2015年07月27日のエントリー

東京二期会2015年10月公演R.シュトラウス『ダナエの愛』
演出・深作健太のビデオ・メッセージ!

はじめまして、映画監督の深作健太です。この度、東京二期会オペラ劇場『ダナエの愛』を演出させていただくことになりました。

――初オペラ演出にあたって
もう本当にドキドキしています!学生のころから、僕はオペラが大好きで、劇場に通っていたもので、まさか自分自身がオペラを、しかも日本初演のオペラを演出するなるなんて!もう精一杯、僕の「オペラ愛」を総動員して、『ダナエの愛』に向かおうと思います!(照)。
――映画の撮影とオペラ(舞台)の演出の違いとは?
映画というのは、映像を作っていくものですので、毎回NGやOKをだして、瞬間、瞬間を切り取っていくものなのですね。オペラは、まずは何より楽譜(スコア)をどう再現するか。映画では映像ですから「見せる」ことを心がけているのですけれども、オペラの場合は、やはり「聴かせる」こと。この音楽のすばらしさをどうお客様にお届けするのかを第一にしたいです。
僕自身、今回が初めてのオペラ演出ですから、現場のルールやいろいろなことを、自分が一番学ばなければいけない立場にいるのです!そこで大切にしたいことは、1回のOKで決まっていく瞬間的な技術の映画とはちがって、オペラの現場では日々生み出される歌、表現を積み重ねていくことで、歌手の皆様とともに、スコア(音楽)の高みを目指していく、ということで、今回、僕が一番挑戦したいことです。
――『ダナエの愛』の魅力について
『ダナエの愛』は、シュトラウスさんの生涯の最後から2番目の作品なのですが、すごく美しい音楽!そこに僕は、滅びの美学、あるいは失なわれゆくものへのレクイエムを感じます。シュトラウスさんは、20世紀初頭から二つの大きな戦争を経験し、ご自身の作風も大きく変わっていきました。『ダナエの愛』は、その生涯のオペラ全てを集約させたような作品だと思います。
「神にとってこわいものは、人間の愛である」という素敵な言葉がこのオペラに出てきます。最後のほうで、全能の神ユピテルが去っていくのですが、シュトラウスはその姿に自分自身を重ねているのではないでしょうか。それは時代の移り変わり、音楽が「クラシック」とくくられてしまうようになっていった時代を、シュトラウスは、哀悼の意をもってみていたのかもしれません。そして、戦争がありました。70年前、世界がどこも瓦礫となってしまった時代を、現代の日本をつなげることで、今の日本でこのオペラを上演する意味というのを突き詰めたいと思います。

――指揮の準・メルクルについて
メルクルさんの指揮は、新国立劇場でのワーグナー『リング』をはじめ、何度も何度もその演奏に接して、僕自身すごくファンでした。(昨年9月の記者会見のときに)最初お会いする前はとても緊張していたのですが、お会いしてみると、あの…実はそのとき、僕財布を忘れてしまって、メルクルさんに新国立劇場の楽屋の食堂で500円のランチをおごってもらってしまいました(笑)とても気さくで、優しい方でした(笑)。
オペラの演出というものは、まずスコアがあってそこに指揮者がいて、そこにまた加わっていくものだ、という三角関係だと思っています。マエストロの豊かなタクトと、どのような共犯関係が結べるか、今から本当に楽しみです。
――お客様にメッセージを
はい、『ダナエの愛』は、次いつ観ることができる作品かわかりません!ぜひこの機会を逃されず、お越しいただきたいと思います。そして、僕自身も皆様とご一緒にこのオペラを聴くことをとても楽しみにしています。劇場でお会いしましょう!

深作健太(ふかさく・けんた)映画監督 脚本家 演出家
2000年、映画監督の父・深作欣二とともに映画〈バトル・ロワイヤル〉の脚本を務め第24回日本アカデミー賞優秀脚本賞、第20回藤本義一賞新人賞受賞。03年〈バトル・ロワイヤルII【鎮魂歌】〉では、脚本とともに撮影中に逝去した父を継ぎ監督デビュー。第58回毎日映画コンクール脚本賞を受賞。10年『罠』で初の舞台演出を果たし、14年『里見八犬伝』、15年『TABU』などを多数の舞台を手がけている。15年10月東京二期会オペラ劇場『ダナエの愛』がオペラ初演出となる。

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アルテリーベ・フレッシュコンサート~8月の二期会アーティスト出演回
「Joie et Folie/快楽と狂気のあいだ―さまざまな愛のかたち」

新橋の音楽レストラン「アルテリーベ東京」で《月曜日は新橋でオペラ》を合言葉に好評開催中の、今後の活躍が期待される若手歌手によるディナー企画「フレッシュ・コンサート」シリーズ。
8月の二期会のフレッシュ・アーティスト出演日は3日(月)。
今回の主役、平野柚香と藤野沙優のソプラノ二人が素敵な一夜をお届けします!

今回も出演の二人からメッセージが届きましたのでご紹介致します。
「今回はJoie et Folieと題し、オペラに登場するヒロインたちの恋を取り上げます。
私は『リゴレット』のジルダや『椿姫』から「ああ、そは彼の人」などのアリアを歌います。
藤野さんはマスタークラスで切磋琢磨した大切な仲間ですので、再び一緒に演奏できることになり心踊っています!
初恋にときめく女の子から純粋な恋心を取り戻す大人の女性まで、さまざまな愛の形をお楽しみください。」
 ― ソプラノ 平野柚香
「今回は、オペラの中の「さまざまな愛のかたち」を取り上げます。私は『トリスタンとイゾルデ』の「イゾルデの愛の死」のほか、『清教徒』や『ル・シッド』のアリアなどを歌います。ご一緒の平野さんとは、実は干支がいっしょ…(笑)
でも平野さんはとてもしっかり者で、いつも助けていただいている、かけがえのない友人です。
真夏の夜、濃密な愛のひと時を私どもとご一緒しましょう!」
 ― ソプラノ 藤野沙優

二期会オペラ研修所でも同期のこの二人は息もぴったり。
9/10(木)に東京文化会館で開催される「二期会新進声楽家の夕べ」にも揃っての出演が決まっております!
二人のソプラノが表現する『愛のかたち』を是非お楽しみください。

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ソプラノ
平野柚香
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ソプラノ
藤野沙優
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ピアノ
松原裕子

■■■ 公演情報 ■■■
《アルテリーベ東京 第62回月曜フレッシュコンサート》
~Joie et Folie 快楽と狂気のあいだ―さまざまな愛のかたち~

日時:2015年8月3日(月) 18:00開店
  第1ステージ 19:00頃/第2ステージ 20:00頃
会場:アルテリーベ東京(JR「新橋駅」日比谷口より徒歩5分)
料金:5,141円(ビュッフェ形式・飲み放題・音楽料込)
出演:平野柚香(ソプラノ)、藤野沙優(ソプラノ)、松原裕子(ピアノ)
予定プログラム:
  ヴェルディ『椿姫』より 「ああ、そは彼の人か~花から花へ」
  ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』より 「イゾルデの愛の死」
  オッフェンバック『ホフマン物語』より 「ホフマンの舟歌」  …ほか
さあ、「月曜日は、新橋で、オペラ」!
▼お問合せ・ご予約は
アルテリーベ東京
 TEL03-3519-7007

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