2023年09月 アーカイブ

9/30(土)よこすか芸術劇場で開幕!ヴェルディ『ドン・カルロ』~ドン・カルロ役 城 宏憲&エリザベッタ役 木下美穂子インタビュー/横須賀公演当日のごあんない

シュトゥットガルト州立歌劇場との提携公演、〈東京二期会オペラ〉ヴェルディ『ドン・カルロ』。ついに9月30日(土)のよこすか芸術劇場公演から開幕いたします!

本公演の開催を前に、ドン・カルロ役の城 宏憲とエリザベッタ役の木下美穂子にインタビューいたしました。

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202309_jou_hironori.jpg <城 宏憲>

Q1.ドン・カルロとはどのような役、どのような人物でしょうか?

城: 自分で言うのも変ですが、悩める王子様役です(笑)。生まれつき体が弱く、婚約者エリザベッタへの恋に破れてからは精神も衰弱の一途。時に周囲が思いもよらぬ行動力を示したかと思えば、やはり決まって挫折してしまう。親友のロドリーゴに励まされ、何度となく泥沼から這いあがろうとするが…結末は必ず悲劇的な人物として描かれます。

Q2.ご自身の役の見どころ(見せどころ)、聴きどころ(聴かせどころ)をひとつ教えてください。

城: 見どころは、次々と彼に襲いかかる人生の試練そのもの。頑張ってそれを乗り越えようとするのに、幕を追ってどんどん苦悩が増してしまう状況、その表現です。
聴きどころは、基本的に傷つきやすく受動的で繊細な王子の、憂いを秘めた響き。そして、そんな彼が劇的に変化して急に「やる気スイッチ」が入る、周囲を置いてけぼりにして空回りする彼の様子を、しっかりとその魂に寄り添って音楽で伝えれたらと思います。

Q3.『ドン・カルロ』のような歴史に題材を求めたオペラはたくさんありますが、一度でも演じてみたい、歴史上の人物はいますか?もしいれば、その理由や、動機もふくめて教えてください。

城: 最近いつの日か、ファウスト博士を演じてみたいと思っているのですが、物理学者のアインシュタインをモデルにしたらどうなるのかなぁ、と時々妄想しています。人類の科学史を動かすほどの知能を持つ人物にとっての、神や悪魔とは何だったのか。思いをめぐらせてしまいますね。
しかし、やはりフィクションの方が演じやすいと思います。原作のあるものなら、歴史上の人物ではありませんが、天才的な舞台役者でありながら、泥棒を生業とする、怪盗「七色いんこ」。手塚治虫ファンとしては、是非演じてみたいですねぇ。

Q4.最後に、本番にむけての意気込み、メッセージをお願いいたします。

城: ドン・カルロは確かに表題役ですが、単純にこの物語の主人公だと言い切ることができません。なぜなら、父王フィリッポの苦悩、親友ロドリーゴの暗躍、公女エボリの美醜、罪のない母エリザベッタの存在無くしては、タイトルロールとして輝かないからです。ですから、出来うる限り素晴らしい仲間と切磋琢磨しながら舞台を作り上げていきたいと思います。

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202309_kinoshita_mihoko.jpg <木下美穂子>

Q1.エリザベッタとはどのような役、どのような人物でしょうか?

木下: エリザベッタは、時代背景や地位によって、彼女自身の運命を定められてしまった不幸を背負い、その運命をある意味受け入れる女王としての強さをもっていると思います。でも一方やはりカルロへ愛、冷静にふるまいつつも時々発せられるエリザベッタの本音や情熱がとても生生しくもあり、痛々しくもあり・・・その心情をヴェルディが非常に細かく表現していると思います。

Q2.ご自身の役の見どころ(見せどころ)、聴きどころ(聴かせどころ)をひとつ教えてください。

木下: カルロとの二重唱(2幕そして終幕)もとても好きな場面で、心にぐっとくる音楽ではあるのですが、今回はあえて、3幕の4重唱を上げさせていただきたいと思います。エボリの策略により無実の罪を着せられ夫であるフィリッポにののしられる場面です。この場面はそれぞれの人物の立場ゆえに背負っている苦悩が美しいアンサンブルで描かれています。女王としてのプライドも愛もすべて失ったエリザベッタの深い悲しみが天上の音楽で書かれています。この音楽を、そしてこの心理をどう表現していこうかといつも考えています。これはこれから一か月におよぶリハーサルでの課題です。Io son… straniera(私は…外国人…)この言葉は、長く海外で生きてきた経験からとても重い言葉だと、いつもぐっときてしまいます。

