歌に生きて、ソプラノ嶺 貞子 ~歴史的演奏会がCDに

長く、イタリア歌曲の第一人者として、輝かしい活動を行ってきたソプラノ嶺 貞子。
1970年よりイタリア、西ドイツ、およびイギリスに留学、アカデミア・キジアーナ歌曲コース修了。
帰国後、師であるカンポガッリアーニ、ファヴァレット、ピュイグ・ロジェと共に演奏会を行い、最高の評価を受けました。その貴重な音源がこのほどCDとして、リリースされました。

201502_mine_sadako_cd1.jpg エットレ・カンポガッリアーニ氏との共演による
「幻の城」 Castello in Aria
piano:Ettre Campogalliani
収録:1972年6月2日 虎ノ門ホール
(帰国記念 嶺 貞子 ソプラノ独唱会より)
Fontec FOCD9607

「カンポガッリアーニ先生は、もっともイタリア的なもの、ゆったりしたピアノをお弾きになった。当時、先生はマントヴァに住んでいらして、私はミラノからレッスンに通いました」。
カンポガッリアーニ氏は、ミラノのヴェルディ音楽院で教え、スカラ座においてテバルディ、ミレッラ・フレーニ、コッソット、パヴァロッティ等世界的名歌手を育てた人としても知られています。
嶺について「歌に対する彼女の厳しい心構えは朗々たる表現をもって、的確な芸術の要求を確実に満たしてゆく。」と評しています。

201502_mine_sadako_cd2.jpg ジョルジョ・ファヴァレット氏との共演による
「アリアンナの嘆き」 Lamento d'Arianna
piano:Giorjio Favaretto
Fontec FOCD9629
収録:1973年12月2日 ヤマハホール
(嶺 貞子 独唱会より)

「ファヴァレット先生は、シュワルツコップ、テバルディ、モッフォ、ディースカウら一流の歌手や器楽家と共演していて、ジェラルド・ムーアに並ぶといわれた人。歌曲解釈の権威ともいわれました。」惜しくも1986年に他界しましたが、早くから嶺の才能と音楽への情熱を高く評価し、1973年に来日演奏会が実現しました。

201502_mine_sadako_cd3.jpg ピュイグ・ロジェ女史との共演による
「舞踏への誘い」 Invito alla danza
piano:Henriette Puig-Roget
Fontec FOCD9595
収録:1983年11月7日 イイノホール
(第138回毎日ゾリステン 嶺 貞子ソプラノリサイタルより)

このリサイタルは毎日新聞音楽週評で「至芸・・・」と絶賛されました(評者、中村洪介)。
このとき、嶺が取り上げたスペインの作曲家ファリャのフランス語の歌曲「三つのメロディ」は日本初演。今でこそ、ファリャはよく演奏されますが、当時としてはとても新鮮だったに違いなく、嶺の果敢な勉強ぶりがうかがえます。ロジェのファリャのピアノ独奏も収録。
ロジェのチェンバロ・ピアノによる「昭和60年度文化庁芸術祭賞受賞記念コンサート」から、CD「A.スカルラッティ/アリア集」(Fontec FOCD9358)がリリースされており、こちらはレコード芸術誌特選盤(朝日新聞推薦)を受賞しています。
また今春には、「嶺 貞子モーツァルト・アリア集」(古典音楽協会室内合奏団、指揮:三瓶十郎)もFontecからリリースを予定しています。
詩人、作曲家、イタリアの文化を深く研究し、小鳥のような自由さで嶺 貞子が歌う音楽のあたたかさ、喜び。歌曲のピアノ演奏を志す若い人にもぜひ聴いていただきたいと思います。
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