2011年『フィガロの結婚』より(撮影 三枝近志)
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――宮本亞門さんの舞台に立つ上で、心掛けていることはありますか?
嘉目: 亞門さん演出の作品において、常に意識していることはその役にリアリティを持たせることです。
オペラの場合は音楽にその役のキャラクターが表されますが、亞門さんは“生きた人物”を求めていらっしゃると思うので、それをより深く掘り下げることが大切だと考えています。
――これまで、亞門さんからかけられた言葉で、とても印象に残っていて、今でも力になっているような言葉はありますか?
嘉目: 特にこの言葉が、というよりも、亞門さんとご一緒する度にそのエネルギーの大きさに驚きます。亞門さんは、何というかエンジンの回転数が早いんです。ぼんやりのんびり屋の私には、亞門さんはいつもキラキラと煌めいて映ります。
――名曲ぞろいの『魔笛』ですが、あらためてお伺いいたします。
嘉目さんにとっての、一番の聴きどころ、一番感動されるところはどこでしょうか?
嘉目: 『魔笛』は本当にどの曲も素晴らしくて、聴きどころを絞るのが難しいのですが、私がこの亞門さん演出で一番好きなのは、パミーナを試練のためとはいえ深く傷付けてしまったことに、身を引きちぎられるような思いで苦悩するタミーノが表現される、男声合唱のシーンです。
哀しさや苦しみなどがとても美しい荘厳な音楽で表現され、尊ささえも感じられるシーンとなっています。
2015年『魔笛』より(撮影 三枝近志)
――嘉目さんにとっての人生最初のモーツァルト体験はどのようなものでしたでしょうか?
嘉目: 実は『魔笛』が最初です。小学生の頃に初めて触れたオペラが『魔笛』でした。
ルチア・ポップの歌う夜の女王のアリアを、彼女の歌い癖を覚えるほど聴きまくっていました。
ちょうど同じ頃に、所属していたジュニアコーラスの一員として、県民オペラ公演『魔笛』に森のうさぎ役で出演しました。とても緊張しました。
――2015年の二期会初演から6年たちました。
今、この『魔笛』を上演することの意味、お客様に伝えたいこと、公演にむけて意気込みをお願いいたします。
嘉目: コロナ禍で対面からリモートが増えて、世の中から人との触れ合いが極端に少なくなってしまいました。
目には見えないけれども、その分人の心と心の間にも少しだけ距離ができてしまったように感じています。表面的には何も問題なく過ぎていく時間でも、何かが失われていくような気がしています。
モーツァルトの音楽はいつも「生身の人間とは何か」を教えてくれます。美しさや強さだけではなく、悲しさや弱さ、醜さも隠すことなく描かれます。この人間の心の交流は、今まさに私達に必要なものなのではないでしょうか。
私達はひとりでは生きてはいけない。
人を心から愛していこう。
そんな風にモーツァルトが語りかける作品です。
2018年『金閣寺』フランス国立ラン歌劇場公演より
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▼『魔笛』公演情報ページはこちら
・2021年9月公演 W.A.モーツァルト『魔笛』 - 東京二期会オペラ劇場
2021年9月8日(水)18:30*、9日(木)14:00、11日(土)14:00*、12日(日)14:00 東京文化会館 大ホール
*…パミーナ 嘉目真木子 出演日
●公演のご予約・お問合せは《発売中》
二期会チケットセンター 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)
←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!! |
8日(水),9日(木)の公演につきましては、引き続き新規のご予約を承っております。尚、本公演は予定通り開催させていただきます。すでにお客様のお手元にあるチケットは有効となります。ご来場を心よりお待ちいたしております。