Q3.『ドン・カルロ』のような歴史に題材を求めたオペラはたくさんありますが、一度でも演じてみたい、歴史上の人物はいますか? もしいれば、その理由や、動機もふくめて教えてください。

木下: 改めて考えてみると、これと思い浮かぶのはないのですが、以前ヘレン・ケラーの詩による「アイヴィングリーンからの交響曲」(M・キャンプハウス作曲)というのを歌ったことがあるのですが、その時のヘレンケラーの詩が素晴らしく、こういう美しい言葉を紡ぎながらの彼女の生涯を一つのオペラにできたら素敵だろうなと思ったことがありました。できればイタリア人の作曲家でイタリア語で書かれていたらぜひ歌ってみたいです。

Q4.最後に、本番にむけての意気込み、メッセージをお願いいたします。

木下: ヴェルディの後期の大作『ドン・カルロ』、どの場面をとっても音楽が素晴らしく、またそれぞれの役の心理描写が音楽と相まってより一層の深みをもった作品です。私としては久しぶりの女性演出家とのお仕事です。どのようなアプローチで『ドン・カルロ』の世界を創り上げていくか、楽しみにしております。なかなか上演機会のない作品ですが、ぜひ劇場に足を運んでいただき、この世界を堪能していただければと思っております。

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それでは、よこすか芸術劇場公演当日のご案内を致します。 【9/29(金)20:30掲載】
2023グランドオペラフェスティバル in Japan
シュトゥットガルト州立歌劇場、よこすか芸術劇場との提携公演
《東京二期会オペラ》
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲 『ドン・カルロ』
オペラ全5幕(イタリア語5幕版) <日本語および英語字幕付き原語(イタリア語)上演>
指揮:レオナルド・シーニ/演出:ロッテ・デ・ベア
合唱:二期会合唱団/管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
当日券と公演タイムテーブルのご案内
 
9月30日(土)
当日券
S~D/U24
当日券販売
窓口受付
12:15~
開場
12:15
開演
13:00
第1幕・第2幕
約90分
休憩 20分
14:30~14:50
第3幕
約40分
休憩 20分
15:30~15:50
第4幕・第5幕
約75分
終演予定
17:05
横須賀芸術劇場
=アクセス=
<京浜急行電鉄>
[京急本線]=「汐入駅」から徒歩1分
<JR>
[横須賀線]=「横須賀駅」から徒歩8分

お車でご来場のお客様は横須賀芸術劇場ウェブサイトをご覧ください
>>アクセス - 横須賀芸術劇場
◆上記、当日券は 9/29(金)18:00現在 での発売予定です。以降の販売状況により、完売となる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
◆U24(24歳以下)を開場時刻より発売(各席種半額)致します。ご希望の方はご本人の学生証等年齢のわかるものを必ずお持ちください。
◆公演タイムテーブルは総稽古の実測時間を元にしておりますが、当日の演奏・進行により変わってくる場合もございますので、あらかじめご了承ください。

▼『ドン・カルロ』横須賀・札幌公演情報ページはこちら
2023グランドオペラフェスティバル in Japan G.ヴェルディ『ドン・カルロ』(全国公演) - 東京二期会


●公演に関するお問合せは
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)

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Tokyo Opera Days
10/9開催:指揮レオナルド・シーニによるマスタークラス~プログラム決定!

10/9(月・祝)~10/15(日)東京文化会館で開催される、「Tokyo Opera Days」の初日を飾る、今をときめく指揮者レオナルド・シーニによるマスタークラスの曲目と出演者が決定いたしました!
3曲全て、マエストロが得意とするヴェルディ作品。ヨーロッパの名だたる歌劇場で高い評価を得る音楽作りの秘訣が伝授される貴重な機会となります。

202309_leonardo_sini.jpg   Leonardo Sini レオナルド・シーニ

指揮は3名の若手指揮者、歌唱は『ドン・カルロ』でアンダースタディを務める中江万柚子と室岡大輝、ピアノは全て三澤志保が務めます。
マエストロが日本でマスタークラスを実施するのは今回が初めて。
只今、無料聴講申込を受け付けています。指揮や声楽・オペラを勉強されている方はもちろん、一般の方も聴講いただけます!
「Tokyo Opera Days」だからこそ実現したこのチャンスを、お見逃しなく!

