欧米のオペラハウスで活躍。『椿姫』『仮面舞踏会』『イル・トロヴァトーレ』や『蝶々夫人』『トスカ』『ラ・ボエーム』などヴェルディ、プッチーニ作品のプリマロールを歌い続けながら、近年は二期会『ローエングリン』エルザや同『フィデリオ』レオノーレなど、ドイツオペラにもレパートリーを広げています。
そして、今秋は、オペレッタ『こうもり』のロザリンデ。実は初役と語る木下に、開幕に向けて話を聞きました。
木下美穂子
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――初の日生劇場公演、初ロザリンデ役だったのですね!ロザリンデは手掛けてみたい役のひとつだったのではないでしょうか。
木下: そうですね。楽しいオペラですし、ドイツ語に対するハードルも若干下がった今、いつか歌ってみたいなと思っていました。
――実際に稽古を重ねてみて、ロザリンデの印象を教えてください。
木下: 今回のホモキさんの演出のロザリンデは、人物像がとても明白です。アルフレードのことは全く愛していないのですが、ただただ声に惚れ込んでしまった!という。私も歌手として、声が魅力的な方は100倍よく見えてしまう(笑)という気持ちはよくわかります。セリフの切り返しなど、難し部分もありますが、とてもチャーミングな女性像だと感じますし、そのように演じられたらと思います。
2014年4月『蝶々夫人』より 蝶々夫人役(撮影 三枝近志)
――それでは、ロザリンデ役を中心に、『こうもり』の見どころ、聴きどころを。
木下: 『こうもり』は観ていても楽しいですが、演じていてもとても楽しいです。皆さん一度は聴いたことのあるメロディも随所にありますし、お話もわかりやすいですので、若い方やオペラの敷居を高く感じていらっしゃる方にも楽しめる作品だと思います。ロザリンデは、私にとってもこれまでに演じてきた役と180度違うキャラクターです。刺すか刺されるか、自害するか病死する役ばかりでしたので、新たな一面をお楽しみいただければと思います。
それから、フロッシュ役の森公美子さんも芸達者でとても面白く、ほかの歌手との絡みもお楽しみいただければと思います。
2018年2月『ローエングリン』より エルザ役(左/撮影 三枝近志)
――「ヴェルディ歌手、木下美穂子」についても質問したいです。今年の夏、ヴェルディ「レクイエム」のソロを務めました。当時、緊急事態宣言の中、アンドレア・バッティストーニの指揮のもと、濃密な音楽となりました(現在、映像公開中(※1))。木下さんにとっても、印象に残るステージだったのではないかと思うのですが、本番中どのようなことを感じていたのでしょうか。
木下: 緊急事態宣言中で、しかも感染者が大変多い時期でしたので、なるべく短いリハーサルで作りあげなくてはいけない状況でした。この短い時間であの大変な作品を仕上げるというプレッシャーや緊張感は大きかったです。最後の「リベラ・メ」が終わった瞬間の沈黙には、このパンデミックが始まってからの色々な思いや、今舞台に立てていることの感謝や、今後の世界の平和を思う祈りなど、込み上げてくるものがありました。今だから必要だった大作の「レクイエム」だったと感じています。
2020年9月『フィデリオ』より レオノーレ役(撮影 西村廣起)
――ありがとうございます。では、今後オペレッタでの活躍も楽しみにされているファンの皆様にメッセージを。
木下: パンデミック以降、約2年間、みんなが非常に不安定な中で生きていて、我々音楽家も全く同じ状況です。でもこういう時期だからこそ、心からリラックスしていただける楽しいオペレッタができることを心から感謝しています。今年も残すところあと1ヶ月ちょっとです。是非劇場に足を運んでいただき、皆さんに楽しんでもらえるよう、我々出演者・スタッフ一同最後の大詰めを感張っております!是非日生劇場でお会いしましょう。
(※1)
▼二期会スペシャル・コンサート ヴェルディ「レクイエム」の演奏動画を公開しています。(2022年9月まで)
・東京二期会‘どこでも’オペラシアター - 東京二期会
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▼『こうもり』公演情報ページはこちら
・2021年11月公演 J.シュトラウスII世 オペレッタ『こうもり』 - 東京二期会オペラ劇場
2021年11月25日(木)18:30、26日(金)14:00*、27日(土)14:00、28日(日)14:00* 日生劇場
指揮:川瀬賢太郎/演出:アンドレアス・ホモキ/管弦楽:東京交響楽団
*…ロザリンデ 木下美穂子 出演日
●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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