この春、イタリア・イゼルニアとフェッラーラで演奏活動をおこなったカウンターテナー彌勒忠史から、イタリア日記がとどきました!
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みろくただし イタリア日記〜(1)
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日本に本拠地を移して以来、大学の夏季・春季休業にあたる時期に海外公演をまとめることが多くなりました。去年の今頃はちょうどスペインで演奏会をしていたように思います。
この3月はイタリア国内で2つのリサイタルを行いました。
ひとつ目の演奏会はモリーゼ州という、たぶん日本人に最もなじみのない州(?)に位置するイゼルニアという街で、二つ目は、私の第2の故郷、フェッラーラで催されました。
プログラムは全て、バルバラ・ストロッツィ(1619-1677)という17世紀イタリアの女性作曲家によるカンタータ&アリア集第6巻から選ばれたものです。この第6作品集は、イタリア国立ボローニャ音楽院図書館内に併設されるボローニャ市立音楽図書博物館所蔵品であり、通奏低音を務めてくれたチェンバロのシルヴィア・ランバルディ教授が見つけてきました。
そして、どうやらこの6巻の収録曲だけでレコーディングされたCDがまだないようなので、私とランバルディ教授で録音することに致しました。レコーディングはこの夏に行われるため、今回の演奏会は、そのプログラムの試演会的意味合いも持っています。
カウンターテナーという商売柄、ユネスコ世界遺産レヴェルの歴史的建造物の中で演奏会をすることが多いのですが、今回のフェッラーラの会場も「ルドヴィーコ・イル・モーロの館」と呼ばれる1500年代の館でした。(つづく)
彌勒忠史(みろく ただし) カウンターテノール◆千葉大学卒業、同大学院修了。東京藝術大学卒業。イタリア政府奨学生として渡伊。ボローニャ市立歌劇場、フェッラーラ市立歌劇場、ルーゴ・ロッシーニ劇場、ヴェローナ・ヌオーヴォ劇場等数多くの歌劇場にてオペラ、コンサートに出演。ボローニャ大学DAMSにて演出学を学んだ後、バロック・オペラを中心に数多くの作品の演出を手がける。国内でも多彩な才能を活かし、バッハ・コレギウム・ジャパン、東京オペラシティ「B→C」に出演、横須賀芸術劇場「オペラ宅配便」シリーズの企画、演出等で好評を博している。2007年フェッラーラ市、県、国立音楽院、文化財保護局及び各種団体より「在日本フェッラーラ・ルネサンス文化大使」の公式タイトルを授与される。CDに「音楽装飾されたマドリガーレ」「シレーヌたちのハーモニー」「イタリア古典歌曲集」、著作に『イタリア貴族養成講座』がある。二期会会員
◆彌勒忠史 今後の出演予定◆
二期会ゴールデンコンサートin津田ホールVol.25「彌勒忠史×アントネッロ」 - 株式会社二期会21
二期会ニューウェーブオペラ劇場『ウリッセの帰還』 - 東京二期会オペラ劇場