【レビュー】ソプラノ佐々木典子とテノール望月哲也がリヒャルト・シュトラウスを歌う

優れたピアニストで、また共演者として歌い手から厚い信頼を集める河原忠之氏が紀尾井ホールで展開する、リサイタルシリーズ2011~歌霊(うたたま)~。
第2回は「リヒャルト・シュトラウス I 」と題し、ソプラノ佐々木典子とテノール望月哲也を迎えて、去る9月4日(日)に開催されました。
会場に表示された字幕(対訳)を担当した三ヶ尻正氏によるプレ・トークでは、R.シュトラウスの作品について、同時代のマーラーやヴォルフとも対比させ、その華麗さや、詞に対する自由な感性について語られました。

今回のプログラムは高声用の作品(ソプラノ・テノール)から、若い時代の作品を中心に構成。一人の作曲家の歌曲を集め、このように生に聴く機会もそう多くないことです。
佐々木は、これまでに『ばらの騎士』の元帥夫人、『ダフネ』タイトルロール、『カプリッチョ』伯爵令嬢マドレーヌを演じいずれも忘れ難い存在感を示しました。またオペレッタ『こうもり』で見せるロザリンデの姿は、若い時に、ウィーンとその街に息づく人々に魅惑された佐々木そのものの魅力です。彼女のR.シュトラウスは、優美にして、野性的ともいえる生命力ものぞかせる。詩と音の比類ない表現力、自在さに客席は次第に引き込まれてしまいます。
また美声と瑞々しい音楽性で次世代を担うテノール、望月哲也もウィーンでさらに磨きこまれた音楽を、溌剌と聴かせました。
深い余韻とともに、日曜日の午後が過ぎていき、再び沈黙へとかえっていくようでした。

河原忠之~歌霊~シリーズ、次回は12月4日(日)14時開演「フランシス・プーランク I 」です。ソプラノ羽根田宏子、メゾソプラノ林 美智子、バリトン村田健司が共演いたします。
▼公演情報はこちらをご覧ください
河原忠之 リサイタルシリーズ2011~歌霊~ 4回シリーズ - ジャパン・アーツ

◆佐々木典子、望月哲也は共にR.シュトラウス歌曲集のCDをリリースしています!
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佐々木典子「R.シュトラウス:歌曲集“至福のうた”」
収録曲:《4つの最後の歌》(1948)、ほか
山田武彦(ピアノ)
WWCC-7627 ¥2,625
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Chorus&Vocal - ナミ・レコード
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望月哲也「ひそやかな誘い ~R. シュトラウス歌曲集~」
収録曲:夜、万霊節、ひそやかな誘い、ほか
河原忠之(ピアノ)
MM-2097 ¥3,060
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新譜 - マイスター・ミュージック

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