【インタビュー】11月20日(金) 静岡音楽館AOI 「望月哲也 テノール・リサイタル ~オペラ・アリアの夕べ~」

オペラの主要役やコンサートのソリストをはじめ、大人気の男性ユニットIL DEVU(イル・デーブ)と多彩な活躍をみせる、テノール望月哲也。
今月は、日生劇場のNISSAY OPERA 2015『ドン・ジョヴァンニ』ドン・オッターヴィオでオペラに出演、その5日後となる11月20日(金)には、静岡音楽館AOIにおいてソロ・リサイタルに出演致します。
静岡で開催されるリサイタルでは、モーツァルトからヴァーグナーまでオペラ・アリアを中心とした意欲的なプログラムをお届け致します。
今回のソロ・リサイタルに向けて、望月は静岡音楽館AOIよりインタビューを受け、同館の機関誌「AOI通信」最新79号に掲載されました。
今回は、こちらにもその内容をご紹介させていただきます!
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201511_mochizuki_tetsuya.jpg ――今回のコンサートの聴きどころについておはなしいただけますか?
オペラ・アリアを中心にした、かなり自分としてもチャレンジな選曲です。前後半とも、最初にモーツァルトを歌います。これは「モーツァルトから全てが始まった」という僕のモットーというか、考えに基づいています。モーツァルトを歌えるようにならなければ、他の作品には辿り着けない、という考えからです。そして前半はベルカントの時代の作曲家の作品と、私が最も愛するイタリア・オペラの作曲家、プッチーニの作品を選びました。後半はフランスとドイツのオペラ・アリアを。近年取り組んでいるヴァーグナーの作品では2013年に歌った《ヴァルキューレ》のジークムントと、来年新国立劇場でカヴァーとして取り組む《ローエングリン》の題名役のアリアを歌います。
――プログラムノートの対訳についても、お願いをいたしましたが、歌詞を訳すときに意識されていることはありますか?
普段、リート(歌曲)の演奏会では対訳を自らやるようにしています。これはやはり自分の理解を高めるため。そして自分の歌っている内容を、自分の言葉として聴衆に伝えるために、言葉をかなり選んでいます。自分が読んで分からない言葉は使わないようにしています。

