2008年02月26日のエントリー

続々登場の歌い手達! オペラの制作現場からーその4

『ワルキューレ』、『ばらの騎士』という二つの代表的なドイツオペラを並行して制作した今回の公演は、何れもお客様から熱いご支持を頂くことができました。立ち稽古は何れも2か月近くに及びましたが、当初海外から招いた二人の演出家ともに、この期間でダブルキャストを仕上げるのは不可能と首を傾けていました。
しかし、幸いにもそれは杞憂に過ぎず、むしろ日本人歌手達の能力を強く印象づける結果となったのです。中でも『ワルキューレ』で二期会オペラデビューを果たした歌手は10名、何れもオーディションで選ばれ立派に舞台を務めてくれました。
実はこの時期、新国立劇場でも山田耕筰作曲の『黒船』の制作が行われていて、そこにも十数名の二期会会員が出演していました。6月にはR.シュトラウス作曲の『ナクソス島のアリアドネ』の公演が行われますが、キャストの過半はこれらの三作と重なっていません。
このように我が国を代表するレベルの公演に出演できる歌手達が続々と育ってきたのは、日本人の肉体的条件の向上、オペラ研修所の充実、音楽稽古から立ち稽古に至る長期間の充実した稽古、出演者同士のチームワーク、など幾つもの要素が重なった結果です。
歌手は舞台経験を踏む毎にジャンプするように実力が上がるのですが、長い制作期間を通じて、海外や新国立劇場で活躍する先輩歌手と一緒に過ごした濃密な時間そのものが、若い歌手達にとって何よりの刺激となったことも確かです。
我々制作を担当するものにとっては、どうすれば舞台経験を増やすことができるかが問われており、年間の制作本数や、演目毎の公演回数を何とか増加させようと決意を新たにしているところです。(常務理事 中山欽吾)

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