これまでにも、嘉目真木子、山下牧子、望月哲也、大沼 徹など、日本のオペラ界の第一線で活躍する歌手のデビューの場となってきた二期会ニューウェーブ・オペラ劇場。
前回公演2015年『ジューリオ・チェーザレ』でタイトルロールを飾り、翌年東京二期会オペラ劇場『ナクソス島のアリアドネ』作曲家役を好演したメゾソプラノ杉山由紀は、今回も男性役のルッジェーロで主演(20日)します。同役には、まさにこの舞台がデビューとなる花房英里子(19日)。また新しいヒロイン(男性役だからヒーロー?)が誕生するでしょうか。
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――花房さん、二期会デビューおめでとうございます。
花房: ありがとうございます!
花房英里子
――(二人に)ルッジェーロはブラダマンテという婚約者がいながら、魔女アルチーナの誘惑に囚われてしまった青年騎士ですが、演じてきてどのような役でしょうか。
花房: 彼は戦士なのですが、生まれてすぐに『戦いの中で死ぬ』という予言を受け、その運命から逃れるために、島にやってきて……アルチーナに出会うのです。
杉山: アルチーナに魔法をかけられ、アルチーナを愛し、官能的で堕落した日々を送っています。アルチーナが数々の男を好きになり、飽きると魔法を使って動物や岩に変えていく姿を見ているルッジェーロは、自分がアルチーナに一番愛されている、と自信を持っているのです。
しかし、そこにリッチャルド(実は恋人ブラダマンテが男装)が現れ、状況が一変します。彼に嫉妬心を強く感じ、自分も獣に変えられるのではないかと恐れ、苦悩していくことに。
花房: 彼は、戦士としての強さも持ち合わせていますが、同時に快楽への純粋な渇望も抱いていて、色んな意味で男らしい人間だと思います。魔法が解け、愛しいブラダマンテを思い出してからも、どこかでアルチーナを追い求めてしまう、人間らしさを備えています。
杉山由紀
――ルッジェーロのアリアでそれぞれのおすすめを教えてください。
杉山: 第2幕3景の“Mi lusinga il dolce affetto(優しい愛情が私の心を和ませる)”が一番好きです!
魔法によってアルチーナを愛していた時の想いと、本来の恋人ブラダマンテとの想いに悩み歌います。演出家のエヴァさんは、「アルチーナとブラダマンテ、二人の女性を天秤にかけていると思ってもいいのでは?」とおっしゃっていました!
――その曲の好きなところ、お客様に聴いてほしいところは?
杉山: 歌詞の内容は上記の通り、全国の女性を敵に回すような内容ですが、マイナスイオンが出ているんじゃないかと思うほど美しい音楽です。
余すことなく聴いていただきたいです。
――花房さんはいかがでしょうか
花房: 良い曲ばかりで、選ぶのが難しいのですが…私はその後の“Mio bel tesoro(僕の愛しい人よ)”をあげたいと思います。
――どのような内容の歌でしょうか。
花房: アルチーナの魔法が解け、愛するブラダマンテを思い出します。島から逃げるために、 魔法が解けたことを隠しながらアルチーナと再び対峙し、疑われないように愛を語るのです。「僕の愛しい人、僕は愛する人に対して忠実だ」そこに続けてこう呟きます「(だがそれはお前ではない。)」
――その曲の好きなところ、お客様に聴いてほしいところは?
花房: 曲自体は大変シンプルな言葉と音楽で綴られていますが、その影には愛や、疑いや、緊張といった、複雑な感情が渦巻いています。アリア冒頭、ルッジェーロの歌に応えて、オーケストラが同じテーマを奏でる、その優しいが故の切なさを感じていただけると幸いです。
魔法にかかっていたとは言え、深く情を通わせあった相手に偽りの愛を語る。けれどそれは、婚約者に対する愛の現れでもあります。これらの愛は果たして真実の愛なのか、それとも義務なのか?このオペラ全体のテーマに繋がる、人間の心情の複雑さを表現するのが、大変難しいです。
――『アルチーナ』を初めて鑑賞される方にむけて
杉山: 魔女・魔法といったキーワードが出てくるので、ファンタジーの世界が広がるのかと思いきや、様々な感情が渦巻く、非常に人間くさいオペラとなっております。
それぞれキャラクターの心境が複雑に要り組む作品ですが、自分が好きなキャラクターを見つけて、心の動きを一緒に追って行くのも面白いと思います!
そして、ちょっとドSな色気が漂う、渡邊・アルチーナ・仁美が見どころです!ルッジェーロ杉山との濃厚なシーンもございますので、お見逃しなく!(笑)
――本番への意気込みを。
花房: 人間とは、強く、そして弱い存在です。欲望、愛、情、義務、理性など、複雑な想いを抱えながらも、人と関わり合い、生きています。『アルチーナ』に登場する人物達は皆、何を思い、そしてどの様に変わっていくのか?そんな人間模様の移り変わりを楽しんでいただけるようにがんばります。
ご来場をお待ちしております!