■■■ イベント情報 ■■■
Tokyo Opera Days
指揮レオナルド・シーニによるマスタークラス
日時:2023年10月9日(月・祝) 19:00開始
会場:東京文化会館 小ホール
  (JR上野駅 公園口改札より徒歩1分)
料金:聴講無料(事前申込優先)

プログラム:
1. オペラ『仮面舞踏会』より「あの草を摘みとって」
  指揮:松下和弘 アメーリア:中江万柚子
2. オペラ『椿姫』より「ヴァレリー嬢ですか?」
  指揮:小山祥太郎 ヴィオレッタ:中江万柚子 ジェルモン:室岡大輝
3. オペラ『イル・トロヴァトーレ』より「聞いたかな、朝ともなれば」
  指揮:中城 良 ルーナ伯爵:室岡大輝 レオノーラ:中江万柚子
ピアノ:三澤志保

プロフィール:
202309_nakae_mayuko.jpg■ 中江万柚子 Mayuko Nakae
  ソプラノ Soprano
東京都出身。桐朋学園大学音楽学部声楽専攻首席卒業、同大学院音楽研究科声楽専攻 (オペラコース)修士課程修了(佐々木成子賞)。二期会オペラ研修所本科、マスターク ラス特待生。本科修了時渡邊高之助賞、マスタークラス修了時川崎靜子賞、最優秀 賞。福島育英会奨学生。成績優秀者による卒業記念演奏会、二期会新進声楽家コン サート等に出演。これまで『ドン・ジョヴァンニ』ドンナ・アンナ、ドンナ・エル ヴィーラ、『椿姫』題名役等を演じ、東京二期会『ドン・カルロ』ではエリザベッタ のアンダースタディを務める。二期会会員
202309_murooka_taiki.jpg■ 室岡大輝 Taiki Murooka
  バリトン Baritone
埼玉県出身。尚美学園大学声楽コース卒業、同大学院修士課程を特待生で修了。第87 回読売新人演奏会出演。二期会オペラ研修所本科修了時渡邊高之助賞、マスタークラ ス修了時奨励賞。第87回読売新人演奏会、二期会新進声楽家コンサート等に出演。東 京二期会では『ドン・カルロ』ロドリーゴのアンダースタディを務め、来年5月二期 会ニューウェーブ・オペラ劇場『デイダーミア』でデビュー予定。二期会会員
■ 松下和弘 Kazuhiro Matsushita
1995年生まれ。 2014年に東京音楽大学指揮科に入学、18年卒業。 指揮を広上淳一、 田代俊文、時任康文の各氏に、ピアノを植木純、野田清隆の各氏に師事。18年チェコ で開催された国際指揮マスタークラスに参加し、Alexander Polyanichko氏に師事。 23年ウィーン楽派国際指揮者コンクールに出場。大学卒業時から現在まで複数のオー ケストラのトレーナーを担当し、新宿区民オペラの副指揮者として『仮面舞踏会』 『マクベス』『サンドリヨン』に携わる。

■ 小山祥太郎 Shotaro Koyama
国立音楽大学音楽学部声楽専修卒業、指揮者コース修了。同大学院声楽専攻修了後、 カールスルーエ音楽大学で歌曲伴奏を学ぶ。指揮を三澤洋史らに、声楽を黒田博氏ら に、歌曲伴奏を白井光子、ハルトムート・ヘル両氏に師事。国立音楽大学奨学生とし てウィーン国際音楽ゼミナールでO.ヒッレブラントに、ツヴィッカウでのシューマン 音楽祭で白井光子に学ぶ。第30回日本ドイツ歌曲コンクール第3位。学生時代より 『コジ・ファン・トゥッテ』『魔笛』『椿姫』等のオペラや多くの新作を指揮。東京 二期会では『パルジファル』『椿姫』副指揮、昨年秋には東京都教育庁事業にてオペ ラ『雪の女王』東京初演指揮を務めた。

■ 中城 良 Ryo Nakajo
1995年東京生まれ。2017年東京音楽大学作曲指揮専攻(指揮)を卒業。指揮を広上淳一 氏に師事。卒業公演で『フィガロの結婚』を指揮。大学主催の「打楽器教員コンサー ト」で日本を代表するフルート奏者、工藤重典氏とジョリヴェの協奏曲で協演。広島 交響楽団定期演奏会にてエリザベト音楽大学合唱団を指揮し協演。「若手指揮者トラ イアウトコンサート2021」に参加し、各プロオケから選ばれた奏者からなる特別編成 のオーケストラを指揮し研鑽を積む。22年12月にN響団友オーケストラと共演。これ まで副指揮として『イル・トロヴァトーレ』『仮面舞踏会』『マクベス』『トリスタ ンとイゾルデ』『魔笛』「ダ・ポンテ三部作」に携わる。

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▼「秋は上野でオペラ!」 Tokyo Opera Days イベント詳細ページはこちら
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Tokyo Opera Days|オペラを楽しむ - 東京二期会
無料からお楽しみいただけるイベントが盛りだくさん

●お問合せ・事前申込は
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)

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