――文化庁派遣芸術家在外研修員としてウィーンに留学されていましたが、ウィーンでの生活で特に印象に残っていることを教えてください。
やはり「音楽の都」ということで、街中に音楽が溢れている。劇場に行けば毎晩世界レヴェルの歌手を聴ける。そして教会ではモーツァルトやハイドンのミサ曲を聴く事が出来る。本当に幸せになれる街だと思います。また個人的にはビールが美味しい街でもあるので、何軒かお気に入りの店に通って飲んだりするのも楽しかった思い出です。
――2007年に87歳で亡くなった国際的なテノール歌手、エルンスト・ヘフリガー氏の最晩年の愛弟子だとのことで、ヘフリガー氏との思い出を教えてください。
先生には発声云々ではなく、声楽家としての精神を学んだように思います。音楽を伝える、言葉を伝えるということを本当に大事にしておられ、「綺麗な声を出すだけが表現ではない」と仰っていました。1回レッスンに行くと、大体2時間半くらいは歌いました。先生のもとでシューベルトのリートやバッハのエヴァンゲリスト(福音史家)を学びたかったのですが、「君はオペラをしっかりやりなさい」と言われました(笑)。でもそのお蔭でそれまでに取り組まなかったドイツ・オペラやフランス・オペラの勉強を沢山させていただきました。
――これまでに転機となった作品やコンサートはございますか?
近年では前出しました2013年のびわ湖ホール・神奈川県民ホール共催のヴァーグナー《ヴァルキューレ》。初めてヴァーグナーの主役級の役柄に取り組む事になり、周りからはかなり心配されたのですが、自分は全く心配がなかった。そしてヴァーグナーのドラマ表現に取り組むにつれて、今まで感じた事のないような高揚感を覚えて。「あーこういうのがヴァーグナーにハマってしまうことなのかな?」って思いました。ヴァルキューレの第1幕が終わった瞬間、舞台で叫んだ気がします(笑)。
――今後、取り組んでいきたいと思われていることがあれば教えてください。
この先のプロジェクトはあまり多くは語れませんが、今後はより一層歌曲のジャンルをやってみたいな、と考えています。
シューベルトの3大歌曲集のうち、まだ《美しき水車小屋の娘》しか取り組んでいないので、残りの《冬の旅》《白鳥の歌》も是非やってみたい。
オペラでは、若いころは《魔笛》のタミーノを筆頭に王子様とか、割と性格的に薄い役柄を歌う事が多かったので、ちょっと癖のあるような役に取り組んでみたいな、って思っています。今年の6月にハイライトでしたが《カルメン》のホセ役に初めて取り組みましたが、ボロ雑巾のように扱われる男を演じたのはちょっと快感でした(笑)。
――学生の頃は野球少年だったとお伺いいたしましたが、いつから声楽を始められたのでしょうか。また、声楽を始めたきっかけについても教えてください。
音楽に興味をもったのは、中学生のときに助っ人として参加したNHKの合唱コンクール。思春期に歌うのが恥ずかしい、って思う事があると思うのですが私はそういうのがなかったです。上手くはなかったと思いますが。で、地元の合唱祭みたいなものに参加した時に同じステージに上がっていたのが、都立府中西高校の合唱部。全国レヴェルの合唱を生で聴いて、「これをやりたい!」って思ったのがきっかけです。高校の合唱部に入って、合唱部の伝統行事である「独唱会」でソロの発表会があり、何にもわからず先輩がこれを歌え!と渡された曲が《ドン・ジョヴァンニ》のオッターヴィオのアリア。今や私のレパートリーであるこの曲に15歳で取り組んでいたんですね。勿論、イタリア語なんて分かりませんから、カナをふって。その時にいろんなオペラのCDを聴いて、衝撃を受けたのがオペラへの興味の始まりだと思います。
――ソロだけでなく、IL DEVU(イル・デーヴ)のメンバーとしてもご活躍をされておりますが、ユニット結成の秘話などを教えていただけないでしょうか?
私は「合唱オタク」だったのです。で、藝大に入ってからもしばらくアマチュアの男声合唱団に入って歌っていました。混声合唱よりも男声合唱が好きで、ずーっと今でも歌いたいと思っています。
そんな時に同級生である大槻くんが声をかけてくれました。メンバーは高校の後輩である青山くん、そしてオペラやコンサートで何度も共演の経験のある山下さん。このメンバーならいいものが生み出せるのではないか、と確信しました。
都市伝説的にいろいろ伝わっていますが、90キロを割ったら強制脱退!というのは、誰もその見込みがありません。
いつの日か、IL DEVUでAOIに来れたらいいですね!!よろしくお願い致します。
――最後にコンサートに向けて一言お願いします。
この素晴らしいホールでオペラを中心としたコンサートを行えること、本当に幸せです。
皆さんにお会いできるのを楽しみにしております。
どうぞご期待ください!!
▼こちらのインタビューが掲載された「AOI通信」最新号のPDFはこちら
AOI通信 - 静岡音楽館AOI
(ページ内のNo.79 10月発行「インタビュー:望月哲也」をクリックしてください)

■■■ 公演情報 ■■■
望月哲也 テノール・リサイタル
~オペラ・アリアの夕べ~

日時:2015年11月20日(金) 19:00開演(18:30開場)
会場:静岡音楽館AOI
料金:全指定¥3,000
   (静岡音楽館倶楽部会員¥2,700、22歳以下¥1,000)
出演:望月哲也(テノール)、多田聡子(ピアノ)
予定プログラム:
 W.A.モーツァルト:歌劇≪コシ・ファン・トゥッテ≫K.588 より 〈恋の息吹は〉
 V.ベッリーニ:〈マリンコニーア〉〈お行き、幸せなバラよ〉〈喜ばせてあげて〉(6つのアリエッタより)
 G.ロッシーニ:〈バッカス祭り〉〈亡命者〉〈踊り〉(《音楽の夜会》より)
 G.ドニゼッティ:歌劇《愛の妙薬》より〈なんと君は美しいんだ〉
 G.プッチーニ:歌劇《トスカ》より〈妙なる調和〉〈星はきらめき〉
 G.プッチーニ:歌劇《マノン・レスコー》より〈第3幕への間奏曲〉(ピアノ・ソロ)
 W.A.モーツァルト:歌劇《宮殿からの逃走》K.384 より 〈コンスタンツェよ!また君に逢えるとは!〉
 C.グノー:歌劇《ロメオとジュリエット》より〈太陽よ、昇れ!〉
 C.ビゼー:歌劇《カルメン》より〈あなたが投げたこの花は〉(花の歌)
 C.ビゼー:歌劇《カルメン》より〈第3幕への前奏曲〉(ピアノ・ソロ)
 R.ヴァーグナー:楽劇《ヴァルキューレ》より〈冬の嵐は遠く過ぎ去り〉
 R.ヴァーグナー:楽劇《ローエングリン》より〈はるかな国に〉(名乗りの歌)
▼公演詳細・チケット情報はこちらより
望月哲也 テノール・リサイタル ~オペラ・アリアの夕べ~ - 静岡音楽館AOI

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