラ劇場『ファルスタッフ』より フェントン役

――音楽の糧を存分に吸収していた時代だったのですね。最後に、お客様に向けてメッセージをお願いいたします。

宮里: 最高の歌手陣と、指揮のバッティストーニ、そして御年96歳になられる演出の栗山先生と作り上げる『蝶々夫人』。貴重な機会なので、楽しみながらしっかり気を引き締めて本番まで作って行きたいと思います。忘れられないような素敵な舞台になるよう頑張りますので、楽しみにしていてください。

*     *     *


▼『蝶々夫人』公演情報ページはこちら
2022年9月公演 G.プッチーニ『蝶々夫人』 - 東京二期会オペラ劇場
2022年9月8日(木)18:30*、9日(金)14:00、10日(土)14:00*、11日(日)14:00 新国立劇場オペラパレス
指揮:アンドレア・バッティストーニ/演出:栗山昌良/管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:二期会合唱団、新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部
*…ピンカートン 宮里直樹 出演日

主催:公益財団法人東京二期会
共催:公益財団法人新国立劇場運営財団、公益財団法人日本オペラ振興会

●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
Gettii←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の
インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!


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7/13(水)開幕! ワーグナー『パルジファル』~公演当日のご案内

いよいよ明日7月13日(水)から17日(日)まで、〈二期会創立70周年記念〉東京二期会オペラ劇場 R.ワーグナー作曲『パルジファル』を東京文化会館 大ホールにて上演いたします。(15日(金)の休演日を除く4回公演)

今回のプロダクションは、フランス国立ラン歌劇場との共同制作で、2020年1月にストラスブールでのプレミエが大絶賛された、宮本亞門の演出によるもの。いよいよ東京に凱旋します!
タイトルロールには、2012年の公演に続いて大役を果たす福井 敬と、ベルリンに学んだ若きヘルデン・テノール伊藤達人。魔女クンドリには、田崎尚美と橋爪ゆか。アムフォルタスに黒田 博と清水勇磨。記念公演にふさわしいベテランと若手の競演です。
そして、セバスティアン・ヴァイグレ指揮&読売日本交響楽団の黄金コンビという最高の布陣でお贈りします。
どうぞご期待ください!

尚、このたびの公演は新型コロナウイルス感染防止対策を行って開催させていただきます。 ご来場のお客様にはこちらのご案内をあらかじめお読みの上、ご理解、ご協力くださいますようお願いいたします。
主催公演開催時における、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する対策とお願い

それでは、期間中の公演当日のご案内を致します。 【7/12(火)17:00掲載】
フランス国立ラン歌劇場との共同制作
二期会創立70周年記念公演《東京二期会オペラ劇場》 2022年7月公演
リヒャルト・ワーグナー作曲 『パルジファル』 オペラ全3幕
<日本語および英語字幕付き原語(ドイツ語)上演>
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ/演出:宮本亞門/管弦楽:読売日本交響楽団
当日券と公演タイムテーブルのご案内
 
7月13日
(水)
7月14日
(木)
7月16日
(土)
7月17日
(日)
当日券
S A B C 学
S A B C 学
S A B 学
S A B 学
当日券販売
/窓口受付
15:30~
12:30~
12:30~
12:30~
開場
16:00
13:00
13:00
13:00
開演
17:00
14:00
14:00
14:00
第1幕
約90分
休憩 25分
18:30~18:55
15:30~15:55
15:30~15:55
15:30~15:55
第2幕
約60分
休憩 25分
19:55~20:20
16:55~17:20
16:55~17:20
16:55~17:20
第3幕
約70分
終演予定
21:30
18:30
18:30
18:30
東京文化会館
=アクセス=
<JR>
[山手線][京浜東北線][上野東京ライン][宇都宮・高崎線][常磐線]
[東北・上越・北陸・秋田・山形新幹線]=「上野駅」公園口改札から徒歩1分
<地下鉄>
[銀座線][日比谷線]=「上野駅」7番出口から徒歩5分
<京成電鉄>
[京成本線]=「京成上野駅」正面口から徒歩7分

