2015年2月19日に幕を開ける、東京二期会オペラ劇場G.ヴェルディ『リゴレット』。
公演に向けて順調に稽古が進む中、二人のタイトルロールにお話を伺いました。
今回の「リゴレットに聞く」は、成田博之がヴェルディ・オペラのバリトン役を代表する「リゴレット」への思いをお届けします。
成田博之
【リゴレットとの出会い】
2015年2月『リゴレット』タイトルロールを歌わせていただくことになり、とても嬉しいです。
中学生の時、NHKイタリア歌劇団で来日していたアルド・プロッティの演奏を、テレビで見たのが最初の『リゴレット』です。プロッティは、バック転をしながら歌ったりする、アクティヴなリゴレットなのですが、有名なリゴレットのアリア「悪魔め、鬼め」は、中学生ながら、なんて激しくて切ない曲なんだろう、と今もその思い出が続いています。
高校生になった時、今度は『リゴレット』のレコードを手に入れ、学校の勉強をしながら毎日聴きました。『リゴレット』は最初から最後まで、ジルダが死ぬところまで、飽きることがなく、何回も何回も聴きました。イタリア歌劇団の公演というのは、僕にとって、スタートだったんですね。マリオ・デル・モナコのオテッロ、アンドレア・シェニエ、先ほどのプロッティのリゴレット、そういった名ステージすべて、大切な思い出です。
ですから、今回、そのリゴレットを歌うということをとても幸せに思います。
【名バリトン、エットレ・バスティアニーニへの思い】
大学時代には、本当にたくさんのオペラを観たり、聴いたりしましたが、僕の大好きなエットレ・バスティアニーニの声に出会ったのもその頃です。
彼のリサイタルを収録したレコードがあり、これを聴いたために、僕は歌を勉強し、本日まできたようなものです。レコードは、ピアノ伴奏でしたが、バステイァニーニのステージは白熱していて、こんなにエネルギッシュに歌えるバリトンって、なんて素晴らしいのだろう、と思いました。
それからいろんなバリトンを聴きました。カップッチッリ、シェリル・ミルンズなどなど、素晴らしい録音がたくさんあって、みんなリゴレットを歌っていましたね。ずっと憧れの役でもありました。
ですから自分がこの年齢になり、リゴレットが歌える、というのは幸せです。
【バリトン歌手としての挑戦】
自分の中に「理想のリゴレット」がいっぱいあって、リゴレットを演じる、というのは自分にとって挑戦でもあります。
ヴェルディの曲は、楽譜を見ていただくとよくわかると思うのですが、歌い手に挑戦してきます。自分がどのくらい戦えるか、という一面もあるのです。
そして、今回が初めてといえる「お父さん役」です。音楽が父親としての悲哀、悲しさを表現していますが、いかに今、自分が持っている声でそのリゴレットを表現できるか、ということも挑戦になってきます。
* * *
アルド・プロッティ(Aldo Protti)、ピエロ・カップッチッリ(Piero Cappuccilli)、シェリル・ミルンズ(Sherrill Milnes)等、劇場のスター歌手として輝き、素晴らしい声を聴かせた名バリトンに憧れ、自身もバリトン歌手として、ステージに立つ成田博之。ヴェルディのバリトンの中でも特別に大切な役として、心にあたためてきた、リゴレット役。ついに今年、そのリゴレットを歌うことになり、何度も幸せに思う、と成田は語っています。
ヴェルディが苦労して作り上げた『リゴレット』。当時の厳しい検閲を突破するために考え抜き、完成させたこの『リゴレット』。イタリアオペラの真髄といってよい作品と思います。
どんなリゴレット、成田博之になるか、お楽しみに!
皆様のご来場をステージでお待ちしています!
▼公演情報ページはこちら
・2015年2月公演 G.ヴェルディ『リゴレット』 - 東京二期会
▼お問合せ・チケットご予約はこちら
・二期会チケットセンター Tel. 03-3796-1831
(月~金 10:00~18:00/土 10:00~15:00)