今更言わずもがなですが、2004年『ドン・ジョヴァンニ』題名役で鮮烈な二期会デビュー、『フィガロの結婚』『コジ・ファン・トゥッテ』『魔笛』はじめとするモーツァルト作品の名歌手であり、自身作詞、作曲、劇作、ステージ・プロデュースを手掛ける確固たる世界観をもったマルチ・アーティスト。そして、『メリー・ウィドー』ダニロ、『こうもり』ファルケを当たり役とするオペレッタの名優です。
2013年(白井晃演出)、2017年(アンドレアス・ホモキ演出)に続く今回の主演。今一度、宮本益光の「分身」ともいえるファルケについて、そして『こうもり』の魅力について、話を聞きました!
宮本益光
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――宮本さんのファルケにかける想いをお聞かせください。
宮本: 実は私はオペレッタを演じることに恐怖を感じています。オペラよりも民族性や生活臭が色濃い印象で、作品と対峙する度に自分にはこの作品は無理だ…と思ってしまうのです。しかし一方、皆と演じていてこんなに楽しい作品は他になく、この流れに身を任せたいと強く願う自分もいて、恋する少年のような気持ちにさせられるのです。
その中心にいるファルケは、さながら舞台上の演出家。私がこの作品に心躍らされているように、お客様の御心を揺らすべく、舞台を動かす喜びを楽しめたらいいなと思っています。
2013年2月『こうもり』より ファルケ役(撮影 三枝近志)
――2017年のジャパン・プレミエ公演にも出演しました。アンドレアス・ホモキ演出を通して感じられたことはどのようなものでしたか?
宮本: この演出には、何層にも重なったヨーロッパの劇場史、その上に成り立っている凄みを感じます。『こうもり』という作品を介して私たちに何かを訴えようとする強い意志は、もちろんホモキさんの意志でもありますが、その根底にはヨーロッパの劇場で培われた、劇場ならではの修辞法が見て取れます。
ネタバレになるので多くは語りませんが、休憩あけに皆で歌われるシーンである種のカタルシスを強く感じたことは、私にとって役を超越するような体験で、思い出しても震える程です。
2017年11月『こうもり』より ファルケ役(撮影 三枝近志)
――そこで、また新しい発見、新しいファルケ像の発見はありましたでしょうか。
宮本: 4年前の舞台を改めて見直してみますと、もちろん楽しく笑って見られる演出なのですが、私にはドタバタ喜劇という要素が側面的に見え、実は人の心を抉る…そんな切れ味の鋭さを感じました。ファルケは舞台上だけでなく、劇場全体をも支配している?
再演ということで、さらにクオリティを高めつつ、人と人とのアンサンブルを楽しみたいと考えています。
――それでは、開幕を楽しみにされているお客様にメッセージを。
宮本: 晩餐会が舞台となっているこの作品、どうか皆様も着飾ってお出かけください。劇場でお会いしましょう。
2020年11月『メリー・ウィドー』より ダニロ役(撮影 三枝近志)
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★宮本益光 CDニュー・リリース情報!★
2021年10月、宮本益光は一気に2枚の新譜をリリースしました!
▼モーツァルト・シンガーズ・ジャパン Vol.4 《歌劇「フィガロの結婚」K.492 全曲》 <2021年10月20日(水) 発売> 価格:5,500円(消費税、送料込) |
▼ハンサム四兄弟 “HOME” <2021年10月22日(金) 発売> MClassics/価格:2,750円(税込) ハンサム四兄弟(バリトン) 宮本益光・与那城 敬・近藤 圭・加耒 徹 髙田恵子(ピアノ) |
▼CD発売のご紹介記事はこちら
・2021年10月、モーツァルト・シンガーズ・ジャパン(MSJ)とハンサム四兄弟のCDが発売されます! - オペラの散歩道(二期会blog)
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▼『こうもり』公演情報ページはこちら
・2021年11月公演 J.シュトラウスII世 オペレッタ『こうもり』 - 東京二期会オペラ劇場
2021年11月25日(木)18:30*、26日(金)14:00、27日(土)14:00*、28日(日)14:00 日生劇場
指揮:川瀬賢太郎/演出:アンドレアス・ホモキ/管弦楽:東京交響楽団
*…ファルケ 宮本益光 出演日
●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
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