イタリアの息吹を感じさせる誠実な演唱で将来を期待させるテナー
東京都出身。東京芸術大学卒業。同大学院オペラ科修士課程修了。同大学院オペラ科博士課程を修了し、博士号(音楽)を取得。第74回日本音楽コンクール声楽部門(オペラ)第1位。松下賞。このコンクールは、若手音楽家の登竜門として日本で最も古く権威のあるコンクールで、テノールの受賞は大変珍しく26年ぶりの快挙となった。平成20年度五島記念文化賞オペラ新人賞受賞、ニューヨークとミラノで研鑽を積み2010年6月帰国。
オペラでは『コシ・ファン・トゥッテ』フェランド、『ドン・ジョヴァンニ』ドン・オッターヴィオ、『魔笛』タミーノ、『カルメン』ホセ、『ラ・ボエーム』ロドルフォ、『トスカ』カヴァラドッシ、『椿姫』アルフレード、『2人のフォスカリ』ヤーコポ、『カヴァレリア・ルスティカーナ』トゥリッドゥ、『シモン・ボッカネグラ』ガブリエーレ、『イドメネオ』タイトルロールを演じる。1998年ミュンヘンでおこなわれた現代音楽祭にて、細川俊夫作曲、鈴木忠志演出の『リアの物語』に出演。05年日生劇場主催『アラジンと魔法のランプ』のアラジン役、また、08年2月には山田耕筰作曲オペラ『黒船』にて新国立劇場デビューを果たす。2010年3月、アンドレアス・ホモキ演出『ラ・ボエーム』(びわ湖ホール 神奈川県民ホール 東京二期会共催)ロドルフォに出演し注目を浴びた。
コンサートではモーツァルト「戴冠ミサ」「レクイエム」「ハ短調ミサ」、ヘンデル「メサイア」、ベートーベン「交響曲第9番」「合唱幻想曲」、ヴェルディ「レクイエム」ショスタコーヴィッチ「森の歌」、ヤナーチェク「グラゴルミサ」のテノールソロをつとめる。近年オーケストラとの共演も増え、今まで東フィル、日本フィル、読響、東京交響楽団、神奈川フィル、東京ニューシティー、名古屋フィル、アンサンブル金沢、セントラル愛知、浜松フィル、小澤征爾音楽塾オーケストラなどと共演。指揮者では、大野和士、小林研一郎、井上道義、高関健、現田茂夫、大町陽一郎、若杉弘、尾高忠明の各氏と共演。
研究活動として日本の伝統的文化を根本精神においたオペラの創作にも大変力を注いでいる。2002年にはヴェルディのマクベスを、舞方を能役者と日本舞踊の役者に、謡方をオペラの役者に担当させ、1つの役を邦楽の舞と洋楽のオペラの2人によって担当させるという斬新な演出で好評を博し、03年は、マクベス、07年には「王女メデイア」の、企画、演出、歌、台本(日本語)、を手がけ、映像、建築、漆、鍛金、油絵、先端藝術、楽理、邦楽、指揮、打楽器、オペラ等各科の芸大生と共に舞台芸術の新たな可能性を示唆した。
二期会会員
志田雄啓のホームページ
(2010年9月現在)
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