「制作現場は超多忙」オペラの制作現場から—その1

二期会ブログに新しいカテゴリーを加えることになりました。
オペラの企画から公演までの舞台裏で進むさまざまなシーンを、折に触れてご紹介していく「オペラの制作現場から」シリーズです。どうかお楽しみに。
さて、この冬の東京二期会の制作部は史上最高ともいえる忙しさです。
オペラの中でも代表的な大作、『ばらの騎士』『ワルキューレ』の稽古が重なったからです。
目の前に迫った『ばらの騎士』はびわ湖ホール、神奈川県民ホールと初めての共同制作。
二期会が制作を担当しており、出演者には関西二期会やびわ湖ホールアンサンブルの歌手達も加わってソリスト22名、合唱48名の総勢70名。
一方、自主公演の『ワルキューレ』は合唱こそないものの、それでも28名のソリストを含む40名近い出演者たち。
まずこのシーズンで欠かせない関心事は健康管理です。これだけ出演者が多いと、いったん誰かが稽古場に風邪を持ち込むとパニック。密室での長時間の稽古で蔓延してしまう恐れが大きいのです。それに、両演目共にドラマ性が高く、演技指導は微に入り細を穿つきめ細かさ。数分間のシーンに何時間もかける演出家のこだわりに、現場は細心の注意を払います。
ただでさえチームワーク維持が難しい制作現場は、張り詰めた緊張が続く厳しさがあってこそ求心力が生まれ、本番での素晴らしい舞台が実現すると全員が信じることができるようになるにつれ、ぐんぐんとテンションが上がっていくのです。
昨年12月から立ち稽古が始まり、演出家のホモキ氏による連日の猛稽古をこなしてきた『ばらの騎士』は、いよいよ今週末にびわ湖ホールで初日を開けます。『ワルキューレ』も年明け早々から演出家のローウェルス氏が来日し、稽古は徐々に演出の全容が見えてきて、まさに佳境に入っています。(常務理事 中山欽吾)

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