ドイツ・マイセンに留学中のバリトン大沼 徹から便りが届きました!
6月19日マイセンにおいて、日本のために募金をしてくれたマイセンの方々への感謝を表すという趣旨のリサイタルに出演致しました。
マイセン教区の教区長やマイセン市長も列席し、司祭のスピーチに始ったこのコンサートは、曲の間での拍手を遠慮し、一曲目の浜辺の歌の後に全員起立の上黙祷が捧げられ、大沼は〈希望と愛と信仰〉をテーマに故郷を想い、「浜辺の歌」や「この道」、バッハ、メンデルスゾーンの宗教曲、シューマン、シューベルトの歌曲など15曲を演奏し、ザクセン州の地方紙「Saechsische Zeitung」にもクローズアップされ、インタビューが大きく掲載されました。
2月公演『サロメ』ヨカナーンに出演後、再渡独した大沼は、現在、五島記念文化財団の助成でマイセンに留学しており、ベルリン留学中より長きに亘り指導を受けているクレッチュマン氏のもと、更なる研鑽を積んでいます。
「3月9日にドイツにわたってすぐに東日本大震災があり、実家のある いわき も大きな被害を受けました。偶然ユーチューブに実家の近所の動画が投稿されていたのを見たのですが、もう言葉になりませんでした。3.11にはレッスンの後ブラームスのドイツレクイエムのレコードを聴かせてくれたあと、何も言わずにクレッチマン先生が抱きしめてくださいました。」と大沼談。
マイセンでも震災のニュースは大きく取り上げられ、大沼にもラジオや地元ケーブルテレビのインタビューが殺到、震災直後からマイセンの方々が義援金活動に勤しんでくださり、800万円近くもの義援金が集まりました。
「被災された皆さんは今も本当に大変な日々が続いると思いますが、ハーメルンの笛吹き男に出てきそうなお伽噺のような風景が続く遠いマイセンの地で、皆様の平安を心から願っています。今回は国籍を越えて支援の輪を広げてくださった大勢の方々への感謝の想いで、心を込めて演奏させて頂きました。荘厳な雰囲気の中、1時間のプログラムを無事終えることが出来、ほっとしています。これからも長期的視野で今後も自分たちに出来る方法で長期的に支援を続けてゆきたい」と語っています。
▼会場となったGewoelbekeller(丸天井の形をした地下空間とでも訳しましょうか)はマイセンの由緒ある財団所有であり、日本で言う足利時代あたりの建物です。
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