ヨカナーンの魅力

こんにちは。diamondです☆
サロメ’といえば男を破滅させる宿命の女、ファム・ファタールとして妖しい魅力を放っていますが、今日はhomme fatal オム・ファタール、サロメの運命の男として登場するヨカナーン(洗礼者ヨハネ)をクローズアップしてみましょう。
古代パレスチナの領主ヘロデは、異母兄弟の妻でサロメの母であるヘロディアスの魅力に負け、彼女を妻にします。
そうした不道徳を批判する洗礼者ヨハネを放っておけず、ヘロデはヨカナーンを捕らえます。性の対象として自分をも色眼鏡で見るような男たち、退廃した世界に暮らしていたサロメは、今まで出会ったことのなかった精神に触れ深く動揺し、オペラ『サロメ』の中で、ヨカナーンは物語の求心力となってゆくのです。

それでは、われらがヨカナーン、大沼徹と友清崇をご紹介致しましょう。
2人とも2010年9月に新国立劇場で上演した東京二期会『魔笛』でパパゲーノに扮した逸材です。今回も立て続けでの主役への登場に期待が高まりますね。
★22日に出演の大沼徹はデビューして数年ですが、群を抜く大型新人としてめきめきと頭角を現しており、堂に入った豊麗な美声と存在感が魅力です。
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2010年『オテロ』イアーゴ (c)三枝近志
 
09年に『ウリッセの帰還』タイトルロールでのデビューで一躍脚光を浴び、翌年には『オテロ』でのイアーゴでシャープな切れ味を見せたかと思えば、続くパパゲーノでは自然児パパゲーノを演じそのスケールの大きさでも絶賛を浴びました。
2002年から3年にかけてベルリンで研鑽を積み音楽の基礎を築いた大沼ですが、昨年は五島文化財団の助成で再びマイセンに留学し、ヨカナーンへの理解を深めてきました。
今回は一時帰国しての出演であり、その成果が今、発揮されます。
「マイセンには、ベルリン時代からお世話になっている私の師、クレッチュマン先生がお住まいなのです。旧東ドイツのメクレンブルク州立歌劇場のインテンダントをしていた方で奥様は演出家。そこで徹底的に音楽やディクション、そして作品の内容や背景について2ヶ月間、出来る限りのことを学んできました。
洗礼者ヨハネを深く知るために、旧約聖書、黙示録、預言書を読んで、自分の内にリアルな人物像を創りたいと、パパゲーノを終えてすぐに日本を発ちました。
マイセンから帰国しての初オペラ、このような役にめぐりあえて感慨も一入です。」(大沼談)
そう語る大沼の表情と演奏には、やれるだけの準備はしたという大きな手応えとこの役に対する確信のようなものが感じられます。身長184センチという恵まれた舞台姿とも相まって、今回のヨカナーンの演奏には世俗を超越したようなカリスマ性さえ宿っているかのようです。

★一方、23日に登場の友清崇は、2009年に二期会でビューした際のリヒャルト・シュトラウスの『カプリッチョ』詩人オリヴィエでのノーブルでスタイリッシュな歌唱が記憶に新しい俊英。昨年秋のパパゲーノではお茶目でとぼけた表情のパパゲーノを好演し、テレビ放送でも絶賛を浴びました。
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2010年『魔笛』パパゲーノ (c)三枝近志
普段は二枚目のイメージだけに、その徹底した役創りの緻密さや急所を押さえた絶妙な躍動感に驚かされたのは私だけではなかったと思います。
声楽家の家庭に生まれ、ウィーンにも長く留学していた友清。リヒャルト・シュトラウスでデビューし今回もまたリヒャルト・シュトラウス『サロメ』の大役を射止めました。
「パパゲーノではまず笑顔を第一に喜怒哀楽を思い切り表現してみました。ヨカナーンには笑顔は少ないですね。
2005年から2007年の間にウィーン国立歌劇場でも『サロメ』は5回以上観ました。R.シュトラウスの音楽は芸術の都‘ウィーン’という地があってこそ生まれたといっても過言ではないと思います。
そしてヨカナーンはバリトンにとって羨望の役であり私にとって憧れの役でした。
私はR.シュトラウス『ばらの騎士』の音楽の官能的な美しさに惹かれますし、『アラベラ』や『カプリッチョ』も大好きです。
けれどそれらの作品の中心にあるのは女性であって、バリトンに真の主役といえるような役柄はあまりないのです。
だからこそヨカナーンの存在に強く惹かれるのかもしれません。
このオペラのテーマには永遠なるもの「死と愛」が色濃く反映しています。どちらが偉大かですって? それは‘愛’
今回の演出ではヨカナーンは死にません。そのことによって答えは明確なのではないでしょうか」(友清談)

本当にどちらも聴き逃せません♪

★☆★ メディア掲載情報 ☆★☆
☆こちらでも東京二期会『サロメ』をご紹介いただきました!
第150回クラシック・コンシェルジェ - スポニチ Sponichi Annex 芸能
オペラ『サロメ』のアフタートークを「USTREAM」で生中継 - Web Magazine OPENERS

         

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