2012年12月10日のエントリー

朗報 昨年ドイツ宮廷歌手の称号を得た小森輝彦が日本に完全帰国

日本の音楽界に旋風を巻き起こします!
この度、バリトンの小森輝彦が17年のドイツ生活にピリオドを打ち、日本に完全帰国致しました。
東京二期会では2013年5月の『マクベス』にも主演致します。
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小森は、文化庁在外派遣研修員として2年研修、その後、五島記念文化財団オペラ新人賞の受賞者としての研修をベルリンで行った後、2000年よりドイツ、テューリンゲン州のアルテンブルク・ゲラ市立歌劇場と専属ソリスト契約を結び、第一バリトンを12シーズンにわたって務め、この間、ゲラ劇場で歌った役は33役、公演数は378に及びます。(アルテンブルク・ゲラ市立歌劇場以外のプロダクションも含めて今まで歌った役の数は62役)に及びます。
この数字は、歌ってきたレパートリーの殆どが、主役級(ドイツ語圏でFachpartieと呼ばれ、グローヴオペラ辞典で定義されている)である事を考えると驚異的な数字であり、事実小森は、「アルテンブルク・ゲラ市立歌劇場を引っ張るスターバリトン(中部ドイツ放送)」としてこの劇場を12年の間、牽引して参りました。
リゴレットのタイトルロールに始まり、ドン・ジョヴァンニ、オランダ人、ナブッコ、ヴォツェックなどのタイトルロールの他、スカルピア、ヤーゴ、ジェルモン、テルラムント、エスカミリオなど、ありとあらゆるバリトンの主要な役を歌い尽くしたと言っても過言ではありません。
日本人の歌手がヨーロッパのオペラハウスで12年の長きに渡り、主役を張り続けたというのは例がないことで、徐々に予算が削られつつあるドイツの文化行政の中で、通常1年ごととなる専属歌手の契約をこれだけの期間に渡って更新し続けた事は驚異的といえましょう。それにも増して難しいのは、同じ劇場の聴衆に飽きられることなく、同じ歌手が様々なオペラの主役を歌い続けたということでした。
イタリア、ドイツ、フランスのどんなジャンルのものもこなせる懐の深さ、技術の確かさ、そして常に進歩し続ける芸術家としての高邁な姿勢無くしては決してあり得ない事で、オペラの本場ドイツで、日本人の歌手がこれだけの業績を残したのは正に前人未踏であり、投票によって選ばれた最優秀歌手に送られる「テアター・オスカー」も「名誉オスカー」を含めて5回受賞しています。
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そして、その劇場の「看板歌手」としての業績が評価されて、2011年4月、日本人初のドイツ宮廷歌手(Kammersänger)の称号を授与されました。この宮廷歌手という称号は、「その歌手の芸術家としての業績とパーソナリティーによって劇場のレベルアップに寄与したことに対して与えられる(ヨッヘン・コヴァルスキー談)」ものであり、単に長い期間その劇場の公演に参加した事で得られるものではありません。
この度の帰国で、ゲラの街の聴衆が、小森を失うことを悲しんだのは想像に難くない。劇場協会は3回にわたるお別れコンサートを企画。シューベルトの「美しき水車小屋の娘」とオペラアリアの夕べを開催して小森は長年尽くしてきたゲラ市の聴衆に別れを告げ、聴衆はスタンディングオベーションで小森の熱演に応えました。
ゲラに於けるオペラ最終公演での小森の舞台挨拶の様子がご覧いただけます。
 
日本のテレビ番組制作会社が小森のゲラでの最終公演の様子を取材したときの録画抜粋(映像提供:マグマ)

■帰国後の主な活動について
この秋に帰国して最初の舞台は、11月23日と25日開催された飯森範親指揮の山形交響楽団による「さまよえるオランダ人」(演奏会形式)でした。
続く29日には児玉宏指揮の大阪交響楽団によるプフィツナー、R.シュトラウスのオーケストラ歌曲の演奏会に出演。この大阪交響楽団の演奏会は昨年の演奏会の続編にあたり、昨年に続いてNHK-FM(2013年2月予定)で放送されます。
▼山形交響楽団「さまよえるオランダ人」の記事
冬本番、北国のオーケストラが熱い! 山形響と札幌響、ドイツ音楽で名演競う - 日本経済新聞(2102/12/4)
そして、来週にはピアノの服部容子さんと共に待望のデュオリサイタルを開催。
小森輝彦&服部容子 DUO RECITAL VOL.8 <日本語字幕付き>
日時:12月20日(木) 19:00開演
会場:東京文化会館小ホール
料金:S席¥5,000、A席¥4,000
   (S席A席とも学生料金¥2,500 ※学生証の提示が必要です)
ご予約:センターヴィレッジ 03-5367-8345
    e+(イープラス) http://eplus.jp(PC・携帯)
    東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650
後援:公益財団法人東京二期会
▼デュオリサイタルの詳細はこちら
小森輝彦&服部容子DUO RECITAL VOL.8 - CENTER VILLAGE MUSIC FACTORY

オペラは、2013年1月の新国立劇場『タンホイザー』ビーテロルフにはじまり、5月に東京二期会『マクベス』タイトルロール、7月に同『ホフマン物語』悪役4役、さらに11月には日生劇場・読売日響・東京二期会共催のライマン作曲『リア』(日本初演)タイトルロール、宮城においてオペラ『遠い帆』支倉常長役にも主演予定など、大きな期待が寄せられています。
今後の小森輝彦の活躍にどうぞご期待ください。

▼小森輝彦の公式サイトより
日本へ帰国のお知らせ (2012年7月2日)
帰国についての新聞記事(2011年10月) (2012年7月3日)
5回目のテアターオスカー受賞 (2012年7月8日)
▼コンヴィチュニー演出の東京二期会『マクベス』は12月15日(土)から一般発売開始です!
2013年5月公演 G.ヴェルディ『マクベス』 - 東京二期会

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