2018年05月15日のエントリー

開幕迫る 5月ヘンデル『アルチーナ』公演~ニューウェーブ・キャスト・インタビュー[7]
~メリッソ役 金子慧一、的場正剛

いよいよ開幕まであと4日!二期会ニューウェーブ・オペラ劇場『アルチーナ』キャスト・インタビューの最後を締めくくるのは、メリッソ役の金子慧一(19日)と的場正剛(20日)です。

2018年2月『ローエングリン』でアンサンブル役ながらすでに二期会オペラ・デビューを果たした金子。次代の本格的バスとしての期待がかかります。的場は今回がデビューとなりますが、これまで「びわ湖ホール声楽アンサンブル」のメンバーとして多くのステージに立ってきた実績の持ち主。低声歌手ゆえの性質なのか(?)、ニューウェーブのチームの中にあってひときわ落ち着いた雰囲気を漂わせている二人ですが、果たして実際は!?

     *     *     *

――メリッソという役はどのような役でしょうか?

的場: メリッソという役は少々複雑です。『アルチーナ』の原作にあたる「狂えるオルランド」では魔女メリッサという女性です。そこにルッジェーロの師匠である妖術師アトランテのキャラクターが足されて生まれたのがメリッソです。

金子: その原作では、魔女のメリッサがルッジェーロを救出します。実は、ブラダマンテはアルチーナの島に訪れず、魔法の指輪をメリッサに託してルッジェーロの救出を依頼するのです。メリッサは万能の魔法使いで、違う人物に変身し敵を欺いたり、アルチーナによって獣や木に変えられた人々を元に戻したりと八面六臂の活躍をします。
オペラにおけるメリッソはそこまでの活躍はありません。ただ、要所要所に現れては意味深なことを喋って消えたり、全てを見通しているような発言が有ったり、ブラダマンテを守ったりと、元メリッサの片鱗が見え隠れするようなキャラクターとなっています。


金子慧一

的場: このオペラの為に生まれてきたキャラクターですので、原作があるにもかかわらずそこから役を読み取る事が難しいのですが、、、

金子: イメージとしては「指輪物語」のガンダルフのようなキャラクターでしょうか。

的場: 逆に言えば決まったキャラクターが無いので比較的自由に演じる事が出来る場面も多く、日々の稽古で演出家のエヴァ・ブッファマン先生と楽しく掘り下げています。
 
 
――メリッソのアリアについて。どのような内容ですか。

金子: メリッソはアリアが一つしかありません。このオペラを通して唯一魔法が出てくるシーンの後に歌われるアリアで、そのシーンとは、メリッソの持つ魔法の指輪をルッジェーロがはめると、彼にかかっていたアルチーナの魔法が解け、正気を取り戻すというシーンです。そしてその後に、今まで苦しめていた人(=婚約者であるブラダマンテ)のことを考えよ、と歌います。

――その曲の好きなところ、お客様に聴いてほしいところは?

金子: ヘンデルのオペラにおいてバスのアリアというのはそう多くはありません。そして『リナルド』や『オルランド』に出てくるような煌びやかなメリスマや装飾もメリッソのアリアにはないのですが、このオペラ全篇を通してかなり異質なアリアで、何と言っても他のアリアにはない通奏低音の迫力が聴きどころではないでしょうか。

的場: このオペラに限らず、アリアというものは大抵自分の気持ちの吐露となっています。しかしメリッソはブラダマンテ、そしてルッジェーロの為にこの一曲を歌います。厳しい口調の中に見える優しさ、誠実さを感じて頂けると嬉しいです。


的場正剛

――ずばり、今回の『アルチーナ』の魅力は?

的場: とにかく音楽が美しいです。そして純真、誘惑、心変わり、嫉妬、策略etc...アルチーナの島で繰り広げられる恋模様は必見!昼ドラも裸足で逃げ出す濃厚なものになっております。
そこにメリッソがどう関わるか……皆様にご覧になって頂きたいです。

金子: 2020年のバイロイトでの「リング」シリーズ全作品を全て異なる女性演出家が演出するとして話題になったように、今回の舞台も演出家、美術、衣裳と全て女性のチームによる舞台で、女性ならではの感性による舞台となっています。また、衣裳に関してはワンオフでの製作ということで、ビジュアル面でもお楽しみいただけるのではと思います。
 
 
――最後に、お客様にむけて。

金子: いい舞台になりますよう、演者一同精進して稽古に励んでおりますので、どうぞ楽しみにお待ちくださいませ!

的場: 二期会研修所に入所した時から一つの目標であったニューウェーブ・オペラで二期会デビューが出来る事は本当に嬉しいです。鈴木秀美先生をはじめ、バロックオペラのスペシャリストの方々に囲まれて毎日の稽古は刺激まみれです。
出演者一同全力を持って取り組んで参りますので5月19日、20日は是非、めぐろパーシモンホールへ御来場下さい!

     *     *     *

▼『アルチーナ』公演情報ページはこちら
二期会ニューウェーブ・オペラ劇場 G.F.ヘンデル『アルチーナ』 - 東京二期会

 指揮:鈴木秀美、演出:エヴァ・ブッフマン、管弦楽:ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ(NBO)
 2018年5月19日(土)17時、20日(日)14時 めぐろパーシモンホール大ホール

●お問合せ・ご予約:二期会チケットセンター 03-3796-1831
   (月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00/日祝 休)

Gettii ←24時間受付、予約&発券手数料0円、セブン-イレブン店頭でお受取の
インターネット予約「Gettii(ゲッティ)」も是非ご利用ください!!

 
 

Page Top

5/18放送 NHK Eテレ「ららら♪クラシック」~20世紀最大の歌姫マリア・カラス特集に、ソプラノ腰越満美がゲスト出演します!

今週5月18日(金)よる放送のNHK Eテレ「ららら♪クラシック」は、昨年没後40年を迎えた20世紀最大の歌姫マリア・カラスの特集です。この放送にソプラノ腰越満美がゲストで出演致します。

《マリア・カラス以前、マリア・カラス以後》と分けられるほど、彼女の出現はオペラに於ける演奏を大きく変えました。数々のオペラで主役を演じる腰越もまた、カラスに魅せられた一人です。歌い手の立場からみたカラスの存在を、様々なエピソードを絡めてお送りします。来日時の貴重なライブ映像も!
是非、お見逃しなく!!

 腰越満美

◆◆◆ 放送情報 ◆◆◆
「ららら ♪ クラシック」
《解剖!伝説の名演奏家 永遠の歌姫マリア・カラス》

放送局:NHK Eテレ
放送日時:
  (本放送)2018年5月18日(金) よる21:30~22:00  
  (再放送)2018年5月24日(木) あさ10:25~10:54
司会:高橋克典、牛田茉友アナウンサー
ゲスト:腰越満美(ソプラノ)、岡田暁生(音楽学者)

▼番組ホームページはこちら
ららら♪クラシック「解剖!伝説の名演奏家 永遠の歌姫マリア・カラス」 - NHKオンライン
 
 

Page Top