続いて第3回は、ヴォルフラム役のバリトン大沼 徹の登場です。
これまで数多くのオペラに出演してきた大沼。『トスカ』スカルピア、『オテロ』イアーゴとヴォルフラムを比べると…自分に似ているのは、果たして!?
飯守泰次郎指揮『さまよえるオランダ人』で初めてワーグナー作品に出演。以来、ワーグナー作品でもバリトンの大役を重ねてきましたが、今回の稽古場でヴォルフラムを演じながら、ワーグナー作品に通底するものを感じていると語ります。
東京二期会オペラ劇場『タンホイザー』ヴォルフラム役の大沼 徹です。
ヴォルフラムは、友人であるタンホイザーと同じ女性を愛してしまっている。有り体にいえば、三角関係ということになります。
私もこれまでに『トスカ』スカルピアや、『オテロ』イアーゴなどやらせていただきました。彼らの場合は、力ずくで、あるいは頭脳を使って、女性を手に入れようとしたり、相手を貶めようとしたりするのですけれども、このヴォルフラムという男は冷静で、一歩引いていて、エリーザベトに対する気持ちはありつつも、友情も大事にしていて、最終的には自分が身を引く。ちょっと大人な、僕のような男でございます(笑)
最初に歌わせていただいたワーグナーの役は、飯守泰次郎先生指揮の『さまよえるオランダ人』のオランダ人でした。そこから『パルジファル』のアムフォルタスとか、『トリスタンとイゾルデ』のクルヴェナールといった役もやらせていただきました。
ヴォルフラムは後半になってくると、どこかちょっと男くさい、クルヴェナールに似たようなところがあったりします。ワーグナーは、オペラによって全然違うんですけれども、バリトンの役には何か通底するようなものがあるのかもしれませんね。それは今回稽古場に入って気が付いたことです。たとえば、クルヴェナールは武人でありますし、トリスタンの家来として、また後見人として、ずっと彼に忠誠を尽くし最終的には命を散らす。
一方、ヴォルフラムはそこまでの激烈性はないのですけれども、恋敵であるが友人でもあるタンホイザーを救おうとするんですね。自分のエリーザベトへの気持ちは表に出さずに、彼と彼女の救済を志すわけです。
そういったところに、ワーグナーが描いたバリトン像というのでしょうか、自己犠牲という重要なモチーフが彼の中にありますけれども、そういったところを感じることが最近多いですね。
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▼『タンホイザー』公演情報ページはこちら
・フランス国立ラン歌劇場との提携公演 2021年2月公演 R.ワーグナー『タンホイザー』 - 東京二期会オペラ劇場
2021年2月17日(水)17:00※、18日(木)14:00、20日(土)14:00※、21日(日)14:00 東京文化会館 大ホール
(※…ヴォルフラム大沼 徹 出演日)
●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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【チケット追加発売のご案内】 新型コロナウイルス感染症対策の為、発売当初より一部座席を販売停止しておりましたが、その一部(1階1〜2列目を除く)を順次開放し、12月19日(土)より追加販売致しております。尚、追加販売より座席間隔を空けない配席での販売となりますので何卒ご了承ください。 |