ミキエレットの演出コンセプト~第2幕~
大切なのは、自分たちの人間性、人間としての真実を伝えること

モーツァルトの『イドメネオ』から、圧倒的なドラマを引き出すダミアーノ・ミキエレット。その演出コンセプトを、アン・デア・ウィーン劇場公演の舞台写真とともにご紹介いたします。
今回は、第2幕です。

◆ 第2幕 ◆
「あわれな父親」
201408_idomeneo_09.jpgイドメネオとアルバーチェ
イドメネオは、海神ネプチューンとの誓約を忠臣アルバーチェだけに打ち明ける
「王の命と引きかえに、最初に出会った人間を生贄に捧げなければならない」「そして、その人間は…息子、イダマンテ」

ミキエレット演出の舞台設定
「この舞台は、ギリシア神話ではなく、置きかえられた時代背景もありません。この演出では〈作品そのもの〉を描いていきます。つまり、目の前にある〈この場所〉がすべてなのです」
(ここで、キャストから質問が)
――神話でないとしたら、王や王子、その家来とかの身分や、クレタ島やトロイアの地名は、どう考えて演じればよいのでしょうか?
「言葉がすべてを説明できるわけではありません。
ここに書かれている身分や階級は必要十分なものではありません。ただ、時代や場所をこえた人間どうしの関係や行動を説明し設定するのに役立つ、ということは言えるでしょう。
大切なのは、自分たちの人間性、人間としての真実をそこに入れるということです」

「未来への希望」
201408_idomeneo_10.jpgイリアとイドメネオ
“私は父も祖国も安らぎも失いましたが、あなたは私のお父様です”
イリアの優しい言葉にとまどうイドメネオ

「トロイア人/ギリシア人といった区別も、イリアの置かれた状況を説明するのには必要でしょう。合唱ははじめトロイア人としてあらわれますが、イダマンテが「自由を与える」と言ってからはその区別もなくなります」

「誰の罪なのか」
ネプチューンの怒りに恐れおののくイドメネオと民衆
201408_idomeneo_11.jpg“新たな恐怖が…神々の怒りが海を荒れさせた”

201408_idomeneo_12.jpg“怪物から走って逃げよう。私たちは餌食になる”

201408_idomeneo_13.jpg
Copyright: Werner Kmetitsch / www.photowerk.at
「作品の中で、Mostro、つまり怪獣が出てくるが、これは人々の〈恐怖〉のことだと思ってください。イドメネオからイダマンテへ。権力や生命を次世代に渡すということには〈恐怖〉が伴うものであり、そして、それは必要なことなのです」
~ 第2幕 終 ~
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2014年9月公演『イドメネオ』 - 東京二期会オペラ劇場
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二期会チケットセンター TEL.03-3796-1831

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