2021年11月09日のエントリー

二期会名作オペラ祭『こうもり』キャスト・インタビュー~ファルケ加耒徹「2幕後半に歌われる『親しい仲間よ』のアンサンブルでは、まるでベートーヴェンの『第九』のよう」

〈二期会名作オペラ祭〉オペレッタ『こうもり』キャスト・インタビュー。第8回は、ファルケ役の加耒徹です。
バロック時代から近現代の作品まで、幅広く、端正かつ情熱をもった歌を聴かせるバリトンとして、デビュー以来多くのファンを魅了しています。東京二期会の公演では、ヘンデル『ジューリオ・チェーザレ』アキッラでデビューし、その後、『ナクソス島のアリアドネ』ハルレキン、『金閣寺』鶴川と、やはり幅広い時代の作品に出演。今年8月には『ルル』シェーン博士という難役を急遽代役出演を果たして、さらに高い評価を受けました。
そして、今回のファルケ。待ち望んでいた方もいらっしゃるのではないでしょうか!? 公演を前に話を聞きました。

202111_kaku_tooru_00.jpg 加耒 徹

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――ファルケ役はやってみたい役のひとつだったのでは?

加耒: そうですね、いつかは必ずやってみたい、演じる事になるだろうと昔から考えていた役でした。今回出演させていただける事になり、とても嬉しいです。
オペレッタ『こうもり』は誰もが知る名作ですし、二期会の中でも上演回数の多い作品なのではないでしょうか。それだけに、お客様にこの作品を通じて新たな魅力をお伝えする難しさはあると思いますので、その作品の一部としてしっかり役目を果たしたいと思います。
実は学生時代、初めて学外のオペラ団体で出演した作品がこの『こうもり』で、その時はアイゼンシュタイン役だったのです。

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2016年11月『ナクソス島のアリアドネ』より ハルレキン役(左端/撮影 三枝近志)

――ファルケはどのような人物ですか。

加耒: この作品世界全てを冷静にコントロールする、クールな人物かなと思います。特に今回の演出ではそれが色濃く現れており、男女関係を使ってただ仕返しをするわけでは無く、その当時の世界情勢などを踏まえ、彼が存分に皮肉を描いている気がします。そして、自分が思い描く計画を淡々と、そして迅速に整えていく、まさに‘必殺仕事人’のような雰囲気を出していきたいと思います。

――それでは、加耒さんのファルケのここを見てほしい! 聴いてほしい! と思っているところを教えてください。

加耒: そうですね、タイトルロールという事もあり、多く舞台上に登場しておりますが、実は歌っている時間というのは最も短い役なのではないでしょうか。しかし、あくまで周りの人を利用してこの「こうもりの逆襲」という劇をコントロールしている立場ですので、自分の気持ちをじっくりと歌に乗せて表すという必要がなかったのでは無いかと思います。そんな中でも2幕後半に歌われる「親しい仲間よ」のアンサンブルでは、まるでベートーヴェンの「第九」のように先陣を切って「皆んなで手を取りお互い‘Du’と言い合おう!」と歌い始めるので、ここはとても気持ち良い瞬間ですね。是非注目していただけたら嬉しいです。
あとは舞台上でさまざまな役の感情の移り変わりを、どこか俯瞰して見ているファルケ。この動きにも是非注目して見ていただけると、今回の演出による『こうもり』の物語がよりわかりやすく伝わるのではと思っています。

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2019年2月『金閣寺』より 鶴川役(左/撮影 三枝近志)

――ダブルでの競演は、「ハンサム四兄弟」などで共演機会の多い宮本益光さん。本篇ではストーリー・コンダクターとしての力を持っているファルケですが、稽古場では、宮本さん方といっしょにどんな稽古場を作っていきたいですか。

加耒: とにかく益光さんのファルケ、かっこいいです!
益光さん演じるファルケの一挙手一投足から学べることが多くて、個人的にも稽古の時間が楽しくてしょうがありません。特にクルッと身軽に回る姿がかっこよくて、是非益光ファルケをご覧いただくお客様にはそこを注目して見ていただきたいですね。
もちろん、私は私のファルケを演じますので、益光さんと同じキャラクターというわけではありませんが、それでもポイントポイントでは吸収したものを使わせていただくかと思います。二期会オペラの場合はダブルキャストというシステムが通常ですので、こうやって同じ役を別の人が演じるとどうなるというのをキャスト間でも肌で感じられるのが嬉しいですね。常に吸収することを忘れずに日々を過ごしたいと思います。
今回のプロダクションですが同世代の歌手がたくさん一緒の舞台に乗っているというのも嬉しいポイントです。本番ももちろん楽しめると思いますが、こうやって毎日稽古を全力で過ごせるというのは、歌い手にとって大きな幸せですね。

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2021年8月『ルル』より シェーン博士役(左/撮影 西村廣起)

――ファンの皆様に向けて一言メッセージをお願いします。

加耒: 秋の終わり、共にJシュトラウスII世の煌びやかな音楽を楽しみましょう!ただし、シャンパンが全てを消し去ってくれるわけではない今回の演出。色々な感情うごめくこの舞台の一瞬一瞬をどうぞお見逃しなく。日生劇場にて、ファルケ博士がみなさまを「こうもりの物語」へ誘います。

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▼『こうもり』公演情報ページはこちら
2021年11月公演 J.シュトラウスII世 オペレッタ『こうもり』 - 東京二期会オペラ劇場

2021年11月25日(木)18:30、26日(金)14:00*、27日(土)14:00、28日(日)14:00* 日生劇場
指揮:川瀬賢太郎/演出:アンドレアス・ホモキ/管弦楽:東京交響楽団
*…ファルケ 加耒 徹 出演日

●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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