総合芸術としてのオペラの真髄 リヒャルト・シュトラウスが描く極上の美!!
オペラ『カプリッチョ』~明日20日から日生劇場にて

1942年、リヒャルト・シュトラウスが80歳の時に作曲していた最後のオペラ『カプリッチョ』にジョエル・ローウェルスが鮮やかに生命を吹き込みました。
その根底に流れているものは「愛」

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若き未亡人で伯爵令嬢のマドレーヌに心奪われる2人の芸術家。激しさを増す愛の告白。勝者は美しい瞳のフラマンか情熱的なオリヴィエか。音楽なのか言葉なのか・・
そんな一日のともすればたわいない上流階級の優雅な恋の話として終始してしまう危険もある作品の時間軸をローウェルスは変え、1942年のパリにシフトすることで、歴史的で普遍的なものにすることに成功しています。
今回、フラマンとオリヴィエはユダヤ人という設定です。サロンで繰り広げられる美しい場面と重唱の数々。そしてうっとりするようなバレエシーンなど、極上の色彩と美しい場面展開もさることながら、突然二人が捕らえられ、それを劇場支配人ラ・ロッシュが命を賭けて逃す息を呑む緊迫感、さらに終幕を回想シーンとして長い「時の移ろい」を示すなど、スケールの大きな舞台に仕上げています。
そして、作品が造られた時代の歴史の傷跡とそれでも失われることのない愛や友情というものが臨場感を持って迫ってくるのです。
「ジョエルさんの演出では、オーバーアクションになると止められる。カメラで撮っているような演技が求められます。まるで全てのシーンが映画のワンシーンを観ているかのように途切れることなく進んでゆく。終幕はマドレーヌの回想になっているのですが、本当にそのシーンを見ているだけでも毎回涙が流れてきます。この素晴しい作品に参加できたことを心から感謝しています。」(成田博之談:マドレーヌの兄 伯爵役)
「R.シュトラウスが、ナチスの台頭したあの時代に有名な作曲家であったことは非常に困難を伴ったことと思います。その人生についても様々な議論がなされています。シュトラウスが人生の終盤におそらく芸術で答えを出そうと、作品の中に仕込んだものを見落とさないこと。芸術には芸術で答えを出す。それが演出家の使命だと思っています」(ローウェルス談)
ヒッチコックさながら、ムッシュ・トープがリヒャルト・シュトラウス自身の姿で現れる場面も見逃せません。
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左:(演出)ジョエル・ローウェルス
右:(指揮)沼尻竜典
東京シティフィルの精鋭とリヒャルト・シュトラウスの魅力を知り尽くした沼尻竜典のタクトも冴え渡ります。
一瞬の隙もない素晴らしい音楽をスコアから読みとり三次元のものとする。
音楽というものの素晴らしさをじかに感じ現代に生きる芸術家たちの‘職人芸の極み’を目の当たりにすることが出来る貴重な瞬間となることでしょう。
会場は銀座や有楽町にもほど近い、日生劇場です。
1300という席数は、きめ細かな所作まで見逃すことのない、オペラを堪能するには最適な空間です。劇場へ至る足元には大理石モザイクが続き、玄関ホール(ピロティ)ではギリシア的な柱、白大理石の床、大きなアルミグリル照明等が目を楽しませ、螺旋階段には赤い絨毯が敷かれ豪華な気分にしてくれます。芸術の秋、ぜひオペラの魅力を再発見してください。一同、ご来場をお待ち申し上げております。

MEMO
『カプリッチョ』はイタリア語で「気まぐれな」という意味です。
リヒャルト・シュトラウスはなぜこのタイトルをつけたとお思いですか?
▼MSN産経ニュースに紹介記事が掲載されています。
オペラ「カプリッチョ」 優美な音楽に酔い、究極の命題と向き合う - MSN産経ニュース|エンタメ
▼公演詳細はこちら。
2009年11月公演R.シュトラウス『カプリッチョ』 − 東京二期会オペラ劇場

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