【二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『セルセ』キャスト・インタビュー】~(5)アマストレ役 和田美樹子&長田惟子

二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『セルセ』キャスト・インタビュー第5弾は、アマストレ役の和田美樹子(わだ みきこ・5/22出演)、長田惟子(おさだ ゆいこ・5/23出演)です!
アマストレは、セルセ王の許嫁とされる貴族の娘。異国の地に住んでいますが、セルセの姿をひとめ見ようと、男性に変装してペルシャにやってきました。しかし、そこで見た将来の夫の姿は・・・

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――『セルセ』出演おめでとうございます。

和田・長田: ありがとうございます!

――アマストレはどんな役ですか?

和田: アマストレは異国にする王女で、ペルシャ王セルセの婚約者です。 変装してペルシャにやってきますが、そこで王が他の女性に惹かれている様子を目の当たりにします。セルセを一途に愛するアマストレは、彼の心変わりに苦しめられます。


和田美樹子

長田: アマストレは小さい時から自分に婚約者がいることを知っていて、彼への熱い想いを胸の片隅で大切に育ててきたと思います。だから彼女にとってセルセは憧れの王子様で、自分だけを永遠に愛してくれる人だと信じていたと思うんです。
女の子は王子様に憧れちゃうんですよ。この人は運命の王子様だわ!と自分ばかりが盛り上がっていたけれど、蓋を開けたら相手の中の「私」の存在は小さいものだった、なあんてこと、よくあるんじゃないでしょうか?(笑)
そんな男性のために喜んだり、ときめいたり、苦しんだり、狂ったり、でも諦めきれなくてあげくの果てに悟ったり…


長田惟子

――インターネットも写真も油絵具もない時代、当たり前ですが、変装して会いにでも行かない限り、婚約者を知ることなんてできないですものね。でも、憧れの人に会いたいという人間の気持ちは今も昔もそれほど変わるものではない、ということでしょうか。
アマストレのアリアについてはいかがですか?


長田: 今回の上演では、アマストレには3つのアリアがあるのですが、色んな姿のアマストレが表現されています。どの姿も、人間味があって、自分のことのように共感してしまうので、彼女のキャラクターを愛さずにはいられないんです。

――それでは3曲の中から、それぞれの1曲を教えてください。

和田: 私は、第2幕で歌われる「Anima infida, tradita io sono」です。
セルセの心変わりを確信したアマストレが、苦しみに耐えられず自殺を図ります。そこにきた王の弟アルサメーネの従者エルヴィーロに止められ、「死ぬ前にあの残酷な心に言ってやる」「不実な心よ 私は裏切られた 来い、私を殺せば お前を許す」と歌うアリアです。

――凄まじい感情ですね。

和田: 愛する人の裏切りによって、常軌を逸したアマストレが、激昂して歌います。
このアリアのあとにエルヴィーロが「È pazzo affé! 本当に気が狂ってる!」と言うのですが、お客様にもそう思って頂けるように演じ歌い上げたいです。

長田: 感情をむき出しにしてしまった2幕とは一転して、3幕の終盤で歌われるアリア「Cagion son io del mio dolore」では、自分を裏切った彼のことを一途な心で愛し過ぎてしまった私自身がこの苦しみの原因なんだ、とひとり静かに歌います。
この曲を最初に聴いたとき、歌詞に反して音楽はあっさりしていて綺麗なのに、どこか胸が締め付けられるような寂しさを感じました。セルセのことになると周りが見えなくなっていたアマストレが、外側から自分のことを見て最終的にあっけらかんとした気持ちでこのアリアを歌っていると思うのですが、そこには押し寄せる寂しさや苛立ちと向き合い、自問自答の末に心の成長をとげた、ちょっぴり切ないアマストレの姿も垣間見えると思います。

――J-Popでも描写されるような、とても現代的な感情にも思えますね。

長田: かなしみの中にもアマストレのさっぱりした気持ちが感じられて、特に共感を覚えるアリアです。
愛してしまった自分自身にも原因がある、なんて思えるアマストレはなんて一途でいい子なんでしょうね!こんなアマストレを苦しめるセルセは許せません!(笑)

――さて、二人は二期会オペラ研修所の同期です。それぞれの印象は?

和田: 長田さんと初めて会ったのは研修所の入所試験の時です。その時にチラッと彼女の歌声が聴こえて、なんと素敵な歌声!!と思ったのを今でも鮮明に覚えています(笑)
その後、マスタークラスで同じクラスになり、切磋琢磨してきました。
彼女は明るくて人柄が良く、音楽に関しても素晴らしい才能を持っていて、人としても歌手としても、とても素敵で魅力的な方です。
今回またご一緒できて、嬉しいです!

長田: いつも呼んでいる名前で呼ばせていただきますが、みっこちゃんは本〜当にしっかり者なんです!みっこちゃんはクラスではインペクといってクラスをまとめ役をされていたのですが、そのくらいリーダーシップがある方です。
観察力や洞察力に優れているだけでなく、相手への思いやりや気遣いも忘れないし、どんなことにも感情的にならないで冷静に対応出来るんです。とにかく頑張り屋さんなので、ちゃんと休んでいるかなってたまに心配になることもあります(笑)
私にない部分をたくさん持っていて、とっても尊敬出来る女性です。

――二期会の研修所同期ならではの絆が伝わってきます。それでは、最後に本番への意気込みを。

和田: 二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『セルセ』で二期会デビューが出来ることを、とても嬉しく思います。
ひたすらにアマストレと向き合い、フレッシュでエネルギッシュな『セルセ』をお届けできるよう、精進して参ります!

長田: 『セルセ』の登場人物は、演じる私たちと等身大の若者たちです。まだまだ未熟な私たちですが、若さを味方にして、バロックオペラの息吹きを現代に伝えられたら、と思います。すばらしい音楽と演出を皆様にお楽しみいただけるよう精一杯頑張ります!

和田・長田: たくさんのお客様のご来場、お待ちしております!

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▼『セルセ』公演情報ページはこちら
二期会創立70周年記念公演 二期会ニューウェーブ・オペラ劇場2021年5月公演 G.F.ヘンデル『セルセ』 - 東京二期会

2021年5月22日(土)17:00、23日(日)14:00 めぐろパーシモンホール 大ホール
指揮:鈴木秀美/演出:中村 蓉/管弦楽:ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ

●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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