お車でご来場のお客様は東京文化会館ウェブサイトをご覧ください
>>交通アクセス - 東京文化会館|来場者の皆様へ
…7月13日(水)の初日公演では、開演前16:30、16:40、16:50にホールロビーにてファンファーレの演奏がございます。
>>7/13(水)『パルジファル』初日公演において開演前のファンファーレを演奏します|ニュース - 東京二期会

◆上記、当日券は7/12(火)17:00現在での発売予定です。当日の販売状況により、完売となる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
◆新型コロナウイルス感染対策の開催ガイドラインに従って開催いたします。ホール客席は歌唱を伴うステージとお客様との十分な距離を確保するため、1階席の1~2列目は販売致しません。それにより最前列が3列目となりますが、以降の座席は前後左右の間隔を空けない通常配席での販売となります。
◆本公演では「当日学生席」を発売致します。公演当日開演90分前より開場受付にて2,500円で発売致します。ご希望の方はご本人の学生証を必ずお持ちください。
◆公演タイムテーブルは総稽古の実測時間を元にしておりますが、当日の演奏・進行により変わってくる場合もございますので、あらかじめご了承ください。

▼『パルジファル』公演情報ページはこちら
2022年7月公演 R.ワーグナー『パルジファル』 - 東京二期会オペラ劇場


●公演に関するお問合せは
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)

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7月公演 ワーグナー『パルジファル』~アムフォルタス役 黒田 博インタビュー「生き地獄を彷徨うようなアムフォルタスを演じるのは、快感(!?)」

開幕まであと5日! 二期会創立70周年記念公演、ワーグナー『パルジファル』キャスト・インタビューもいよいよ今回が最終回となります。
最後を飾るのは、アムフォルタス役のバリトン黒田 博。颯爽とした舞台姿に、力強い歌声と繊細な表現力をもって、国内第一線の活躍を続けてきた、日本を代表する屈指のバリトンのひとりです。
東京二期会のワーグナー公演においても、創立50周年記念公演『ニュルンベルクのマイスタージンガー』ハンス・ザックス、60周年記念『パルジファル』アムフォルタスと最重要の舞台で主役を担ってきました。近年も、『魔笛』パパゲーノ、『セビリアの理髪師』バルトロなど軽妙さをもった役から、『トスカ』スカルピア、『ファルスタッフ』題名役などイタリアオペラ、そして『フィデリオ』フェルナンドなどドイツオペラと縦横無尽の活躍を続けています。
そして、今回10年ぶりとなるアムフォルタス。公演に向けて話を聞きました。

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2012年9月 二期会創立60周年記念 東京二期会オペラ劇場『パルジファル』より アムフォルタス役

――創立60周年記念公演に続いてのアムフォルタス役ですが、どのような人物でしょうか

黒田: とても難しいですけれども、とてもやりがいのある役です。精神的にも身体的にも傷を負って、贖われることのない罪を一生背負い続けています。アムフォルタスにとって、おそらく唯一の安らぎを見出す方法は「死」のみ。ですが、彼は、王として、自らの死が、他の人々の悩み、苦しみとなることを知っているので、「生き続けなければいけない」。そのように、生き地獄をずっと彷徨い続けているのがアムフォルタスです。

――稽古とはいえ、何度も演じ続けるのも苦しいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

黒田: アムフォルタスの、そうした内面のねじれた感情を、ワーグナーはそのまま音楽で描き切っているのですね。それを歌っていると、本当に、この身がよじれる思いがいたします。
苦しいんですけれど、しかし、ワーグナーの音楽に身を置く、または身を委ねることに、ある種の快感を覚えます。表現者として、ストレートな感情ではなく、心の奥底からえぐられるような、聖と俗とにねじられるような想いを歌うというのは、やはり面白いと思いますし、バリトンという声種ならではの役とも思いますね。

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2015年7月 東京二期会オペラ劇場『魔笛』より パパゲーノ役

