2012年1月20日(金)、22日(日)の二日間にわたり、広島アステールプラザ中ホール(能舞台)にて、台本・作曲:細川俊夫(三島由紀夫作 近代能楽集 ドナルド・キーン英語訳による)『班女(はんじょ)』1幕6場/英語上演/字幕付<広島初演> が盛況のうちに幕を閉じました。
左=実子:藤井美雪 右=花子:半田美和子
この作品は、2004年にエクサン・プロヴァンス音楽祭の委嘱により初演され、2009 年8月のサントリーホール ブルーローズでの東京初演、続く9月のイタリア公演(トリノ、ミラノ)でも好評を博しましたが、今回は、平田オリザ演出による能舞台を使用した上演で、花子役の半田美和子が深い音楽の読み込みと清冽な中にも迫真の演技で、さらなる進化を遂げました。
恋人の吉雄(小島克正)に捨てられ、狂気の世界の住人となった美しい花子(半田美和子)と彼女を保護しながらも想いを寄せる実子(藤井美雪)との妖しくも不思議な世界。
公演を振り返り、半田美和子は下記のように語っています。
今回広島で再演された『班女』は、三島由紀夫の原作と細川俊夫先生の作曲の楽譜に沿い、シンプルに創られてゆきました。「誰が狂気で、誰が狂気でないか」とは愚問であるという、ありのままの人間の姿。削ぎ落として何もなくなる「無」でなく、削ぎ落としていった先にある「無」。洗練されたという言葉そのものが、その舞台を想像していただくのに障害になる装飾語であるかように感じる程、ニュートラルの無限の可能性を感じるような舞台でした。そして、それは日本人だからこそ創ることができた舞台だということを感じるものでした。日本の風土の中で受け継がれてきた日本人の無形の宝、感性。それらを体現していくところに存在意義を感じながら、また、世界に発信してゆきたいという思いを、広島のスタッフや共演者の方々と共に、強く感じることができましたことは、本当にかけがえのない体験でした。
最高のスタッフの中、世界で最も上演されている日本のオペラ「班女」を、初めて日本人だけのスタッフによる再演の機会に参加できましたこと、細川先生が目指すところの舞台が現れたプロダクションに居合わせることができましたこと、何をとりましても光栄な思いでいっぱいです。公演に足をお運びくださった皆様、また、公演の実現にあたり沢山のお心遣いをくださった多くの皆様、そして、広島の文化芸術の長い歴史と礎に、深く感謝申し上げます。
(前列)演出:平田オリザ 音楽監督:細川俊夫
(後列)花子:半田美和子 実子:藤井美雪 吉雄:小島克正
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・ひろしまオペラ・音楽推進委員会
尚、半田は5月には下記の公演にも出演が予定されております。
どうぞお楽しみに!!
5月24日(木) 19:00開演 東京オペラシティ コンサートホール
コンポージアム2012「細川俊夫の音楽」
細川俊夫/光に満ちた息のように(笙独奏)
細川俊夫/夢を織る[日本初演]
細川俊夫/さくら(笙独奏)
細川俊夫/星のない夜~四季へのレクイエム[日本初演]
指揮:準・メルクル、管弦楽:NHK交響楽団、ソプラノ:半田美和子、ほか
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・コンサートカレンダー2012年5月 - 東京オペラシティコンサートホール
・2012年度 主催公演 - 東京オペラシティコンサートホール
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