杉山: ルッジェーロは、私がズボン役に憧れるきっかけとなった役で、この役を演じることを一番の目標にしてきました。あまり上演されることがないこのオペラで、しかも憧れていた役で出演させていただけることが本当に嬉しいです。
鈴木秀美マエストロとニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウの皆さんとキャストで創り上げるバロック音楽をお楽しみいただければ幸いです。
個性がぶつかり合う、とても刺激的なオペラとなると確信しております!ご期待ください!
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▼『アルチーナ』公演情報ページはこちら
・二期会ニューウェーブ・オペラ劇場 G.F.ヘンデル『アルチーナ』 - 東京二期会
指揮:鈴木秀美、演出:エヴァ・ブッフマン、管弦楽:ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ(NBO)
2018年5月19日(土)17時、20日(日)14時 めぐろパーシモンホール大ホール
●お問合せ・ご予約:二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!! |
明日のスター、ここに羽ばたく「二期会新進声楽家の夕べ」。
今春、二期会オペラ研修所を優秀な成績で修了した期待の新入会員20名が一堂に会し、二期会入会後お披露目となるデビューコンサート。
出演者達の最終のピアノ合わせが日々行われています。
☆出演者メッセージ より
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市川浩平 (いちかわ こうへい) テノール
今後巡り合う役は真摯に積極的かつ慎重に取り組んでいきたいです。『ドン・ジョヴァンニ』のオッターヴィオ、『愛の妙薬』のネモリーノは私の声と性格にドンピシャで、いつかアタリ役と言われるようになりたいですね。『愛の妙薬』の重唱を歌えるのは本当に幸せです。 |
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郷家暁子 (ごうけ あきこ) メゾソプラノ
元々は、宝塚を目指していました。とにかく歌うこと、演じることが大好きです。地に近い(!?)妖艶な役から、妖精、男前まで何でも魅せます。オペラを身近に感じ、また観たい・聴きたいと思って頂けるような、観客を魅了するオペラ歌手になりたいと思っています。 |
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チラシ(PDFファイル) |
■■■ 公演情報 ■■■
二期会オペラ研修所 第60期修了生・成績優秀者による
二期会新進声楽家の夕べ
日時:2017年9月7日(木) 18:30開演(18:00開場)
会場:東京文化会館 小ホール(JR上野駅公園口より徒歩1分)
料金:全席自由 3,000円 |
出演者と予定プログラム:
<第1部>
村山 舞 ソプラノ グノー 『ロメオとジュリエット』より “私は夢に生きたい”
菊地琴絵 ソプラノ プッチーニ 『ラ・ボエーム』より “私の名はミミ”
髙橋広奈 ソプラノ ドニゼッティ 『連隊の娘』より “フランスに栄光あれ”
島内菜々子 ソプラノ ダルゴムイシスキー 『ルサルカ』より “私は水に身を投じたとき以来”
阿部祥子 ソプラノ マスネ 『マノン』より “わたしはまだぼんやりとして”
中野瑠璃子 ソプラノ モーツァルト 『魔笛』より “若者よ、恐れるな”
吉田桃子 ソプラノ ヴェルディ 『リゴレット』より “慕わしい人の名は”
田浦彩夏 ソプラノ グノー 『ロメオとジュリエット』より “愛よ、私の勇気を奮い立たせて”
相山潤平 テノール ヴェルディ 『仮面舞踏会』より “永久に君を失えば”
寺西一真 バリトン モーツァルト 『ドン・ジョヴァンニ』より “カタログの歌”
市川浩平 テノール・的場正剛 バリトン
ドニゼッティ『愛の妙薬』より ネモリーノとベルコーレ“女って本当におかしな動物だ”
<第2部>
郷家暁子 メゾソプラノ・髙品綾野 ソプラノ
R.シュトラウス 『ばらの騎士』より オクタヴィアンとゾフィー“ばらの献呈”
矢野敦子 ソプラノ ワーグナー 『神々の黄昏』より “ブリュンヒルデの自己犠牲”
内田稚菜 ソプラノ プッチーニ 『蝶々夫人』より “ある晴れた日に”
吉田愼知子 ソプラノ ドニゼッティ 『ロベルト・デヴリュー』より
“公爵夫人、熱心な嘆願を~彼の愛が私を幸せにした”
花房英里子 メゾソプラノ ビゼー 『カルメン』より “セギディーリャ”
中川香里 メゾソプラノ チャイコフスキー 『オルレアンの少女』より “さあ、時はきた!”
髙品綾野 ソプラノ マスネ 『マノン』より “わたしが女王のように街を歩くと”
斉藤真歩 ソプラノ グノー 『ファウスト』より “宝石の歌”
的場正剛 バリトン ドニゼッティ 『ラ・ファヴォリータ』より “来たれ、レオノーラ”
郷家暁子 メゾソプラノ R.シュトラウス 『ナクソス島のアリアドネ』より “先生、お許しください”
市川浩平 テノール ドニゼッティ 『ケニルワース城のエリザベッタ』より
“なんという声…あぁ、私は純真な花嫁を見る”
▼ご予約・お問合せは
・二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金10:00~18:00/土10:00~15:00/日・祝 休)
▼公演情報ページはこちら
・二期会新進声楽家の夕べ|コンサートラインアップ - 東京二期会
◆新進声楽家のメディア掲載情報◆
▼「ハンナ」9月号“声楽家たちはいま”に市川浩平の記事が掲載されました
・月刊 ハンナ - ハンナ