――昨年の7月はヴェルディ最後の作品『ファルスタッフ』に題名役で出演しました。ヴェルディ、ワーグナーという2大巨頭の最後の作品に携わってみて、どのように感じられたでしょうか。

黒田: すべての作曲家の最後の作品がいいものとなるかどうかは、また違うと思いますが、このヴェルディ、ワーグナーにとっては、最終到達点というか、すばらしいものに違いありません。
昨年のロラン・ペリーさん演出の『ファルスタッフ』では、ファルスタッフは、ただの飲んだくれの太っちょのジジイというだけではなく、若い時分はもっとイカしていたであろう男が、人生でいろんな経験をして、最後に「人間なんてしょせんこんなもんじゃんか」と笑い飛ばしている。
ファルスタッフは悪人として懲らしめられるのですが、全然悪人ではなくて、むしろとても人間らしいのです。僕からしたら、ファルスタッフのような人間が一番「まとも」に見えます。いったい、彼のどこが悪いの?
ヴェルディには初期や中期にもたくさんの素晴らしい作品がもちろんありますが、『ファルスタッフ』は、『オテロ』とともに、音楽的にも緻密に構築されたヴェルディの最高傑作ではないかと思えます。

一方、ワーグナー自身が様々な音楽手法を採用し、また発明してしてきた中で、最終的に到達した境地が、この『パルジファル』という作品だったのではないか、と思えます。
この作品の音楽のことを、僕は、言葉では言いあらわせないのですが……なんと言おうか、すべての要素が集約された構築物に圧倒される感じがいたします。音楽を聴いただけで、聖や俗といったものの価値観、概念がわからなくなるという世界に連れて行ってくれる感じがいたします。

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2016年7月 東京二期会オペラ劇場『フィガロの結婚』より フィガロ役

――今の話を聞いて、両極端ともいえるキャラクターのファルスタッフとアムフォルタスですが、同時に、それぞれがまた極めて人間的なのですね。

黒田: そうですね。本当にそう思います。

――ファンの方には、ぜひ黒田博演じる「人間アムフォルタス」にご期待いただきたいと思います。それでは、宮本亞門さんの演出の魅力についても教えてください。

黒田: ひとつの作品を、実にいろいろな角度から見ていらっしゃるな、といつも思っています。
3次元といえばいいのか、4次元なのか、すごく立体的でダイナミック。音楽とリンクした動きのある舞台が魅力ですが、その音楽も、おそらく亞門さんならではの「聴き方」があるように思います。ここの音楽はふつうならこういうふうに、というものがあったとしても、僕らが感じている感覚とは違う「角度」で使われる感じがしますね。
これまでの稽古でも、亞門さんのアイデアには、本当に腰を抜かすような、驚くことがあるのです。そして、稽古を重ねていくと、そこで本当に胸が締め付けられるくらいの想いにさせられたりするのです。
ワーグナーは、音楽のモチーフがだいたい決まっているように思っているではないですか。亞門さんの場合だと、それがどのようにくるのか、というのは楽しみにしています。

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2021年7月 東京二期会オペラ劇場『ファルスタッフ』より ファルスタッフ役

――最後に、ファンのみなさまにメッセージを。

黒田: 演奏だけで4時間にもなるオペラですが、お客様にとっても、観るのも聴くのも「一日仕事」ですよね。この作品を一日かけてご鑑賞いただいて、家に帰られて、さらにずっと何日もかけて(余韻を)お楽しみいただけるかな、と楽しみにしています。
とにかく、ワーグナーの音楽は「まとも」じゃないですよ!2012年に続いて、今回も読売日本交響楽団さんとワーグナーでご一緒できるというのも楽しみですので、皆様にもご期待いただきたいです。

*     *     *


▼『パルジファル』公演情報ページはこちら
2022年7月公演 R.ワーグナー『パルジファル』 - 東京二期会オペラ劇場
2022年7月13日(水)17:00*、14日(木)14:00、16日(土)14:00*、17日(日)14:00 東京文化会館 大ホール
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ/演出:宮本亞門/管弦楽:読売日本交響楽団
*…アムフォルタス 黒田 博 出演日

●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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