第34回ミュージック・ペンクラブ音楽賞に メゾソプラノ池田香織と、東京二期会が同時受賞

2021年度 第34回ミュージック・ペンクラブ音楽賞に、メゾソプラノ池田香織と東京二期会が受賞し、さる4月20日(水)、文京シビックセンター・スカイホールで授賞式が行われました。
ミュージック・ペンクラブ音楽賞は、ペンをもって音楽と関わる人材を集めた組織ミュージック・ペンクラブにより、毎年、クラシック、ポピュラー、オーディオの各分野で最も優れた作品、アーティスト等を会員の投票によって選ばれる賞。池田は《クラシック》ソロ・アーティスト部門で、東京二期会は《クラシック》オペラ・オーケストラ部門で受賞しました。

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池田香織(撮影:井村重人)

池田からのコメントは「2021年の後半からは、比較的のんびりした日々を送っておりましたので、「第34回ミュージック・ペンクラブ音楽賞」のソロ・アーティスト部門受賞者に内定というお知らせをいただいたときには、嬉しさというよりは大変びっくりして信じられないような気持ちでした。正式発表の折の受賞者紹介記事には、選考対象年度公演である二期会の『サムソンとデリラ』『タンホイザー』、そして新国立劇場の『ワルキューレ』の他に、今までの私の歩みをしっかりと見守ってくださった上での評価をいただき、とても嬉しく拝読いたしました。オペラ歌手としてどのようにありたいか、大切にして来たことをしっかり見守ってくださる方がたくさんいらっしゃるということを改めて実感し、色々な世情の波に揉まれつつも、まだまだ頑張って歌っていかなければと励まされる思いでした。そして、志と楽器ひとつしか持たずに研究生になって約30年、色々な学びと経験の場と繋いでくださった二期会との同時受賞もとても嬉しく光栄です。」と話しました。

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2016年9月東京二期会オペラ劇場『トリスタンとイゾルデ』よりイゾルデ役(右側) 撮影:三枝近志

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2021年1月東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ『サムソンとデリラ』よりデリラ役(左側)撮影:西村廣起

【授賞理由】
池田香織は、書かれたものを咀嚼し解釈する知性に長けた、日本のオペラ界では貴重な歌手である。「歌を模倣して歌う」ことが、決してないのだ。それでいて表現は小賢しくなく、対象への完全な没入を感じさせる。低音域のよく響く暗めの声音が特徴だが、近年では高音域でも声の勁さが増し、また演技空間をより巧みにデザインするようになった。
2016 年のイゾルデ役が、一つの突破口となったであろう。そしてついに2021 年、新国立劇場《ワルキューレ》のブリュンヒルデで大輪の花を咲かせた。ヴォータン役のミヒャエル・クプファー=ラデツキーと並んでまったく遜色がなかったのは見事というほかない。ワーグナー作品に留まらず、東京二期会ではヴェーヌス役のほかに、デリラ役でも高い評価を得た。本賞を贈るにふさわしい、大活躍の年であった。(舩木篤也)

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2021年2月東京二期会オペラ劇場『タンホイザー』ヴェーヌス役 ©Lasp Inc.

▼池田香織のプロフィールはこちら
池田香織 メゾソプラノ - 二期会21

【今後の出演予定】(詳細は主催者ウェブサイトをご覧ください)
■こども音楽フェスティバル
はじめてのオペラ『ヘンゼルとグレーテル』~おかしな森とお菓子な魔女~

2022年5月6日(金)17:00 サントリーホール
▼公演詳細ページ
はじめてのオペラ『ヘンゼルとグレーテル』~おかしな森とお菓子な魔女~(字幕つき日本語訳詞ハイライト上演/セミ・ステージ形式) - サントリーホール 主催公演

■第27回宮崎国際音楽祭
「喪失と悲哀を越えて」~大野和士が捧げるレクイエム

2022年5月14日(土)15:00 宮崎県立芸術劇場アイザックスターンホール
▼公演詳細ページ
プログラム - 第27回宮崎国際音楽祭

■大阪フィルハーモニー交響楽団 第561回定期演奏会(指揮:尾高忠明)
2022年9月22日(木)19:00、23日(金・祝)15:00 フェスティバルホール ▼公演詳細ページ
第561回定期演奏会(2022/9/22) - 大阪フィルハーモニー交響楽団
第561回定期演奏会(2022/9/23) - 大阪フィルハーモニー交響楽団

■音楽の花束~広響名曲コンサート~冬
2023年1月29日(日)15:00 広島国際会議場フェニックスホール
コンサート一覧 - 広島交響楽団


続いて、東京二期会は、2003年度に日生劇場共催公演 ベルク『ルル』(全3幕完成版日本初演)がクラシック部門のコンサート・パフォーマンス賞で受賞して以来18年ぶり。オペラ・オーケストラ部門の団体では初の受賞という栄誉にあずかりました。

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2021年7月東京二期会オペラ劇場『ファルスタッフ』 撮影:西村廣起

【授賞理由】
2020年予定の公演のコロナ禍に延期分もあわせ、例年以上のオペラを上演した。国内の歌手たちの奮闘に加え、指揮者などの来日が立て続けに中止となり、短期間での変更を余儀なくされるなか、新進の起用など積極的な対応により、明日につながる成果をあげた。『サムソンとデリラ』と『ルル』のマキシム・パスカル、『魔笛』のギエドレ・シュレキーテ、『ファルスタッフ』のレオナルド・シーニなどの俊英指揮者とは、今後も関係が深まることを期待したい。とりわけ、カロリーネ・グルーバー演出による『ルル』は、森谷真理を初めとする熱気に満ちた歌唱、刺激的な舞台、生彩に富んだオーケストラと三拍子そろい、特筆に値する充実の公演だった。(山崎浩太郎)

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2021年8月東京二期会オペラ劇場『ルル』 撮影:西村廣起

若く才能あふれる指揮者は今後も二期会オペラに続々登場。今年11月『天国と地獄』では原田慶太楼が、来年2月『トゥーランドット』では、小澤征爾音楽塾でも活躍著しいベネズエラ出身のディエゴ・マテウスが指揮する予定です。
また、フランス国立ラン歌劇場で絶賛された宮本亞門演出『パルジファル』が今年7月に開催。
『トゥーランドット』は日本では初プロダクションとなるダニエル・クレーマーの演出で、オペラ初コラボとなるアート集団チームラボが参画。今年6月にジュネーヴ大劇場でワールド・プレミエが予定されている舞台が来年2月東京で実現。今後もオペラ界に新風を吹かせる舞台をお届けいたします。

▼今後の東京二期会オペラ公演の情報
2022年7月公演 ワーグナー『パルジファル』(セバスティアン・ヴァイグレ指揮/宮本亞門演出/読売日本交響楽団)- 東京二期会オペラ劇場
2022年9月公演 プッチーニ『蝶々夫人』(アンドレア・バッティストーニ指揮/栗山昌良演出/東京フィルハーモニー交響楽団)- 東京二期会オペラ劇場
2022年11月公演 オッフェンバック『天国と地獄』(原田慶太楼指揮/鵜山仁演出/東京フィルハーモニー交響楽団)- 東京二期会オペラ劇場
主催および共催オペラ公演2022-2023 シーズンラインアップ- 東京二期会

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